あらすじ
妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。野球部のヒーローとして成長した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。そして今夜、弟を買い戻すため、裕司は再び夜市を訪れた――。奇跡的な美しさに満ちた感動のエンディング! 魂を揺さぶる、日本ホラー小説大賞受賞作。
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Posted by ブクログ
幻想的な世界観と空気感がとても好きだった。現実と異界の境界が曖昧で、「どこかに本当にありそう」と思わせる雰囲気が心地よい。 特に心に残ったのは『風の古道』。 何もかも綺麗に解決しないこと、奇跡で帳尻を合わせないこと、それでも登場人物がそれぞれの人生を受け入れて前へ進いていくこと。その静かな余韻がとても好きだった。 レンの潔さというか、どうにもならないことを受け入れる強さにも惹かれた。悲しい物語なのに、不思議と読後感は澄んでいて、「綺麗な話だったな」と思えた。 幻想的な空気に浸りたい夜に読みたい一冊。
Posted by ブクログ
ホラーだと身構えていましたが、怖いというよりは、不思議な異世界の夜の市場に迷い込んだようなファンタジー感があってワクワクしました。恒川さんの描く独特な世界観や文章の雰囲気がすごく好きで、どんどん先が気になって一気に読んでしまいました。
でも、物語が進むにつれてまさかの展開になり、本当にびっくり。
特にラストの、もう元の世界には戻れないんだと突きつけられるような終わり方は、すごく辛くて胸の奥がゾワゾワとしました。読み終わった後も、あの夜市の空気感がずっと頭から離れません。
向こう側の世界にめっちゃ行ってみたいめっちゃ気になるが、絶対に行かない。帰ってこれないと嫌だから。
Posted by ブクログ
2つの物語が描かれている。
1つ目は夜市。
2人の人間が夜市に行く話。
そこには昔、お兄さんが夜市から出るために弟を人攫いに売った。何年か後、お兄さんは大金を持って弟を買いなおそうとした。
だが、弟は売られた後、逃走し、若さを売り、お爺さんになっていた。そのおじいさんが、夜市を案内してくれた人だった。
2つめは古道というところに小学生2人の男の子が入り、出るまでにとある古道で産まれたため、一生、古道から出られない少年と出会う。
色々あって、小学生の1人が死んだ。
結果は生き残った小学生は家に帰り、死んだもう一人の小学生は生き返らせることができず、
幽霊として古道の先に歩いて行った。
妖怪系の話が好きな人にはおすすめ。
結末が予想外でそれも楽しい。
Posted by ブクログ
約170ページで、2つのお話が書かれています。読みやすいボリュームでした。
どちらのお話も、うすーく繋がっているような表現がありました。
この2編のお話の読後感は、どちらも切ないです。決してバッドエンドではないんですが、手放しでは喜べない終わり方でした。
独特の世界観があります。その場の風景や主人公たちの心情を表す表現がそうさせているように感じました。また、「学校蝙蝠」や「永久追放者」、「人攫い」などのネーミングセンスがそうさせているようにも感じました。
この本はホラー小説を薦める文脈の記事かなにかで見つけて読んだのですが、ホラーというよりファンタジーのような印象を受けました。
この著者の作品は初めて読んだのですが、こういう世界観の作品をもっと読みたくなりました。まさに、引き込まれました。
Posted by ブクログ
私にはあまりホラー感は感じられなかった。幻想的な異世界に迷い込んだというイメージ。
2編とも迷い込んだ世界でどう判断し行動するか、ハラハラさせられた。
筆者の言いたいことは『風の古道』最後の五行にあるのだろう。
人は皆「際限のない迷路のただなか」にいるのかもしれない。
そして何か定めのようなものには抗えないのだろう。
余談だが、表紙の金魚はなんだ?金魚すくいの話が出てくると思っていたのだが笑。
Posted by ブクログ
ホラーというからおどろおどろしい感じなのかと思いきや、そうではなかった。とても神秘的で美しい物語だった。描写の仕方なのかな?綺麗な言葉を紡ぐ人だなと感じた。
私たちの世界の裏側に本当にありそうな異界の存在、ファンタジーのようなワクワク感、切ない別れ、驚きの真実、最近読んだ小説の中でいちばん好きだ。
