恒川光太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
最も愛する現代作家の一人恒川光太郎氏の新作。お得意の幻想譚ではなく、これはマヤ文明の中の一王国の滅亡の様を描く一大叙事詩であり、戦士たち、預言者たち、為政者たちの群像劇。大作歴史小説の味わい。これ、マヤやアステカの知識があればもっと楽しめたのであろうな。もちろん知識が無くてもこの豊饒な物語は十分楽しめる。恒川氏の凄いとところは、一人の人物人生の歩みを描いている部分。読む側としては具体的で生き生きしたイメージを喚起されつつ読み進め、その長い年月をともに歩んだつもりになって頁を戻ると、それがほんの二、三頁だったりするところ。よくぞこんな短い紙幅で豊かな時の流れを描くものだ。同じ物語をたとえば北方謙
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Posted by ブクログ
友達と2泊3日の旅行に出かけた時、2日目の夜眠る際に「あぁ、この楽しい小旅行ももう終わりか」と感じる時がある。楽しい時間はまだ続くにもかかわらず、残りの時間の短さを自覚し、寂しい気持ちになる。
おもしろい小説でも同じ事が言える。読んでいて楽しいのだが、残りのページが少なくなるにつれ寂しさを覚える。恒川光太郎さんの作品では特に強い。どちらかというと暗、陰なテーマであるのにも関わらず、受け取る印象は「安心感」だったり「穏やかさ」だったりと真逆であり、不思議な雰囲気を醸し出していて心地よい。区切りがはっきりしている1個1個の話を読み終える度に、もっとこの世界に浸っていたいと強い欲望を覚える。読めば -
Posted by ブクログ
本作の舞台はマヤ文明
紀元前1000年頃から16世紀頃までメキシコを中心に実在していた謎多き文明
そこを舞台に、「エルテカ」という架空のひとつの王国が滅びゆくさまがこの「鈍器本」には描かれている
その重さ577g
分厚くてもちにくいし、そこそこ重たい
私は左手で本を持って読むが、長時間読んでいるとさすがに左手が疲れてくる
エルテカが滅びるのが先か、私の左手が滅びるのが先かまさに我慢比べの読書だ
そう思った矢先、『ジャガー・ワールド』はやりやがった!
生贄屋敷から逃れた少年
最強無敵の怪力戦士
謎に包まれた最高神官
反生贄思想を語る赤いマントの少年など、作中にさまざまなキャラク -
Posted by ブクログ
久しぶりにファンタジー小説を読みました。
分厚くてずっしりと重い鈍器本なので、覚悟を決めて読み始めましたが、余白が多くて1ページ当たりの文字数が少ないので思ったより読みやすいです。
エルテカ国という巨大な国家が衰退して滅びるまでの物語です。マヤ文明とアステカ文明を下敷きにしていて、祭壇に生贄を捧げる文化があり、人間が殺されて生贄にされたり食人の風習があるのですが、描き方が淡々としていて残酷さはあまり感じません。
多くの登場人物たちの行動は、分かると思うところと分からないと思うところがあり…そういうところに人間らしさを感じました。こういう話は、愚かで残虐な現王と心優しく賢い新勢力の戦い…という