葉真中顕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
本作は、「格差社会が生んだ闇」をテーマにした重厚な犯罪小説でした。読後は、何ともやるせない悲痛な気持ちになりました。慟哭必至の物語です。
児童虐待、毒親、子供の貧困、無戸籍児、外国人労働者からの搾取等、多くの社会問題を背景にしています。
2つの殺人事件、そして無戸籍で生まれ、暴力と貧困を経て市井に紛れた男<ブルー>‥。これらが一本の糸でつながっていく展開です。
平成という時代の光と闇の中で、<ブルー>の存在とは何だったのか? 社会を強烈にえぐり、読み手に重い諸々の問題を突きつける内容は、葉真中顕さんの真骨頂?ではないでしょうか。
平成時代の出来事、文化、風俗、流行などを俯瞰し、時 -
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葉真中顕、中山七里、呉勝浩、深町秋生、下村敦史、長浦京、柚月裕子『警官の道』角川文庫。
7人の作家の短編を収録した警察小説アンソロジー。7人の作家全員が自分の好みというのはなかなかあり得ないことだ。読んでみれば、柚月裕子の『聖』がピカイチで後は平凡な短編ばかりで、少しがっかりした。
葉真中顕『上級国民』。本作に描かれる刑事事件とされなかった交通死亡事故は、2018年に東京都港区で起きた元東京地検特捜部長による自動車死亡事故を思い出す。実際にこういうことはありそうだ。90歳の佐々木嘉一が交通事故で亡くなった。しかし、車を運転していた谷田部洋は逮捕されなかった。その裏には驚愕の事実が隠されて -
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名は青、母親は彼をブルーと呼んだ。。。
ブルーにはない、愛と幸福に満たされた家庭
それを滅茶苦茶に崩壊したいという気持ちに翻弄されます
苦しみもがき、平成という太く短い時代を生きたブルーの人生を追います
躾とは言えない幼児虐待、貧困、無戸籍児、外国人の低賃金労働、違法売春、ドラッグ、様々な社会問題が生んだ犯罪小説です
バブルが弾けた平成の世相に、一つの事件をきっかけに二つの殺人事件が起きてしまいます
ブルーが気に入っていた『早朝のごく短い時間だけ、水と光と霧が奇跡のバランスで織りなす、美しい〝運命の湖”』の写真
ブルーはそれに何を思い馳せたのでしょうか
そう思うだけで、悲しく切ない気持ち -
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平成時代の社会の闇を凝縮したような内容です。
ベトナムの『運命の湖』という美しい青色をした湖の風景から始まります。
これに関しては何の予備知識も入れずに読み始めた為、完全に油断していました。
この景色が伏線なんだろうなあ、位で読み進めて行くうちに、おや?あらあら?これは…
コレヲヨムニハ、カクゴガヒツヨウダ…
と、思わず片仮名変換になってしまう位に辛い話が続きます。
これでもか、これでもかと言う程に。
圧倒的な文章力と構成、ミステリ要素も上手く取り入れられており、目を逸らしたくなる闇が続くにも関わらずページを捲る手が止まりませんでした。
この状態に既視感を覚えていたのですが、櫛木理宇さん -
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ネタバレ平成の時代に生きた男の子の話。
親の暴力、虐待、貧困、情報格差、無戸籍、過酷な労働、非正規等々。斥力と引力。社会の目から、協力から逃げた親。翻弄される子供。
選んだもの、選べなかったもの、それしかなかった、選ぶ余地などなかった。
母親のその時の感情で暴力を振るわれる。
それでも母親を求める、愛情を求める。
男の子がほしかったもの。
自分を証明するものがないまま大人になる。
家族のようなものを得て生活をするようになってから、うなされるように。
無条件で愛してくれる存在。
自分が犯した罪と償い方。
ブルーのおかげで救われた者、恨む者。
もっと違う方法はなかったのかと…。
過酷な労働条件の -
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平成という時代を、経済や天災・犯罪と共に、文化や流行・風俗まで作中に描いたミステリーです。
2019年初版平成が終わり、ひとつの時代を読み物とされています。
日本に戦争が無かった時代の、平和で安全でバブルは去ったといえ、経済にも恵まれた日本の闇の部分。その闇から生まれた無戸籍児“ブルー”が社会機構から見放された厳しい生涯がミステリーの中心です。
機能不全家庭・児童虐待・貧困という中で育つ子供達。外国人労働者、技能実習生の諸問題。なかなか盛りだくさんの内容です。社会派小説としての詳細に時代を追った分、メインの少年の心情とか成長などは多少希薄になったような気がしています。ブルーが親を選べなかった子 -
Posted by ブクログ
戦時下、民族差別といったシリアスな設定ながらも、一方でエンタメ要素も十二分に盛りこまれたミステリー。非常に力のこもった力作だということは、読んでいて伝わってきました。
書き出しから濃い場面から始まって引き込まれる。
凍える寒さの北海道室蘭の貯炭場で重労働を課せられる朝鮮人の人夫たち。その過酷な環境下の中で、ある指令のため人夫たちにまじり潜入捜査をする刑事。
ここまでですでに相当カロリーの高い設定だけど、これはあくまで序章に過ぎないのがまたすごい。
そこから軍需工場関係者の連続殺人や、犯人が現場に残した血文字の謎めいたメッセージと興味を惹く展開で、物語を引っ張っていく。
そして主人公を追 -