Posted by ブクログ
率直に、とても好みな作品でした。
読んでいる最中はまるでここから一生出られないような、気がついたら汗が滲んでいる そんな没入感を味わえました。たしかに日本的なじっとりとした怖さがあり、ホラーというカテゴリではありますが、欲や情といった人間心理が物語の根幹といえるほど丁寧に描かれています。2つ作品が収録されていますが、どちらも決してネタバレを踏まずに読んでいただきたいです。恒川さんの生み出すノスタルジーに惚れてしまったので、他の作品も網羅したいと思います。
Posted by ブクログ
お話は2話収録。両方とも面白かったけど個人的には2話目が好みでした。夜市も好きですが。
両作品とも、どこかノスタルジーで、日本のホラー的な世界観は少しじめっとした感じがしますが、読後はモヤモヤ残らずスッキリしました。
Posted by ブクログ
ホラーはホラーなんだろうけど、子供の頃見た河童の映画みたいな、ファンタジーに近い感覚だった。「異世界との間の夜市」「異世界に通じる道」等、全世界にありそうなファンタジーではあるけれども、世界観に日本のエッセンスが溢れていて読んでいてとてもワクワクした。
Posted by ブクログ
ほんのりホラーの不思議な話。初めて読むタイプの本でした。
すごくよかったから色んな人にオススメしたいのに、この本の魅力を伝える語彙力が私にはない…
まぁ読んでもらわないと分からないので、とりあえずみんな読んで!!
Posted by ブクログ
収録作の「夜市」と「風の古道」は、前後はわからないが、どちらかがどちらかの焼き直しのようで、期待外れに思った。しかし、解説にもあったように、平易であることにより無駄のない洗練された筆致は読者をやる気にさせるものに感じた。
結構ファンタジー強めで、ホラーが薄いのでホラーということで読むのをためらうのはもったいないと思います。
内容というよりも、文章の書き方からくる雰囲気がなんだかじわじわきて良い。
Posted by ブクログ
ホラーというより幻想小説に近いな、幻想小説はちょっと苦手かもと思ったけど、読み進めていくうちに払拭されるぐらい幻想とホラーと現実が交互に出てくる。とにかく文章が巧みで、情緒的でノスタルジックなんだけど、過度にディテールを書き込まないので想像に委ねられてる部分が幻想小説までいかない部分なのかも?とおもった
これは成長の物語ではない。
何も終わりはしないし、変化も、克服もしない。
この文が本当に良かった
Posted by ブクログ
ホラーは興味はあるけど眠れなくなりそうなので敬遠している
ただこの夜市や風の古道は妖しい雰囲気の中に登場人物のキャラクターが十二分に発揮されていていつまでも物語に浸っていたい感覚になる
初めて読んだ作家さんであるが他の作品も読んでみたいと思った
Posted by ブクログ
子どもの頃、帰り道で「この角を曲がったら、知らない世界へ行けるんじゃないか」と想像したことはありませんか。
大人になると、そんな空想はいつの間にか忘れてしまいます。でも『夜市』は、その感覚を静かによみがえらせてくれる物語でした。
舞台は、森の奥に現れた不思議な市場「夜市」。そこでは欲しいものは何でも手に入ります。ただし、その代償はあまりにも残酷です。主人公・裕司は幼い頃、ある大切なものと引き換えに才能を手に入れました。そして二十歳になった彼は、その過去を取り戻すため、再び夜市を訪れます。
この作品の魅力は、怖さよりも空気感にあります。異形の者たちが歩き回る市場なのに、なぜか懐かしい。夕暮れのお祭りや、神社の裏山、子どもの頃に感じた「何かがいそう」という感覚が、ページをめくるたびによみがえってきます。
一方で、この世界のルールはどこまでも理不尽です。「代償なく願いは叶わない」という冷酷さが物語全体を貫き、幻想的な世界をただ美しいだけでは終わらせません。その緊張感があるからこそ、登場人物たちの選択や優しさが、より深く胸に響きました。
ページ数は200ページほど。それなのに長編を読み終えたような満足感があります。
ホラーというより、美しくて少し切ない幻想文学。日常からほんの少し離れて、現実と異世界の境界を歩いてみたい夜に、ぜひ読んでほしい一冊です。
Posted by ブクログ
異世界と過去と現在が上手にスリリングに結びついて読む手が止まらなかった!
