葉真中顕のレビュー一覧
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平成の始まった日に生まれ、平成最後の日に亡くなった無戸籍児・Blue。彼に絡む一家殺人事件を軸に、平成31年間の時事ネタとともに事件の謎を追っていく。
葉真中さんらしく、児童虐待や貧困、外国人労働者問題など、さまざまな社会問題が描かれている。平成に起きた実際の事件や音楽、当時の風物が随所に散りばめられ、自分が生きてきた平成という時代を良くも悪くも再認識させられた。まさに平成がぎゅっと詰まった作品だった。
親を選べなかった悲しい子供たちは、それぞれ必死に戦っていた。Blueにはつい肩入れしてしまう。一瞬でもファミリーができ、幸せな時間を過ごせたことが、せめてもの救いだったと思う。彼のしてきたことは決して許されないけれど、誰かが救われたのもまた事実。何より、彼にとっての真実が語られたとき、なぜか私自身も救われた気がした。
苦しみと悲しみに満ちた平成という時代を背景に、二つの惨殺事件を描いた重厚な物語。「絶叫」に勝るとも劣らない作品だった。 -
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ネタバレ人生の辛さから生まれる「絶叫」
鈴木陽子は何処にでもある「普通」の家庭に生まれた。
母親は陽子の弟だけを溺愛した。
その弟は「自殺」。
父親は借金取りに追われて蒸発。
やがて結婚するも夫から離婚を告げられ、上司には利用され、会社を解雇される。
陽子はデリヘル嬢として懸命に働くが、次から次へと超ド級の不幸に見舞われる。
物語の随所で、社会に捨てられた人の絶叫が響く。
全方向から騙され、痛めつけられても、陽子は懸命に生きる。生き残るための最後の計画の残忍さと緻密さに度肝を抜かれた。
人は環境に応じて感情が動き、行動を起こす動物なのだという伏線が見事なまでに回収され、大満足の1冊だった。 -
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ネタバレめちゃくちゃ面白かった、すごく引き込まれた!私は社会派ミステリーが好きなんだなーと気がついた。
所謂氷河期世代を生きた人々の苦悩が描かれた物語。中学時代はヤンキーが流行って、オタクが好きってだけで犯罪者扱いだったり嫌われてカースト最底辺にされて、大学受験は団塊世代で熾烈な戦い、バブルが弾けて就活、、、就職できてもあの頃はハラスメントなんて言葉なくブラック企業だらけで、、、鬱病に対する理解も全く無いし、苦しい世代だなってしみじみ感じた。
引きこもり視点、両親視点、刑事視点、母親視点、子供視点、、、様々な人生や思いが書かれていて、みんな苦しんでいて、、、
読み終わった後の満足感すごい! -
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『“殺してもいい命”なんてあるわけ無い、でも自分の命の価値を他人が推し量ることはできない』
この感想を読んだ人の中には、家族や親族などの介護を経験したことがある方もいらっしゃるだろう。
本作を読んだ私は、その方々に「本当にお疲れ様です」とただ声をかけたくなった。
(非常に上から目線になっていて申し訳ないが・・)
今、日本の高齢者は総人口の半数にも迫ると言われている。
日々のテレビ番組や動画サイトなどでも度々、この介護の現場を取り上げられるが、そこには映像の中で語られる綺麗事だけでは済まされない状態に既に陥ってしまっている家族がいることも忘れてはならない。
本作は、性善説を信じるクリスチャンの検察官・大友、介護の現場で働くヘルパー、両親の介護に疲れ切った家族、そして“事件の犯人”、4人の視点から描かれる。
本作で起こる事件、それは日常生活の殆どに介助が必要、いわば要介護状態の高齢者を殺害するというものだ。
最初読んだ時は「動けない高齢者を狙って殺害するなんて酷い事件だ!」なんて激昂してしまった。
ただ、読み進めていくとその裏にあったのは介護疲れで崩壊寸前の家族の姿だ。
例えば、自分の両親が認知症等を患い、要介護状態になったとしよう。
軽度な状態だと家族・親戚同士で介護をすることもあるだろうが、進行するにつれ、家族だけでは全ての介助が難しくなるケースが起こる。
自分に所帯を持っていれば、仕事や家事など介護以外でもやることは山積みで、時間の全てを介護に使う、なんてことは困難になるだろう。
生活の全てに介護が必要だとなった場合、訪問介護などの専門サービスを頼るか、老人ホーム等への入居を検討するが、直面するのはお金や施設等の利用までの順番待ち、場合によっては世間体もある。
(世の中には、「親を施設に入れる」ことへネガティブに感じ、家族介護がベストだという風潮・考えを持つところがあったりするのだ)
運良く訪問介護サービスを利用できるようになったとしても、家族介護には限界がある。
その限界の先に待っているが、介護疲れやストレスによる虐待や家族の鬱病などにより、元に戻すことが難しいほど壊れてしまった家族の姿なのだ。
本作にはそんな介護の限界を生々しく、そして赤裸々に描いている。
「殺してもいい命」、それはあってはならないものだ。
だが、自身の介護で「家族に殺して欲しい」とまで願ってしまう高齢者や、届くことのないSOSを出し続ける家族の姿を性善説を信じる検察官の視点から見ると、同情と憤慨、私はどちらもが湧いてきた。
