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Posted by ブクログ
日常のすぐ隣に、ふとした拍子に迷い込んでしまいそうな異界。その静かで美しく、どこか懐かしい情景が目の前に浮かび、夢の中を歩いているような感覚で一気に読んだ。「夜市」と「風の古道」は異なる物語でありながら、どちらにも人間の願いや選択、取り戻せないものへの思いが描かれている。何が起こるか分からない不気味さの中に、切なさと温かさが溶け合う独特の世界観が魅力的だった。
派手に泣かせるのではなく、読み終えたあとから場面や言葉の意味がじわじわと胸に広がり、いつまでも余韻が残るという感じ。
怖い話というより、美しくも残酷な現代の寓話のような作品で、静かな幻想譚や、少し不思議で切ない物語が好きな人にぜひ薦めたい一冊!
Posted by ブクログ
この作品を読んで恒川光太郎さんの大ファンになり、他の作品もほぼすべて読みましたが、私の中では今なおこの『夜市』を超えるものに出会えていません。
日本ホラー小説大賞を受賞した表題作「夜市」は、妖怪たちが怪しい品々を売買する異世界の市へと迷い込むファンタジーホラーです。単に怖いだけでなく、どこか不安でいて美しく幻想的、そしてノスタルジックな世界観に心地よく浸ることができます。
また、同時収録されている「風の古道」も素晴らしく、個人的には夜市よりも好みでした。「よくぞこんな世界を生み出したな」と感嘆させられます。2作とも、夏の終わりに読みたくなるような、しっとりと心に染みる名作です。
読後は切なくも余韻の残る不思議な感覚に包まれ、ほんの少しだけ異世界を垣間見た人間たちが、これからどのように生きていくのかと思いを馳せたくなる一冊です。
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