葉真中顕のレビュー一覧
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ネタバレマンションで孤独死した女の謎を追う女刑事と、その女の転落人生とでもいうべき生い立ちが交差し、やがて一つの大きな事件へと繋がっていく。リーダビリティは非常に高く、一気に読み切ってしまった。ジャンルとしてはイヤミスながら社会派ミステリの要素も盛り込んでおり、陽子の人生に襲いくる悲劇は毒親に始まり、既婚者との不倫、夫の浮気、保険金の枕営業、風俗とテンプレートな現代社会の闇という感じでありながら、実話系雑誌にありがちなテンプレだけに想像もしやすく、結末が孤独死と分かっているからこそ一見救済に見えた事柄でも一皮捲れば現実はそう甘くないことを読者に突きつけてくる。転じてそれは社会情勢の変化の中で、結婚を選
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孤独死体で発見された鈴木陽子の人生と、NPO法人の代表の殺人事件を描いたミステリー。
平凡な家庭に生まれたはずが、父親の失踪から始まり、暗い闇の方へ落ちていく様に、どこで選択を間違えてしまったんだろう?と考えてしまう。
陽子の事件を調べる刑事綾乃も、離婚して復職したが、ひとたび間違えば陽子のようになっていたのだろうか?
綾乃のように強い意志があれば、陽子は幸せになれたんだろうか?
一度落ちてしまうと、そこから抜け出すのは難しい。
それなのに、自分が落ちる時に巻き込んでいく人や、強奪していく人はたくさんいる。
世の中の仕組みを知って賢く立ち回らないと、搾取され続けてしまうだろう。
文庫本 -
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警官をテーマに、七人の作家が競演する書き下ろし警察短編集
「上級国民」葉真中顕
葉真中さんらしい、人間の陰をえぐる短編。
現代社会の問題を踏まえながら、「下級国民」の強かでしなやかな生息を描きます。
「許されざる者」中山七里
刑事犬養隼人シリーズのスピンオフ的短編。
コロナ禍の東京オリンピックを背景に、不祥事の数々を折り込みます。
「Vに捧げる行進」呉勝浩
あのコロナ禍当初の、息苦しい近隣・職場・日本、そして世界。
「死を捨て街に出る」その衝動を描きます。
「クローゼット」深町秋生
性的嗜好を隠して生きる“クローゼット”。
レイプ事件の被害者と加害者、それぞれの告白を前に、刑事は自らの -
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生きるってなんだろう、死ぬってなんだろう。
どう生きて、どう死んでいくのか、
周囲はどうケアして、どう受け止めていくのか。
正義って、なんだろう。正しさは、正義?
綺麗事じゃ語れない、介護の現場。
すごく深くて、難しかったけど、
この答えは今出すべきじゃなくって、
生きていく中で探していくんだろうなと思った。
「求めなさい。そうすれば、与えられる。探しなさい。そうすれば、見つかる。
門をたたきなさい。そうすれば、開かれる。
だれでも、求める者は受け、探す者は見つけ、門をたたく者には開かれる。
あなたがたのだれが、パンを欲しがる自分の子供に、石を与えるだろうか。
魚を欲しがるのに、蛇 -
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『将棋は決断のゲームである…決断をテーマに書かれた一挙8編の短編集』という紹介文に惹かれて読みました。
将棋は子供の頃に親に教えてもらって2、3度指したことがある程度でほぼルールも難しいことも分からない状態で読みました。分かってた方が面白いんだろうなぁと思う物語もありましたが、全体的に、話の筋に関わる程度に上手に解説が挟まっていて、あまり調べたりせずに理解でき、読み進めることが出来ました。
強く印象に残ったのは、葉真中顕さんの『マルチンゲールの罠』、白井智之さんの『誰も読めない』でした。
『マルチンゲールの罠』は、最後の最後で、見えている世界がグルンとひっくり返るような感覚がお見事で、読み終