葉真中顕のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
「犬を飼う」という作中作から始まる『ロング・アフタヌーン』。
そのSFチックで衝撃的な短編の秀逸さにまず掴まれます。わずか40ページほどの物語ですが、全編にシスターフッドの気配を孕み、“もっと読ませてほしい”と思わせる魅力がありました。
そして、次の作中作「長い午後」は、数十年後、同じ作者により再び立ち上がる物語。
作中作を組み込みという事は、現実と虚構の境目をわざと曖昧にし、気を抜くと、自分がどちらの世界にいるのか分からなくさせるということ。
曖昧な登場人物、曖昧な記憶、曖昧なミステリー。その“揺らぎ”こそが本作の魅力であり、不穏な読後感をもたらすもの。 -
Posted by ブクログ
警官をテーマに、七人の作家が競演する書き下ろし警察短編集
「上級国民」葉真中顕
葉真中さんらしい、人間の陰をえぐる短編。
現代社会の問題を踏まえながら、「下級国民」の強かでしなやかな生息を描きます。
「許されざる者」中山七里
刑事犬養隼人シリーズのスピンオフ的短編。
コロナ禍の東京オリンピックを背景に、不祥事の数々を折り込みます。
「Vに捧げる行進」呉勝浩
あのコロナ禍当初の、息苦しい近隣・職場・日本、そして世界。
「死を捨て街に出る」その衝動を描きます。
「クローゼット」深町秋生
性的嗜好を隠して生きる“クローゼット”。
レイプ事件の被害者と加害者、それぞれの告白を前に、刑事は自らのクローゼットを開ける。
ちょっと良いです。
「見えない刃」下村敦史
セカンドレイプという“見えない刃”。
いまやSNSを通して可視化されることも多い。
罪を犯す者が悪い―その単純な正義の奥に、
視線を向ける側の“無自覚な責任”を要求。
「シスター・レイ」長浦京
フランスから訳あり離婚で帰国した玲。なぜ彼女は「シスター・レイ」と呼ばれるようになったのか『プリンシパル』を想起させる、心身ともに強い女性が魅せる、痛快な成敗劇。
「聖」 柚月裕子
母子家庭の定時高校生の少年は、父を憎んでいる。彼の報復の方法は、ひとりの警官との出会いによって変化していく。
アンソロジーも悪くないです。
書き下ろしですよ(๑˃̵ᴗ˂̵)