ロストケアというタイトル、それがなぜ生まれたのかは本作を読んで確かめて欲しい。 -
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葉真中顕、初読み。
殺してもいい命なんてあるわけがない。
そう思っているのに、介護に追い詰められた家族の苦しみや、死によって救われたと感じてしまう人の心情を前にすると、簡単には割り切れなくなる。
高齢化社会、介護の現実、制度の限界、命の尊厳。さらに安楽死や嘱託殺人についてまで考え始めると、何が正しいのか、答えはなかなか出てこない。
犯した罪は決して許されない。それでも、犯人をただの異常者として片づけることもできなかった。その背景や考え方を知るほどに、様々な感情が生まれてくる。
読み終えてから、もう一度読みたいと思った。
真相を知ったうえで、あの場面はどう描かれていたのか、あの言葉にはどんな意味があったのか、確かめてみたい。そして、今とは違う時期に読み返したら、この作品をどう受け止めるのだろう。
社会問題として忘れてはいけないことが描かれ、ミステリーとしても再読したくなる。簡単に感想をまとめられないほど、考えさせられた一冊だった。 -
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過激な動物愛護団体「DOG」が、謎の生物を使って起こすテロ事件。ペット業者主催のイベント会場を舞台に、中学生、事件に巻き込まれた人々、そしてDOG、それぞれの視点から事件の真相を描く物語。
パニック小説ではあるものの、恐怖だけではなく、動物愛護や倫理観、差別、いじめなど、さまざまな社会問題を織り交ぜていたのは、さすが葉真中顕さん。ほとんど1日の出来事で構成されていて、展開も早く、読む手が止まらなかった。
「DOG」の掲げる理念には考えさせられた。ペットとして愛される動物も、食用とされる動物も同じ命。人間の都合で「殺していい命」と「いけない命」を線引きしているという事実を突きつけられる。
だからといって、「動物も人間も同じ命だから」という理由で、人間を殺すことが正しいとは思えない。正解のない問いだからこそ、考え続けることに意味があるのかもしれない。
怖さやどんでん返しだけではなく、「命」や「正しさ」について深く考えさせられる一冊だった。 -
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ネタバレ新興宗教が起こした事件をめぐり、その中ではなく周りの人に焦点を当てた作品。とある人物の生涯と事件に関わりがある人物で構成されており登場人物が少し多い、途中これ誰だっけ?となってしまいページを戻ることもあった。なんといっても最初の衝撃がすごい、行路病院ってなんだ?って思いながら本当にあった病院で驚愕。わあこんなところを題材にしているのか、こりゃ読むの辛くなっちゃうぞと思ってたら最初と最後にちらっとでただけ。メインは各人のストーリーではあったのでそこは少し拍子抜けしてしまった。行路病院での話を怖いもの見たさで欲しがってしまった。ただ、題材を一つにしなくてもなんかわからない気味の悪さ、社会制度の脆さをついた貧困や現実を描いておりそこは流石です。
このなんか怖いな、こんなことが本当にあったんだっていう気持ちにするのがうまい。希望をとことんなくしていくスタイルに感嘆してしまう。けど、今回はお菓子屋さんの話は優しい、いい師匠に出会えてよかったねっ、少し立ち直れたねって思ったのも束の間、娘のパートナーが不穏で希望があると見せかけてへし折っていく作者のスタイル、そうだよね葉真中さんが最後だけハッピーエンドとかないよね、お見それしました。もはや待ってましたと言わんばかりに納得した。
今までと本の構成が違うけどやはり絶望が強い。オウム真理教がなかったらこういう事件が起きてたんじゃないか、繭と黄金の蝶、バタフライエフェクト、全てはつながっている。ややファンタジー要素もあるもののこれはこれで良いと思う。宗教って怖い。 -
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ネタバレ恐ろしい事件だったから深く印象に残ってる尼崎連続殺人事件をモデルにした小説
事件にかなり忠実に書いてあると感じた
実話ベースなので恐ろしさがリアル
被害者の尊厳が壊されていく様子に恐怖が加速し逃げる選択肢を奪われていく様子に絶望しかなくなった
最初は良い人たちのように見せかけ近づき
逃げられないように取り込んでから暴力で支配していく。
でもそれだけではない部分もあるというか…
あれだけ凶悪なことができる人間が逮捕後に自殺という最期に対して、どこかで本当に家族を求めていたことを思わせるような後味の悪さを感じた
瑠璃子は理想の家族を完成を追い求め、途中で気に入らなくなった家族は消して新しい家族と取り替えてアップデートを繰り返していたように見えてきた。 -
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作中作品の女性が、みんなから随分遅れて携帯を手に入れ、ネットサーフィンして世間に慣れていく姿が、驚くほどリアリティーがある。怖すぎる。
個人的に作中作品その1の段階で気持ち悪すぎて読書をやめてしまいそうになった。作中作品だと最初から言ってくれたら良かったのに。(幸い頑張れたけど!)
