恒川光太郎のレビュー一覧
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ネタバレ今回も面白かった。
最初の短編が結論なく終わったから不完全燃焼と思っていたが、全ての話においてタカシが絡んでおり、彼の島での生活が垣間見れる。
オンも出てきて、他の作品と繋がった。
それぞれの短編で主人公となる人物が決まっており、読みやすかった。
情景描写も鮮やかで行ったことのない島の暮らしが目に浮かぶ。
・南の子供が夜いくところ
一家心中寸前のところユナに手助けされ、南の島にやってきたタカシ。
父親とも母親とも別々の島に暮らすことになる。
結論が出るわけではないけど、タカシは生き延び日本に戻ってきたのかな、と思われる描写が冒頭にある。
母親の勝手で振り回された子供が許さない気持ちわかる。南の子供が夜悪夢を見た時に行くところは、悪夢を取り除いてくれるおばさんの家。
・紫焔樹の島
ある島ではタイトルの樹が一本生えている。実を食べれるのは一年に一度のみ。樹の場所がわかるのは女性だけで、選ばれたものは果実の巫女と呼ばれる。果実の巫女は島の神様トイトイ様と話せる。
果実を食べると不老不死にはならないが、力が漲る程度の効果はある。白と赤の実のうち赤しか食べちゃダメ。主人公はユナ。最後は島全員伝染病で全滅し、ユナが白い実を食べてしまい、イギリスから来たスティーブンと島を離れておわる。
この不思議な設定がもう面白いし、作り込まれた世界観。トイトイ様みたいな神様と私も友達になりない。
・十字路のピンクの屏
タカシの友人のロブが主人公
ロブが会った魔神がロブに変装して女性とキスをする願望を叶えた話。
墓参り、私は全然行かないけど、死体を出して新しい布を巻き直して囲んで宴会する、ってなかなか子供には衝撃的だと思った。
・雲の眠る海
ある島から命からがら逃れた戦士の話。伝説の海龍蛇の民族を探し、島を助けてもらうために旅に出る。結果現代のユナとタカシがいる島に流れつく。
男のいた島は昔水没し遺跡の島となっている。雲が海面に着くほど下がってきて、雲の中を泳いだあと島に着いたこと先にユナたちがいた。タイムスリップもの。男は最後消えた。
・蛸漁師
岬で蛸漁師をしている男が主人公。
蛸漁師に至るまでの一連の事件を語る。この男の息子はユナとタカシに会ったことがある子供だった。彼が死に、検証をした父親が結果的に復讐を果たし、これまでの不思議な一連の顛末復讐した相手の父親に話しているというオチ。
・まどろみのティユルさん
海賊だった男が主人公。ティユルは目が覚めると石になっていた。石だけど話せるし、少しずつ体が土から出てくる。タカシと話すこともできる。子供の頃のユナとも知り合いで、再開は果たせず木になった。オンが出てきた!!
・夜の果樹園
タカシの父親が主人公。タカシに会うためにやってきた島のバスに乗って、終点で降りると犬になっていたところから始まる。犬になって、小鬼になって、アボカドになって、最後は人に戻ってタカシに会えただろう、流れ。何年間ものストーリーに感じるがたった1日だったという神隠し的なオチ。島の裏の野生のフルーツがたくさんなってる廃墟に行ったと考えられる -
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どの話もさすが恒川さんといった感じ。
私が1番印象に残った話は青天狗の乱。恒川作品の中で初めて時代小説を読んだ。見届物を届ける仕事、島流しにあった人の末路、江戸から明治への開花など時代小説として楽しめるだけでなく、不思議な面をめぐるある男の話の、結末がはっきりとわからないからこそ色々と想像を巡らせる楽しみがあった。私の推測は青天狗は島の住民の誰かで、とみせの放火もロショウが青天狗役の住民に託したんじゃないかと思った。根拠としては街中で遭遇したそっくりさんの反応が本当に人違いな感じな印象を受けたのと、青天狗の殺陣シーンがあまりにもプロだったこと、語り手にもとみせの女将の殺人を依頼するくらいだから色んな人に頼んでいそう、っていう薄い根拠ですが。
死神と旅する女も「時影様と時をかける少女」ってタイトルが浮かんだ。解説を読んでサムトの婆様に近い描写があること知ってさすが、と思いました。
解説を読んでわかる設定が多くあってそこもまたいい。夜市の風の古道が私は好きだけど、今回風を感じる作品が多くあって好みに近い小説だった。 -
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スタープレイヤーの続編
前作で言及されていた「ヘブン」の成立のあらましのお話
想い人を亡くしたスタープレイヤーが彼女を復活させる「サージイッキクロニクル」と死者の町で復活した人たちのエピソードが交互に展開される
その2つのエピソードが交わるとき……
サージイッキクロニクルがメインの話
佐伯逸輝が子供の頃の縁を引きずって想いを寄せた華屋律子
華屋律子の訃報を知った佐伯逸輝は籤を引いてスタープレイヤーとして異世界に飛ばされる
事件の記憶をまったく知らない時期の華屋律子を蘇らせた後、世界とのかかわりの中で佐伯逸輝が悟ったもの、作ったものとは……
奴隷制度とか人種差別とか宗教とか、ファンタジーでもやはり人間の業というのは変わらない
犯罪者の人権を無視した行為に関しては若干の胸糞案件に思う人がいるかも
それを仕方がないと思わせるような行動をさせているのも何だか偏ったものを感じる
まぁ、「なろう系」でも同じような胸糞案件はあるので、個人的にはそんなに気にならないかな
ところで、レビという名称はユダヤ教で言うところの師を意味するんだが、そんな意味が込められていたりするんだろうか?
