葉真中顕のレビュー一覧
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評判通り高評価に値する作品でした。自分の母も現在認知症、幸い、介護施設に預ける事が出来てます。しかし、施設に預けるまでは身内との議論、葛藤の日々でした。自宅介護すべきの意見も出ました。父は既に他界しており、実家1人暮らしの母をどう面倒を見ていくべきか、現実的に可能なのかどうか。日に日に症状が進行していく中で最終的には、お金の問題はあるにせよ、施設に頼る形を取りました。特養に関しては入居待ちの数があまりにも多く半年とか待たないと入れません。地域にもよると思いますが。非常に問題だと感じています。
要するに、小説としてのフィクションのみの作品ということではなく、現実的背景が本作ではベースになっている -
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本作は、「格差社会が生んだ闇」をテーマにした重厚な犯罪小説でした。読後は、何ともやるせない悲痛な気持ちになりました。慟哭必至の物語です。
児童虐待、毒親、子供の貧困、無戸籍児、外国人労働者からの搾取等、多くの社会問題を背景にしています。
2つの殺人事件、そして無戸籍で生まれ、暴力と貧困を経て市井に紛れた男<ブルー>‥。これらが一本の糸でつながっていく展開です。
平成という時代の光と闇の中で、<ブルー>の存在とは何だったのか? 社会を強烈にえぐり、読み手に重い諸々の問題を突きつける内容は、葉真中顕さんの真骨頂?ではないでしょうか。
平成時代の出来事、文化、風俗、流行などを俯瞰し、時 -
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葉真中顕、中山七里、呉勝浩、深町秋生、下村敦史、長浦京、柚月裕子『警官の道』角川文庫。
7人の作家の短編を収録した警察小説アンソロジー。7人の作家全員が自分の好みというのはなかなかあり得ないことだ。読んでみれば、柚月裕子の『聖』がピカイチで後は平凡な短編ばかりで、少しがっかりした。
葉真中顕『上級国民』。本作に描かれる刑事事件とされなかった交通死亡事故は、2018年に東京都港区で起きた元東京地検特捜部長による自動車死亡事故を思い出す。実際にこういうことはありそうだ。90歳の佐々木嘉一が交通事故で亡くなった。しかし、車を運転していた谷田部洋は逮捕されなかった。その裏には驚愕の事実が隠されて -
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名は青、母親は彼をブルーと呼んだ。。。
ブルーにはない、愛と幸福に満たされた家庭
それを滅茶苦茶に崩壊したいという気持ちに翻弄されます
苦しみもがき、平成という太く短い時代を生きたブルーの人生を追います
躾とは言えない幼児虐待、貧困、無戸籍児、外国人の低賃金労働、違法売春、ドラッグ、様々な社会問題が生んだ犯罪小説です
バブルが弾けた平成の世相に、一つの事件をきっかけに二つの殺人事件が起きてしまいます
ブルーが気に入っていた『早朝のごく短い時間だけ、水と光と霧が奇跡のバランスで織りなす、美しい〝運命の湖”』の写真
ブルーはそれに何を思い馳せたのでしょうか
そう思うだけで、悲しく切ない気持ち -
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平成時代の社会の闇を凝縮したような内容です。
ベトナムの『運命の湖』という美しい青色をした湖の風景から始まります。
これに関しては何の予備知識も入れずに読み始めた為、完全に油断していました。
この景色が伏線なんだろうなあ、位で読み進めて行くうちに、おや?あらあら?これは…
コレヲヨムニハ、カクゴガヒツヨウダ…
と、思わず片仮名変換になってしまう位に辛い話が続きます。
これでもか、これでもかと言う程に。
圧倒的な文章力と構成、ミステリ要素も上手く取り入れられており、目を逸らしたくなる闇が続くにも関わらずページを捲る手が止まりませんでした。
この状態に既視感を覚えていたのですが、櫛木理宇さん -
Posted by ブクログ
ネタバレ平成の時代に生きた男の子の話。
親の暴力、虐待、貧困、情報格差、無戸籍、過酷な労働、非正規等々。斥力と引力。社会の目から、協力から逃げた親。翻弄される子供。
選んだもの、選べなかったもの、それしかなかった、選ぶ余地などなかった。
母親のその時の感情で暴力を振るわれる。
それでも母親を求める、愛情を求める。
男の子がほしかったもの。
自分を証明するものがないまま大人になる。
家族のようなものを得て生活をするようになってから、うなされるように。
無条件で愛してくれる存在。
自分が犯した罪と償い方。
ブルーのおかげで救われた者、恨む者。
もっと違う方法はなかったのかと…。
過酷な労働条件の