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Posted by ブクログ
「人と化物の境界線」がどこにあるのかを考えさせられた。
登場人物は人の皮を被った化物なのか、
それとも化物のように醜い心を持った人間なのか、その判別すら曖昧になっていく。
結局のところ恐怖の根源は外側にある異形ではなく、人間の奥底に潜む狂気や醜さそのものであると感じさせられる。
作中では「ケシヨウ」と呼ばれる魔物が怪しく徘徊し、まるで本編の深淵へのガイドのように登場するのが強く印象に残る。
ケシヨウは人間の負の感情を感知して姿を現し、
そのおぞましさは鏡のように人間の心の闇を映し出しているように思う。
災厄を生み出すのは常に人間の側であり、ケシヨウはそれに引き寄せられる存在に過ぎないのかな。
ケシヨウが化物であるなら、人間もまた同じく化物である。人間と化物の境界は崩れ去り、自分自身の心の奥底にも同じおぞましさが潜んでいるのではないかと疑わざるを得ない読感がある。
Posted by ブクログ
最も好きな幻想作家の一人恒川光太郎の作品集。文庫化されたので再読。まず「ケシヨウ」なる魔にまつわる短編が五編。しかしケシヨウという魔物の話ではなく人間の醜さいやらしさどうしようもなさを描いていて幻想味は薄め。何がどうなったのやら曖昧模糊とした結末のものもある。そして寄る辺のない「リュク」という少年が、聖者として崇められる人物(じつはダウォンなる妖魔)に導かれる物語。みなしごの人生の行き着いた先にえもいわれぬ感動が。最後は「風禍」なる不思議な存在が生み出した異界に育つ音楽の子供達の物語。このように美しく不思議な異界を想像力で創造し多くの言葉を重ねないにもかかわらず豊かに紡ぎ上げる恒川の筆力にうっとりする。やはり結末には静謐な深い感動がある。やはりダウォンも風禍もケシヨウと同じ種族の存在なのだと思う。しかし、帯に「身の毛もよだつ、究極のホラー七篇!」とあるのがいただけない。もうそろそろ恒川作品を「ホラー」と言うのをやめてほしい(ホラー小説が良くないといいいたいのではない)。「ホラー」だなどするから「あまり怖くなかった」とか「もの足りなかった」などという的外れで愚かなレビューを書く輩がでてくるのだ。
Posted by ブクログ
何とか読み進めて最後の章まで行ったが、正直に言うとそれまであまりこの本にハマれていなかった。もちろん話が面白くない訳ではなく、単に自分が求めていた恒川光太郎さんの世界観ではなかったというだけだが。しかし、最後の章 音楽の子どもたちの出来がそれまでの思いを全て払拭してくれるくらい素晴らしかった。何なら作者の代表作 夜市 にも引けを取らないくらい面白かった。
あらすじ 外界から遮断された世界(妖精の国) で生活していくには、管理人的立ち位置である風喎が満足するような演奏を行う必要がある。十二人の少年少女は物心着く前から孤立した世界で暮らし、楽器と向き合っていくが、やがて自由を求める者が現れ、、 といった内容である。
孤立した世界で自由を求める姿は(進撃の巨人)や(新世界より)を思い出した。
この話は余韻の残る終わり方や、十二人の少年少女が織りなす人間模様が深い哀愁を醸し出していて、恒川光太郎さんが作り出す独特の世界観が見事に表現されていた。この壮大な設定と世界観で描かれる長編を是非とも見たかった所ではあるが、そこは仕方がない。むしろ、短編でここまで内容を盛り込んで面白くできるのは流石の力量だと感じた。
Posted by ブクログ
【2026年86冊目】
モノノケ退治に巻き込まれた空き巣の女の運命は――「猫どろぼう猫」、ニートの男が旅に出ると――「窮鼠の旅」、恨みはずっと消えることがないようで――「十字路の蛇」、DV男から逃げ出し、全てを手に入れたはずが――「風のない夕暮れ、狐たちと」、心に残虐が住む男――「胡乱の山犬」、言葉のわからない男は祀られて――「日陰の鳥」、音楽と術理が渦巻く箱庭で暮らす子どもたち――「音楽の子どもたち」、少し不思議な7つのお話。
「身の毛もよだつ、究極のホラー」と謳ってありましたが、安心してください、全然怖くありません。こちらもホラー小説というよりもファンタジー小説に寄っているかと思います。恒川光太郎さんの筆力の高さで、どのお話も不思議な世界に誘われる心地がしました。
人知を超えた存在と、人の禍々しさみたいなものが上手く混ざり合っているような感じです。とはいえ、身の毛はよだたないので、やっぱりホラーではないのかな。化物園というタイトルに惹かれ、異形の存在を想像していましたが、人間もまた化物だよなと思ったりしました。
「猫どろぼう猫」、「十字路の蛇」、「胡乱の山犬」、「音楽の子どもたち」が好きでした。
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