恒川光太郎のレビュー一覧
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ネタバレ白昼夢の森の少女
古入道きたりて、焼け野原コンティニュー、白日夢の森の少女、銀の船、海辺の別荘で、オレンジボール、傀儡の路地、平成最後のおとしあな、布団窟、夕闇地蔵の10篇からなる短編集です。
あとがきにあるように書かれた時期も長さも異なるものを集めたものなので、恒川氏の作風の移り変わりも感じることができる反面。統一感というか恒川氏ならではという感じがしなかったのが残念です。
特に、夜市にはじまる初期の作品群のこの世でありそうでなさそうな独特の世界観が好きだったのですが、最近はスタープレイヤーに代表される人の欲望の織りなす冒険譚的なものが多く、ちょっと寂しい感じです。
この中では傀儡の路地や夕闇地蔵が初期の作風っぽくて好きでした。
竹蔵 -
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【内容】民俗学者の鶯谷玄也は〈キ〉という一団に興味を抱き各地を訪ねる。それは日本に古くから棲む特殊な闇の存在。明治中頃までいたと思われる。鬼のことか隠れキリシタンのことか樵のことか。狒々も仲間だったり敵討ちの手助けをしたり乞われて悪を断ったりする仕事人的な面も。《わしらは風の如く揺蕩う。生まれた土地に属する者ではない。》p.57。矢銀《居場所と契約の一つだ。》p.206。
【感想】『狒々日記』を全編読みたくなった。著者が書いてくれないかなあ…/なんとなく京極夏彦さんの『鵼の碑』を思い出した。
■〈キ〉についての簡単な単語集
【葵】鬼娘。金星とともに旅をした。
【秋姫】老婆。盲目。予言者。自称、二本松藩主丹羽長祥(ながあきら)の認知されていない娘だが、当然ながら怪しい。鬼婆? 《私と一緒に長くいると〈隔たっていく〉から。》p.97。
【鶯谷玄也】民俗学学者。〈キ〉の痕跡を探している。黒い眼鏡。色白。華奢。武田徳郎とは高校の同級生だったが特に仲がよかったわけでもない。
【オオフネ学校】〈キ〉の学校。
【カヨ】幸山松吉とオオフネ学校でともに学んだ。
【霞】〈キ〉のひとり。巨大な狒々。
【キ】日本に古くから棲む特殊な闇の存在。明治中頃までいたと思われる。民俗学者鶯谷玄也が追っている。鬼のことか隠れキリシタンのことか樵のことか。《わしらは風の如く揺蕩う。生まれた土地に属する者ではない。》p.57。矢銀《居場所と契約の一つだ。》p.206。
【キエ】黄色い着物の女。矢銀と関わりがあるらしい。
【キ島】〈キ〉の老人。
【金星】狒々日記を書いた狒々。百弱から文字を教わった。北陸在住。両親は九宮と白紅。
【鞍馬】幸山松吉とオオフネ学校でともに学んだ。身が軽く動きが素早い。
【幸山松吉】〈キ〉。井上矢銀が小僧付きにした。幼い頃は「菜っ葉」と呼ばれた。
【武田徳郎:たけだとくお】美術商。29歳。《美術品にそもそもの価値なんざないだろう》《誰がどういうものを欲しがっているかってことだけさ》p.10。
【知念】金星たちの住む場所の近くの岩窟に暮らしていた盲目の男。狒々を神様と呼ぶ。
【伝説】《虚実はこだわるべきところではない。》p.145。
【野方信朗】『狒々日記』を持っているらしい人物。狒々から直接もらったらしい。
【狒々】大猿。狒々の血で染めた布は決して色落ちせず、狒々の血を呑むと鬼を見る力を得る。らしい。〈さとり〉とも呼ばれ人の心がわかる。
【狒々日記】狒々が書いた唯一の記録。偽書かもしれない。
【百弱】人間。自虐的に自分で百弱と名付けた。狒々と付き合いがある。自分では極悪非道と言う。九宮と白紅は嘘つきだと言う。金星に文字を教えた。
【松野滝次郎】画家。幕末の生まれで昨年死去。東京で、元会津藩の御用絵師だった人物に師事していた。鬼婆図を描いた。二本松藩城下で刀鍛冶をしていた男の息子。
【松野陽太郎】滝次郎の息子。
【矢銀】井上矢銀。〈キ〉。 -
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すぐそこにあるようで、どこか遠い場所のお話のような、不思議な世界観が魅力の作品です。因習や生死をテーマにした、ダークなファンタジーが楽しめます。
隠れ里の内側に住む人と外側に住む人、それぞれの視点や心情が丁寧に描かれていて、知れば知るほど引き込まれました。
