葉真中顕のレビュー一覧
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介護の現場と家族の悲惨な現状を読んでいくにつれて気持ちが沈んでいく作品。
2000年に導入された介護保険制度、それ以来約3年に一度の間隔で介護保険法が改正されているのを果たして国民の何割が知っているのか。この作品が書かれた時点から数度の法改正を経た現在、本作で描かれているような問題点が解決されたかといえば残念ながら未だに問題は山積だ。
訪問介護サービスの報酬減や物価高騰により介護事業者の経営環境は悪化しており、2024年には過去最高の事業者倒産件数が記録された。現場の過酷な労働条件にも関わらず介護職員の平均収入は相変わらず他業態に比べて高くない。介護保険法によって介護報酬の上限額は決まっており -
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ネタバレ将棋がテーマのアンソロジー。
お気に入りは青山さん「授かり物」
有名な棋士と、同じ年で同じ誕生日の息子を持つ松原芳枝。シングルマザーとして息子を育てていたが、20歳になった歳に漫画家のアシスタントになると言い出し…
ひょんなことから出会った将棋を指す老人と出会い、将棋の奥深さにハマっていく芳枝。これまでの人生と将棋を掛けた描写にじんわりきました。
綾崎さんの「女の戰い」
あくまで棋士を目指す朱莉。女流棋士とは違い狭き門で、保険で東大へ入学できるのも凄いです。
ライバルだけど、友達以上恋人未満な関係の京介が心地よく、認めてくれる人がいるだけで強くなれる関係がまた更に朱莉を上へ連れてって -
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葉真中顕さん著「鼓動」
奥貫綾乃シリーズ、「絶叫」「Blue」に続く第3弾。
今回は引きこもりが題材となった作品。
来年50才となる自分の高校時代の同級生にも20年以上引きこもり生活をしている友人がいる。
その彼もやっぱり仕事を中心とした社会生活や生活環境からの孤立の手段としての引きこもるという選択をし、未だに引きこもっているらしい。
幸いにも彼には立派な土地持ちの両親と3人の兄貴がいるためそれができているのだろう。
当時自分や他の友人達がどんなに言葉や態度を重ねても「俺とおまえ達とでは違うんだ」と諦め口調で声を荒げ、自分達の考えには一向もせず内へ内へと塞ぎ込んでいった。
当時の自分も若かっ -
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葉真中顕さん著「Blue」
「絶叫」に続く奥貫綾乃シリーズの第2弾。
前作「絶叫」が素晴らしかったので今作品も期待していた。その次の作品「鼓動」も既に購入済みで暫くはこのシリーズに没頭していきたい。
平成の初日に生まれ平成最後の日に死んだブルー。彼の辛く短い人生が平成という時代の史実と共に描かれていく。
今回のテーマは「愛」。ネグレクト、虐待、無戸籍、殺人教唆や殺人等を背景に作者特有の多視点から多角的に描かれている。
正直、これ程まで「愛」に見放されてしまえば「生」の存在価値すら見いだせないのではないか?と思えてくる。彼がこの世に産声をあげた時点から全てが彼の人生にのしかかってくる宿命だっ