葉真中顕のレビュー一覧

  • 鼓動

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    面白かった。
    だが、それは主人公と同世代であることと、無関係ではないだろうと思う。
    『団塊ジュニア』と言われる私たちのほとんどが、実感できるのではないだろうか。
    たまたま、うまくいって、まともな社会人、としてやっていけている。
    でも…あやうさは常に感じさせられてきた世代。
    時事ニュースと絡めながら、うまく時代背景の匂いを感じさせられ、共感できました。

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    2025年12月03日
  • 家族

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    尼崎連続変死事件をモチーフにした小説。

    どんな話かはノンフィクションで読んでいたなーと思ってたら、そっちは北九州連続殺人事件の方だった。記憶は曖昧だけど、構造は似てる気がした。

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    2025年11月30日
  • 家族

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    2012年尼崎で発覚した角田美代子を主犯とする連続殺人事件、いわゆる「尼崎事件」を小説化したものだ。小説であっても事実に基づいて書かれたものなので、これが本当に起こったことなのかと、読むのも躊躇するほど悲惨な事件だ。角田と義妹、そして息子の3人は決して自ら手を汚さない。他人の家に入り込み、好き放題振る舞った挙句に自分の陣地に連れて帰り、監禁し、全財産を奪い、完全に支配下に置いて、「しつけ」と称し、お互いに殴り合いをさせる。子が親を、夫が妻を痛めつけ、最後には殺させてしまう。自分たちは家族だと謳っているので、逃亡者が警察に駆け込んでも「民事介入」はできないと追い返される。全て角田が思うように事が

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    2025年11月23日
  • 家族

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    家族の絆の恐ろしさ。絆とは本来、馬・犬・たか等をつなぎとめる綱。恐怖でつなぎ止められた家族。
    読んでいてぞっとした。

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    2025年11月22日
  • ロスト・ケア

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    これがデビュー作!?と思うほど文章が上手だと思った。
    犯人も「あんたかい!」と驚いたし、そこへ向かう話の持っていき方も不自然な感じがしなく良かった。
    以降の作品もぜひとも読みたいと思える作家だった。
    介護という重くなりがちなテーマで、ロスト・ケアもそういう方向の話にはしたかったのかもしれないが、あまり自分の心には響いてこなかった。そこが残念とまではいかないが、次作の絶叫には期待するところではある。
    なにはともあれ、良い作家だ。

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    2025年11月21日
  • ロング・アフタヌーン

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    「犬を飼う」という作中作から始まる『ロング・アフタヌーン』。
    そのSFチックで衝撃的な短編の秀逸さにまず掴まれます。わずか40ページほどの物語ですが、全編にシスターフッドの気配を孕み、“もっと読ませてほしい”と思わせる魅力がありました。

    そして、次の作中作「長い午後」は、数十年後、同じ作者により再び立ち上がる物語。
    作中作を組み込みという事は、現実と虚構の境目をわざと曖昧にし、気を抜くと、自分がどちらの世界にいるのか分からなくさせるということ。

    曖昧な登場人物、曖昧な記憶、曖昧なミステリー。その“揺らぎ”こそが本作の魅力であり、不穏な読後感をもたらすもの。

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    2025年11月20日
  • 鼓動

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    初めて読んだ作家さん。作品紹介だけ読むと、本もそこそこ分厚いし、どんなおどろおどろしい作品なのかと、覚悟して読み始めたのだが、児童文学作品も書かれてる作家さんだけあって、内容の割にはかなり読みやすかった。時代に沿って、実際に流行した文化や事件にも触れながら物語が進められており、退屈させないのが上手だなという印象で、中高生も読めそう。反対に結末まで救いのないドロドロ小説を期待されるのであれば、おすすめしません。笑

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    2025年11月19日
  • 家族

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    とにかくしんどい。一回中断したらまた読み始めるのに気が重すぎてやめたくなったくらい。でもいざ読み始めたら一気読みしてしまった。しかし、とにかくしんどい…

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    2025年11月18日
  • 家族

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    14年前、当時ニュースでよく目にした主犯と見られる女のことは今でも覚えている。全容解明がなされないまま終わったあの衝撃的な事件について、社会的弱者の生き様を描き出すことが得意な葉真中さんなりの〝解釈〟が繰り広げられるフィクション。実際の事件を知るだけに読み進めるのが辛く、ラストもそこに救いを求めるしかないのか…と暗澹たる気持ちになる。簡単に乗っ取られてしまう「家族」というものの不確実性、優しさと表裏一体の残酷さに慄き、「民事不介入」という言葉の冷たさを改めて思い知らされた。

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    2025年11月18日
  • 家族

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    2011年に表面化した尼崎連続変死事件をモチーフにしたファクションであるが、事件を想起させる。

    この事件を知ったときは衝撃を受け、現実なこととして受けとめるのは無理だと思った。

    八王子を舞台にし、ピンクババアこと夜戸瑠璃子が関わる人に喰いつき、その家族をぼろぼろにして財産を奪い気にいらない奴に制裁を下す。

    逃げても追い、痛めつけては服従させての繰り返しで、幾つの家族を悲惨な目にしてきたのだろう。
    人物相関図を見ても、最早どういう繋がりで家族としてきたのだろうかがわからない。
    もしかすると亡くなった人はもっといるのかもしれないが、瑠璃子が死んだことにより何もわからない。
    「民事不介入」を盾

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    2025年11月17日
  • 絶叫

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    ネタバレ

    鼓動に続いて読んでみた。最後に実は、という形である意味心に残らない一本調子で流し読みもできる小説だけど、懸命に暮らすも墜ちていく主人公の人生とそれを負う女性刑事の図式は鼓動にも似て、しっかり最後まで読ませる筆力がある作品だった。生保の枕は知ってたけど自爆という言葉は知らず勉強になった。共済との関係とかも。この時代の金融商品営業の闇は深い。この2冊で葉真中さんのは卒業でもいいかな。

