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妖怪たちが様々な品物を売る不思議な市場「夜市」。ここでは望むものが何でも手に入る。小学生の時に夜市に迷い込んだ裕司は、自分の弟と引き換えに「野球の才能」を買った。野球部のヒーローとして成長した裕司だったが、弟を売ったことに罪悪感を抱き続けてきた。そして今夜、弟を買い戻すため、裕司は再び夜市を訪れた――。奇跡的な美しさに満ちた感動のエンディング! 魂を揺さぶる、日本ホラー小説大賞受賞作。
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Posted by ブクログ
ホラー小説が読みたい!と前から気になっていた「夜市」を読みました。短めのお話で、何よりノスタルジックな雰囲気が良い!妖しい世界に迷い込んだ不思議な読書体験でした。
ゆっくり過ごしたい晩夏にちょうどいい短編集かも。ホラーだけど怖がらせるためのホラーじゃなくてそっと存在する怪異みたいな世界が優しくて懐かしくてさみしくて、穏やかな読後感が良かった。キャラクターが立っていて魅力的だし文章の景色がとてもきれいなので映画というより穏やかなアニメみたいだった。恒川光太郎氏の...続きを読む作品は初めて読んだけど、同世代だからなんだろうか自分の子供時代と似た雰囲気を感じた。表題作も、2作目も両方大好きで、早速作者の別の本を購入した。 景色ありありと浮かぶように描かれていてそれらがすごく素晴らしいので映像化したらとてもみたい、誰か映像化してくれないかなって思う。
恒川さんにハマったきっかけの一冊。 世界観が好きすぎる。怖くて綺麗。 本当に自分が迷い込んでるかのような初めての感覚でした。本ってすごい。
なんだこの爽やかさは。 夜市も風の古道も、ついついその世界に足を踏み入れたくなるような魅力を放っている。まるでそこに吹く風や香りが感じられるようである。 しかし、その世界のルールはたとえ相手が子どもであっても甘くない。この辺がファンタジーじゃなくてホラーに分類される理由なのかな。
幼い頃、読書をしない母が珍しく面白いと言っていた本。『風の古道』が好きだと言っていたのを今でも覚えている。当時は表題の『夜市』が圧倒的に面白く母の気持ちが理解出来なかったが今ではとても良く分かる。そして今回、何度目の再読かわからないかわ相変わらず素晴らしい作品だと思った。一体何人の人間がこの文章にあ...続きを読むてられ小説を書き、劣化版夜市を生み出したのだろうかと思いも巡らせずには居られない。そんな作品。 ■夜市 テーマがまず魅力的である。妖怪のような生き物が市場を開いていてそこに入り込んでしまう主人公。似たテーマの作品を探していたこともあったが結局自分が読みたいのは『夜市』なのだと気付かされ探すのをやめた。読んでから感想を書くのに間が空いてしまったので今回はこの辺で。また読んだら書こうと思う。『風の古道』は直後に書いたのでちゃんとしてます。 ■風の古道 これはよく言われることではあるが私も『夜市』より『風の古道』の方が好きな人間だ。日常の裏にこんな古道があり、奇々怪々が行き来しているという恐怖心と好奇心が刺激されるのがたまらない。今回読み返して大半の読者はカズキは生き返らないと思いつつ読んでいるのではないか?と思った。ストーリー上は生き返るということで進んでいくのだが読者は生き返らないと思っている不思議な状況。作中生き返るような描写があれば読者も生き返ると思いそうなものだがそうなっていない。なぜか?それは風の古道が理として書かれているからではないか。ここでは死という理だが、理は平等だ。誰かに優しくしたり厳しくしたりすることはい。そして覆ることも無い。死という絶対的な理はカズキだけを生き返らせたりしない。暗にそう思っているからカズキが生き返らないと思いながら雨の寺を目指す主人公を見ているのではないか
ホラー文庫となってるけど、怖い話ではないのでぜひ一度読んで貰いたいオススメ一冊。 世界観・ストーリー展開が面白かった。 淡々と静かに引き込まれていく感じがいい。 ホラーというより、不思議な話に近い。 ●夜市 ●風の古道 …の2作品。 どちらも日常から不思議な場所に迷い込んでしまったようなストーリ...続きを読むー。 『風の古道』は勝手にジブリ雰囲気(千と千尋の神隠し、トトロあたり)を感じた。未舗装の田舎道とか…平成初期の小学時代を思い出しました。
めっちゃ好き、私の幻想小説の入り口の本なんだけど木のようなその場から動けないものから生き物まで繊細に描写する そう言う細かさが幻想小説なのに想像しやすい!っていギャップを作ってると思う。
ジャンルはホラーなのだけど、入り込んだ世界が幻想的で、読んでいるうちに不思議で美しく妖しい別世界に迷い込んだような気持ちになっていました。
収録されてる2作はどちらも好きだけど、 風の古道がとても好き。 物語全体の雰囲気はもちろん、 たまに見える美しい情景に憂いがある素晴らしい作品 不思議と懐かしさを感じる。 多くの人間にあった「あの永遠の夏」の匂いがする。 この世で一番好きな作品。 2025/11/1 久しぶりに読み返した。 夜...続きを読む市では、特に語られることなく、 すぐさま物語に没入するような展開のスピード感が素晴らしい。 オチは読めず、久しぶりに読んだこともあり忘れていた。 新鮮に楽しめた。 風の古道では、まさかの以前住んでた街の話だった。 本作を読んだのは高校生の時だったが、 武蔵野市や、多摩湖自転車道は以前住んでいた場所で、 よくランニングをしていた道だった。 期せずしてこの場所に導かれていたことに運命的なものを感じる。 作品そのものはやはり何回読んでも色褪せず美しい。 美しい情景描写と緻密に練り上げられたストーリー、 人間的な感受性と成長がファンタジックな世界観で描かれる。 大好きな作品だと改めて思った。
表題作「夜市」も「風の古道」も、ホラーというより幻想的な物語。現実のすぐ隣に異界があるような、不思議で少し怖い世界観に惹き込まれた。どちらの物語でも、子どもたちは理不尽で悲しい出来事に巻き込まれていくけれど、その中で見せる選択や迷いに人間らしさが滲んでいて心に残る。 解説にあった「行きはよいよい、帰...続きを読むりは怖い」という言葉がまさにぴったりで、読みながら何度もぞっとした。異界と現実の境が曖昧に溶け合うような描写も印象的で、怖さと同時に切なさも感じる。 決してハッピーエンドではないのに、最後には不思議とすがすがしさが残る、余韻の深い物語だった。
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