恒川光太郎のレビュー一覧

  • 化物園
    『人の醜さと共に生きた化け猫ホラー短編集』

    前半はスプラッター・ホラー的な作品から始まり、後半はホラー・ファンタジー的な作品で終わる作風の幅の広さは、まさに恒川ワールド! 最後の「音楽の子供たち」がお気に入り。化物園最大の見世物は、人間だったのか?!
  • 無貌の神
    6篇全てが傑作の、恒川ワールド全開な短篇集。
    ファンタジーやホラーというジャンルを超えてむしろ神話の領域に近い幻想小説なのに、文体がとにかく読みやすく平易で、にも関わらず唯一無二。
    冒頭の1行目を読んだ瞬間から、たちまちその世界観に呑み込まれてしまう…
    東雅夫さんの解説もとっても素敵だったな。
    「恒...続きを読む
  • 秋の牢獄
    同じ秋の1日を繰り返す秋の牢獄。
    前半は割と呑気に1日を繰り返していた。
    天気も良くてのほほんとした感じ。その日に使ったお金も寝て起きたら戻っているなんてちょっと羨ましいような。
    でもその1日が例えば体調不良の日なら、夜寝て朝起きてもずっと体調不良の繰り返し。
    割と洒落にならない日を過ごしている人や...続きを読む
  • 化物園
    玉石混交だが、自己を正当化し社会に反抗する者へのアンチテーゼとホラーファンタジーを融合させた良作。

    最後の『音楽の子供たち』が好みでした。

    「考えなくてもいいことは考えない方がいい。実はこれも賢さのひとつです。」
  • 化物園
    最後まで読み終えて初めて沸いてくる清涼感が不思議でした。表紙の繊細なタッチで描かれた猿、帯の「人間はおもしろい。だが、飼ってはならぬ。」そして始まる短編は倫理観の欠如した欲深い人間たちが死んでいく……今回の小説は人間よりも遥かに叡智な生き物が出てきて、人間の愚かな生を、ちょうど私たちが本を読む時にあ...続きを読む
  • 化物園
    何年も前に読んだことがあった作家さん。タイトルに惹かれて久しぶりに再会。
    読ませる読ませる。
    幻想的なのにやけにリアル。時間と場所を自在に操る文章がとても心地良く、すんなりと頭に入ってくる。
    分かったようで分からない。でも、そこが良い。
    私にピタリと合っているんだなあと思い、
    こういう本に出会えたの...続きを読む
  • 箱庭の巡礼者たち

    あとでまた最初から読む

    話が進むごとに異世界度が上がっていく短編集。
    いろんな合間に読み進めましたが、続きを読みたい気持ちと読み終わりたくない気持ちがせめぎあう数日間でした。各話のおまけエピソードみたいな話が挟まっていて、ちょっと得した気持ちになります。
    これは良い本です。
  • 再生 角川ホラー文庫ベストセレクション
    色々な作家さんの作品が読めるホラーアンソロジー。
    怖かった…!
    特に今邑彩さんの「鳥の巣」、小池真理子さんの「ゾフィーの手袋」は、後半にかけて恐怖がヒタヒタと迫り来てゾッとした。
    岩井志麻子さんの「依って件の如し」は、怖さよりも文章のリズム感と情景描写が美しすぎて感動させられた。
    もっとこの人の作品...続きを読む
  • 滅びの園
    面白かった。
    鈴上は悪人なのか?でもその場その場で手に入れたささやかな幸せを守りたくて、何が悪いだろう。
    人はその人その人の感じたことでしか、何かを判断することはできないと思う。
    鈴上の身に起こったことから語り起こされるので、まず鈴上とかれの身近な良い人たちに感情移入してしまう。
    そもそも鈴上のそれ...続きを読む
  • 雷の季節の終わりに
    現世から隔離された地「穏」。
    そこでは春夏秋冬の他に、雷季と呼ばれる神の季節があった。

    恒川さん作品を読むのはこれで6作目ですが、1、2を争うほど好き。
    どこか懐かしく切なく残酷な物語に一瞬で引き込まれる。
    恒川さんの長編作品好きだなぁ。
  • 月夜の島渡り
    久しぶりの読書。
    久しぶりの恒川光太郎 。夏になると彼の作品が読みたくなる。ので、未読だったこちらの短編集を。
    やっぱり彼の描く異界と、現実世界とが交わる時の滲むように曖昧な境界の表現が大好きだ。

    七篇の中でも特に『弥勒節』が気に入った。序盤に森で老婆に会うシーン、死者と語らっているとは思えない不...続きを読む
  • 竜が最後に帰る場所
    恒川光太郎作品、初読です。
    カバーにある通り、本屋でまず夜行を少し読んでみたところ、不思議と惹かれたので購入しました。

    後書きにもありましたが、全体として
    現実→ファンタジーへとどんどん染まっていく感じが読んでいてとても不思議で心地よかったです。

    この方の作品について特に魅力だと感じた点が二つあ...続きを読む
  • スタープレイヤー
    10個の願いが叶うとしたら何を願うのか。
    叶えられる10個の願いを通して、主人公が成長していき、最初は自分のために、終盤はみんなのために願いを使う。そんな成長の物語。

    描写が丁寧なのか、情景がパッと目に浮かぶし、読み終えてから冒頭にあった地図を見てみると、自分が想像していた通りの地図が広がっていた...続きを読む
  • 滅びの園
    ホラーやファンタジーを得意とする著者がSFに挑戦した作品である。『スタープレイヤー』シリーズもSFの要素を孕んだ作品だが、本作はこれまでの恒川作品と一線を画している。

    突如サラリーマンの鈴上は知らない世界で目が覚める。最初は困惑した鈴上だが、そこの住民の温かさや不自由のない生活に安らぎを感じていた...続きを読む
  • 金色機械
    めったに読まないファンタジー小説。
    ファンタジーの要素は確かにあるけれど、ひとつの時代小説として読める

  • 月夜の島渡り
    面白かった。現実的な非現実、ありそうもないありそうな話。絶妙なバランスで、特に沖縄好きにはたまらない。
  • 雷の季節の終わりに
    現実とは少しズレた場所に存在する異国、穏。そこで冬季と春季の間にごく短い間にだけ、雷季と呼ばれる雷が鳴り狂う季節がある。ある年の雷季に姉が失踪してしまった少年は、不思議な存在「風わいわい」と出会い、自身のルーツに纏わる騒動に巻き込まれる…。

    ↑の少年や、その友人、現実世界の少女など何人かの視点に切...続きを読む
  • 秋の牢獄
    久しぶりに再読。大まかな話の筋しか記憶になかったので、新鮮に楽しめた。表題作も好きだが、神家没落もあらためて面白さを感じた。本当に怖いのは人なんだなぁ、とあらためて実感。。
  • 金色機械
    恒川氏の長編

    月から来たとされる金色様
    人の殺意が見える男
    触れた相手の命を終わらせる女

    人の生き死に、人の善悪をテーマにした江戸ファンタジー

    章ごとに時代と舞台がいったりきたりしますが、
    文章がうまいのであまり混乱せずに読めます。
    混乱したまま読んでも恒川氏の「幻想的」な世界に引き込まれたと...続きを読む
  • 秋の牢獄
    『時間に、家に、幻に囚われ続けた人達の幻想物語』

    11月7日を繰り返す人。
    転々と移動を繰り返す家に捉えられた人。
    幻を自在に操る能力を得た人。

    自分の意志とは裏腹に、束縛を受け続ける人たちの苦悩と快感を、恒川ワールド全開の幻想的な文章で綴る。