あらすじ
ホームレスの老女が殺され燃やされた。犯人草鹿秀郎はもう18年も引きこもった生活を送っていた。彼は父親も刺し殺したと自供する。長年引きこもった果てに残酷な方法で二人を殺した男の人生にいったい何があったのか。事件を追う刑事、奥貫綾乃は、殺された老女に自分の未来を重ねる。私もこんなふうに死ぬのかもしれない――。刑事と犯人、二つの孤独な魂が交錯する。困難な時代に生の意味を問う、感動の社会派ミステリー。
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Posted by ブクログ
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鼓動。
生きているって確かめたかったんだ。
主人公と性別も年代も環境も状況も違うけど、
自分と重ね合わせずにはいられなかった。
孤独だよね。
人は常に誰かに承認されたいんだよね。
この世界の全部がそう言っているように感じでしまうことがあるから、
こんなにも読み終わった後悲しくて心揺れる本に出会えてよかった。
自分らしさ、男らしさ、女らしさ、そんなものがなくてもただ生きているだけでいいんだと思える。
辛くてもどんなに孤独でも生きていようね。
Posted by ブクログ
秀郎の幼い頃から引きこもり、事件に至るまでが読んでいてとにかく段々苦しくなった。反面、刑事の事件解決の経過に次が気になりドキドキの展開だった。読後は題名の鼓動に納得でした。
Posted by ブクログ
私も秀郎と同世代なので、そうそうこんな事あったよと頷きながら読んだ。安心して引きこもっていられるようになったらいいのに、と私も思う。あるドラマで言っていた「個人的なことは政治的なこと」を思い出した。ベーシックインカムの到来はまだかなぁ。私たちには間に合いそうにないな
Posted by ブクログ
実に重いテーマを扱った作品だった。
誰からも承認される事なく、年齢を重ねてしまった引きこもりの子供と、その引きこもりの親、育児放棄してしまう親、閉塞感だらけの生き難さに引きこもりで抗う子供たち。
焼死体で見つかった老婆の事件から、子育てを放棄してしまった女性刑事が老婆の過去を追う。
盛り沢山の難しい案件を見事に結末に導き、希望を暗示させるように物語を締め括る。
大きく深い余韻を残してくれて読み応えのある小説だった。
面白かった。
Posted by ブクログ
48歳、無職、独身、恋愛経験なし、ずっと引きこもり
明日は今日よりも豊かになる
ユーラシア大陸の東の端からぽとりとこぼれた水滴のような、この日本という島国では、だれもがそう信じることのできた事態が長く続いた
僕が生まれたのは、そのさなか、1974年6月30
日のことだった
やっぱ好きな作者だわ
同世代として時代の雰囲気がよくわかる
構成、ストーリー、最後の伏線回収まで素晴らしい
Posted by ブクログ
おもしろかったー。社会派ミステリーって読むまでに気合いが必要だけど、読むとおもしろいんだよね。
その時代の出来事も添えながらストーリーが進行していくから、当時を感じながら読めたのが良かった。
しかも油断して読んでいたら、真犯人がまさかの人で!!
真犯人の気持ちと、草鹿秀郎の父の気持ちが一番共感できたな。
好きな登場人物は梅田とマリエル。
それにしても引きこもりね。
実際どうなんだろう。甘えだよと言い切るつもりはないけど、引きこもれる環境があるからできることだっていうのは事実よね。
学生時代であれ、社会人になってからでも、傷ついても困っても引きこもる場のない人だっているし。
草鹿秀郎の場合なんて、あんなに包み込んで見守ってくれる両親がいるのに、承認欲求が満たされないなんて高望みじゃないかと思う。
男らしさレースでも自分らしさレースの塔でも、別にトップじゃなくたっていいのにね。
しかも、結局いろんな罪を重ねて余計人生ハードモードになりそうだけど大丈夫なんだろうか?
