葉真中顕のレビュー一覧

  • コクーン
    ある新興宗教団体が銀座で銃乱射事件を起こす。乱射事件で息子が犠牲になった母親、教祖の幼なじみ、事件の加害者など、その集団や教祖に関わりのある人たちが事件とは関係ない部分を語ることで事件の根本をあぶり出す。

    オウム事件を元にしているのは明らか。でも事件に焦点当てているわけではなく、それに直接的、間接...続きを読む
  • コクーン
    これまで読んできた葉真中作品とはかなり異なる癖玉だ。とある新興宗教が起こしたテロ、その被害者と加害者、教祖とその母親などが、黄金の翅をもつ蝶によって繋がれていく。キーワードは“バタフライ・エフェクト”。一見、無関係に見える人や出来事が絡み合い作られる世界はパラレル・ワールドだ。かなり実験的な作品で、...続きを読む
  • ブラック・ドッグ
    遺伝子操作で作られた巨大な犬が、人間と動物の間に種の差別をするなという主張のテロ組織に封鎖されたスタジアム内で人を殺しまくる。
    主人公?とか主要メンバーが、どんどん、あっさり死んでいく、こいつは最後まで生き残るだろうっていうのがすべて裏切られるなかなかないパターン。そして最後はテロ組織のリーダーがま...続きを読む
  • 政治的に正しい警察小説
    児童虐待、将棋、冤罪、尊厳死、お袋の味、言葉狩りと、多彩なテーマの六編を収録するブラックユーモア・ミステリー集。
    ほどよい加減の毒がクセになりそうな短編集。特に表題作は破綻寸前のヤバい作品だが、筒井康隆の名作『残像に口紅を』を彷彿させる問題作。
  • 夜更けのおつまみ
    お酒もおつまみも、好みがそれぞれなのが面白い。
    酒ではなくつまみがテーマなのに、つまみを美味しく食べるために飲むのではなく、酒を美味しく飲むために食べているのですよ!と開き直っている執筆者がチラホラ混じっているのが微笑ましくてよい。
    オイルサーディンは美味しい。
  • 政治的に正しい警察小説
    ⑧児童虐待、将棋、冤罪、尊厳死など、多彩なテーマ六篇を収録するブラックユーモア・ミステリー集。
    「カレーの女神様」そして「リビング・ウィル」、表題も良かった。小松左京風かな。
  • コクーン
    長編作品と思いきや連作短編集。題材は新興宗教に東日本大震災。解説にもある通り、確かに著者の集大成的なイメージはある。描かれるのは図らずも宗教団体に巻き込まれた家族たちのその後。重苦しい題材だが、短編に落とし込まれている為、割と読み易く仕上がっている。その反面、シンラの会は紋切り型のカルト教団に収まっ...続きを読む
  • 政治的に正しい警察小説
    シリアスな長編とはひと味異なる短編集。テーマは様々で、いずれも筒井康隆風のブラックジョークが楽しめます。大御所に比べるとまだまだ毒は足りないですが…。
  • コクーン
    オウム事件を下敷きにしながら並行世界を描いた、連作短編集のような異色ミステリー。戦中〜現在までの世相を絡めながら、バタフライ・エフェクトで話が繋がっていく。巻末(単行本ではカバー裏?)の衝撃的なオマケ「コクーン 2016」が作者らしいサービス。本編中でも、ある主要人物の来歴が……。他にも気付いてい...続きを読む
  • コクーン
    カルト教団のテロってことで阿鼻叫喚が展開されると思いきや、その周辺のお話。生々しい地獄ではなく緩やかにじわじわ染み込む地獄。
  • コクーン
    読み応えはあるのに、なぜかとてもモヤモヤします。

    新興宗教団体によるテロ事件に何らかの形で関わりのある登場人物の昔と今、ふたつの時代。モヤモヤの原因はおそらく最終章。事件を起こした教祖の母親がわが子を出産したことを悔やみつつ、自分がこの子を産まなかった場合、わが子の上を行く外道が出てきてさらなる大...続きを読む
  • コクーン
    葉真中顕、これまでの作品すごく好き。いつも社会問題を扱って、倫理とは問うてくる感じが好き。さらに、だいたい物語の後半でどんでん返しがあって「あああ、あなただったの〜」って展開が快感だったんだけど、この作品ではどんでん返しはなかったというか、弱かったというか。私が期待しすぎたのか。
    この作品は今までの...続きを読む
  • コクーン
    なかなか面白かった。ただ、登場人物が多く、最後につながるんだろうなと思いつつ、名前と状況を憶えるのが大変だった。私がうといのか?
  • 政治的に正しい警察小説
    長編に対して、かなりコミカルな短編集で少し意外。
    何も書かないことが一番のポリティカルコレクトネスとは。
    「神を殺した男」と「リビングウィル」が面白かった。動けないけど意識のみあるという状況で尊厳死ってつらいだろうなー。
  • ブラック・ドッグ
    昨今飽和状態な動物パニック漫画のような筋書きに一抹の不安を抱いたものの、650という頁数を一気に読ませるだけの筆力は健在。しかし「ロスト・ケア」や「絶叫」の満足度には到底及ばなかった。前二作が現代の社会問題を自分なりに考えさせられたのに対し、本作は所謂パニック作品の規定フォーマットの域を出ていないよ...続きを読む
  • 政治的に正しい警察小説
    裏表紙のあらすじに興味を惹かれ購入。収録順序は必ずしも発表順ではなく、巻末へ向かうに従いブラックなエピソードになっていくのは意図的?作品毎にテーマが盛り込まれ、それが上手に消化されており圧巻。まさか、表題作が一番エキセントリックだとは…。
  • 政治的に正しい警察小説
    ストーリーテラーなのは間違いないと思うのだ。当初の印象とは裏腹に、思わぬ方向へ進み出す展開はとても魅力的だ。
    ただ、その内容と表現が少々エキセントリックに感じてしまう。何もそこまで、、、、と思ってしまうところがしばしば。
    6つの短編で構成された本作品。「推定免罪」「神を殺した男」はとても好き。「リビ...続きを読む
  • 政治的に正しい警察小説
    「ロスト・ケア」「絶叫」と衝撃的な社会派作品を描いた作家さんの書き下ろし「ブラック・ユーモア」短編集。
    何の情報もなく、タイトルだけで手に取ったので、警察小説だと思い込んでいたが、警察が出てくる気配は全くない。そしてタイトルに使われた「政治的に正しい警察小説」にも警察は出て来ない…完全に自分の勘違い...続きを読む
  • 政治的に正しい警察小説
    著者あとがきがないので何とも言えないが、筒井康隆にインスパイアされたような短編集だ。「秘密の海」での児童虐待でブラックな雰囲気を感じた。「リビング・ウイル」は筒井作品「生きている脳」を彷彿とさせ、そのあとの表題作を含む短編2作は正常から狂気へと進む様が懐かしさを感じる。
  • 政治的に正しい警察小説
    介護現場から、現代の喫緊の問題を投げかけた『ロスト・ケア』を著した著者の、その作品とは異なるブラックユーモア・ミステリー集。
    どんな警察小説かと、思わず手に取ってしまう表題作の『政治的に正しい警察小説』。パワフルでエキセントリックなこの短編は、まるで筒井康隆の世界。警察小説を期待したファンは、見事に...続きを読む