葉真中顕のレビュー一覧

  • 凍てつく太陽

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    戦時下、民族差別といったシリアスな設定ながらも、一方でエンタメ要素も十二分に盛りこまれたミステリー。非常に力のこもった力作だということは、読んでいて伝わってきました。

    書き出しから濃い場面から始まって引き込まれる。
    凍える寒さの北海道室蘭の貯炭場で重労働を課せられる朝鮮人の人夫たち。その過酷な環境下の中で、ある指令のため人夫たちにまじり潜入捜査をする刑事。

    ここまでですでに相当カロリーの高い設定だけど、これはあくまで序章に過ぎないのがまたすごい。

    そこから軍需工場関係者の連続殺人や、犯人が現場に残した血文字の謎めいたメッセージと興味を惹く展開で、物語を引っ張っていく。

    そして主人公を追い込んでいく展開が容赦ない。主人公の刑事がアイヌにルーツを持つ出自であるがゆえ、同僚の刑事にも疑惑の目を向けられ、そこからさらに拷問、収監と徹底的に追い込まれていく。そこもまた引き込まれるゆえんです。

    時代背景や展開も重厚だけど、そこから浮かび上がるテーマもかなりシリアス。
    国家、戦争、そして民族。個人を捨て国家や天皇に従属することが求められた戦時下の大日本帝国。そこの矛盾や、国や体制に虐げられた個人の叫びが事件を通して浮かび上がっていく。

    葉真中さんの作品って社会の闇に飲まれていった個人に焦点を当てた社会派ミステリという印象が強いけど、その持ち味や視点を戦時下という時代の作品でも遺憾なく発揮されています。

    軽く読める作品ではないけれど、読み応えのある作品だったと思いました。

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    2023年04月12日
  • 作家 超サバイバル術!

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    医者で作家というのが憧れだけど、現実はそう甘くないよう。取材旅行して、ホテルのスイートルームに缶詰めで執筆なんて妄想か。

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    2023年04月05日
  • シークレット~綾辻行人ミステリ対談集in京都~

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    デビューのきっかけやデビュー直後に縁のある作家との対談なので、綾辻行人が謂わば道標となる存在であることが強調される。
    綾辻行人自身が対談を楽しんで相手の作品を褒めるので読みたくなります。ミステリは継がれていくものだと実感する。

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    2023年02月12日
  • 作家 超サバイバル術!

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    中山七里さん、知念実希人さんの作品はよく読みます。

    これを機に葉真中さんの作品も読みたくなりました。

    作家が同じテーマで新人作家に向けたイロハを伝えています。全く同じ事を伝えていたり、異なる事を伝えていたり。
    結局良い作品をとにかく書き続けること、に落ち着いていますが、お金のことや出版社についても赤裸々に語っているので、作家業の裏側が見えて面白かったです。

    1番驚いたのはこの本のイラストや四コマ漫画を描いているのが、佐藤青南さんなことです。エンマ様シリーズ大好きです。多才な人だったんだなぁ。

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    2023年02月04日
  • 作家 超サバイバル術!

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    中山七里・知念実希人・葉真中顕。新刊が出たら間違いなく読む小説家3氏共著の新人作家のための作家養成ギブス的エッセイ本。新人作家の裾野を考えると需要があるとは思えないので、外野の読書好き人種向けエッセイと思って拝読。3者のカラーが色濃く出ていて、佐藤青南氏の4コマ漫画含め(外野なので)楽しく読めた。まあ想像通りの内容ではあったが、やはり人気作家に大切なのは幅広いインプットと反面教師だということがよくわかった。プロ野球選手らと同じで大変だが夢のある職業なので、これからも面白い本を上梓いただけるよう期待しております(外野なので)。。

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    2023年01月25日
  • コクーン

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    カルト教団「シンラ智慧の会」
    その教祖、教祖の母親、信者、信者の家族、教団が起こした事件の被害者とその家族。

