葉真中顕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
平成という時代を、経済や天災・犯罪と共に、文化や流行・風俗まで作中に描いたミステリーです。
2019年初版平成が終わり、ひとつの時代を読み物とされています。
日本に戦争が無かった時代の、平和で安全でバブルは去ったといえ、経済にも恵まれた日本の闇の部分。その闇から生まれた無戸籍児“ブルー”が社会機構から見放された厳しい生涯がミステリーの中心です。
機能不全家庭・児童虐待・貧困という中で育つ子供達。外国人労働者、技能実習生の諸問題。なかなか盛りだくさんの内容です。社会派小説としての詳細に時代を追った分、メインの少年の心情とか成長などは多少希薄になったような気がしています。ブルーが親を選べなかった子 -
Posted by ブクログ
戦時下、民族差別といったシリアスな設定ながらも、一方でエンタメ要素も十二分に盛りこまれたミステリー。非常に力のこもった力作だということは、読んでいて伝わってきました。
書き出しから濃い場面から始まって引き込まれる。
凍える寒さの北海道室蘭の貯炭場で重労働を課せられる朝鮮人の人夫たち。その過酷な環境下の中で、ある指令のため人夫たちにまじり潜入捜査をする刑事。
ここまでですでに相当カロリーの高い設定だけど、これはあくまで序章に過ぎないのがまたすごい。
そこから軍需工場関係者の連続殺人や、犯人が現場に残した血文字の謎めいたメッセージと興味を惹く展開で、物語を引っ張っていく。
そして主人公を追 -
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