葉真中顕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
『将棋は決断のゲームである…決断をテーマに書かれた一挙8編の短編集』という紹介文に惹かれて読みました。
将棋は子供の頃に親に教えてもらって2、3度指したことがある程度でほぼルールも難しいことも分からない状態で読みました。分かってた方が面白いんだろうなぁと思う物語もありましたが、全体的に、話の筋に関わる程度に上手に解説が挟まっていて、あまり調べたりせずに理解でき、読み進めることが出来ました。
強く印象に残ったのは、葉真中顕さんの『マルチンゲールの罠』、白井智之さんの『誰も読めない』でした。
『マルチンゲールの罠』は、最後の最後で、見えている世界がグルンとひっくり返るような感覚がお見事で、読み終わった瞬間、ほわ〜!と感嘆の声が出て、脱力するほどでした。
『誰も読めない』は、読み始めは方言になれなくて、読むスピードと意味を汲み取るスピードが合わずに少し苦労しましたが、途中から気にならなくなるほど引き込まれてドキドキしました。最後は、良かった〜!と安堵。クライマックスへの引き込まれ方が凄かったです。
決断がテーマ、という意味では、青山美智子さんの『授かり物』が、あまり将棋慣れしていない私には一番親しみやすく、また、決断に対しての心の流れに共感して最後は少しウルウルしました。
全体を通して、将棋の世界の厳しさと奥深さにも触れられて、とても興味深く感じた短編集でした。 -
Posted by ブクログ
インタビュー形式で書かれた本で読むのが少し難しかったですが、今を生きる人に何かを訴えかけてくる作品でした。
私がこの本を読んで感じたのは盲信することの怖さです。登場人物の殆どが何かに盲信的になっていて、そしてその先には必ず終わりが来ている。
小さな物を信じたら不安定で早めに終わりがきて、大きな物を信じ途中までは煌びやかだけどいつかは終わりそしてそのことは幸せとは言えない。この事から結局幸せとはどんな状態の事を言うのか考えさせられました。
私は幸せは他者や外部からではなく内面から見出し自己完結できるものではないのかなとこの作品を読んで改めて思いました。 -
Posted by ブクログ
それなりに売れている作家さんの、業界で生き延びる知恵。
三人の著者なのだが、各々がそれぞれの十のテーマについて書いていて、対談みたいになっているのは最後の章だけだった。
業界の裏っぽいところとか、死ぬほどサバイバルな荒野で、新人賞取ったって、ライバルがアマチュアからプロになるだけで、ほぼ絶滅していくとか、この世界で生きていきたい人にも、単に小説が好きな人たちにも、面白く読めると思う。
が。
どなたかも書かれていたが、結局生き残っている人たちの「生存者のバイアス」からは逃れられない。
生き残っている人たちが自分たちの体験を振り返っても、その何がポイントだったのか、生き残れなかった人たちと何が違ったのか、全然わかんないのだ。
思い込み以外には。
ギャブルの必勝法を語るギャンブラーみたいな感じもしたな。
三人が三様、違うタイプを持って来て、それぞれ言ってることが違ってそこも面白いのだが、共通してるのは。
兎に角沢山書け。
心折るな。
早く自分のスタイルを見つけろ。
それだけだ。あと、思い上がるな、かな。
昔は漫画家になりたい人向けにこういう本いっぱいあったな。
今はむしろ漫画家になる方が簡単かもしれない。発表の場が増えたし、普通に、上手い人が増えた。漫画は、まず絵が描けないと漫画家になろうとも思わないだろうが、「文章」だけなら、日本人なら取り敢えず誰でも書けるのが違いかなと思う。それで、漫画と違って、読む方にも「読解力」がそれなりに必要だし。
まあ色々感心したりそうかなあと思ったりしながら読んだが、絶対に間違ってるのは、当選の確率を上げるのは、宝くじをたくさん買うこと、って言ったとこだな。
確率はあがんない。買えば買うほど、損をする確率が上がる。
要は、平均を狙いたいのか、大きく当てたいのか。大きく当てたければ、大損する確率も上がる。コツコツやれば大損しないが、絶対勝てない。
小説家としても、小説を書きたいのか、商業ベースで食って行きたいのか、超ベストセラー当てたいのかで、戦略も変わるのだろうが、例え悪すぎ。
基本的には、デビュー直後の作家さん向けの内容なのだが、この業界ってどれだけ才能があろうが、いい作品が出ようが、購入者の資金が限られていると考えれば、一定以上パイは広がらないんではないか。
業界が萎縮すると食えなくなるが、自分たちの足元脅かされても食えなくなるのはないかね。
新人は生かさず殺さず。
そんな本だと考えれば、怖い。
編集者と出版社と読者は、新しい才能がどんどん出て来てほしいところだろうが、作家自身は微妙だなあ。
もっとも1番の大問題は、この三人の作家さんの誰一人も知らないし、どの作品も知らないし、挙げられてる大家先生の誰も面白いと思わないことかもしれない。 -
Posted by ブクログ
葉真中顕『そして、海の泡になる』朝日文庫。
バブル時代に北浜の天才相場師と言われていた稀代の詐欺師、尾上縫をモデルにした作品。
実在の人物をモデルにミステリーの味付けをしながら、あの狂乱のバブル期を頂点に華々しく生きながら、やがて崩壊していく人生にあがらうことの出来なかった天才女詐欺師の朝比奈ハル。誰が朝比奈ハルを陰で支えながらその望みを叶えていたのか。この物語の語り手である『私』の正体は何者なのか。
登場人物たちの証言から断片的な情報をつなぎ合わせて、朝比奈ハルの人物像を創り上げるのは読者に任されているようだ。しかし、それにも限界があり、もう少し朝比奈ハルの詐欺師としての手腕や手を染めた犯罪をつぶさに描いてくれた方が面白かっのではと思う。
バブル絶頂期の1990年、個人として史上最高額4,300億円もの負債を抱え自己破産した北浜の魔女と呼ばれた朝比奈ハル。平成が終わる年に朝比奈ハルはひっそりと獄死する。彼女のことを小説に書こうと決めた物語の語り手である『私』は朝比奈ハルの関係者に聴き取りを始める。
朝比奈ハルと獄中で知り合った宇佐原陽菜、ハルの幼馴染の植芝甚平、かつてハルと働いた高田峰子、ハルの隠し子と言われる瀬川益臣、その他、進藤紫、河内靖、名村敏哉らが朝比奈ハルの人生を語る。
本体価格760円
★★★