恒川光太郎のレビュー一覧
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ネタバレ【収録作品】無貌の神/青天狗の乱/死神と旅する女/十二月の悪魔/廃墟団地の風人/カイムルとラートリー
「無謀の神」顔のない神がいる村。時折、赤い橋を渡ってよそ者が来る。橋を渡って向こう側へ帰ることができるのは、ある条件を満たさなかった者だけ。ホラー。
「青天狗の乱」流人島を舞台とした時代もの。
「死神と旅する女」死神にさらわれた無垢で空っぽの少女・フジ。約束を果たして戻り、二児の母となった彼女の元に再び死神が現れる。世界線が分かれる話で好み。
「十二月の悪魔」記憶を失いつつある老人のアイデンティティ・クライシス。近未来小説、か。考えると怖い。
「廃墟団地の風人」空からおちたゴーストと転校してきて居場所のない少年。孤独な少年たちの友情譚がいい。
「カイムルとラートリー」人語を解する崑崙虎・カイムルと下半身の不自由な、千里眼もちの姫・ラートリーとの出会い。淡々と語られる冒険譚が豊か。 -
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ネタバレ全てのお話が、胡弓の調べで紡がれるでーじ上等の「弥勒節」みたいでとてもよかった。
恒川さんの物語は昔話みたいだし、異界がすぐ隣にある世界だけれど、この作品集は舞台が沖縄というのもあり、更に異界とこちらが共存しているなと感じました。それが住む人たちにとってあたり前なのも。
そして、沖縄を描くには沖縄戦を描かないわけにはいかない、というところも誠実です。沖縄が経てきた悲しみから沖縄戦を外すことはできません。
「月夜の夢の、帰り道」「私はフーイー」がよかった。やり直すきっかけだったり、道を切り開いたり。
「ニョラ穴」「夜のパーラー」は真逆で、それも怖かったです。 -
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ネタバレ後半からぐんぐん面白くなって引き込まれていくストーリーが良かった。ファンタジーと現実が混じり合い、この先どうなっていくのだろうと思った断片が繋がっていくのが面白かった。
隠のなかは平和だというが、異端が強制的に排除されていくような場所が平和なわけがない。隠は、私の知っている世界とはまた別の閉鎖的な残酷さに満ちていて、そのなかで次第に逞しくなっていく主人公・賢也が心強かった。
一度はトバムネキに奪われた人生だが、人々の助けもあり最終的には自分の力で取り戻したことに救いを感じた。同じく、家を出る選択肢しかなかった茜に、立ち上がる強い気持ちがあることにも。
いつかは大人にならなきゃいけない、自ら選んで歩んで行かなくてはならない、という成長を感じさせる話でもあった。その先には誰にも真似できない自分の人生が待っていてきっと実感が得られるのだと思う。 -
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ネタバレ再読。今回もひんやり涼しく、楽しく読みました。
小さな島なのかと思っていましたがかなり広いトロンバス島。コミュニティが小さくないからおおらかなのか、ユナを始めとして不思議な存在がたくさんあるから、今更変わった事があっても…みたいになるのか。いいな、南の島。
トロンバス島が舞台じゃないお話もあってそちらは時代が違うけれど、その他は「こう繋がるんだ…」というゾクッと感があって良かったです。
「まどろみのティユルさん」が今回も好き。ソノバのご先祖、「穏」の出身なのか。あの町から離れたら、一処に留まれずこの世界を巡り廻る定めなのかもしれない…と思ってしまう。それはそれとして、ティユルさんはこれからも大きな木陰を作って微睡んでるんだろうなと、聳え立つ菩提樹が目に浮かぶようです。
タカシも波乱万丈だけれど、父ケイタもなかなか…フルーツタウンで迷子になってる場合じゃない。タカシ、トロンバス島に来られて良かったね…一家心中で死ななくて、というより、この両親のもとで育ってたらひねくれてそう。
話数が多い連作短編集だと、恒川ワールドは時間にも広がりを見せてくるのが良かったです。滅びる場所もあるけど、何百年も続いてきて、また続いていく世界を感じられました。