恒川光太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
謎多きマヤ文明を舞台に、架空のエルテカ王国が滅びゆくさまを描いた長編冒険小説。
鈍器本とも称される600ページ越え。最初はなかなか進めません。なにせ馴染みが薄いマヤが舞台であり、話が進む方向がなかなか見えてきません。しかし、だんだん面白くなってきます。
父親を殺され、生贄になるべく誘拐された少年・スレイが主人公。不思議な女性の助けられたスレイはやがて戦士として頭角を現して行く。脇を固めるのは、不思議な武器で各地を彷徨う同世代に友人、謎に包まれた女性の最高神官、父親の仇である貴族の戦士、怪力無双の戦士・・・・。なかなかキャラが楽しい。
やがて、怠惰で横暴な国王に対する反乱が地方で始まり、マヤ文明の特徴である生贄を否定し、ひたすら愛を語る(キリストのごとき)少年を敬う集団の隆盛と相まって拡大していく。そしてさしもの王国も・・・。架空ですがスケールの大きな話です。
冒険小説と言っても単純なアクションものではなく、何処か滅びの哀切感が漂うのが恒川さんらしく。 -
Posted by ブクログ
時間・空間・次元が交差し、離れ、再び巡る。箱庭のように閉じた世界でありながら、広がりはむしろ壮大で、静かな不穏を伴うファンタジー。
六つの短編を、五つの断片が巡回するように結び、全体像を浮かび上がらせる構成が印象的です。
既視感のあるモチーフも、異界性と情感によって恒川さんらしく、読後には“理解しきれないまま残る世界”が静かに広がりました。
「箱の中の王国」
閉じた空間の異界
「スズとギンタの銀時計」
時間からの逃避と追跡
「短時間接着剤」
一時性という制約
「洞察者」
認識の極端化と孤立
「ナチュラロイド」
自然と人工の境界
「円環の夜叉」
存在の循環
繋がりを把握しきれないものもありましたが それも含めて、この作品の魅力なのでしょうか。
再読すると もう一段昇華しそう。 -
Posted by ブクログ
627ページにも及ぶ長編。
装丁から なんとなく重厚なイメージをもっていたのだけれど それに反して文章はやや軽めで読みやすい。
長編のアニメーションをみているような没入感があった。
数千年前 その大地では数多の文明が現れては消えていった。 高度な芸術文化や天文学の知識をもつ一方で天に人間を生贄として捧げ人肉を食べ、戦いに明け暮れる。
数千年にわたり人々の魂は理知と野性の狭間を彷徨した。
本書はそのようななか一時を強国として栄えたエルテカの繁栄と崩壊までを描いている─。
登場人物が みんな魅力的だ。 彼らそれぞれのストーリーもいい。
おかれている立場があり、敵対していたりもするのだけれど 彼らの望んだ世界はそんなに 大きくちがっているとは思えない。
なのに ひとつになることができない……。
現代にも通じるようで なんだか虚しい。
カザム・サクがいったように 人は代を重ねるごとに賢くなるべきなのに …。
個人的にドルコが好きだった。最初は言葉を解することもできなかった彼が カザム・サクのもとで変化していく様子が好ましかった。
フォスト・ザマとドルコの戦いもよかった。
最後まで面白く読めました。
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Posted by ブクログ
★ 4.5
恒川光太郎さんの前作「幽民奇聞」が面白かったので読んでみた。
これまた物語に引き込まれて行く感じ!
箱庭で始まった世界が次第にSFの世界に入っていく。
「箱のなかの王国」
「吸血鬼の旅立ち」
「スズとギンタの銀時計」
「静寂平原」
「短時間接着剤」
「海田才一朗の朝」
「ファンレター」
「ナチュラロイド」
「円環の夜叉」
「最果てから未知へ」
これら一つ一つも面白く、異次元の空間にも移動する。
もうわくわくし通し。
「円環の夜叉」に入って、ちょっと満腹感があって、他の本にう・わ・き(。♡‿♡。)
で、続きを読んだけど、このSF的な物語がなんと繋がっていく!
『すべてのものがゆるやかにつながり、縁を結び、循環していく。それら小さな円環はまた、大きな円環の一部でもある・・・。』
恒川さんの頭の中どうなっているんだろう。
不思議な感じと、昔本を読んでいた頃の感覚と繋がったような感じ。
面白かった〜(♡ω♡ ) ~♪
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Posted by ブクログ
恒川さんの短編集です。
これまで本に収まらず埋もれていた作品と
アンソロジーに収録された作品をまとめたもの。
読み始めて、いつもの古民家ホラーだけでないなあ、ばらけているなあ、
と思っていましたが、そんな一冊なのです。
読み終えて 作者あとがきの作品解説を読みましたら、短編一作づつの背景が見えまして面白くなりました。
「古入道きたりて」
『和菓子のアンソロジー』2014
夏に夜独りだけの時見ることができる山のような巨人、から始まる民話のような幻想のようなお話だったのですが、まさか和菓子の方とは。
「焼け野原のコンティニュー」
『オール讀物』2014 現代作家が描く戦争小説 パニックSF
何度も焼け野原で目覚める男
「白昼夢の森の少女」
『オール讀物』2013 夏のホラー特集
植物に飲み込まれた人達のコミュニティ。
そこに犯罪者が紛れ込む。
かなり力技のストーリーだけど、不思議と穏やか。
「銀の船」
『二十の悪夢 角川ホラー文庫創刊20周年記念アンソロジー』2013 “20”がテーマ
乗船すると 体質が変わり病気もせず年も取らなくなる空飛ぶ銀の船
おそらく、心に何か隙があると誘われてしまうのだろう。
あらゆる土地 あらゆる時代の空に浮かび続ける。しかも そこに意味がない。
そして 何が20だったかわからなかったm(_ _)m
「海辺の別荘で」
『スタートライン 始まりをめぐる19の物語』2010 “始まり”がテーマ
椰子の実花子の一生(個人の感想)
「オレンジボール」
『THE BIG ISSUE JAPAN』2009
ほおおー、これはホームレスの人々が販売する雑誌とのこと、時々お見かけしますね。ストーリー感だそうです。
ボール少年の一生(個人の感想)
「傀儡の路地」
『小説 野生時代』2017
ホラー特集にて
その人形を抱いた女の囁きには逆らえない。
「平成最後のおとしあな」
『幽』2018 平成最後の『幽』で平成テーマの怪談
堕ちやすい穴は逃げられない
「布団窟」
『怪談実話系7』2012 実話怪談依頼
作者唯一の実話怪談だそうです
布団の海に溺れていくような記憶
「夕闇地蔵」
『七つの死者の囁き』 新潮文庫2008
地蔵と呼ばれた少年と 地蔵のようになった少年
「ある春の目隠し」
書き下ろし
日々の終わりの目隠し
作家さん達の お題に対するセンスが問われますよねー
そして 私はテーマのあるアンソロジーが好きなのです