恒川光太郎のレビュー一覧
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小さな島で過ごしていた少年の平穏な日々は、エルテカ王国の襲撃によって壊れてしまう。捕獲された少年は生贄として館に囚われの身となってしまうが、謎の女性の助けを経て、新たな生活の場を得るようになる。やがて成長するとともにエルテカで暮らすようになった彼は、遠国パレンザへの遠征のために組織された大軍勢の一員となる。そこで彼はひとりの男に目をとめる。軍団長の中のひとりが、父親を殺した男だったからだ。復讐心を抱きつつも遠征ははじまり――。
というのが本書の導入。導入どころか、長い長い物語の導入の導入くらい。マヤ文明に材を採った架空の国家を舞台にした歴史ファンタジーで、ある程度、中心となる人物はいるの -
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かなり好みのファンタジー作家の恒川光太郎さん。
7つ全ての話が沖縄を舞台としていて、読んでいて異界に迷い込んでしまったような感覚になりました。
そして毎度のことですが、恒川光太郎さんの作品はファンタジー要素だけではなく、必ず現実との繋がりがあります。
(別人の中に魂だけが蘇る主人公が、実際に起きた沖縄での戦争に巻き込まれたり…)
異世界に浸っていたらいきなり現実に落とし込まれたり、逆に現実から異世界に引きづり込まれたり…
現実も遠くない位置に”異界”が存在している沖縄に、魅了されっぱなしでした。
また、一面に広がるサトウキビ畑や亀甲墓、突如現れる「わん」「えー」などの方言など、どこか独特な沖縄 -
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ネタバレ伝奇SF。再読ですが、何度読んでもこの世界に取り込まれてワクワク読んでしまいます。面白かった。
長編でも、寂しさを覚える読後感は変わりません。
地球に降り立った金色様の、永い幕引き…と思うと大変寂しい。
相手や自分を、許す許さない…がぐらぐら揺れ続けるのも良かった。
「筋か。この世の恐ろしいところはな、筋などというものは、本当はどこにも存在しないのだ。ただ、筋を通した、通っていないと当事者とその周囲の者がいうだけでな」
不思議な力を持つ遥香のことを邪険にせず、謎すぎる存在の金色様のことも邪険にせず「違う種類の神様だけど」みたいに接するお年寄りたち、おおらかだなぁ。
日常と異常が無理なく共存 -
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11月7日という一日を繰り返し続ける女性の視点で展開されるわけだが、
同じ日が延々と続くという奇妙な状況は、単なる怪異ではなく、むしろ自分達が日々の中で無意識に支えにしている「明日がくる」という希望の「脆さ」を浮き彫りにしているように思う。
死後の世界を誰も知らぬように、自らの有限な肉体と時間の束縛の中でもがきながら生きている。
それでも、1日の終わりに「いろいろあったが、悪い一日ではなかった」と思えるならそれはひとつの救いであり贅沢な事なのだと本編を読んでそう思う。
「幻は夜に成長する」は醜悪かつ後味の悪い「人間の怖さ」を描きながらも、どこか登場人物が見せる夢幻のような美しさが作中には漂 -
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ネタバレミステリー読み飽きてきた体にファンタジーが染みるゥ!そろそろファンタジー読みたいなあと思っていたら、まさかのファンタジーもので最高でした。箱の話からいろんな世界が繋がっていて、未来の未来の未来の終わりまであると思いませんでした。面白いなあ。文章も読みやすくて好きです。時計を投げて解決させる▶︎投げた先で時間が止まってしまうの話の流れが好きです。もっとこの世界のいろんな話を読みたくなってしまいますね。
夜市を調べていてホラーを書く作者さんなのかなーと思って手に取った本だったのですが、予想外のファンタジーで最高です。たぶん読んだタイミングがめちゃ良かったです。 -
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「人と化物の境界線」がどこにあるのかを考えさせられた。
登場人物は人の皮を被った化物なのか、
それとも化物のように醜い心を持った人間なのか、その判別すら曖昧になっていく。
結局のところ恐怖の根源は外側にある異形ではなく、人間の奥底に潜む狂気や醜さそのものであると感じさせられる。
作中では「ケシヨウ」と呼ばれる魔物が怪しく徘徊し、まるで本編の深淵へのガイドのように登場するのが強く印象に残る。
ケシヨウは人間の負の感情を感知して姿を現し、
そのおぞましさは鏡のように人間の心の闇を映し出しているように思う。
災厄を生み出すのは常に人間の側であり、ケシヨウはそれに引き寄せられる存在に過ぎないのかな -
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ネタバレ
子供向けながらも、大人でも面白いということと、好きな作家が何人か書いていたので読んでみた。面白かった。特に最後の恩田陸のはすごかった…。
「象の眠る山」田中啓文
象眠山(ぞうみんやま)というのが出てくるので、象?ガネーシャ?と連想させておいて、正体は昆虫。最後のオチも、もしかしたら寄生されたかも、というもの。
それでも、UMA的な存在や、横道という解説キャラが出てくるので面白かった。横道が解説して助けてくれる、便利すぎるキャラ。
「とりかえっこ」木犀あこ
人頭(じんとう)という怪異。出現条件がピンポイントすぎる。何か元ネタがあるのか?50.65センチというのは人の肩幅?何から来てるんだ -
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何とか読み進めて最後の章まで行ったが、正直に言うとそれまであまりこの本にハマれていなかった。もちろん話が面白くない訳ではなく、単に自分が求めていた恒川光太郎さんの世界観ではなかったというだけだが。しかし、最後の章 音楽の子どもたちの出来がそれまでの思いを全て払拭してくれるくらい素晴らしかった。何なら作者の代表作 夜市 にも引けを取らないくらい面白かった。
あらすじ 外界から遮断された世界(妖精の国) で生活していくには、管理人的立ち位置である風喎が満足するような演奏を行う必要がある。十二人の少年少女は物心着く前から孤立した世界で暮らし、楽器と向き合っていくが、やがて自由を求める者が現れ -