恒川光太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
自分の大好きな著者の作品に共通する世界観にSFという新たなエッセンスが加えられた傑作!
想念世界の鈴上誠一、ディストピア化した現実世界の主だった登場人物たち。良い意味でそのどちらにも感情移入し切れない絶妙なバランスがSF作品の持つ魅力を更に高めていると感じた。
終盤誠一に投げかけられた「何故あなただったんだと思いますか?」という質問に誠一は「考えたことはないし、これからも考えないでしょう」と答えたわけですが、恒川光太郎ワールドに囚われている自分は
誠一は実はこれまでの著者の作品の登場人物たちの様に不思議な力を実は持っていた。
その力がこの世の全てに絶望して頭の中で糸が切れたその瞬間に自覚なく発動して誠一にとって理想の世界が生まれた。
しかしその世界を維持するためには膨大なエネルギーが必要でそれを補充するための装置として「未知なるもの」とプーニーが作られた。
立場は違えど現実世界にいる抵抗値の高い人物たちはみな自分の家庭環境などが原因で誠一同様この世界に絶望や諦めを感じていたからこそ、仲間となる可能性がありその装置に取り込まれることはなかった。(過去の突撃隊の中には誠一同様、想念世界に住むことにした=取り込まれた人たちもいた。)
だが最後の突入者たちは共鳴する部分を持ちながらも物語の中で言及される様にディストピアと化した現実世界を知っているからこそこの様な結末となった…。
と、考察しました! 違うか(笑)
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Posted by ブクログ
謎多きマヤ文明を舞台に、架空のエルテカ王国が滅びゆくさまを描いた長編冒険小説。
鈍器本とも称される600ページ越え。最初はなかなか進めません。なにせ馴染みが薄いマヤが舞台であり、話が進む方向がなかなか見えてきません。しかし、だんだん面白くなってきます。
父親を殺され、生贄になるべく誘拐された少年・スレイが主人公。不思議な女性の助けられたスレイはやがて戦士として頭角を現して行く。脇を固めるのは、不思議な武器で各地を彷徨う同世代に友人、謎に包まれた女性の最高神官、父親の仇である貴族の戦士、怪力無双の戦士・・・・。なかなかキャラが楽しい。
やがて、怠惰で横暴な国王に対する反乱が地方で始まり、マヤ文明の特徴である生贄を否定し、ひたすら愛を語る(キリストのごとき)少年を敬う集団の隆盛と相まって拡大していく。そしてさしもの王国も・・・。架空ですがスケールの大きな話です。
冒険小説と言っても単純なアクションものではなく、何処か滅びの哀切感が漂うのが恒川さんらしく。 -
Posted by ブクログ
時間・空間・次元が交差し、離れ、再び巡る。箱庭のように閉じた世界でありながら、広がりはむしろ壮大で、静かな不穏を伴うファンタジー。
六つの短編を、五つの断片が巡回するように結び、全体像を浮かび上がらせる構成が印象的です。
既視感のあるモチーフも、異界性と情感によって恒川さんらしく、読後には“理解しきれないまま残る世界”が静かに広がりました。
「箱の中の王国」
閉じた空間の異界
「スズとギンタの銀時計」
時間からの逃避と追跡
「短時間接着剤」
一時性という制約
「洞察者」
認識の極端化と孤立
「ナチュラロイド」
自然と人工の境界
「円環の夜叉」
存在の循環
繋がりを把握しきれないものもありましたが それも含めて、この作品の魅力なのでしょうか。
再読すると もう一段昇華しそう。 -
Posted by ブクログ
627ページにも及ぶ長編。
装丁から なんとなく重厚なイメージをもっていたのだけれど それに反して文章はやや軽めで読みやすい。
長編のアニメーションをみているような没入感があった。
数千年前 その大地では数多の文明が現れては消えていった。 高度な芸術文化や天文学の知識をもつ一方で天に人間を生贄として捧げ人肉を食べ、戦いに明け暮れる。
数千年にわたり人々の魂は理知と野性の狭間を彷徨した。
本書はそのようななか一時を強国として栄えたエルテカの繁栄と崩壊までを描いている─。
登場人物が みんな魅力的だ。 彼らそれぞれのストーリーもいい。
おかれている立場があり、敵対していたりもするのだけれど 彼らの望んだ世界はそんなに 大きくちがっているとは思えない。
なのに ひとつになることができない……。
現代にも通じるようで なんだか虚しい。
カザム・サクがいったように 人は代を重ねるごとに賢くなるべきなのに …。
個人的にドルコが好きだった。最初は言葉を解することもできなかった彼が カザム・サクのもとで変化していく様子が好ましかった。
フォスト・ザマとドルコの戦いもよかった。
最後まで面白く読めました。
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Posted by ブクログ
★ 4.5
恒川光太郎さんの前作「幽民奇聞」が面白かったので読んでみた。
これまた物語に引き込まれて行く感じ!
箱庭で始まった世界が次第にSFの世界に入っていく。
「箱のなかの王国」
「吸血鬼の旅立ち」
「スズとギンタの銀時計」
「静寂平原」
「短時間接着剤」
「海田才一朗の朝」
「ファンレター」
「ナチュラロイド」
「円環の夜叉」
「最果てから未知へ」
これら一つ一つも面白く、異次元の空間にも移動する。
もうわくわくし通し。
「円環の夜叉」に入って、ちょっと満腹感があって、他の本にう・わ・き(。♡‿♡。)
で、続きを読んだけど、このSF的な物語がなんと繋がっていく!
『すべてのものがゆるやかにつながり、縁を結び、循環していく。それら小さな円環はまた、大きな円環の一部でもある・・・。』
恒川さんの頭の中どうなっているんだろう。
不思議な感じと、昔本を読んでいた頃の感覚と繋がったような感じ。
面白かった〜(♡ω♡ ) ~♪