あらすじ
11月7日水曜日。女子大生の藍は秋のその一日を何度も繰り返している。朝になれば全てがリセットされる日々。この繰り返しに終わりは来るのか──。圧倒的な切なさと美しさに満ちた傑作中編集。
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11月7日という一日を繰り返し続ける女性の視点で展開されるわけだが、
同じ日が延々と続くという奇妙な状況は、単なる怪異ではなく、むしろ自分達が日々の中で無意識に支えにしている「明日がくる」という希望の「脆さ」を浮き彫りにしているように思う。
死後の世界を誰も知らぬように、自らの有限な肉体と時間の束縛の中でもがきながら生きている。
それでも、1日の終わりに「いろいろあったが、悪い一日ではなかった」と思えるならそれはひとつの救いであり贅沢な事なのだと本編を読んでそう思う。
「幻は夜に成長する」は醜悪かつ後味の悪い「人間の怖さ」を描きながらも、どこか登場人物が見せる夢幻のような美しさが作中には漂っている。
「肉体は魂の牢獄」という言葉があるが、人が人として生きること自体が、ある意味ではこの世の「牢獄」なのかもしれないと作品を読んで感じた
秋という季節は、楽しい行事が多い一方で、だんだんと寒く夜が長くなり、
自然の色が褪せていく寂しい季節でもある。
そんな秋の静けさの中で読むには、「秋の牢獄」ほどぴったりな本はないと思う。
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『秋の牢獄』は、一日をループする物語。この短編は、通常の物語の起承転結ではなく、起の後に、承が何度もあり、小さな転のあと、すぐに結がきていきなり終わる。タイトルにもある「秋」のように、ゆったりと、だが早く物語のなかで時間が過ぎてゆく。最後に主人公やほかの人物たちがどうなったか分からないのも、より味を出していた。
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表題作含む3編が収録されていました
秋の牢獄
神家没落
幻は夜に成長する
秋の牢獄は同じ1日を繰り返す時間の牢獄に囚われた人のお話。
神家没落は家に囚われたは人のお話。
幻は夜に成長するは幻術(精神の幽閉?)に囚われた人のお話。
どのお話もラストが幻想的で切なさも混じっており素敵でした。恒川さんの作品は世界観や言葉のセンスがとっても好み!
表題作はとある1日から抜け出せなくなる中で仲間を見つけ、どうしたらこの1日から抜け出せるのか、その先はどうなるかなど考えることがたくさん。そんな中で少しずつ仲間が減っていき、登場人物たちの気持ちも変化していく様子が丁寧に描かれていてよかったです!
2つ目の作品の主人公が次に交代した家守がまさかの…という伏線の回収もよかった、こういう伏線回収の仕方好き!
最後の作品はちょっと私には難しかったけど、不思議な世界観を味わっていました
解説を読んでさらに物語への理解が深まりました
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夜市のような恒川さんの最も強いと思うダークだけどそれよりも不思議なファンタジー感に溢れる作品集。
「秋の牢獄」「神家没落」「幻は夜に成長する」
すべて時間や場所なんかに囚われる話が共通です。
秋の牢獄も神家没落もほんの少し体験したくなる魅力がある。
幻は~は胸糞人間と展開が多くて辛くなる。
秋の牢獄の北風伯爵との最後の何ともいえない邂逅シーンが幻想的で大好きです。
11月7日に読みたくなる。
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恒川さんの本3冊目読破
夜市に魅入られ全部読みたいとおもってるんですが、今のところハズレなし。私の大好きなスタイル。こんなに面白いお話を作れるのかと毎回脱帽する。次は何を読もうかと迷うが、時間はたっぷりあるので、私も噛み締めて読んでいきたい。
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はい、好きーーーーー私この小説好きー‼︎
秋の牢獄がたまんないねえ。
このあり得なさそうで実はありそうな現実感が良き。
家の近くにある空き家と思ってるお家も実は‥‥とか考えたら楽しくなっちゃうね。
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恒川光太郎さんの作品は「夜市」が好きで、フォローさせてもらってる方の感想でこちらも手にとりました。
結論から言うと『良い』。
読んでホラー感は薄いけれども、いざその境遇になることになったらもちろんゾッとする。
不思議は不思議なまま置いておきながら、納得してしまうお話が心地よく感じてしまう。
つかみどころのない出来事で終わりが想像に任せる感じだが、それがバチッとはまった作品で大好きになりました。
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秋真っ盛りのこの時期に読むことをずっと前から計画していたので、銀杏並木の木の下で読んでみた。
11/7から一日も進まなくなってしまった世界線での生活の中に、どこか青春めいたものを感じる「秋の牢獄」
1人では出ることができない家を舞台に、予想としない角度からの急展開が繰り広げられる「神家没落」
祖母から受け継いだ魔法を持った少女の絶望を描く「幻は夜に成長する」
ホラー小説としてよく名の挙がる「夜市」も読みましたが、その時と同様に恒川光太郎さんはただ怖いだけで終わらない物語を描く作家だな思いました。
3つは全く違う内容ですが、それぞれにある種の”切なさ”を内包されているため、怖くてゾッとしつつもノスタルジックな気持ちになるという、不思議な読書体験ができました。
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秋の牢獄、神家没落、幻は夜に成長する
の3編からなる短編集
個人的には神家没落がとても好み。
恒川光太郎氏の作品は、幻想的なのにこの世に存在するかのように描くことが出来る所が好きだが、
この本は特にそれが強く感じた。
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三篇のお話からなる本ですがどれも違った味わいがあり好きです。
恒川さんの世界はいつも美しくうっとりすることが多い反面、いきなり切りつけられるような残酷さが鮮やかに引き立つような気がします。
二つ目の迷家の話が特にそうで、主人公とともに幻想にひたっていたのに突然現実をつきつけられ、なかなか衝撃がありました。
でもそこが好き!
