恒川光太郎のレビュー一覧

  • 金色の獣、彼方に向かう

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    安定の内容。ただ、この作家の短編物を続けて読みすぎたか、段々読んでるだけになって心に残らなくなってきた。 やはり読む時期や間隔で感想がだいぶ変わってくる。 少し間隔を空けるか長編ものを読むかにするかな。

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    2020年10月22日
  • 金色の獣、彼方に向かう

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    人智を超越した金色の鼬にまつわる短編4本。元寇を扱った時代小説のような一本目に面食らったが、読み進めればやはり幻想と怪奇の恒川ワールドだった。
    山中に現れる光る竜巻を探す自殺志願者の集まりを描いた『風天孔参り』の、穏やかな死の気配が特に心に残る。

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    2020年09月21日
  • 金色機械

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    ネタバレ

    一大遊郭「舞竜」の創業者である熊悟朗には、心眼と呼ばれる力があった。それは相手の嘘を見抜いたり、自分への殺意が黒い霧として可視できるというもの。
    そんな熊悟朗の元へ、遥香と名乗る女が現れる。彼女にも特殊な力があり、その力とは触れた相手に安らかな死を与えるというものだった。

    そこで物語は遥香の過去に遡る。遥香には実の両親がおらず、祖野新道という医師に娘として育てられた。新道は遥香の手の力を知り、やむをえない場合のみ患者を苦しみから救うために使うことを許可していたが、ある日遥香はカメと呼ばれる厄介者の浪人に襲われ、その力を使ってしまう。カメは絶命したが、遥香の実の両親を殺した者の存在について聞か

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    2020年08月09日
  • 無貌の神

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    神はかつて、人だった。
    人はかつて、神だった。

    人と人ならざるものが共存し、交じり合う、その遣り取りが、
    淡々と、余計な脚色を省いた文体で語られている。
    そして、いくらか時代性を感じさせる舞台設定が、
    彼らと読者とのあいだに充分な距離感を生み出しているように思う。

    その世界では、神は人の上に君臨するのではなく、
    また、人も神を高く祀り崇めるのではなく、
    同じ舞台で生きていた。
    ただ同じ物語のキャラクターとして。

    神に顔が無いのは、人がそれを見てはいけないからなのではなくて、
    神もただのモブに過ぎないからなのではないだろうか。

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    2020年07月11日
  • 雷の季節の終わりに

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    ネタバレ

    地図に載らず、外の世界から少しずれた空間にある土地「隠(おん)」。

    ここでは冬と春の間に、雷季と呼ばれる災いの季節が存在した。雷季には人を攫う鬼が出ると言う…しかしその裏では、雷鳴に紛れ、鬼衆に扮した大人たちが、隠の厄介者を殺処分していた。

    そんな謎の土地に、下界(地図に載っている世界)から来た賢也と茜(姉の様な存在)だったが、茜はその数年後の雷季に姿を消し、茜に代わる様に「風わいわい」と呼ばれる鳥の精霊が賢也に取り憑いた。

    賢也はその存在を隠しながら、同級生の穂高、遼雲、穂高の兄ナギヒサ、ナギヒサの友人たちと楽しい日々を過ごしていたが、1人墓町という所で死者と出会い、ナギヒサが殺人鬼で

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    2020年04月18日
  • 走る?

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    ネタバレ

    スポーツ雑誌 NUMBER Doに連載されたランを題材にした短編小説を集めたアンソロジー。

    ランナーではなく、ランを題材にしているってのがポイント。王道に走る楽しみを描いた小説だけではなく、走ることがイヤになる小説、走らされる小説等各種色が揃っている。出来もマチマチで、トータルで評価すると凡作ってことになってしまうなぁ。アンソロジーはそこが難しい。

    好きな作品は
    「パン買ってこい」中田永一
    「ホープ・ソング」王城夕紀
    「桜の並木の満開の下」遠藤徹

    どれも結局はちゃんとランに目覚める人の話だった。
    読み手によって好みは絶対分かれるだろうなぁ。

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    2020年03月06日
  • 金色機械

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    やっと読み終えた。時間がかかったのは、物語の流れが緩やかであったことと、内容がわかりやすくて、つい雑念が入り込んでしまう、それでまた読み返すということを繰り返した。
    恒川さんの、現実から幻想的な世界に滑り込んでいく物語が好きで読んでいるが、長編は初めてで少し勝手が違った。時系列どおりに進むのではなくて登場人物が現れるごとに、その過去から話が進む。時間の往来があって、現在に合流する形になっている。柔らかい美しい文体で野生的な盗賊たちが描かれているが、何か夢物語めいている。全編を通して恒川ワールドの雰囲気が続いていく。はみ出し物の盗賊たちは殺しもやれば子どもの誘拐もする、情け容赦のない場面もあるが

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    2020年01月20日
  • 走る?

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    走るがテーマですと言われて作家は書くのだろうか?
    走らないこと、走ると飛ぶを比べる人、追いかける人、
    いろいろ読めて面白かった。

    俳優の岩松了のが、なんか後味ぞくっとする。

    「熊の夜戦」
    「いびきが月に届くまで」
    「パン、買ってこい」
    もよかった。

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    2019年12月26日
  • 猫ミス!