梨帆はPMSの頭痛に悩まされている。梨帆は以前第二編集部に所属していたが、再編されて消滅した。だから今更小説を送ってこられても困る。それは数年前に担当した犬を飼うという作品の作者からで、どうやら別の作品を完成させたようだ。
作品の内容は、電車に飛び込もうと最後のオシャレをして家を出たター坊(50歳女性)が、道で25年ぶりの女子校時代の同級生に会う。携帯を持ってないと言ったら、一緒に買いに行ってあげるとついてこられ、買う。まだ小説を書いているのか訊かれる。
なぜ今になって送ってきたのだろう。7年も経っている。年末休みに入っていた。苦手な作家からランチに呼び出される。断ろうとすると死んじゃおうかなと言われる。仕方ない。
ター坊の夫は定年後嘱託で働いている。高圧的で家事は何もやらず、ほとんど会話もない。亡くなった義母は脳梗塞になるまでは良かったが、介護していたらどんどん不満が出てきたようだ。唐突に誤嚥性肺炎で亡くなった。
ター坊は毎日ネットサーフィンして過ごすようになった。夫のような元偉かったタダの人が世の中でみっともないマネをしているのがアルアルだと知る。結婚が失敗だったと思うようになった。小説を書く。
梨帆は子供を妊娠しようとしないことで離婚になった。3年前。そしてその後パニック発作が出るようになった。童話作家と結婚して双子を授かったニュースを聞く。
ター坊の書いた小説は最終選考まで残ったらしい。おかげで夫が何を言ってきても心折れず過ごすことができた。そして自分が夫の怒気を挫くことができることを知る。だけど賞に落ちたら元の木阿弥だった。
梨帆は出版したいと上に掛け合ったら、拍子抜けするほどあっさり通った。 -
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終始、怖かった、
逃げ出せない、、。
逃げても捕まる。逃げても、助けて貰えない。
逃げ切るか、殺人を犯したことを伝えるか、、。
こういう話を聞くと、逃げ出す瞬間はあったんじゃないか?と思うが、、逃げれないんだ。
いい顔して迎えに来る、、
洗脳、、コントロール。
親でも子でも殺してしまう、躾。
自分が躾され続けたらおかしくなってしまうのだろ、、洗脳されるまえ逃げて警察にいっても、、民事介入ができないと言われ返される、、救って貰えない、、。
すごく辛い。
家族の中で生き続けるなら気持ち的に良いのかもしれないが、1度機嫌を損なわれたり、嫌われたりしているとなれば、容赦ない、、。
躾をするのは本当に愛が、ある家族がする事なのか、、ズレている。
ズレているか、彼女は最初からズレている、、もはや彼女のせいではないと最初さ思うが
こうも、何十年も繰り返される躾をみると、狂っているしか思えない。
どうにか逃げて欲しい。警察に介入してほしい。救って欲しい。
尼崎連続変死事件をモチーフしてある。
衝撃な事件だった。この本を読むと、逃げれない何を感じる。
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単行本で4年ぶりに再読。年齢と共に読み方が違うのかとてもいい時間を過ごせた。「犬を飼う」「長い午後」を書いた主婦多恵。出版社勤務の梨帆。犬とイヌ、違和感に気づいたとき作中の作品なのに圧倒される。もう一つの作品も、考えないように生活してるからこそ長く感じる午後をiPhoneや旧友亜里砂がキッカケで溢れ出る感情にフタをしなかったター坊の気持ちが伝わってくる。分岐点であっちを選んでいたら、同じように最近思う事が多いので、振り返るきっかけにもなる。多恵が自分より若くバリバリ働く梨帆の現実を知ったら、時が経っても男女の求められるものが変わらないことにため息がでるだろうな。そして自分自身は多恵と梨帆を足して2で割ったような人生だけど、うまくいかない人生に後悔しかない。若い人に読んでほしい作品。
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ネタバレ平成一桁ババァにとって
これまでの人生を振り返ってくれた本でした。
気になるけど分厚い…分厚いけど気になる…と思ってずっと読んでなかったけど、読んで良かった。面白かった。
「絶叫」を読んでいたのでFor blueのターンは誰目線なんだろう?当てるぞ〜とか思ってたけど、
多摩ニュータウン男女の娘だとは思いもしなかった。(リエンだと思って読んでた。)
親ガチャには外れてしまったけど、その後良い養親に出会えて良かった。
ただお兄ちゃんのほうはブルーに感謝してなくて、あくまで「俺らの親を殺した人」になってて、あんなクソ親でも憎めない心理とは…
ブルーも青梅事件であんなザクザク人を殺したのに、こんな人生を歩まされてる母親を殺してやるって思考にはなってなかったし、どんな親でも愛してしまってる子どもたちが可哀想だったな