Posted by ブクログ
久しぶりの葉真中さんでしたが今回もやられました。現代社会の様々な問題に翻弄される人間の弱さ、素晴らしい深みです。生まれた年代が少し違っていたら、承認されるタイミングが少しずれていたら、私も同じような状況に陥っていただろうと思いながら読みました。犯人逮捕から始まる前半は、被害者の高齢女性ホームレスの身元調べと引きこもり中年男の独り言の地味な進行。相方の一昔前の中年オヤジが多少のアクセントではありましたが、退屈感が無きにしも非ずといった感じでした。ところが終盤になり次第に核心部に入ってくると一転、伏線が次々に回収されるなか登場人物それぞれの気持ちに入り込まされてしまいました。最後、希望の持てる終わり方に救われました。
Posted by ブクログ
物語はフィクションだけど
物語の中で出てくるニュースやできごとは実際に起こったものが引用されているのでリアリティがある
バブル経済の終焉から、インターネットの発展
時代の摩擦によって生じたひきこもりという存在
親殺し、ネグレクト、機能不全家族、無敵の人
テーマが重いけど最後まで読めば得るものはあると思う
Posted by ブクログ
犯人の草鹿と私は同年の生まれで、かつ境遇も似ていると感じ、他人事ではない感情で読み進めた。
彼と私は何処が違ったのだろう。一歩ズレれば、私も近しい状態になっていたかもしれない。
私は今、生かされてるのだろう。
Posted by ブクログ
読み終えてから、他の人のレビューを読んで知った。
『絶叫』『Blue』に続く、女性刑事 奥貫綾乃シリーズの三作目!
ぜんぜん気が付かずに読んでた。そうか、あの刑事なんだ。あんまり刑事について覚えてないけど。
ホームレスのフラワーさんと父親殺しで逮捕された引きこもりの中年男性。
事件を捜査する奥貫綾乃。2人の語り口で交互に進んでいく形式。
時代がねぇ、団塊ジュニア、第二次ベビーブーム世代のいわゆる就職氷河期時代の世代。
ふつうに面白く読んだけれど、絶叫のほうが衝撃だったな。
Posted by ブクログ
いわゆる就職氷河期世代の引きこもりの男が犯人とされる殺人事件の話。引きこもりになってしまった彼の視点と、刑事の視点で展開される社会派ミステリー。
ロスト・ケアで葉真中顕の小説に出会ってから約11年の歳月が流れた。当時、小説内にあった“絆は絆し(ほだし)”という言葉がすごく心に残っている。煩わしくても、呪いでも、それでも人は誰かとつながなければ生きていけない、ならばせめて愛する人とつないで、生きていこう。という。
本作でも、いい意味で変わらないメッセージがあった。
“生きる”ただそれだけのことが辛い人がいて、社会問題に発展するほど沢山いるんだろうなと感じるし、その苦しさの描写もとても丁寧。
寂しくて重い話なのに読後感が悪くないところは、“それでも生きよう”をテーマにして希望を残しているからなのかな。
“らしさ”を大切にする時代になってから、どのぐらい経つのか。今は過渡期だと思うけれど、そのうち大きな反動が起こりそうだし、もう起こってるのかもしれないけど…。
とても時代を切り取ることが上手い作家さんだと思うので、また年月を経て読み返すと、自身の環境も変わって感じるものが違いそう。また読みたい。
Posted by ブクログ
『絶叫』『Blue』に続く刑事、奥貫綾乃シリーズの3作目。まんまと葉真中顕氏の術中に嵌った。
ホームレスの老女が殺され燃やされる事件が起きる。犯人の草鹿秀郎は48歳の引きこもりで、父親も自分が刺し殺したと自供するが…。
「明日は今日よりも豊かになる」
と、誰もがそう信じた時代が終わりを告げた。
バブル崩壊、就職氷河期、阪神淡路大震災、地下鉄サリン事件…と時代に翻弄されながら生きてきた犯人と女刑事の視点が交差しながら真実が暴かれていく。社会派ミステリーとして読み応えある作品。
暗闇の中を延々と進んでいく感覚が、終盤にきて一気に反転した。
伏線と言えるものは無かったと思いながらも頁を戻す手が止まらなかった。
Posted by ブクログ
この物語はある男の人生の独白と、女刑事がある事件の真相を突き止めるまでの過程が交互に展開する構成となっている。
公園の身元不明のホームレスの焼死体、その側に犯人がおり、犯行を認めている。父親も身勝手な理由で自分が殺したと自白していた。
刑事たちが被害者の身元を突き止めるまでの過程の中で、実は心の中に絶望を抱える刑事たちと、犯人・被害者の心理が重なりあい、やがて女刑事は犯人の本当の動機と、もう一人の犯人にたどり着く。
一つ目のどんでん返しが、被害者のホームレスの女にもう一人娘がおり、その娘はネグレクトを受けていたという事実。そこで初めて女刑事との境遇がここでも重なりあっていたのかという衝撃を受ける。最後の方でそれが明かされるまで全く匂わせる部分がなく、これは騙されるしかない。この事実により、それまでの娘に献身的に尽くす母親という像が一気に崩れ、被害者に対する見方が180度変わってしまう。