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    突出したのはないけど、味わいは全く異なり、読みやすさは全て共通する好印象なアンソロジーでした。

    今年の登録100冊目のはず。
    別に目標数とかはないけれど、区切りの良いところまで届いて意味理由なくちょっと嬉しい気分(笑)

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    2019年11月24日
  • 雷の季節の終わりに

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    壮大な世界観の割には、お話は一つの筋の中で長いけれども細く閉じている印象。
    メインの話だけでなく、途中の何気ない描写がもっと欲しくなる。

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    2019年08月15日
  • 金色の獣、彼方に向かう

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    異神千夜 元寇が物語の舞台となる話、このネタで長編一本で読みたいなぁと思ってしまうのは私だけでしょうか?

    風天孔参り そんな孔が有るのなら私もその孔の向こう側へ行ってみたい。登場人物達から少しだけ人間の嫌な部分を見せられた。

    森の神、夢に帰る いくつかの話がうまく重なり合っている!これぞ常川光太郎といえる良作!

    金色の獣、彼方に向かう 表題作、不思議な獣と少年の出会い 猫の墓掘り 鼬行者など不思議なワードに境界があやふやとなる。

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    2018年12月24日
  • 異神千夜

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    元寇の時代に日本に流れこんで来た鼬の様な妖怪が、短編集ながら形を変えて生き続けていたのかなと思わせられた。
    ここはどこの世界?現実なのか幻なのか?
    恒川さんの世界観が相変わらず面白いが、ちょっと不気味でもあった。

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    2018年10月15日
  • 金色の獣、彼方に向かう

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    金色の鼬にまつわる話。山の外れにあるレストランの店主が山を巡り歩くグループと出会う「風天孔参り」が一番好き。

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    2018年08月16日
  • 異神千夜

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    怖かったけど、一話の蒙古の残虐さが嫌で仕方なかった。
    この作品も改題して、新しく出した本なのねー。
    読んだことなかったからいいけど、こーゆーのやめてほしい本当に。

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    2018年06月17日
  • 猫ミス!

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    バラエティ豊かな執筆陣による、ネコをめぐるアンソロジー。新井素子「黒猫ナイトの冒険」、秋吉理香子「呪い」など物語全7編と、そにしけんじのマンガを収録。

    ねこ絡みの短編集。恒川光太郎、長岡弘樹の作品は作者らしさが出ていた。他の作品はテイストがやや甘過ぎるものなどもあったけれども、総じてそこそこ楽しめた。
    (Ⅽ)

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    2018年01月28日
  • 猫ミス!

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    猫目線、人目線といろんなジャンルの作品が収められてて、楽しめました。個人的には最後の漫画にほっこり(^^)。

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    2018年01月03日
  • 走る?

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    未読の作家のたくさんつまったオムニバス。それぞれの作家の傾向と実力の片鱗がうかかわれて楽しい読書だった。
    走るということは苦しいけど楽しい。そんなテーマに集まった作家たちの目の付け所がみどころか。

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    2017年09月15日
  • 走る?

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    Number Doに連載されていた
    「走る」をテーマにしたアンソロジー

    ある意味読書の対極にあるものが題材ということで、
    なかなかおもしろい切り口だなと思い。

    14本の短編のうち、良かったのベスト3は
    「パン、買ってこい」 中田永一
    「ベランダと道路」 柴崎友香
    「リスタート」 恒川光太郎
    ですね。結局はどれも気持ちよく走ってる感じだったから!

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    2017年08月20日
  • 走る?

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    「走る」をテーマに14人の作家が競作。
    日々のランニングのモチベーションが上がるような疾走感あふれる作品が収録してあるのかと思いつつ手に取りましたが、そこは実力派の先生方。凡人の思い通りにはいきません。思わず膝を打ち、唸ってしまうような「走る」小説が並び、裏切られました(喜)

    14本どれもが個性的で、未知の作家さんとの出会いも。もちろん、苦手な話もありましたが、それも出会いです。
    お気に入りは「パン、買ってこい」(中田永一)、「桜の並木の満開の下」(遠藤徹)、「誰にだって言いぶんはある」(桜井鈴茂)


    人生の半分は現実ではないと彼は思う。
    なぜならば精神が摂取するものの半分以上が、現実では

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    2017年08月16日
  • 金色機械

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    ここで「おすすめ文庫王国」のエンターテインメント部門1位のこの本に取り掛かる。
    廓の大旦那・熊悟朗を遊女になりたいという娘・遥香が訪ねてきた場面から始まる物語は、最初は掴みどころ無く、装丁の地味な印象も相俟って、こうしたお薦めがなければなかなか手に取りそうもない。
    二人の生い立ちが語られる前半はファンタジーと聞いていてもあまりそれらしい匂いもなく進み、時代を行き来しながら描かれる物語は二人の生い立ちからどんどん離れて一体どのように話が展開するのだろうと思わせるが、関係が分からないままでも、次々と出てくる新たな登場人物とそれに付随して繰り広げられるエピソードはまるで大河ドラマの趣で興を逸らさぬ。

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    2017年02月04日