恒川光太郎のレビュー一覧
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時代を超え跳梁する獣とそれに惑う人々の姿を描いた作品を4編収録した短編集
昨年読んだ『竜が最後に帰る場所』で恒川さんの作風が少し変わってきたような印象を受けたのですが、解説によるとそれは意図的だそうですね。
異界を作品の舞台としてきて恒川さんですが、今作も舞台は現実の世界。そこに一匹の不思議な鼬がはいることでそうした現実世界が恒川ワールドに変貌します。
一話目の「異神千也」は元寇の時代が舞台。現実、それも過去の時代が舞台というだけで恒川さんの作風が変わったなあ、という印象を受けるのですが、
作品を読み終えた時に残る冷やかさは他の恒川作品と共通するものがあると思いますし、
人や時代 -
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Posted by ブクログ
傑作『夜市』から続いてきた異郷を舞台にした作品群から一転。伝説、民話、神話、怪談という民族心理に根付いた寓話を一つの舞台で語られる短編集として構成、展開しようとした恒川光太郎の意欲作。
絶望の淵からの再生と復活をテーマに7つの話が語られてゆく。表題の『南の子供が夜いくところ』は、この短編集のプロローグ的な話であり、主人公のタカシ少年と大呪術師ユナが南洋に浮かぶトロンバス島との関わり合いと、この島にまつわる奇談で読者を現代、過去、異界へ縦横無尽に駆け巡る異世界へと誘う構成と飽きることなく一気に読ませる「技」は見事。日本人の深層心理にある「南国望郷論」に基づくユートピア「トロンバス」。大自然の不思 -
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Posted by ブクログ
マヤ文明をモデルにした冒険ファンタジー。一つの大きな国が周辺諸国の反乱によって、少しずつ滅びていく様子が描かれる。
マヤ文明と聞いても具体的な雰囲気があまり想像できず、物語に入っていけるのか若干心配だったが、登場人物たちの口調が軽く、そこら辺にいそうな感じでしゃべっているのでさらっと読めた。
戦争してるので血生臭い描写が多いのだが、宗教儀式である生贄のシーンは生きたまま心臓を取り出したり、『石仮面』とか出てきちゃいそうだな(こっちはアステカ文明だったか)と思いながら読んでいた。
腐敗した政治や形骸化した慣習に対して疑問を抱き、それを覆すために戦うという普遍的なテーマは結構好きで、これまで読んで