恒川光太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ過剰に飾り立てることのない平易な言葉で、淡々と行を変えていく短い文章で、ぞくりと背筋が寒くなる独特の雰囲気を出すのが恒川さんの本領だなぁ、と。恒川さんの短編集らしい短編集だなぁ、と、ご満悦になれる読み心地でした。
表題作「無貌の神」は、その世界の物を食べたら帰れなくなる、超常的存在を殺めた者がその役目を引き継ぐなど、題材として目新しいものではないのですが、寂れた集落に漂う空虚感が空恐ろしい。
「青天狗の乱」は、怪奇の大部分が人づてに聞いた話をまとめたものという点と、「怪奇ではなく、全ては作られたものかもしれない」という可能性を残しているという点で、他とは少々異なる趣。
個人的に今巻で -
Posted by ブクログ
ネタバレおもしろかった。その一言に尽きる。
この方の作品は初めてだったので、先入観がなかったのもよかったのかも。とにかく、文体が読みやすい。人間の業に迫るような内容なので、決して軽くないはずなんだけど、なんだろ、かるい。いい意味で。軽やか。登場人物が多く、それぞれの物語が時系列もバラバラに切り替わって、混乱するかと思いきや全くそんなことなかった。とにかく先が読みたくてどんどんページをめくってしまった。この感覚久しぶり!純粋に楽しめた。
第67回日本推理作家協会賞受賞作だそうですが、推理小説とは思えなかった。時代小説とも違う。SFといえばそうだけどちょっと違う。すこしふしぎ小説とでもいえばいいのか? -
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Posted by ブクログ
ネタバレ冬と春の間に神の季節である雷季が存在し、現実世界とはずれた場所にある地図にも載っていない「穏」という場所。情緒豊かな田舎でありながら、秘匿された土地であるが故の闇を孕んでいて、世界観に浸れた。
雷の季節に姉を失い「風わいわい」に憑かれた賢也が闇番と打ち解け、夜な夜な「墓町」に通うところは、ちょっぴり悪いことをしているようで、同時に他人に誇れるような秘密で、冒険心をくすぐられた。
正当防衛としてナギヒサを刺殺してしまった賢也が「穏」を追われて物語は茜という少女視点に移る。二人の関係性は、分かりやすく仄めかされていたが「雷の季節に攫われた姉」という部分が謎として残り続けたので楽しめた。
現 -
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Posted by ブクログ
ネタバレこちらもクリスマスに友達からプレゼントで頂いた本の1冊です。
私がSF好きなの知ってて送ってくれたのだけど、こちらはSFと言うよりなんか時代SFファンタジー活劇って感じのお話でした。
恒川光太郎さんの小説で時代物で、漢字の名前が多く最初はなかなか入り込みにくかったのですが、読んでいくうちに金色様って言う完全無垢の存在や、それを取り巻く一族の運命と定めの中で、沢山の登場人物の繋がりや生き様が、物語の時間を前後しながら解き明かされていく様に、ついつい引き込まれてしまいました。
よく読んでないと、登場人物の繋がりがわからなくなりそうなので、何度も頁を戻って確認する事が多かったですw
金色 -