    いろんな面から見る世界。

    複雑に絡み合う出逢い。

    あの時、この道を選んでいなければ幸せだったのか。

    運命というものを考えさせられる。

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    2023年01月23日
  • コクーン

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    ネタバレ

    葉真中作品にしては評価が低かったのでイマイチなのかな…?と思いながら読み始めたけど、あれよあれよとイッキ読みでした。
    最後まで読んでパズルのピースがピタッとハマったけど、、バタフライ・エフェクト、、なんか怖いなぁっと思った。
    でもその後、何気なくページを捲っていたら、続きのようなものががあって、、、うわぁぁぁ、、、やめて、、、ってなりました。。
    彼女達のことは唯一の希望って感じだったのに、、、負の連鎖はどこまで続くの……?
    当分の間、、ちょうちょ、、怖いかも。。

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    2022年08月15日
  • コクーン

    く

    購入済み

    蝶を視点に物語が動くので神秘的な印象がある。時代や登場人物がコロコロ変わり、それぞれに繋がりがあるのでついていくのが大変だった。繭子のエピソードが一番こわかった。

    #ダーク

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    2022年08月10日
  • コクーン

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    ネタバレ

    広義でのバタフライ・エフェクトを狭義に落とし込んだような作品。

    ロスト•ケアを読んですぐに読み始めた。
    こちらも現実の事件と少し絡めて物語が進む。
    中心にいるはずの教祖のことは深く掘り下げられず、周囲の人々の人生を描かれている。

    単行本と文庫本では掌編の順序が逆なようなので、個人的には文庫で読んだほうが楽しめそう。

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    2022年06月03日
  • 凍てつく太陽

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    ネタバレ

    アイヌの生活とかよく調べているなと思いながら読み進めてましたが
    終盤、えっまさかあの人が...ですよね。
    無理がないのかもう一度読み直してみたい気もするけど....

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    2022年01月25日
  • 夜更けのおつまみ

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    まさに夜更けにお酒をちびちびと呑むように、ちびちびと気分が良い夜に読んでいたら結構時間がかかったけど好きな本でした。このシリーズ、他のも読んでみたい。生活感が満たされる。

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    2021年06月10日
  • 夜更けのおつまみ

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    原稿があがった後の枝豆とビール、秘密のレシピでつくる肴、大切な人との一皿…。31人の人気作家がおつまみにまつわる思い出を語ったエッセイ・アンソロジー。『asta*』掲載を文庫化。投稿コンテスト大賞受賞作も収録。

    いろいろ試したくなるおつまみ。

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    2021年04月03日
  • W県警の悲劇

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    W県警の熊倉警部が遺体となって発見された。
    彼に極秘任務を与えていた監察官の松永菜穂子は
    動揺を隠せない。
    県警初の女性警視昇任はあくまで通過点。より上を目指し、この腐った組織を改革する。その矢先の出来事だったのだ。
    「極秘」部分が明るみに出ては、県警を揺るがす一大事だ。事故として処理し事件を隠蔽できないものか。そんな菜穂子の前に警部の娘が現われ、父の思い出を語り始めた……。

    初めて読む作家。気になっていたので、文庫化を機に手に取った。落ちが読める章もあるにはあるが、ほとんどが予想の斜め上を行く展開。

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    2021年01月24日
  • シークレット~綾辻行人ミステリ対談集in京都~

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    ホスト役・綾辻行人さんの人望の厚さが窺い知れる、まさに十人十色の対談集。過去の雑誌連載をまとめたものだが、最後のボーナストラックは最新の“語り下ろし”。その相手、熱烈綾辻ファンを公言する辻村深月さんとのやり取りがとても和んだ。

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    2021年01月16日
  • コクーン

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    『ロスト・ケア』から派生した、行き場のない人々の姿が、こちらでも描かれているように思う。ロスト〜ではぎこちなかった文体や物語性は、強く確かな骨格を持って、鍛えられた鋼のようだ。
    余談だが、こちらを読んだ方は、ぜひ、中村文則『教団X』も読んで欲しい。

