恒川光太郎のレビュー一覧
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設定こそファンタジーのようでありながら、漂う空気はまぎれもなく幽玄なホラー。
本を閉じた後も「本当にどこかに異界があるのかもしれない」と思わされるような、現実の奥深さが増す幻想的な余韻に心地よく浸れる一冊だった。
表題作も素晴らしかったが、個人的には同時収録の『風の古道』にそれ以上の衝撃を受け、深く魅了されてしまった。
特に、友達を救うための旅の果てに待つ結末には胸が締め付けられる。
異界の絶対的なルールの前には人間の願いなど無力であり、諦めて別れを受け入れるしかないラストには、切なさと深い疲労感が漂っていた。
ガイドの青年の過去を通して描かれる現実社会の闇が、物語の効果的なスパイスとし -
Posted by ブクログ
【2026年85冊目】
モノノケ退治に巻き込まれた空き巣の女の運命は――「猫どろぼう猫」、ニートの男が旅に出ると――「窮鼠の旅」、恨みはずっと消えることがないようで――「十字路の蛇」、DV男から逃げ出し、全てを手に入れたはずが――「風のない夕暮れ、狐たちと」、心に残虐が住む男――「胡乱の山犬」、言葉のわからない男は祀られて――「日陰の鳥」、音楽と術理が渦巻く箱庭で暮らす子どもたち――「音楽の子どもたち」、少し不思議な7つのお話。
「身の毛もよだつ、究極のホラー」と謳ってありましたが、安心してください、全然怖くありません。こちらもホラー小説というよりもファンタジー小説に寄っているかと思います。 -
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Posted by ブクログ
ネタバレ全体的に読み手に委ねる結末が多かった。綺麗さっぱり終わるよりも、余韻が残るように感じられた。
『迷走のオルネラ』
冒頭のくだりから場面が変わって、最後にどうまとまるのかなと思ってたら、話がどんどん展開されてそれでもちゃんと着地しててすごい。
『夜行の冬』
並行世界を渡り歩くという物語。どことなく和風ファンタジー?ホラー?な雰囲気が好みだった。最後は縮毛の娘と一緒になる世界線という解釈でいいのかな
『ゴロンド』
最初はこの生き物は何だろうと思ったけど、竜だったのか!と途中で気づいた。タイトルでもある「竜が最後に帰る場所」っていう言葉も出てきて、腑に落ちた。最後の解釈については、何が正解なん -
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ネタバレ甘い羊羹食った後に苦いお茶をいただいた気分。
もちろん古道がお茶ね。
短く、簡潔で必要以上に語らない印象。構成、会話、結末もシンプル。
ファンタジーを描写しつつ設定にホラーに盛り込んだ感じがする。
唯一無二だったであろう描写は今ではシンプルかもしれん......でも登場人物の描写の引き出しの多さには驚いたな、それでさえ必要以上に書かないから「あぁ、いい描写だな」でひたすら楽しい。
まあやっぱり書き出しはインパクトありますね。序盤からファンタジーをぶちかましてきた!って感じ。読者がファンタジーの脳に切り替えやすい。
結末は予想できないなぁ。夜市も古道も復讐劇が織り込まれてたね。あと、頼りに -
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久しぶりに(私が思う)恒川さんらしい作品。
かつていた『キ』と呼ばれる人々の痕跡を探す、学者・鶯谷玄也。
新政府軍との闘いで敗れた二本松藩の少年部隊の生き残り・松野滝次郎。
二人の物語が描かれる中で、『キ』の姿に迫っていく。
『キ』とは何なのかという問いかけから始まる物語だが、結局のところ『キ』が何なのか、正確に言い表す言葉は見つからないままだった。
だがそこが良いのだろうと思うし、定義してしまうような存在ではないのだろうとも思う。
最初は裏の仕事を請け負う闇の集団かと思ったが、誰でも入れるわけでもないらしく、『御屋形様』に認められなければならない。
狒々のような人ではない存在の話も出て -
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文明や宗教の流れに溺れながら、人はそれでも戦い続ける
初めての、恒川光太郎さん。
SNSの読書垢オススメで知りました。
噂通りの鈍器本(笑)読みきれるかなと不安になりながら進めていました。
マヤ文明をベースとした、その時代に生き抜いた人たちの成長譚。
スレイ、シベリア、ドルコ、レリイ、フォスト・ザマ。
彼ら・彼女らが文明や宗教の流れに翻弄させながら、王国を守り途絶えないように戦い続けている。
現代には考えられない世界と映画を観ているかのような心地でした。
現代と違ったなと印象に残ったのは、この時代に生き抜いてる人は、現代と違い「生命」を軽視しがちという解釈があった。
それは戦争や生贄が存