恒川光太郎のレビュー一覧
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購入済み
夜市、お勧めです。
夜市を人から勧められて、久しぶりに本を読もうと思って本屋に行ったら、取り寄せと言われたので、ブックライブで購入して読みました。サクサク読めて、面白さに引き込まれ、あっという間に読んでしまいました。ミステリーではあるんでしょうが、童話ぽっいような、人間味溢れる所もあり不思議な世界の話しで、今どきの異世界漫画のような情景が読みとれて凄く面白かったです。
また、同じ作家の他の作品を読んでみたいと思いました。 -
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どの話もさすが恒川さんといった感じ。
私が1番印象に残った話は青天狗の乱。恒川作品の中で初めて時代小説を読んだ。見届物を届ける仕事、島流しにあった人の末路、江戸から明治への開花など時代小説として楽しめるだけでなく、不思議な面をめぐるある男の話の、結末がはっきりとわからないからこそ色々と想像を巡らせる楽しみがあった。私の推測は青天狗は島の住民の誰かで、とみせの放火もロショウが青天狗役の住民に託したんじゃないかと思った。根拠としては街中で遭遇したそっくりさんの反応が本当に人違いな感じな印象を受けたのと、青天狗の殺陣シーンがあまりにもプロだったこと、語り手にもとみせの女将の殺人を依頼するくらいだから -
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幻想と奇想のなかに漂う独特の抒情。
人の生き方や罪、生と死、そして自由を時にブラックに、時に寓話的に映し出す恒川さんの魅力がつまった短編集です。
あとがきによると、様々な媒体で発表したものをとにかく一冊にまとめたものらしく、収録されている作品のバリエーションは、これまで読んだ恒川作品の中でも特に幅広く感じました。
個人的にこれまでの恒川さんらしさを感じたのは表題作の『白昼夢の森の少女』『銀の船』『夕闇地蔵』の三編。
突然現れた蔦によって町一体が絡め取られ、植物と一体化してしまった少女と人々の姿を描いた表題作『白昼夢の森の少女』
永遠に様々な時代を行き来する船に乗り込んだ少女を描く『銀の船 -
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この空気感が好き……どのお話もとても好き……(うっとり)
一貫したテーマもなく、時代もジャンルも長短もまちまちの短編集。どれもそれぞれに味があるのですが、個人的に特に好きだったものをピックアップして簡単に。
・古入道きたりて
ホラーと言えど怪異事態に怖さは感じず、夜の山の美しさに引き込まれる、全体的に切なく優しい一作。「古入道」は、ダイダラボッチみたいな存在なのかなぁ。そして和菓子がテーマのアンソロジーに収録されただけのことはあり、おはぎが無性に食べたくなりました(笑)
・白昼夢の森の少女
表題作。時間経過の長さといい、コミュニティの広がり方と言い、スケールはすさまじいのに、ひっそ -
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恒川光太郎の短編集
特化したテーマに反らない11の短編
古入道きたりて:牡丹餅を夜船と呼ぶ季節があると初めて知りました。幻想的な風景が瞼の裏に広がります。
焼け野原コンティニュー:滅んでしまいそうな世界に取り残された記憶喪失の男の話
白昼夢の森の少女:植物に取り込まれてしまった人々(緑人)の話!緑人達は夢を共有する!
銀の船:空飛ぶ船にノスタルジーを感じる主人公!いつか自分の前に現れる日を待ち望む・・・。
自分だったら家族を捨てて悠久に世界と時を旅する船に乗れるだろうか?
海辺の別荘で:自称『椰子の実』から産まれた女とバカンス中の男の話
オレンジボール:ボールになった中学生の話
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異世界に飛ばされ、「スタープレイヤー」として10の願いを叶えることができるお話
「なろう系」の異世界転生・転移ものをそこそこ読んでいるけど
そんな「俺TUEEEE」なテンプレートとは違った展開などもあって、面白く読めた
ただ、そんな典型を知っているが故に、願いの使い方が雑だなぁと思うところが多数
願いの傾向が、生きるため、個人の欲望、遺恨の精算、他人のため、多数のためと変遷していく過程は納得
最終的な願いにしても、「願いを国のために使うならばきりがない」というのを体現するためによく表していると思う
解説は芝村裕吏さん
既に他のジャンルで有名な人がファンタジーものに手を出すのは難しいと -
Posted by ブクログ
ネタバレ特に前半に並べられた数作から立ち上ってくる、幕末~明治~大正~昭和に掛けて世に満ちていたであろう濃密な気配は実に独特なもので、それこそ「死神と旅する女」に出てくる時影のような男がそこらを跋扈していたのだろうな…と頷かせる。
小野不由美氏の「東亰異聞」の世界にも通じる色合いというか。
一転、ダークなファンタジーといった趣の「カイムルとラートリー」では、動物好きの読者に過度なストレスを掛けない展開と結末に、ほっと安堵した。
それぞれ、絶対的な説得力を持つ理屈がギミックの裏側に構築されているというわけではないけれど、なんとも言語化しにくい幻想的な魅力を醸しており、改めて著者は短編の名手であると再認