葉真中顕のレビュー一覧

  • W県警の悲劇

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    W県警という、架空の田舎県の県警の裏側(あくまでノンフィクション)を
    描き、女性検察官の女性による職場改革をも描いた連作短編小説。

    事件の隠蔽や、取り調べの問題点など、県警の事件解決への在り方を
    あまり硬くなりすぎないタッチで描かれていて、すごく読みやすい。
    著者のロスト・ケアほどではないが、衝撃的な展開もあり、
    社会派としての一面もあり、どこまでが事実にもあり得るのかと考えてしまう。

    ネット社会のパスワード問題やYoutuberが出てくるところなど、
    現代を反映させている点も本当にこんなことがあるのかと思ったり思わなかったり
    な作品になっていた。

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    2025年05月26日
  • もの語る一手

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     将棋に絡めた短編集。どれもこれもおもしろかった。ドキドキ、ハラハラ、おおっ、しみじみ、ほろり。いろんな感情を味わえました。1番のお気に入りは「なれなかった人」。棋士たろうとする凄みがすごかった。

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    2025年05月25日
  • 鼓動

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    主人公が引きこもりになった過程とその内面をリアルに描写している。
    同じ昭和生まれとして、その時の時代背景が懐かしく主人公に感情移入しやすかった。
    引きこもりになりたくてなったわけではない、ここから抜け出せたらどれだけいいか
    という主人公の心情が響く。
    環境によって引きこもりになった過程は理解できるが、
    心の持ちようにはよってそれを回避できるとも思った。

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    2025年05月21日
  • もの語る一手

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    全く将棋が強い訳でもないが、将棋にまつわる小説やノンフィクションは個人的に好きな分野。粒揃いな作品群の中でも、葉真中氏の「マルチンゲールの罠」、橋本氏の「なれなかった人」、綾崎氏の「女の戦い」、そして奥泉氏の「桂跳ね」あたりが特に面白かった。芦沢氏は「神の悪手」が滅茶苦茶面白かったので期待大だったが、本作の「おまえレベルの話はしていない(大島)」はそれほどでもなかった。

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    2025年05月15日
  • もの語る一手

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    『テーマ小説の旨味が凝縮された至極の一冊』

    将棋にまつわる8話のアンソロジー。総じて良かった。特に将棋の細かいルールがわからなくとも読めるのが良い。全体的に夢を諦めない姿勢と将来の不安に対する心の葛藤を描いた作品が多く、勝負師たちの手に汗握る緊迫感が伝わってくる。奨励会の描写は「ヒカルの碁」を思い出した。

    ●授かり物 青山美智子
     親子の優しい物語、ブラマンが出てくるのは青山ファンに嬉しい
    ●マルチンゲールの罠 葉真中顕
     賭け将棋師の物語、真剣勝負に手に汗握る
    ●誰も読めない 白井智之
     本格ミステリー、アリバイ崩しのトリックと将棋の先読みを掛けた白井先生らしい作品
    ●なれなかった人 橋

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    2025年05月09日
  • 鼓動

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    面白かった点
    表紙を見て「シリアス系かな?」と思い敬遠していたのですが、読んでみるとものすごくエンタメ性に富んでいて面白かったです。
    主人公・草鹿秀郎の人生描写に非常にリアリティを感じました。彼は私より5〜6歳年上の、団塊ジュニアと呼ばれる世代にあたります。第二次ベビーブームに生まれ、バブル景気を経て就職氷河期に苦しめられた世代です。少年時代は『週刊少年ジャンプ』をはじめとするさまざまなマンガやアニメに影響を受けていますが、『ジョジョの奇妙な冒険』や『BASTARD!!』、『トップをねらえ!』など、私自身も好きな名作が登場するため、草鹿に感情移入してしまいました。

    その後の人生のうまくいかな

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    2025年05月09日
  • 絶叫

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    フォローしている方の感想を読んで、「ロスト・ケア」も読んでいた為、読んでみようと購入しました。