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面白かった。「神家没落」が人気だが、「幻は夜に成長する」が私は一番好き。冒頭比喩のようであったものが、何一つ比喩でないと気付かされた時の戦慄、結末の圧倒的カタルシス!やっちまえ!!!という気分になる。
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11月7日を何度も繰り返す女子大生、ひょんなことから奇妙な家に囚われた男、不思議な力を持った少女の数奇な運命の三者三様の幻想的な三編が収録された短編集で、美しくも恐ろしい世界観や登場人物の心情の変化が精緻に描写されていて味わい深い作品だった。
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『夜市』から大ファンになり恒川さんの本で2作目に秋の牢獄を読破。
恒川さんの書く話はかなり王道ホラーと言うよりかはファンタジー寄りなんですが、怖いところはしっかり怖くて、その上での幻想的で儚さを感じ、そして切なくもなるような、そんな不思議な気持ちにさせてくれるので大好きです。
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面白かった!読みやすいのに雰囲気が圧倒的だし、どれも異世界や非現実的な設定の話なのにそこに現れる苦悩は私たちの世界の風刺であるようなドキりとする言葉がたくさん出てくる。
2話目の神家没落が1番好き。
だいぶ昔に読んだ夜市をもう一度読み返したくなった。
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「夜市」が とても好みでしたので
恒川さんの小説を読みたいと思っておりまして
「秋の牢獄」
ある年の11月7日を繰り返す人々
どんな変化をつけても11月7日の朝がやってくる
時間による拘束世界
「神家没落」
ある山中の民家から 翁の代わりとなって出られなくなってしまう男
そこは神域 場所による拘束世界
「幼は夜にに成長する」
幼児期ある教団に誘拐され監禁生活を強いられた少女 解放されてからも幼術にとらわれる
拘束される世界だけれど
当事者達には そこが生きる場所となりつつあり
恒川さんの 古民家ホラーやっぱり好きです
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『夜市』に次いで2作目の恒川光太郎。
この方の本、読み尽くしたい。やはり好きだ。文が。表現が。世界観が。
表題作含めて短編3作なのだけど、どれも好きなので一番が決められない。
何度も同じ日を繰り返す「秋の牢獄」、突然現れる神の家に、たまたま閉じ込められてしまう男の話「神家没落」、幻を見せる力を持った祖母に育てられた女の子の行く末を描いた「幻は夜に成長する」。
どれも不思議なことが起こっているのに、この世のどこかではあるかもしれない気がしてくる。いや少し昔に戻ればあったかも…?なんて。
読みながら不穏な雰囲気を背中に感じているのに、もっと知りたくなってしまうような、少し先から手招きされてるような。
恒川光太郎が生み出す世界に、もっと迷い込みたい。
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『秋の牢獄』『神家没落』『幻は夜に成長する』の3作品が収録されていて、特に『神家没落』が好きでした。
恒川光太郎さんはどの作品も着想が面白いというか、独特のルールを設けられた世界が魅力的なのですが、『神家没落』の移動式の家は、わたしも一度住んでみたいと思いました。
主食がマンゴー芋と美味しい水でよければ自給自足で暮らせるし、何より人間関係に悩む事なく生きられるのがいいなぁと思いました。
寂しくなる時もあるかもしれませんが、たまに迷い込んできた人とお話しできればそれで良いかな、と
d( ̄  ̄)
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恒川光太郎のホラー短編。無限とも思える時間に囚われる物語。特に「秋の牢獄」は秀逸。未来のない人間の空虚がにじみ出る。ノスタルジックなところも好き。
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『竜が最後〜』に続き、恒川作品四作目。表題作。同じ日が何度も繰り返すというホラー作品。私だったら……まず職場のムカつく奴を○すわ。あとは——これ以上は書けませんわ。外道過ぎて…。アナタならどう過ごしますか。とても人間性が見える作品で良かったです笑
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あっ!もう11月8日やわ!