夜市然り古道然り自分で自分の運命を選ばなければ生きられない状況が何度も出てくるが、それは異世界に迷い込んだ人間だけの話ではない。こうやって日常を過ごす中でだって沢山の選択をし続けて、私達はいつだって片方を選べばもう片方には戻れなくなってるのだ。と気付かされる1冊。
Posted by ブクログ
この本、夜に一人で読むとちょっと不思議な気分になる。
一応ホラーらしいのだが、読んでみると全然違う。夜の闇に浮かぶ古い提灯のような、静かで美しい幻想の物語だった。
普通のホラーみたいなぞっとする怖さはまるでなく、ただただ情景が心に染みて、ふっと息が止まる瞬間が何度もあった。
「夜市」と「風の古道」の二編は、どちらも言葉の織りなす空気が不思議で、読み進めているうちに現実と夢の境目が溶けていくような気がする。
派手な仕掛けはないのに、なぜか胸の奥に重いものが残る。
生きることの業のようなものを、静かに、でも確かに感じさせられた。うまく説明できないけれど、ただ美しいだけではない、切ない余韻がある。
次は長編も読んでみたいと思う。
Posted by ブクログ
これがデビュー作か。
凄いな。
この前、1番新しいジャガーワールドを読んでからの、ずっと積読してたこのデビュー作。
夜市、めっちゃ面白い。2番目のも面白いけど、夜市!
パラレルワールドかー。小学生のとき「やかんねこ」を夢中で読んでたな。
弟は本当にいた世界にまた存在したのかな………。私はいま何が凄く1番欲しいかなって考えたけど、何もなかった(・ัω・ั)
Posted by ブクログ
サクッと読めた。
ホラー小説と書いてあるけど怪異などのホラー要素がある切ない系の話だった。
夜市と風の古道の2作品が掲載されていて、特に風の古道が私は好きだった。
子どもの方が不思議な道とか物とか見つけやすそうだな。
夜市も設定が面白くて、主人公の弟がよく頑張ったと思った。
Posted by ブクログ
ホラーというひと括りじゃなく、どこか切ない人間愛も描かれていて怖いだけではない作品。
ふとしたことで人間の世界とはかけ離れた場所に迷い込み、出られなくなる。
ホラーを読んで感傷的な、切ない気持ちにになるのは初めてでした。
Posted by ブクログ
ホラーとしてはそこまで怖くは無いものの普段読書をしない私でも一日で読み切れた程読みやすく、入り込みやすい内容でした。
一つを選べば他の風景を見ることは叶わない。
私は永遠の迷子のごとく独り歩いている。
Posted by ブクログ
もっと早く読んでおけばよかった…
ホラーなんだけど、現実と異界の狭間に迷い込んでしまうような、神隠し的な怖さ。切なさと郷愁、夏の空気。
表題作も「夏の古道」もめちゃくちゃよいです。
中高生にすすめたいなー。
Posted by ブクログ
表題作「夜市」が恒川さんのデビュー作。
正直、「夜市」自体はホラーの文脈に
エンタメの要素を入れ込んだところに新しさはあったように思うけれど、
エンタメに親しんだ人ならあまり意外性は感じられないんじゃないかと思った。
それよりももう一つ収録されていた「風の古道」がおもしろかった。
「夜市」と構成としては似通った部分があるのだけれど、
平坦にも映る道程から突然来る驚きに見事にやられた。
とても鮮烈な読書体験だった。
匿名
ジャンルとしてはホラーだがそこまで怖くないので、初めてのホラーにオススメ!
