あらすじ
ホームレスの老女が殺され燃やされた。犯人草鹿秀郎はもう18年も引きこもった生活を送っていた。彼は父親も刺し殺したと自供する。長年引きこもった果てに残酷な方法で二人を殺した男の人生にいったい何があったのか。事件を追う刑事、奥貫綾乃は、殺された老女に自分の未来を重ねる。私もこんなふうに死ぬのかもしれない――。刑事と犯人、二つの孤独な魂が交錯する。困難な時代に生の意味を問う、感動の社会派ミステリー。
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Posted by ブクログ
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鼓動。
生きているって確かめたかったんだ。
主人公と性別も年代も環境も状況も違うけど、
自分と重ね合わせずにはいられなかった。
孤独だよね。
人は常に誰かに承認されたいんだよね。
この世界の全部がそう言っているように感じでしまうことがあるから、
こんなにも読み終わった後悲しくて心揺れる本に出会えてよかった。
自分らしさ、男らしさ、女らしさ、そんなものがなくてもただ生きているだけでいいんだと思える。
辛くてもどんなに孤独でも生きていようね。
Posted by ブクログ
48歳、無職、独身、恋愛経験なし、ずっと引きこもり
明日は今日よりも豊かになる
ユーラシア大陸の東の端からぽとりとこぼれた水滴のような、この日本という島国では、だれもがそう信じることのできた事態が長く続いた
僕が生まれたのは、そのさなか、1974年6月30
日のことだった
やっぱ好きな作者だわ
同世代として時代の雰囲気がよくわかる
構成、ストーリー、最後の伏線回収まで素晴らしい
Posted by ブクログ
この物語はある男の人生の独白と、女刑事がある事件の真相を突き止めるまでの過程が交互に展開する構成となっている。
公園の身元不明のホームレスの焼死体、その側に犯人がおり、犯行を認めている。父親も身勝手な理由で自分が殺したと自白していた。
刑事たちが被害者の身元を突き止めるまでの過程の中で、実は心の中に絶望を抱える刑事たちと、犯人・被害者の心理が重なりあい、やがて女刑事は犯人の本当の動機と、もう一人の犯人にたどり着く。
一つ目のどんでん返しが、被害者のホームレスの女にもう一人娘がおり、その娘はネグレクトを受けていたという事実。そこで初めて女刑事との境遇がここでも重なりあっていたのかという衝撃を受ける。最後の方でそれが明かされるまで全く匂わせる部分がなく、これは騙されるしかない。この事実により、それまでの娘に献身的に尽くす母親という像が一気に崩れ、被害者に対する見方が180度変わってしまう。
そして二つ目のどんでん返し、というか衝撃が、これまで語られてきた犯人の人生の独白が、全て犯人が刑務所で書いた手記だったということ。最後の最後でそれが解るのだか、鳥肌がたってしまった。
物語の途中、どうしてこんなに事細かに犯人の人生や時代背景が語られる必要があるのか?と疑問に思う部分もあったのだが、全て府に落ちた。
この作者のどんでん返しはどうしたって見抜けないのだと悟った。最後めっちゃ泣けました。
ただ、綾乃は刑事だから、草鹿の本音を引き出すシーンはひねくれた自分だったらテクニックだって思ってしまうかもなと、でも心根がまじめで素直な草鹿だからこそ成り立つのかなとも思った。
「ロスト・ケア」と重なる部分もあって、命の選別、軽んじられる命について、この作者はいつもそんな社会に葛藤を抱いてるんだなと感じる。
Posted by ブクログ
この作品は社会問題として取り上げられることも多い"引きこもり"を軸にしている。現実に起きた事件や社会情勢も交えてストーリーが展開されていくので、凄くリアルに感じられた。
どんな人も絶望しないで生きていける世の中になって欲しいと思った。
Posted by ブクログ
オーディブルで聴いた。
就職氷河期世代の引きこもりの話。
最後にどんでん返し(?)もあり、そして、就職氷河期世代のしんどさ、引きこもるまでの手記がリアルだった。
Posted by ブクログ
最後を読んでわかったけど、物語の現在の状況と、男の手記を交互にしていたんですね。
それにしても深いな。
事実よりも真実が大事だと思うけど、中には真実を知られたくない状況もあり。
フラワーさんには最初、同情していたけど変わりました。なんて物語だ。
引きこもり問題も無くならない世の中ですよね。親にはなった事ないけど、共感はできる。神の水は嫌だけど。
とりあえず、面白かったです。葉真中顕さんは、灼熱とこれしか読んでないので他のも読みたい。
Posted by ブクログ
『ロスト・ケア』が良かったのでこちらも
心に傷を抱えた女性刑事視点の話はイマイチだったが、引きこもりの半生の方は読み応えがあった。事件自体に魅力はないのに、ここまで読ませてしまう力は流石。日本の絶頂期から失われた30年に移行するこの時代の雰囲気を仮想体験できた。調べると著者は草鹿と同い年なんですね。しばしば耳にする就職氷河期世代の恐ろしさもよく理解できた。時代に恵まれ、売り手市場の生温い就活を経験した自分が、草鹿のことを「甘え」だとは口が裂けても言えない。
ありそうでなかった(?)草鹿の動機に、ロストケア同様読者サービスのどんでん返し。この話の着地点は?自分らしく生きるにはまず自分を承認するということか?あまりメッセージを汲み取ることはできなかった。
沈みゆく日本はいつ浮上するんでしょうねえ。失われた40年にならないといいのですが。