葉真中顕のレビュー一覧
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ネタバレ「絶叫」に続いて葉真中顕さん作、2冊目。
今まさに自分が抱えている問題でもあるので
読みながら共感する部分が多かった。
共感…かな?
ちょっと違うか。
複雑な気持ちが渦巻き、苦しい読書だった。
主人公の男は検察官でクリスチャン。
対する犯人は介護の仕事に携わる者。
そしてその介護を受けている人たちの家族が描かれる。
読んでいるうちに、正しいと思えていたことが
ほんとに正しいことなのか疑問に感じ始める。
主人公にもその思いが芽生え、苦しむ。
犯人の犯した罪はもちろん許されるべきことではないとわかりつつも、その気持ちが揺らぐ自分がいた。
介護する者、される者、
介護ビジネスと呼ばれる世界や -
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Posted by ブクログ
『将棋は決断のゲームである…決断をテーマに書かれた一挙8編の短編集』という紹介文に惹かれて読みました。
将棋は子供の頃に親に教えてもらって2、3度指したことがある程度でほぼルールも難しいことも分からない状態で読みました。分かってた方が面白いんだろうなぁと思う物語もありましたが、全体的に、話の筋に関わる程度に上手に解説が挟まっていて、あまり調べたりせずに理解でき、読み進めることが出来ました。
強く印象に残ったのは、葉真中顕さんの『マルチンゲールの罠』、白井智之さんの『誰も読めない』でした。
『マルチンゲールの罠』は、最後の最後で、見えている世界がグルンとひっくり返るような感覚がお見事で、読み終 -
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インタビュー形式で書かれた本で読むのが少し難しかったですが、今を生きる人に何かを訴えかけてくる作品でした。
私がこの本を読んで感じたのは盲信することの怖さです。登場人物の殆どが何かに盲信的になっていて、そしてその先には必ず終わりが来ている。
小さな物を信じたら不安定で早めに終わりがきて、大きな物を信じ途中までは煌びやかだけどいつかは終わりそしてそのことは幸せとは言えない。この事から結局幸せとはどんな状態の事を言うのか考えさせられました。
私は幸せは他者や外部からではなく内面から見出し自己完結できるものではないのかなとこの作品を読んで改めて思いました。 -
Posted by ブクログ
それなりに売れている作家さんの、業界で生き延びる知恵。
三人の著者なのだが、各々がそれぞれの十のテーマについて書いていて、対談みたいになっているのは最後の章だけだった。
業界の裏っぽいところとか、死ぬほどサバイバルな荒野で、新人賞取ったって、ライバルがアマチュアからプロになるだけで、ほぼ絶滅していくとか、この世界で生きていきたい人にも、単に小説が好きな人たちにも、面白く読めると思う。
が。
どなたかも書かれていたが、結局生き残っている人たちの「生存者のバイアス」からは逃れられない。
生き残っている人たちが自分たちの体験を振り返っても、その何がポイントだったのか、生き残れなかった人たちと何 -
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葉真中顕『そして、海の泡になる』朝日文庫。
バブル時代に北浜の天才相場師と言われていた稀代の詐欺師、尾上縫をモデルにした作品。
実在の人物をモデルにミステリーの味付けをしながら、あの狂乱のバブル期を頂点に華々しく生きながら、やがて崩壊していく人生にあがらうことの出来なかった天才女詐欺師の朝比奈ハル。誰が朝比奈ハルを陰で支えながらその望みを叶えていたのか。この物語の語り手である『私』の正体は何者なのか。
登場人物たちの証言から断片的な情報をつなぎ合わせて、朝比奈ハルの人物像を創り上げるのは読者に任されているようだ。しかし、それにも限界があり、もう少し朝比奈ハルの詐欺師としての手腕や手を染め