恒川光太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
この作品を読んで恒川光太郎さんの大ファンになり、他の作品もほぼすべて読みましたが、私の中では今なおこの『夜市』を超えるものに出会えていません。
日本ホラー小説大賞を受賞した表題作「夜市」は、妖怪たちが怪しい品々を売買する異世界の市へと迷い込むファンタジーホラーです。単に怖いだけでなく、どこか不安でいて美しく幻想的、そしてノスタルジックな世界観に心地よく浸ることができます。
また、同時収録されている「風の古道」も素晴らしく、個人的には夜市よりも好みでした。「よくぞこんな世界を生み出したな」と感嘆させられます。2作とも、夏の終わりに読みたくなるような、しっとりと心に染みる名作です。
読後は切なくも余韻の残る不思議な感覚に包まれ、ほんの少しだけ異世界を垣間見た人間たちが、これからどのように生きていくのかと思いを馳せたくなる一冊です。 -
Posted by ブクログ
それこそきっかけがないと、エンタメ系やファンタジーものは読まない、というのがこの本を読んで分かった。私は今まで内面描写重視の小説を好んで読んできて、ファンタジーなんてもってのほか!と思っていたけど、課題本で読んでみたら、1.5日で読んでしまった!1日目にもう200ページは突破していて、無我夢中で読んでいた。
最近周りに、「内面描写系は読まない。実生活で経験してるので十分だから」という人に出会うことが多くて、その人たちの気持ちがわからなかったけど、やっとわかった。時間もお金もかけてわざわざ読むのだから、遠いところへ自分を連れてっていってくれる本というのもまた格別なのである。
読んでる途中で、小学生のときにはてしない物語を読んでときの興奮していた自分を思い出した。30年ぐらい前だというのに、このタイミングで思い出したというのは、当時の感情と今の感情が重なった部分があったという証拠だろう。
読む本の幅が広がりました。 -
Posted by ブクログ
地図を見た途端、うわぁ、ファンタジーだったか!!と頭を抱えたが、なんとか読み切った。言いたいことはなんとなくわかった。
孝平はトラックに幅寄せされたところで記憶が途絶えていて、日本どころか世界のどこにも見えない場所で目覚めた。死者の国だという。
孝平の友達の佐伯は大学に行き、法学部に入る。佐伯が華屋律子に交際を申し込んだ翌日殺された。佐伯は大学を休学。砂浜で妙な男の差し出したクジをひき、スタープレイヤーという世界に放り込まれる。10個の願いを叶えてくれるらしい。家とオアシスを作り、華屋律子を生き返らせることも可能らしい。華屋律子と藤沢市を召喚する。
孝平、智美、新文、瑠璃は街の探検を始める。葉山を名乗る暴走族と小学生みたいな子供たちにも出会う。釣りをして魚やエビを手に入れた。孝平は魚を捌く。仲間もだんだん増える。みんな徐々にホテルを出ていく。孝平も一人暮らしを試してみる。自殺者が出る。世界の地図を作る探検隊に志願する。
佐伯と華屋の世界にヘリコプターに乗ったフランス人3人がくるが、英語が通じない。2日後に出発。この旅でもし死んでも、記憶があり復活するようプログラムをかけておく。ヘリはロデムに着く。ここではレゾナ島のレオナルドがスタープレイヤーであるようだ。そこでいろんなスタープレイヤーの夢の楽園についての話を聞く。レゾナ島では2000人が住んでいて、訓練さえ受ければヘリを使える。2人はリゾナ島に滞在することに決めた。
孝平たちの住む街はヘブンと名づけられた。孝平は葉山と組んで野生生活している。ヘブン暦ができた。ヘブンニュースも作られる。日刊ではない。崖に階段があったので登ってみたら、ヘブンは盆地だとわかった。獣に襲われる。葉山が足をやられる。葉山を背負っていくとアスファルトとデパートにぶちあたる。
佐伯たちはフランス語を習う。佐伯がスタープレイヤーであり、華屋律子をこの世界に呼んだことがバレたのに、なおも隠そうとしたために喧嘩になり華屋は出て行った。一時休戦してイストレイヤのフランス語家庭教師の旅についていくことになった。奴隷市場でフランス人の子を救出するが、東洋人は見捨てられる。華屋には自分を殺した元彼の記憶がない。佐伯は真実の証明ができない。喧嘩は続く。華屋とイリヤがつきあいはじめ、イリヤが佐伯を殺しにくる。撃退して逮捕する。佐伯は島を去ることにする。
孝平はデパートからお米とカレーを取ってきて作る。亀の甲羅を背負って這っているニッカと出会う。何か知っていそうだ。ニッカは死者ではないらしい。
佐伯は奴隷のレビを買う。旅をする。宗教都市のギーナにくる。ラーナ教徒にならないと、聖人には会えないようだ。いきなり信徒になって聖人に加えられる。サージイッキという称号を得て、シェーンヒメルのマキオに会いにいくことになる。
ニッカはバベルの塔で智美の姉の美幸といた。美幸も亀だった。智美が復活すると聞いて美幸は死を望んで殺された。ニッカは智美に会いにいく。
サージイッキはマキオに会いにいく。溺れて死にかけるが、レビのおかげで助かる。
ヘブンから探索隊が自転車に乗っていくと、藤沢市に行き当たる。
-
Posted by ブクログ
最初に、太陽を維持するために人間の心臓を捧げる儀式が出てきて、佐藤究さんの『テスカトリポカ』を思い出した。テスカトリポカはアステカ神話、ジャガーワールドはマヤ文明、どちらもメキシコを含むメソアメリカ。
帯にある通り、滅びゆく国の物語なのだけど、人間の物語とも言える。
今、世界が平和じゃないから余計に心に響いた。
とてもとても興味深くて、ぐんぐん読めた。
そして、たくさんたくさん考えた。
フォスト・ザマとカザム・サク、神官同士の論戦部分は特に考えさせられた。
国を為すのは難しい。
本を読むたびに思うことだけど、政治家はこういう〈人間について書かれた歴史小説〉を読むべきだと思う。
色々な人間のそれぞれの考え、それぞれの生き方、そういうのを客観的に見ることで正しい道が見えてくるかも知れない。