    ゾッとする場面もたくさんありましたが、生きるためにここまでやりきった陽子にあっぱれです。

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    2025年04月28日
  • ロスト・ケア

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    第16回日本ミステリー文学大賞新人賞

    高齢化社会の闇がテーマの社会派ミステリー。
    他人事ではない重たさがあるからこそ話に没入してしまう。
    初読みの作家さんでしたが、読者をミスリードしたり、気になる言葉の言い回しで引きつけるのがうまくとても面白かった。

    今年の年始にあった有料老人ホームでの不正請求のニュースにはただ憤りを感じていたけど、この小説を読んでそうせざるを得ない社会のしくみにこそ問題があるのだと思い知った。

    介護の大変さはその介護度、家庭環境、経済状況によりピンキリで、私は身近にまぁまぁ大変な状況があるのでこの小説に出てくる介護家庭の悲惨さは想像だけはできる。
    だから正直気わかって

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    2025年04月24日
  • 絶叫

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    面白い。

    前作に引き続き、社会問題をテーマにした良質なサスペンス。

    まるで鈴木陽子という主人公が実際に存在しているかのような錯覚に陥る。

    最後まで興味が途切れることなく、楽しめた。

    星は4.2くらいか。

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    2025年04月09日
  • ロスト・ケア

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    面白い。

    介護がテーマのミステリー小説。

    読みやすく、サクサク読める。

    介護という社会問題をミステリー小説にするのも面白いし、しかもしっかりエンターテイメントにしている。

    テーマは重いが、小説としては非常に面白い。

    星は4.5くらいか。

    次の作品も読む事にする。

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    2025年04月08日
  • ロスト・ケア

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    ネタバレ

    斯波宗徳は、なぜ、父親の介護をして看取ってから、介護の職に就いたのだろうか?
    疑問だった。
    私も、介護をしていたけれど、介護職に就きたいという思いは今もない。
    ※介護に携わっているみなさんには、今もたくさん助けられています。
    私は、そのかたたちのおかげで、生きていられると思っています。

    介護をした経験があるから、介護の職がいいのでは?と思うのかもしれないけれど、ヘルパーの資格をとって仕事にしたいとは思わない。
    だから、斯波が介護職に就いたのがとても不思議だった。

    犯人が斯波だったということにも驚いたが、彼は、使命をもって、介護が必要な高齢者と、その家族を救うために正しいことをしたと主張した

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    2025年04月08日
  • ロスト・ケア

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    42人を殺した殺人、の文言から壮絶なドラマを想像しましたが、介護に関する社会的問題をしっかり考えさせられ、殺人を処置と呼び、介護であると主張する犯人の言葉にどう反応すれば良いのか?いろいろとささる作品です。

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    2025年03月25日
  • 灼熱(新潮文庫)

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    葉真中顕『灼熱』新潮文庫。

    最近では珍しく、先月の新潮文庫から読みたい本が4作も刊行された。うち3作はかなりのボリュームがあり、本作はその中でも一番のボリュームだ。

    本作は、戦前から戦後までのブラジルを舞台にした800ページに及ぶ読み応えのある渡辺淳一文学賞受賞作の長編小説である。

    幕間に描かれる呪術師の老婆の独白は物語とどう関わってくるのか。そして、老婆の正体とは。

    最近は自然災害が起きる度にSNSで噂やデマが飛び交い、さらには誹謗中傷の嵐が巻き起こる。本作に描かれる日本の戦争も勝利を信じる勝ち組が様々な噂やデマを飛ばし、やがて悲劇を生み出すのと何ら変わりはない。

    その裏で勝ち組を

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    2025年03月10日
  • W県警の悲劇

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    どんでん返しが効きまくったミステリーであり、警察内部の組織もうまく絡んだとても読みやすく面白い一冊だった。事件はそれぞれなのだが、警察内部の関係性がまとまってくるのもお見事だった。

