恒川光太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
文明や宗教の流れに溺れながら、人はそれでも戦い続ける
初めての、恒川光太郎さん。
SNSの読書垢オススメで知りました。
噂通りの鈍器本(笑)読みきれるかなと不安になりながら進めていました。
マヤ文明をベースとした、その時代に生き抜いた人たちの成長譚。
スレイ、シベリア、ドルコ、レリイ、フォスト・ザマ。
彼ら・彼女らが文明や宗教の流れに翻弄させながら、王国を守り途絶えないように戦い続けている。
現代には考えられない世界と映画を観ているかのような心地でした。
現代と違ったなと印象に残ったのは、この時代に生き抜いてる人は、現代と違い「生命」を軽視しがちという解釈があった。
それは戦争や生贄が存在しているから。読みすすめていくと血生臭い匂いがプンプン漂う…。
でもそれは表面的に捉えていたところでして、実際は人と血と神が繋がってる意味がある。
人と血と神が繋がってる、太陽の神、ジャガーという戦いの神。
太陽の神であれば心臓を太陽のエネルギーに換える、ジャガーという戦いの神であれば、力や戦いに奮起する原動力など。
そう考えると「生命」の重さは現代と違って深く広がってるものであり、この物語の軸に繋がってるように感じる…。
ただ読み終えても、あまりにも世界観が自分自身の脳内スペースに溢れすぎてまとまらない。
知識がないからかなんなのか。これはもう一度読んだほうがいいかもしれない…。
再読します(笑)
★3.5。 -
Posted by ブクログ
2026.05.04
ホラーアンソロジーはなかなか満足できるものがないんだけど、作家さんたちが錚々たるメンバーだったので久しぶりに購入してみた。
いつもそう思って購入して期待外れだけど、このアンソロジーは読み応えがあって総じて大満足。
小野不由美の短編は名作すぎて覚えていたけれど、読んだはずの常川光太郎と岩井志麻子はまったく忘れていた。小林泰三はこういうアンソロジーでしか読んだことがないけれど、一度も面白いと感じたことがない。正直、小池真理子と小林泰三がアンソロジーに入ってると、その話は「捨て」だなと思ってしまう。
澤村伊智「シュマシラ」
UMAや妖怪に絡むテーマは面白いかったし読んでる途中はどう話が展開するのかワクワクしたけどオチが弱いと感じてしまった。
岩井志麻子「あまぞわい」
地元に伝わる恐ろしい洞窟の言い伝えを子守唄代わりに方言で語る爺と婆の語り口がとても雰囲気があり、この先どうしようもない2人はどうなる?と読む手が止まらなかった。かなり大昔に「ぼっけえ、きょうてえ」を読んだはずなのに全く覚えていなかったけど名作。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ全てに共通してるのは解釈の自由を残す終わり方
全部ある程度思考の余地があって面白かったけど、1番迷宮のオルネラが好きだった
生い立ちからはありえないほどに主人公が合理的に公平に物事を観察及び断罪してた
ただそれは感情が乏しいから機械的にできたことではなくて、内なる暴力性に、義父と重なってしまうこと、元カノに釘を刺されたこと、義父の本妻の娘の漫画に感化されたこと、などなどと人との繋がりと記憶を元に抗った末の合理的判断だった
なによりも自分の経験と重なるからか、義父が母を殺したあと、主人公が屋根の上でのシーンが印象に残っている
まだ暑い炎天下、義父の叫び声と競うような蝉の声に凪いでいる風
日常と非日常の狭間というこの本のテーマがこのワンシーンにも潜んでいた
この短編だけは何度か読み返すと思う
他にも風を放つは人間のプライドを傷つけられた際の悪意と不安からくる妄想じみたものをハラハラしながら味わえた
夜行の冬はパラレルワールドという想像の余地がある理想を描きつつも、また極限状態における人間の本性と、行進から逸れると闇に呑まれるという不安、そして最後呑まれたが主人公が裏切り石をなげつけた女との再会を仄めかす描写が余韻を残してくれた
王蟲幻想曲は予想外な展開の連続と、拡散させることの出来る青年の欲望が好きだった
たしかに人外を元に戻すだけだし、それが感覚的に両者の望むところとあらば青年は悪くない
そしてその欲望に突き動かされていつか身を滅ぼしそうな危うさが妖艶さを産んでいて、廃墟をネズミに解体したシーンは魅入ってしまった
ゴロンドは昔の教科書の小説読んでる気持ちになったな
自然に進化するのではなく、自ら別の環境に身を置き学ぶことによって進化する種類の竜が"竜の帰るところ"を世代を超えて探しに行く物語
最初は縄張りや生まれた途端の捕食など自然界の掟に翻弄されていたが、それらを諦めず好奇心と気力に突き動かされて進化していった主人公。
ある日同族のメスに出会い、その次には同族に住処を奪われる。別の住処を探してしばらくすると、また同族のメスと再会し、メスについていくと母親の管理する竜が集団生活をしている場所があった。
そこでの兄弟との生活や、母の暖かい庇護、そして言葉。最終的に毛無し猿を忌避しながら"龍の帰る場所"を探すことになって、絶滅したことを匂わしておわり。
単純明快な自然界の掟系すきなんだよな