恒川光太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ好き!
個人的に誠一は、『みんなを苦しめてすまない。自分が悪かった』と億が1に思うことがあったとしても、あの看護師に殺されていた気がする。
大前提として『《未知なるもの》に攫われた被害者』であると同時に『多数のために幸せを奪われて不幸な現実に突き戻された敵国の民』という立場なのを理解しておかなくちゃいけない。
「ここは夢です。幻の世界です。家族もみんないなくなるし、貴方も死ぬ可能性が九割ですが、世界を救って死ねるなら本望ですよね?良い生き方ですよね」
なんて言われて納得するかぼけ!!
自暴自棄入ってるとはいえ交渉下手くそか!!
その人は年月をかけて幻想を現実だと認識してるんだよ!?
でも、同時に『多くの人が死ぬ要因のひとつ』となった事実も残っていて……
今回の看護師は突入者の家族を殺された、暴言を吐かれ続けたという大義名分があるけれど、まあ、なくても『気に食わないから殺す、自分のように不幸になれ』と手を出していたに違いない。
野夏がされたように、自分のために他人を悪だと決めつけたい人は沢山いるだろうから。
だから、看護師と誠一は大きな差は感じない。
悪人(魔物)を成敗した。
どちらも今いる場所が現実だと信じて疑わなかった。
でも決定的に異なるのは、誠一は他者へ向け向けられる愛に由来にしていて、看護師はただの恨みでしかなくて、言い訳を取り繕って感情で動いていたところ。
だから、ふたりの信念には小さいけど明確な差が有るように私は思う -
Posted by ブクログ
八歳の夏、ぼくの住む町に百年に一度と呼ばれるような大雨が降り、母が行方不明になった。大雨の翌日、ぼくはがらくたの集まりの中に、妙な「箱」を見つける。数日後、気配がしてその箱を開けると、中には箱庭ができていた。鳥が飛び、熊のような動物が歩き、人間たちがみな生きて動いていた。その翌日、母の遺体が見つかった。その箱庭の中に、母に似ている人物を見つけた。いったいこの箱はなんなのだろう……。
ということで本作は、五つのジャンルをゆるやかに越境していく短編とその間に挟み込まれた断片によって、やがて大きな広がりを見せていく連作短編集になっています。個人的に好きなのが、「箱の中の王国」と「短時間接着剤」の二篇で、特に「箱の中の王国」のドライな語り口で綴られた別れの際の若干の素っ気なさが、やがて切なさに繋がってくるラストの切ない余韻がとても好きでした。 -
Posted by ブクログ
大好きな恒川さん作品!!こ、こわーー!!!!こわい!!!!ちょっとメタバース的な?緩やかに繋がっている世界線の人たちの話で、それぞれ短編なんだけど、さまよえる絵描きが、森へっていう話がこわすぎた。『…かもしれませんね』みたいな余韻あると、読み手がどう捉えるかで幽霊系ともサスペンス系ともとれて恐怖のジャンルが変わるのがやばい(語彙力)し、どれだとしても結局怖い。夜に読むな、トイレ行けなくなる。それと、見たらいけないものがそこにありそうな予感とか緊張感を描くのがうますぎる。まじで。でもこういうこわさを表現する作家がわたしはほんとうに好きです!!!!
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Posted by ブクログ
タイトル『それはそれはよく燃えた』の1文から始まるショートショート集。
ネットの炎上、恋心、火事など、こんなものまで「燃える」のかと思える作家25人の25作を1冊の本で読めるのはとても贅沢。
でも後味は25作25様で、ほっこり甘いものもあれば苦々しいもの、ざらっと心地悪いものなど本当にさまざま。
クイズノックのファンなので河村拓哉さん目当てでこのシリーズを読み始めたが、矢樹純さん、三津田信三さんなど、このシリーズは毎回新しい作家さんと出会えて、読書の幅が広がって嬉しい
私は総じてホラーが好きなので、今回の『それはそれはよく燃えた』はぞくっとする話が多くて、とても好み。不穏で悲しくて残酷。年末年始たっぷり楽しめた