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    2025年02月23日
  • Blue(ブルー)

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    葉真中作品初見でした。

    子どもは親を選べない。ちょっと最近離婚して妻子と離れた自分にはタイムリーに心を刺されるテーマ。

    子どもを愛せずに手を出してしまう親、子どもを愛したり手を出したり子どもを振り回す親。子どもは翻弄されるまま。そんなテーマの中に、これまた自分にタイムリーな平成時事ネタか散りばめられ、興味深く読みました。無戸籍の子どもって、結構いるんですね。自分の小さい頃よりはみすぼらしい子どもは見ませんが…

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    2025年02月22日
  • 警官の標 警察小説アンソロジー

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    月村了衛、深町秋生、鳴神響一、吉村英梨、葉真中顕、伊兼源太郎、松嶋智左『警官の標 警察小説アンソロジー』朝日文庫。

    7人の作家による7編全てが書籍初収録となる贅沢な警察小説アンソロジー。

    自分は、7人の作家全て最低1作は読んでいる。月村了衛と深町秋生、葉真中顕は文庫化作品は全て読破している。吉村英梨と松嶋智左も文庫化作品はほぼ読んでいるが、最近は取捨選択しながらという感じだ。鳴神響一と伊兼源太郎は文庫化作品を1作読んで肌に合わないと感じてからは読んでいない。

    月村了衛の『ありふれた災厄』と深町秋生の『破談屋』が取り分け面白かった。


    月村了衛『ありふれた災厄』。★★★★★

    本短編の冒

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    2025年02月16日
  • 作家 超サバイバル術!

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    うわーーーこれ面白かった。
    一気に読んでしまったよ…目がしぱしぱする。
    創作への情熱を思い出すような内容で、結構えげつないことも書かれてたけど、不思議と背中を押された感覚があった、ものすごく。
    私はインプットもアウトプットも両方不足してるから、とにかく描きたいし、何か見たい、読みたいって思った。
    読んで良かった…近年のやる気不足を吹き飛ばしてくれる内容だった。
    こんななけなしのやる気、出してもしょうがないし、才能もないから…って思うけど、それをバネに「悔しい…見返してやるーーー!!」っていう気持ちを教えてもらった。
    それはほんとに大事な気持ち。
    悪いものもプラスに変換していきたい!
    この本なか

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    2025年02月05日
  • 警官の道

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    どれも実力派の作家で、ハズレはありませんでした。中でも初読みの長浦氏は迫力を感じました。近い内に他の作品を読んでみようと思います。

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    2025年01月27日
  • W県警の悲劇

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     架空のW県警で働く女性警察官たちが主人公の連作短編集。タイトルからもっと小粒な作品と思っていた上、短編集なのでそこまでのクオリティを期待していなかったが、どの話もしっかりしたどんでん返しが用意されており、意外にも楽しめた。生真面目刑事の娘の思考は理解不能だったが、各話を通して旧態依然とした男社会の警察組織に蔓延る悪が少しずつ成敗されていく様子が痛快。とは言え、最終的にもやもやする話がほとんど。こんな県には住みたくないが、では実際のわが居住地の警察はどうだろうか。

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    2025年01月02日
  • Blue(ブルー)

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     各所に挟まれる平成史と共に少年ブルーの影を追う。どんなに酷い虐待やネグレクトを受けても、お母さんに愛されたくて、笑ってほしくて健気に耐える子どもの描写を見ていられない。外国人技能実習生の過酷な労働環境や貧困・虐待の連鎖など辛く目を背けたくなるテーマが盛りだくさん。自らの行いを悔い、自分以上に壮絶な虐待を受けていた子どもを助けようとした点は同情の余地があるかもしれないが、贖罪の方向が間違っているところが哀れ。無戸籍児問題は今だに相当数存在するのかと驚いた。

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    2024年07月14日