そして、世界観が幻想的で美しい。
ノスタルジックで少し切なくなるような作品が好きな読者に読んでいただきたい。
夜市、お勧めです。
夜市を人から勧められて、久しぶりに本を読もうと思って本屋に行ったら、取り寄せと言われたので、ブックライブで購入して読みました。サクサク読めて、面白さに引き込まれ、あっという間に読んでしまいました。ミステリーではあるんでしょうが、童話ぽっいような、人間味溢れる所もあり不思議な世界の話しで、今どきの異世界漫画のような情景が読みとれて凄く面白かったです。
また、同じ作家の他の作品を読んでみたいと思いました。
Posted by ブクログ
キューライスさんの表紙が欲しくて、
普段なら買わないジャンルを読んでみたら、
まー、面白いこと面白いこと。
『夜市』も引き込まれて面白かったが、
それ以上に『風の古道』がよかった。
子どもの頃に一度しか行けなかった道や、
そこで出会った人や、
その感覚を思い出されて、
心象風景が鮮やかに浮かび上がった。
ホラー映画やドラマが好きなので、
今度からは小説も読もう。
Posted by ブクログ
設定こそファンタジーのようでありながら、漂う空気はまぎれもなく幽玄なホラー。
本を閉じた後も「本当にどこかに異界があるのかもしれない」と思わされるような、現実の奥深さが増す幻想的な余韻に心地よく浸れる一冊だった。
表題作も素晴らしかったが、個人的には同時収録の『風の古道』にそれ以上の衝撃を受け、深く魅了されてしまった。
特に、友達を救うための旅の果てに待つ結末には胸が締め付けられる。
異界の絶対的なルールの前には人間の願いなど無力であり、諦めて別れを受け入れるしかないラストには、切なさと深い疲労感が漂っていた。
ガイドの青年の過去を通して描かれる現実社会の闇が、物語の効果的なスパイスとして機能していて、その現実感のバランスが巧みだと感じた。
現実との線引きが絶妙なため、ホラーが苦手な私でも怖さに怯えることはなかった。
美しくも容赦のない異界の空気に、しばらくの間ずっと浸っていたくなる名作。
Posted by ブクログ
不気味さと爽やかさが混じり合った、他では味わえない雰囲気のホラーだった。
収録されている短編2つとも、どこか懐かしいような空気感がする。描写は丁寧だけど簡潔でくどくない語り口なのも好き。
話の進みは緩やかながら、予想外の方向に二転三転するので、気づいたら一気読みしていた。
Posted by ブクログ
甘い羊羹食った後に苦いお茶をいただいた気分。
もちろん古道がお茶ね。
短く、簡潔で必要以上に語らない印象。構成、会話、結末もシンプル。
ファンタジーを描写しつつ設定にホラーに盛り込んだ感じがする。
唯一無二だったであろう描写は今ではシンプルかもしれん......でも登場人物の描写の引き出しの多さには驚いたな、それでさえ必要以上に書かないから「あぁ、いい描写だな」でひたすら楽しい。
まあやっぱり書き出しはインパクトありますね。序盤からファンタジーをぶちかましてきた!って感じ。読者がファンタジーの脳に切り替えやすい。
結末は予想できないなぁ。夜市も古道も復讐劇が織り込まれてたね。あと、頼りになるキャラの過去が壮絶で意外な人物って部分も膝を叩いた。
以上、異界を描いた良い小説でした。
Posted by ブクログ
ほぼ初めてのホラー作品でしたが、どちらかというとファンタジーよりな感じがしました。
怖いのは苦手ですがこちらはさらっと読めてホラー初心者にはとても向いていると思います。
イヤミスっぽさのある夜市と、あたたかみのある古道どちらにも違った良さがあってページ数的には少ないのに読みごえたがありました。
これがデビュー作とのことで、他の作品も気になります。