あらすじ
日本からはるばる海を渡ってきた比嘉勇と現地で育った移民二世の南雲トキオ。ブラジルの入植地で彼らは出会い、親友となった。そして迎えた終戦。祖国大勝利を信じる「勝ち組」と敗北を知る「負け組」の間で巻き起こった抗争が、二人を引き裂いた。分断、憎悪。遠き異国で日本人が同胞に向ける銃口。ふたりの青年の運命が交わったとき。絶賛を浴び、渡辺淳一文学賞に輝いた、圧巻の群像劇。(解説・杉江松恋)
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勝ち負け抗争のことも知らなかったので、とても勉強にもなった。
トキオと勇の話かと読み進めていくと、最後で騙された。
解説にも書いてあったけれど、何が真実で、自分の信じているものが正しいのかどうか、その時を生きている自分にはわからないのは、現代も一緒だと思う。
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ブラジル移民になるには、ひと家族に12歳以上3人の働き手が必要だった。勇は父の従兄夫妻とブラジルに船で渡る。入植地の弥栄村でトキオと出会って親友になった。やがて柔道の全伯大会に二人で出場する。
全伯大会では勇が決勝でトキオを下して優勝した。しかし勝ちを譲られた気がして馬鹿にされたような気分になってしまう。その後勇は里子がブラジル人たちに襲われているところを助けた。そして結婚する。トキオはいたたまれない。その日真珠湾攻撃が起こる。
ブラジルは連合国側についたため、日本とは行き来がなくなった。都市部では日本人の資産は凍結されたが、農村部では日本人が農業から手を引いてしまうとたち行かないので、何も生活は変わらなかった。勇と里子に女の子が産まれて栄と名づける。トキオはあっさり別の女性と結婚した。
が、トキオの家が薄荷油生産を続けていることで国賊だと言われるようになり、縁談を断られた。村中で襲う計画も持ち上がっている。
トキオは弥栄村から引越してサンパウロの樋口一家の営むヒグチというバルで働く。敗戦を迎えてようやく受け入れるが、一方弥栄村では、みんなが戦争に勝ったと思い込んでいた。
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いやー、面白かった。
今まで無知と言っていいほどだった、ブラジル日本移民の歴史を知ることもでき勉強になった。
ブラジルに出稼ぎにいった移民たち。大金を手にし帰国することを夢みてブラジルに渡ったが、大金を稼ぐとはほど遠く、帰国船に乗ることもできず取り残されてしまった。
そんな中、終戦を迎え、情報が乏しいなか、日本が勝利したと信じる勝ち組と、負けを認識している負け組との間で紛争が起こる。
正義の反対は、正義なのかもしれない。
そんな風に感じてしまった。
勝利を信じるものは、愛国心はもちろんのこと、自分の中の核たる信念を真っ直ぐに貫いた故であり、その人にとってはそれが正義であったんだろうなと。
フィクションではあるが史実をモチーフにしている。こんな出来事はもう起きてほしくない。
フィクションならではの、ドラマチックなラストも良かった。
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途中から勇くんに早く気が付け、早く改心しろと思いながら読んでいました。やっぱり日本人って救いようの無いないバカ。敗戦を勝ったと思い込んで詐欺師に金を巻き上げらるなんて笑うしかありません。自分から信じたい、信じたいって、集団でアホみたいに騙される。80年過ぎた今も全く同じ。また外国人を追い出せとか始まっていますが、そのうちバカな戦争を起こしてまたコテンパンに負けて、今度こそ天皇制と日本語を廃止させられるのではないでしょうか。ヒトラーを担いだドイツ人、プーチンに乗って侵略戦争を支持するロシア人、トランプを2回も大統領にしたレベルの低いアメリカ人も同じです。小説としてはさすが葉真中さんの著作で最後まで予想を裏切る展開、とても面白かったです。
Posted by ブクログ
日系ブラジル人の話。
明治、大正、昭和の時代、日本は爆発的に人口が増え食料が不足していた。
そのため、日本政府は国策として、日本人を海外に放出することを考え、その送り先がハワイやアメリカ西海岸、またブラジルなどの南米であった。
沖縄は食料が不足し、日本の本土に移住した沖縄人が多かったが、本土人による差別に苦しんだ。
そこで、沖縄人の多くは、差別されない場所を求めて、はるか地球の反対側のブラジルに移住を決意した。
移住者は錦の旗を飾って日本に帰ることを夢見て、ブラジルの奥地で奴隷同然の状況にも関わらず、必死に農業に従事した。
そこはあまりに日本から遠く離れていたため、日本からの情報が乏しかった。
そんな状況下での太平洋戦争と敗戦。
直接戦場となることはなかったにも関わらず、はるか地球の反対側で繰り広げられた、日系ブラジル人同士の闘争、後に「勝ち組」、「負け組」と呼ばれることになる。
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誰もが持っているような、ちょっとした嫉妬心、猜疑心、優越感のようなものが細やかに表現されていて、人間の弱さ、醜さのような部分をひしひしと感じた。
また当時、ブラジルでこんな事件があったとは全然知らなかったので、そこも興味深かった。
終盤に近づくにつれ、驚くような展開が続き、ページをめくる手が止まらなくなった。