毎回感じることだけど、恒川さんは本当に凄い作家さん。毎回違う作品を生み出す。
「また同じか…」がない。
そして、新作を出す度に「これが最高傑作だ」と思う。最高傑作が毎回上書きされていくってなかなかない。
恒川作品は現実ではない世界の物語が主。アニメで言う異世界ものに近い。今回はマルチバース(多元世
...続きを読む界)ファンタジー。
でも、アニメと違って非現実と現実のバランスが絶妙でファンタジー過ぎないのが良いところ。
今回の作品は異世界・多元世界に何千年もの時間軸が加わって、全てが繋がっているという設定で規模が大きい。
小説の入り口は現代の普通の世界なのに、どんどん話が大きくなっていく。
個人の話であるのに、個人の行動が大きな出来事に繋がって、壮大な世界に展開していく。
御涙頂戴的なところがなく、説教じみた教訓的なところもない。それでいて真に深い「人生とは」がある。
そこが恒川作品の良いところ。
いやはや、もう脱帽です。凄いです、としか言いようがない。