そして二つ目のどんでん返し、というか衝撃が、これまで語られてきた犯人の人生の独白が、全て犯人が刑務所で書いた手記だったということ。最後の最後でそれが解るのだか、鳥肌がたってしまった。
物語の途中、どうしてこんなに事細かに犯人の人生や時代背景が語られる必要があるのか?と疑問に思う部分もあったのだが、全て府に落ちた。
この作者のどんでん返しはどうしたって見抜けないのだと悟った。最後めっちゃ泣けました。
ただ、綾乃は刑事だから、草鹿の本音を引き出すシーンはひねくれた自分だったらテクニックだって思ってしまうかもなと、でも心根がまじめで素直な草鹿だからこそ成り立つのかなとも思った。
「ロスト・ケア」と重なる部分もあって、命の選別、軽んじられる命について、この作者はいつもそんな社会に葛藤を抱いてるんだなと感じる。
Posted by ブクログ
刑事側の登場人物が少なくて良かった。
警察小説だと似たような人物がたくさん出てきて、誰が誰だかわからなくなってしまうことがよくあるので笑
重くて辛い話だけど読みやすい。
刑事側の推理描写と引きこもり側の半生の語り、短い章で交互に進むので飽きずにテンポよく読める。
引きこもり側のストーリーはドキュメンタリーを見ているかのようでリアルで苦しくなった。
Posted by ブクログ
この作品は社会問題として取り上げられることも多い"引きこもり"を軸にしている。現実に起きた事件や社会情勢も交えてストーリーが展開されていくので、凄くリアルに感じられた。
どんな人も絶望しないで生きていける世の中になって欲しいと思った。
Posted by ブクログ
主人公と同世代なので、育ってきた時代背景が鮮やかに想像できて面白かった。
最後、どう集結するのか気になってどんどん読んでしまった。
結末は流石に予想できなかったな。
Posted by ブクログ
オーディブルで聴いた。
就職氷河期世代の引きこもりの話。
最後にどんでん返し(?)もあり、そして、就職氷河期世代のしんどさ、引きこもるまでの手記がリアルだった。
Posted by ブクログ
最後を読んでわかったけど、物語の現在の状況と、男の手記を交互にしていたんですね。
それにしても深いな。
事実よりも真実が大事だと思うけど、中には真実を知られたくない状況もあり。
フラワーさんには最初、同情していたけど変わりました。なんて物語だ。
引きこもり問題も無くならない世の中ですよね。親にはなった事ないけど、共感はできる。神の水は嫌だけど。
とりあえず、面白かったです。葉真中顕さんは、灼熱とこれしか読んでないので他のも読みたい。
Posted by ブクログ
引きこもり問題などを扱ったミステリーでとても面白かった
お馴染みの刑事たちが何人か出てきてそれだけでもう満足した
フラワーさん彼女の人生が壮絶でつい亡くなった後は少しでも安寧な日々を過ごしてほしいと願うばかりだ。
Posted by ブクログ
被害者と加害者、足跡を辿っていくと見えてくる人となり。自身も心に悔恨を抱える女性刑事の視点で話が進んでいく。現代が抱える社会問題をじわじわと炙り出していく。文章は読みやすく、ストーリー展開的にも仕掛けがあり、エンタメとしてもよかった。
心が弱い(繊細とも言える)ことは悪いこと?この世界に仕込まれた優劣の価値観から逃れることはできないのかな?
いろいろ考えさせられた。
Posted by ブクログ
audible105冊目。
もう5年以上前に読んだ『ロスト・ケア』にとても考えさせられ、この作者の一躍ファンになりました。
映画も素晴らしく、涙がボロボロ出ました。
この本も、期待通り社会派のお話。
報道で見る「悪人」も、善良な生き方、ごく一般的な生き方をしてきた人であったりもする。
何事も、生育環境や世の中のせいにするのは間違っているとは思うけれど、でも、100%間違っているとは言い切れないと感じてしまう。
生きづらい時代。
でも、生きづらくない時代や社会なんてあったのだろうかとも思います。
読み応えありました。
Posted by ブクログ
ホームレスの老女が殺され燃やされた。犯人草鹿秀郎は18年も引きこもった生活を送っており、彼は父親も刺し殺したと自供する。長年引きこもった果てに残酷な方法で二人を殺した男の人生にいったい何があったのか、淡々と彼の人生が語られる。事件を追う刑事、綾乃は、殺された老女に自分の人生を重ねる。刑事と犯人、二つの孤独な魂が交錯する。困難な時代に生の意味を問う、感動の社会派ミステリーです。私も、多少年代は違うが昭和生まれで、日本国内で起きていた事件が、走馬灯のように思い浮かべる事が出来、深いテーマだったがサラリと読めました。
Posted by ブクログ
プロローグ
“I'm Alive!!!”
