恒川光太郎のレビュー一覧
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鬼か幽霊か…幕末から明治にかけ、歴史の舞台裏で封印されてきた「キ」の存在を描く伝奇小説 #幽民奇聞
■あらすじ
時は明治も終わりの頃、民俗学を研究している若き学者の鶯谷玄也。彼は明治の中頃までは確かに存在した集団「キ」の存在を調査していた。それは鬼か幽霊か、そして彼はなぜ追い続けるのか… 歴史の闇に生きる「キ」の痕跡を追う連作集。
■きっと読みたくなるレビュー
幕末から明治、人々が窮屈な生活を送っている時代の人々… 歴史の舞台裏で封印されてきた「キ」の存在を描く伝奇小説です。
若き民俗学者の鶯谷玄也が「キ」について取材を進めていく中、その時代を生き抜いた人々の話を聞くうち「キ」の正体が徐 -
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「鬼婆図探訪」「夢狒々考」「最後のキ」「すすき野原の先で」の4編。最後の一編は全体のエピローグとして添えられた数ページの掌編のため、実質は3編構成といえます。ダークファンタジーというよりは「伝奇小説」という言葉がしっくりくる、江戸末期から明治にかけての物語です。
これぞ恒川光太郎、まさに面目躍如といったところでしょう。
物語の軸となるのは「キ」と呼ばれる謎の集団。短編タイトルにある鬼婆や猩々(しょうじょう)、さらには少女の姿をした御屋形様など、この世ならぬ者たちが山中の隠れ里に住んでいるだけでなく、この集団にはごく普通の人間も属しており、街中にアジトを構えるなど、人知れず社会に根を張っているの -
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ネタバレ結論:古代マヤ文明を舞台にしながら、人間の本質を描いた重厚な物語でした。
『ジャガーワールド』を読んで、古代マヤ文明についてもっと知りたくなりました。
生贄や食人といった文化が存在し、科学的なアプローチが乏しい時代背景の中で、人々が何を信じ、どう判断していたのかが描かれています。
特に印象に残ったのは、人間の動きが現代とほとんど変わらないと感じた点です。
裸の王様のような人物に対し、他地方への侵略がほとんどうまくいっていないにもかかわらず、遠征は成功だったかのように報告する場面はとても象徴的でした。
時代や文明が違っても、人間の本質は大きく変わらないのだと思わされます。
物語の後半は、三 -
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ネタバレあらすじを目にしてから読んだら、想像と違う始まり方で意表を突かれた。
異界と地球、それぞれに生きる登場人物の視点の切り替わりが、ファンタジーとSFを行ったり来たりしているみたいで独特な雰囲気。
プーニーが現れてから人々の営みが死と隣り合わせになり、様々なことが制限される状況は、3.11後やコロナ禍を思い起こさせる。
プーニーの生体や異界の仕組みなどについては科学的な解説があまりなく、ふんわりしている。しかし、社会がどう変わったかという描写は細やかでリアリティがあるので、世界観に説得力が生まれているように感じた。
鈴上さんに対する印象が、物語が進む中でどんどん変わっていくのは、バイアスに関す -
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ネタバレタイトルと装丁が魅力的で気になっていた作品。
プーニーという地球外生命体?が突如現れる。平凡な主人公がプーニーに取り込まれ、理想郷のような夢の世界で核となり幸せに生きて行く。
地球では、プーニーにより多くの犠牲が出ており、プーニーとの適合者が地球を守ろうと奮戦。
主人公と地球人、お互いに今生きている場所を守りたい。それぞれの大切な場所、でも、どちらか一方を守るともう一方の世界は滅びてしまう。
現実か幻かではなく、自分が大切に思う生活を守り抜きたい人々の群像劇でした。
突飛な設定であるも、とてもわかりやすい文章のため、すぐにこの世界に入り込むことができた。
恒川先生の物語は、どこか恐ろしく