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    2020年12月25日
  • 政治的に正しい警察小説

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    葉真中顕さんにしては珍しい独立した短編集。どれもイヤミス全開。『秘密の海』..1番釈然としない。『神を殺した男』..1番読み物として面白い。『推定冤罪』..1番気持ち悪い。『リビング・ウィル』..1番どうでもいい。『カレーの女神様』..1番よく出来ている。『政治的に正しい警察小説』..1番ナンセンス。カッコウ女史は喪黒福造で脳内再生。お気に入りは『神を~』と『カレー』。ハマさんは長編の方が面白いと思うが、こういう切りのいい短編集も移動時間に読むのにちょうど良かった。

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    2020年11月07日
  • 夜更けのおつまみ

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    ブレイディみかこさんのイカのお話めっちゃわかる…透明じゃないとイカの刺身じゃない。
    下戸なのですがおつまみは好きなので楽しく読みました。
    簡単なレシピもちょいちょい書かれているのもいいです。森まゆみさんのと水生大海さんの…やってみよう。
    なとりの一度は食べていただきたいシリーズはほんと美味しいです。
    茜やさんは行ってみたいなぁ。。
    お酒呑める方が楽しそうだとつくづく思いました。

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    2020年08月23日
  • ブラック・ドッグ

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    おもしろかったんだけど、似たような感じの他の小説も思い出された。それともこの本既読だったのかなー?謎。

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    2020年08月04日
  • 政治的に正しい警察小説

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    ネタバレ

     2017年10月に文庫オリジナルで刊行されていた、葉真中顕さんの短編集である。『W県警の悲劇』ではブラックな作風が垣間見えたが、本作はそのものずばり、ブラックユーモアに特化した作品集となっている。

     「秘密の海」。虐待を受けて育った2人が結ばれ、子宝も授かった。ところが運命は酷だった…。テーマ的に重い描写は避けられないが、本作中唯一、温かい気持ちになる1編。虐待は連鎖するとよく聞く。どうか乗り越えてほしい。

     「神を殺した男」。史上最強棋士がライバルによって惨殺され、犯人もその場で命を絶った。その真相は…。あまりにも身勝手な理屈だが、彼なりに筋が通っているのか。羽生善治や藤井聡太は、選ばれし者なのは間違いない。

     「推定冤罪」。かつてのホラーバッシングを想起させる。エログロもまた表現の自由には違いないが、こういう無理筋な逮捕があってもおかしくはない気がする。社会派作品という側面はあるが、結末は予想の斜め上だったとさ。

     「リビング・ウィル」。自分も、寝たきりや脳死になったら、延命せずに尊厳死させてくれと思う。医師や家族の思惑が絡み合い、至った結論は…。いい話だと思わせておいて、何だこの結末は。なるべく健康で長生きしたいものである。

     「カレーの女神様」。母が失踪した経験を持つ青年。彼が偶然たどり着いたカレー店に入ってみると…。色々な意味で安直な、大変わかりやすいブラックユーモアとだけ書いておきましょう。一応伏線になっているのが何ともはや。

     最後の表題作「政治的に正しい警察小説」に、全部持っていかれた気がする。売れっ子作家がフリーの編集者に罵倒され続け、遂に至った境地とは…。もちろん差別はいけないが、この言葉に雁字搦めになるのも違うだろう。

     葉真中顕という作家の本質が、ますますわからなくなってきた。笑える面もないことはないが、ブラックユーモアは日本人にはハードルが高いかな。読者にとっても作者にとっても。

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    2020年07月31日
  • 政治的に正しい警察小説

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    表題の「政治的に正しい警察小説」は「小説家」というイメージが思い切り出てる。
    段々とのめり込み周りが見えなくなり執筆に没頭する。昔からの「これぞ小説家!」が世間から逸れ、落ちていく姿が描かれていると思います。
    全部で6話ありますが「カレーの女神様」が一番おもしろかった。読後気分悪くなるけど……(^^;

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    2020年07月14日