鼓動とは、そういうことだ
喜びも苦しみも感じる事が出来るということは
生きている
そういうことだ
そして、私もこの時代を通過したんだ
そう、主人公と同じ昭和というこの時代を、、、
本章
『鼓動』★3.8
『絶叫』『Blue』に次ぐ奥貫綾乃シリーズ第3弾
48歳引きこもりが犯した罪とその過去とは
80〜90年代の昭和史とカルチャーを織り交ぜながら
物語は現代へと突き進む
懐かしさを感じさせる、昭和カルチャーの連続で
それなりに楽しめたが、肝心のストーリーや
ミステリー要素は前2作より希薄で、タイトルも
最後こじつけ感が強く違和感を誘った
エピローグ
家族と引きこもりがテーマだ
この鼓動は全てに通じている
子の鼓動がおかしくなれば、家族にも伝播する
その逆もまた然りだ
己の鼓動が揺らいでいる
いや、良揺らぎまくっている
各地の子供たちが悪さをしているのかもしれない
そう思った(¯―¯٥)8v♪
完
※綾乃は司とできちゃうのか!?
最後にそう思った!
Posted by ブクログ
読後に残ったのは、なんとも言えない重さとしんどさ。
作中で描かれる「無敵の人」=失うものがない人という言葉が、とにかく恐ろしい。
死刑になりたいから殺人を犯した、という動機はフィクションでありながら、現実の世界でも同じ理由で起こる事件が後を絶たないことを思い出さずにはいられなかった。
もちろん、犯罪は決して許されるものではないけれど、、、こうした人間が生まれてしまう背景には、誰がどのように関わり、何が影響していたのかを考える。
育った環境、周囲との関係性、持って生まれた本人の特性、、、さまざまな要因が絡み合う中で、どこかで防ぐことはできなかったのか。これは永遠の課題なんじゃないかな。
法律を変えるべきなのか、社会のあり方を見直すべきなのか。
それが簡単なことではないと、誰もが分かっているからこそ、考えても考えても答えにたどり着かない。
読み終えてもなお、その問いが頭から離れない一冊でした。
Posted by ブクログ
『ロスト・ケア』が良かったのでこちらも
心に傷を抱えた女性刑事視点の話はイマイチだったが、引きこもりの半生の方は読み応えがあった。事件自体に魅力はないのに、ここまで読ませてしまう力は流石。日本の絶頂期から失われた30年に移行するこの時代の雰囲気を仮想体験できた。調べると著者は草鹿と同い年なんですね。しばしば耳にする就職氷河期世代の恐ろしさもよく理解できた。時代に恵まれ、売り手市場の生温い就活を経験した自分が、草鹿のことを「甘え」だとは口が裂けても言えない。
ありそうでなかった(?)草鹿の動機に、ロストケア同様読者サービスのどんでん返し。この話の着地点は?自分らしく生きるにはまず自分を承認するということか?あまりメッセージを汲み取ることはできなかった。
沈みゆく日本はいつ浮上するんでしょうねえ。失われた40年にならないといいのですが。
Posted by ブクログ
面白かった。
だが、それは主人公と同世代であることと、無関係ではないだろうと思う。
『団塊ジュニア』と言われる私たちのほとんどが、実感できるのではないだろうか。
たまたま、うまくいって、まともな社会人、としてやっていけている。
でも…あやうさは常に感じさせられてきた世代。
時事ニュースと絡めながら、うまく時代背景の匂いを感じさせられ、共感できました。
Posted by ブクログ
初めて読んだ作家さん。作品紹介だけ読むと、本もそこそこ分厚いし、どんなおどろおどろしい作品なのかと、覚悟して読み始めたのだが、児童文学作品も書かれてる作家さんだけあって、内容の割にはかなり読みやすかった。時代に沿って、実際に流行した文化や事件にも触れながら物語が進められており、退屈させないのが上手だなという印象で、中高生も読めそう。反対に結末まで救いのないドロドロ小説を期待されるのであれば、おすすめしません。笑
Posted by ブクログ
実の父を殺害し、ホームレスのお婆さんを絞殺したあと焼いた残虐な殺人犯。奥貫綾乃は被害者のお婆さん(フラワーさん)の身元を調べて行く中で何とも言い難い真実にたどり着いた。
昭和から平成、令和の出来事に沿って、容疑者の悲しい人生が描かれている。