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    2025年11月14日
  • もの語る一手

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    将棋にまつわるアンソロジーとは知らず、青山美智子さんの名前を見つけ早速読んでみると1話目からジーンと来る。将棋が全くわからなくても一話一話引き込まれていく。もし将棋に詳しかったらもっとワクワクできるのかもしれない。
    実は貴志祐介さんのお話のオチが良くわからなくて解説が欲しかったが、ちょっと探しただけでは見つからなかった。
    「お前レベルの話はしていない」は大島版のみなので、芝版もあとで読んでみたい。

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    2025年11月13日
  • 家族

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    読み終えて、疲れたの一言かな。
    尼崎連続変死事件がモデルとなっている小説で、
    "家族"を盾に虐待、軟禁、殺人…あらゆる犯罪のオンパレードで救いもない。
    家族という泥沼に引き込まれていくストーリー。

    主犯と思われるピンクババアこと夜戸瑠璃子は獄中自殺をしたけど、義理妹の朱鷺子のが裏で操っている感じがして怖い気がした。また、なぞの男(あばた面の男)も行方不明で生きているし、別の新たな"家族"が形成されていきそうな終わりかただった。


    家族は聖域。
    警察も民事不介入。
    愛による支配こそが家族の本質。

    ピンクババア、ラスボス…
    夜戸瑠璃子のイメージがラスボ

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    2025年11月12日
  • 家族

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    恐ろしい
    でも何度かこの様な事が起きていることはニュースになる

    私たちの想像を絶することはこうして起きていっているのかも知れない…

    とにかく恐ろしいです、家族とはなんなのだろう
    家族なのに、家族だから?

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    2025年11月04日
  • 家族

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    実際に起きた大量変死事件をモチーフにした小説。
    この事件は発覚当時、かなり世間に衝撃を与えていた記憶がある。
    悍ましく、胸糞悪い展開が続くが、一気に読み進めさせてしまう著者の力量には脱帽する。
    洗脳の恐ろしさと暴力による恐怖は刷り込まれること、当事者になると正常な判断力を失うことが描かれている。読んでいて恐怖を感じる場面が多々あった。邪悪な人間はおそらく更生しないし、私たちは邪悪な人間を許してはならない。
    当時の警察の民事不介入の程度もひどいものである。

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    2025年11月03日
  • 灼熱(新潮文庫)

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    戦前のブラジル棄民政策の影響を受けて、敗戦後に日本が勝ったか負けたか、どちらを信じるかで2つに分かれる日本人社会。憎しみと詐欺が親友2人の人生を変えていく。

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    2025年11月01日
  • そして、海の泡になる

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    尾上縫を題材にしている/ 関係者へのインタビュー、回想という建て付けだが、喋り手が老人なのに会話が若すぎる/ 老人を書ききれていない/ みな同じ年代に見えてしまうのだ/

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    2025年10月26日
  • 絶叫

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    ネタバレ

    マンションで孤独死した女の謎を追う女刑事と、その女の転落人生とでもいうべき生い立ちが交差し、やがて一つの大きな事件へと繋がっていく。リーダビリティは非常に高く、一気に読み切ってしまった。ジャンルとしてはイヤミスながら社会派ミステリの要素も盛り込んでおり、陽子の人生に襲いくる悲劇は毒親に始まり、既婚者との不倫、夫の浮気、保険金の枕営業、風俗とテンプレートな現代社会の闇という感じでありながら、実話系雑誌にありがちなテンプレだけに想像もしやすく、結末が孤独死と分かっているからこそ一見救済に見えた事柄でも一皮捲れば現実はそう甘くないことを読者に突きつけてくる。転じてそれは社会情勢の変化の中で、結婚を選

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    2025年10月24日
  • 絶叫

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    孤独死体で発見された鈴木陽子の人生と、NPO法人の代表の殺人事件を描いたミステリー。

    平凡な家庭に生まれたはずが、父親の失踪から始まり、暗い闇の方へ落ちていく様に、どこで選択を間違えてしまったんだろう?と考えてしまう。

    陽子の事件を調べる刑事綾乃も、離婚して復職したが、ひとたび間違えば陽子のようになっていたのだろうか?
    綾乃のように強い意志があれば、陽子は幸せになれたんだろうか?

    一度落ちてしまうと、そこから抜け出すのは難しい。
    それなのに、自分が落ちる時に巻き込んでいく人や、強奪していく人はたくさんいる。
    世の中の仕組みを知って賢く立ち回らないと、搾取され続けてしまうだろう。

    文庫本

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    2025年10月22日
  • 警官の道

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    警官をテーマに、七人の作家が競演する書き下ろし警察短編集

    「上級国民」葉真中顕
    葉真中さんらしい、人間の陰をえぐる短編。
    現代社会の問題を踏まえながら、「下級国民」の強かでしなやかな生息を描きます。

    「許されざる者」中山七里
    刑事犬養隼人シリーズのスピンオフ的短編。
    コロナ禍の東京オリンピックを背景に、不祥事の数々を折り込みます。

    「Vに捧げる行進」呉勝浩
    あのコロナ禍当初の、息苦しい近隣・職場・日本、そして世界。
    「死を捨て街に出る」その衝動を描きます。

    「クローゼット」深町秋生
    性的嗜好を隠して生きる“クローゼット”。
    レイプ事件の被害者と加害者、それぞれの告白を前に、刑事は自らの

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    2025年10月21日