ハラハラドキドキして一気に読み進めるというよりも、「こういう世界があるんだな」とじっくり噛みしめながら、落ち着いてページをめくるような感覚で読める一冊です。
恒川光太郎さんの作品にはこうした独特の空気感を持つものが多く、その中でも本作は比較的読みやすい印象を受けました。
ダークな要素はありつつも、必要以上に心を抉られすぎない絶妙なバランスが良かったです。
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妖のお話し好きな友達から借りた本。
私は妖はともかく、幽霊のようなホラー話は不得意。
軽い気持ちで借りた後でよくよく見たら『角川ホラー文庫』とあるではないですか。しかもホラー小説大賞…ゾワッ。
でも、
『そんなに怖くないよ』
という言葉を信じて読んでみれば確かに霊的な怖さはなかったので今更ながらよかったです。笑
この本は
『夜市』と『風の古道』の2篇収録されていました。
『夜市』はホラーのような怖さはないけれど『入ったら出られない』というのは別の意味でとても怖いです。
『風の古道』も同じように入ったらなかなか出られない…というのは共通かもしれないけれど、不思議と怖くはなくて日本の昔話でも読んでいるような気持ちになりました。
どちらのお話も『世にも奇妙な物語』みたいな感じでした。 -
Posted by ブクログ
世にも奇妙な物語系の不思議ホラー短編集。
あとがきより、さまざまな媒体でテーマ依頼を受けた作品を集めたもので長さも雰囲気もまちまち。
1番怖かったのは腹話術の人形に言われたことを本人に意思に関係なく絶対に実行してしまうというお話「傀儡の路地」自分でコントロールが効かなくなることはもちろん恐怖だが、その被害にあった人たちで対抗しようとして、主人公に訪れる結末が恐ろしかったです。
ほか印象に残っているのは表題作「白昼夢の森の少女」
植物に“食われた”少女、ひいては街のお話。
あとは、一度乗り込むと場所も時間も飛び越えて旅をし続ける「銀の船」19歳まで限定で停泊している姿を見ることができるが、1度チャンスを逃すと一生乗ることができない船。全てを捨ててもあなたは乗りますか?実は下船もできますが、永遠の怖さを知ることができるお話。 -
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ネタバレ良い所と悪いところがそれぞれある。
良いところはちゃんとミステリーというかどんでん返し、その人がその人だったんだみたいなつながりがあるのがすごいなぁって思う。すべての要素がちゃんと全部つながってるのが技術力高いなぁって思う。
悪いところがストーリーの展開がゆったりだからすごく眠くなるし、伏線回収が綺麗って言うところがあんまり伝わってこないというかびっくりしないで話が進んでいく感じがした。なんでかって言うとわかんないけどこのストーリーの緻密さが普通に読んでると、素晴らしさが伝わらないのがもったいないなぁと思った。
詳しく説明していきたい。
1つ目の夜市
夏祭りの風景と、奇怪さがロマンチックに書かれてて風景が想像しやすかった。
主人公の男の子が野球を上手くなるって言う資格の引き換えに弟を売ってしまったって言うのと、途中で出てくる老人と、その老人が買うなんでも切れる刀と、なぜか一緒に連れて行った女性が最後落ちで全部きれいにつながるのがやっぱすごいなぁと思うし、多分その世界観に没入させるために、その老人が向こうの世界で、どんなふうに過ごしてたかが細かく書かれてた。
でも、やっぱり話が静かだから、やっぱ眠い。ちょっと退屈になってくる。
2つ目の風の古道
これもボートの少年が、おばさんに誘われて、この道を進めって言われて進む感じが幻想的なのと、その後にもう一回小路に入り直して、その道で10日間とか過ごす中での小径の情景描写が行ってみたいなと思わせるというか、すごく幻想的だったなと思う。
あと、ここでもやっぱり伏線回収がすごくて、少年がそこで生まれた理由、途中で聞いた17歳の女の子が彼氏を生き返らせるために雨の寺に行ったって言う話、途中でコモリとの出会い、途中で見る殺人事件の新聞記事とかも全部きれいにつながってて、やっぱりそこはすごいなぁと思う。
ちゃんと思い返すと素晴らしい作品なんだけど、やっぱ読んでるときの退屈さがどうしようって言う感じ。もう自分でもなんで退屈と思ったか理由がわからないけど、ゆったり進みすぎてるのと静かすぎるのでSNSを見て育った私には刺激が足りなかったのかなとか思う