良かった〜
もう一回というか、何度も同じ日の繰り返しって精神的にキツい。
何しても、元に戻るってのは、魅力的やけど、無限ループなんか嫌や。
3つの短編集やけど、どれも牢獄というか囚われてる。
11月7日という時、
家という空間、
幻術という力。
いずれの作品も最終的には、解放に向かうんやけど、そこは、違った形で。
ホラーというより、民話というか、世にも奇妙な物語というか…
こういう、何か身近にあるような恐怖。
「ないわ〜こんなん〜」って思って後ろ向いたら…
「あれ???」みたいな…
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読んだ最初の感想は、藤子F不二雄のSF(少し不思議)ワールドの読後感に似ている、だった。
ホラーだと思って読んだのだが、民話のようでもあり、SFのようでもあり、何というか少し不思議な世界だった。
文体も寓話的なので残酷なシーンも静かで清潔な印象を受ける。感情的にもなりすぎない淡々としていながら登場人物の孤独が伝わってくる。
村上春樹が藤子不二雄のノベライズをしたら、こんな感じかもしれない。
三話とも主人公に共通するのが、「持ってしまった者の孤独」。
・秋の牢獄
普通の女子大生が同じ一日をループする世界で、同じ境遇の仲間と出会い、別れる話。
・神家没落
空間を異動する屋敷の主にされてしまった男が、代わりの人間を見つけて逃げ出すが、新たな主には問題があって解決しようとする話。
・幻は夜に成長する
不思議な能力を継いだ少女が、思想団体に利用される話。
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静かで残酷な狂気に魅了された…!
牢獄を受け入れる→受動的な脱出→能動的な脱出にしている話の流れ良いですね
恒川光太郎の他の作品も読んでみたい
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ホラーというよりファンタジー。
読みやすくあっという間に読み終わったけれど、感情移入や共感はあまりできなくて、怖さもあまり感じないので、ホラー苦手という人にもおすすめ。
ファンタジー要素があるからこそ、やっぱり一番怖いのは人間なのだなと思った。
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★3の中。
ホラー&SF&ファンタジー。
短編3作。
・秋の牢獄
時に囚われる。
・神家没落
家に囚われる。
・幻は夜に成長する
幻に囚われる。
薄暗くて寂しい感じが持ち味。
きっと同じアイディアを持った誰かが書いてもこんなふうにはならないんだろうな。
それが個性か?
この書きっぷり。そこはかとなく美味でした。
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表題作を含む三編を収録した短編集。
簡潔な言葉で紡がれる、幻想性を帯びた不思議な物語に魅了されました。
自分が気づいていないだけで、日常のすぐ隣に異世界に通じる何かがあるのかもと、想像することが怖くもあり、楽しくもあります。
表題作をベストに挙げる方が多いような気がしますが、個人的にはノスタルジジックな雰囲気と、登場人物の心の中に潜む、狂気のような感情の対比が印象的な、「神家没落」が好みです。
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随分前に読んだ記憶。表題作の記憶はほとんどないんですが、『神家没落』は自分には結構衝撃な話だったので、今もよく覚えています。オチもぼんやりと覚えてる。この作家さんの話は色んな面白い設定があって、それが自分にカチッと合う話だと何年経ってもすごく覚えてるけど、そうじゃないと全く忘れてる笑
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恒川光太郎さんの『夜市』の世界観が
好きなので、次に手に取った本。
三編からなる短編集。
明日はこれをしよう、あれをしようと考えているということは、今日過ごした1日とは違う、新しい明日が来ることに、希望を感じているからなんだなぁと気付かされる。
他人を陥れようとか、自分が優位に立ちたい、とか、嫌いな人に対する蔑みの気持ち…
人のネガティブな心理や態度がリアルに描かれていて、ざわっと嫌な気持ちになる。
なのに、物語全体に漂う雰囲気は、穏やかでどこか懐かしい感じもするのが不思議。
Posted by ブクログ
【収録作品】秋の牢獄/神家没落/幻は夜に成長する
いずれも「囚われた」人の話。
「秋の牢獄」は、同じ一日を繰り返す。何をしても目覚めると同じ日。主人公たちは現象は理解するが、解決策はない。まさにホラー。
「神家没落」は、移動する「家」から出られない。こちらは主人公がルールに従って出る方法がある。
「幻は…」は、主人公が力を蓄えれば出られそう。
「秋の牢獄」と「神家」は、人によっては救いかもしれないと思えてしまうのがまたホラー。
Posted by ブクログ
夜市で有名な恒川光太郎さんの囚われた人を描いた短編集です。同じ一日を繰り返す「秋の牢獄」、日本中を旅する藁葺小屋に閉じ込まれる「神家没落」、そして牢屋に閉じ込まれた幻術を使う人の物語「幻は夜に成長する」の三編です。 恒川光太郎さんの作品は、怪奇小説というよりは現代を舞台にした幻想小説という印象が強いですが、秋の夜長に読めばよかったと後悔するような作品でした。
タイムリープ目当てだったが…
タイムリプ作品を探して発見したが、ホラー作品だった。どれも後味が良くない作品で、自分にはあまりはまらなかった。どこか超自然的な内容があって世にも不思議な物語のような感じもした。