そして、最後に載っていたスタープレイヤーの掟
・スタープレイヤーは、スターボードを使用し<十の願い>という力を与えられる。
・ただし、元の世界に戻るという願いはスタートより100日後でないと叶えられない。
・元の世界に戻る、と願ったら、残り願いの数にかかわらず終了する。
・願いはスターボードで文章の形にする必要がある。
・文章を送るとフルムメアが審査し、それが通れば、願いを確定させることができる。
・抽象的だったり観念的だったり物理法則の土台を変えてしまうような願い、また十の制限を取ったり、矛盾をはらんだ願いは却下される。
・願いを叶えられるのはこの惑星の中だけであり、スターボードの地図に記載されていない場所には何もできない。
自分がスタープレイヤーになったらという仮定は前作の感想で書いているわけだけれども
似たような発想や自分にはなかった系統のものもいくつかありましたね
スターボードそのものを武器にできるようにするというのはいいアイデア
でも、同じ機能を持ったスタープレイヤー同士では普通のバトルになるので完璧ではないかな
なので、他のプレイヤーからのスターボードを介した影響を無効化する機能も追加したい
ただ、そうするとスタープレイヤーからの協力もできなくなるので一長一短ではあるんですけどね
音声認識も想定しなかったわけではない
ただ、音声による命令って使ってみると、意外と融通がきかなかったりうっかりがあったりと、事故が起こりやすいんだよね
あと緊急時に声を出せない状況も考えられるわけで……
なので、フールプルーフを何重も組み込んだ、思考のみで実行できるシステムにする方がいいんじゃなかろうか?
一番叶えてみたい願いは、フルムメアよりも上位権限を持つことだけど、却下されるよねきっと
前作の感想でも書いた通り、何系の主人公になるかによって願いの方向性は変わってくるかなー -
Posted by ブクログ
ネタバレ特に前半に並べられた数作から立ち上ってくる、幕末~明治~大正~昭和に掛けて世に満ちていたであろう濃密な気配は実に独特なもので、それこそ「死神と旅する女」に出てくる時影のような男がそこらを跋扈していたのだろうな…と頷かせる。
小野不由美氏の「東亰異聞」の世界にも通じる色合いというか。
一転、ダークなファンタジーといった趣の「カイムルとラートリー」では、動物好きの読者に過度なストレスを掛けない展開と結末に、ほっと安堵した。
それぞれ、絶対的な説得力を持つ理屈がギミックの裏側に構築されているというわけではないけれど、なんとも言語化しにくい幻想的な魅力を醸しており、改めて著者は短編の名手であると再認識した。 -
Posted by ブクログ
面白かった!昔やったRPGを思い出す。自分が行ったところは地図が更新されるなんて、まさにそのものじゃないか。
『スタープレイヤー』よりもずっと楽しかったので、本の分厚さがうれしくて。
フィールドが広くなったのと、2つの世界の物語が交錯することによって、話に深みが出たと思う。
1つ目の世界は前作同様、白くて大きな男のくじ引きにより、スタープレイヤーとしてやってきた男の話。
2つ目の世界は、死んだ人たちが何故か生き返って、でも元の場所ではない違う世界で新たな歴史を作っていく話。
どちらの話も面白いし、もちろんこの2つの世界は物語の後半、意外な繋がりがあることが分かるのだが、それもなかなかいい。
前回は女性だったスタープレイヤーは今回は男性で、わたしの苦手なタイプだ、嫌いだなと思いながら読んでいた。でも、彼の気持ちもやってしまったことも、痛いくらいよく分かるけど。
スターを10個全部使ったって、愛する人の心は操れない。
『スタープレイヤー』を読んでから、こちらを読むのが絶対にいい。スタープレイヤーの基礎知識を仕入れてからのほうが、断然読みやすいと思う。
具体的な願いであれば大抵のことが叶う。ひとつのスターで、複数の異なる種類の願いを一度にすることができてしまう。でもそれは数に限りがあって、10個使ってしまったらお終いだ。
わたしだったらどんなことを願うか。そして、他人のためにいくつスターを使うことができるか。元の世界に戻るためにそれを使うか。
色々なことを考える。真剣に考える。そんな世界、決して存在しないと知っているのに。
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Posted by ブクログ
ネタバレ再読でも面白かったです。
長編では恒川さんのノスタルジックでダークで容赦ない世界にじっくり浸れます。
『穏』も、この世の理とはかなり違う決まりで動いている世界。暮らしているのは人だろうけど、限りなく彼岸に近い世界だと思います。
賢也パートと茜パートの時系列が違う事に気付くとゾッとしました。賢也の、雷の季節に消えた姉が茜だったとは…。
その中でも外れまくっているのが絶対悪・トバムネキだけれど、彼も歪んだ理由はあって。それでも、無間地獄に堕ちるのは壮絶。
早田さんは何者なんだろ。穏の血を引く者ではあるっぽいけど。
賢也が最終的に穏に戻れないのは、やっぱり穏での階級で穂高の家より下だからなのかな。苦い。
あとがき、恒川さんの印象が変わりました。これからも読んでいきたいです。