葉真中顕のレビュー一覧
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W県警という、架空の田舎県の県警の裏側(あくまでノンフィクション)を
描き、女性検察官の女性による職場改革をも描いた連作短編小説。
事件の隠蔽や、取り調べの問題点など、県警の事件解決への在り方を
あまり硬くなりすぎないタッチで描かれていて、すごく読みやすい。
著者のロスト・ケアほどではないが、衝撃的な展開もあり、
社会派としての一面もあり、どこまでが事実にもあり得るのかと考えてしまう。
ネット社会のパスワード問題やYoutuberが出てくるところなど、
現代を反映させている点も本当にこんなことがあるのかと思ったり思わなかったり
な作品になっていた。 -
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『テーマ小説の旨味が凝縮された至極の一冊』
将棋にまつわる8話のアンソロジー。総じて良かった。特に将棋の細かいルールがわからなくとも読めるのが良い。全体的に夢を諦めない姿勢と将来の不安に対する心の葛藤を描いた作品が多く、勝負師たちの手に汗握る緊迫感が伝わってくる。奨励会の描写は「ヒカルの碁」を思い出した。
●授かり物 青山美智子
親子の優しい物語、ブラマンが出てくるのは青山ファンに嬉しい
●マルチンゲールの罠 葉真中顕
賭け将棋師の物語、真剣勝負に手に汗握る
●誰も読めない 白井智之
本格ミステリー、アリバイ崩しのトリックと将棋の先読みを掛けた白井先生らしい作品
●なれなかった人 橋 -
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面白かった点
表紙を見て「シリアス系かな?」と思い敬遠していたのですが、読んでみるとものすごくエンタメ性に富んでいて面白かったです。
主人公・草鹿秀郎の人生描写に非常にリアリティを感じました。彼は私より5〜6歳年上の、団塊ジュニアと呼ばれる世代にあたります。第二次ベビーブームに生まれ、バブル景気を経て就職氷河期に苦しめられた世代です。少年時代は『週刊少年ジャンプ』をはじめとするさまざまなマンガやアニメに影響を受けていますが、『ジョジョの奇妙な冒険』や『BASTARD!!』、『トップをねらえ!』など、私自身も好きな名作が登場するため、草鹿に感情移入してしまいました。
その後の人生のうまくいかな -
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第16回日本ミステリー文学大賞新人賞
高齢化社会の闇がテーマの社会派ミステリー。
他人事ではない重たさがあるからこそ話に没入してしまう。
初読みの作家さんでしたが、読者をミスリードしたり、気になる言葉の言い回しで引きつけるのがうまくとても面白かった。
今年の年始にあった有料老人ホームでの不正請求のニュースにはただ憤りを感じていたけど、この小説を読んでそうせざるを得ない社会のしくみにこそ問題があるのだと思い知った。
介護の大変さはその介護度、家庭環境、経済状況によりピンキリで、私は身近にまぁまぁ大変な状況があるのでこの小説に出てくる介護家庭の悲惨さは想像だけはできる。
だから正直気わかって -
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ネタバレ斯波宗徳は、なぜ、父親の介護をして看取ってから、介護の職に就いたのだろうか?
疑問だった。
私も、介護をしていたけれど、介護職に就きたいという思いは今もない。
※介護に携わっているみなさんには、今もたくさん助けられています。
私は、そのかたたちのおかげで、生きていられると思っています。
介護をした経験があるから、介護の職がいいのでは?と思うのかもしれないけれど、ヘルパーの資格をとって仕事にしたいとは思わない。
だから、斯波が介護職に就いたのがとても不思議だった。
犯人が斯波だったということにも驚いたが、彼は、使命をもって、介護が必要な高齢者と、その家族を救うために正しいことをしたと主張した -
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葉真中顕『灼熱』新潮文庫。
最近では珍しく、先月の新潮文庫から読みたい本が4作も刊行された。うち3作はかなりのボリュームがあり、本作はその中でも一番のボリュームだ。
本作は、戦前から戦後までのブラジルを舞台にした800ページに及ぶ読み応えのある渡辺淳一文学賞受賞作の長編小説である。
幕間に描かれる呪術師の老婆の独白は物語とどう関わってくるのか。そして、老婆の正体とは。
最近は自然災害が起きる度にSNSで噂やデマが飛び交い、さらには誹謗中傷の嵐が巻き起こる。本作に描かれる日本の戦争も勝利を信じる勝ち組が様々な噂やデマを飛ばし、やがて悲劇を生み出すのと何ら変わりはない。
その裏で勝ち組を -
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月村了衛、深町秋生、鳴神響一、吉村英梨、葉真中顕、伊兼源太郎、松嶋智左『警官の標 警察小説アンソロジー』朝日文庫。
7人の作家による7編全てが書籍初収録となる贅沢な警察小説アンソロジー。
自分は、7人の作家全て最低1作は読んでいる。月村了衛と深町秋生、葉真中顕は文庫化作品は全て読破している。吉村英梨と松嶋智左も文庫化作品はほぼ読んでいるが、最近は取捨選択しながらという感じだ。鳴神響一と伊兼源太郎は文庫化作品を1作読んで肌に合わないと感じてからは読んでいない。
月村了衛の『ありふれた災厄』と深町秋生の『破談屋』が取り分け面白かった。
月村了衛『ありふれた災厄』。★★★★★
本短編の冒 -
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うわーーーこれ面白かった。
一気に読んでしまったよ…目がしぱしぱする。
創作への情熱を思い出すような内容で、結構えげつないことも書かれてたけど、不思議と背中を押された感覚があった、ものすごく。
私はインプットもアウトプットも両方不足してるから、とにかく描きたいし、何か見たい、読みたいって思った。
読んで良かった…近年のやる気不足を吹き飛ばしてくれる内容だった。
こんななけなしのやる気、出してもしょうがないし、才能もないから…って思うけど、それをバネに「悔しい…見返してやるーーー!!」っていう気持ちを教えてもらった。
それはほんとに大事な気持ち。
悪いものもプラスに変換していきたい!
この本なか