恒川光太郎のレビュー一覧
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ネタバレ幽民奇聞
「鬼婆図探訪」、「夢狒々考」、「最後のキ」、「すすき野原の先で」の中編・短編集です。
物語は日本の古代から続く”キ”という集団の流れとして語られます。
恒川氏の小説は陰惨でありながら、後味が悪くないところが好きです。
今回の物語も、実際にあったかもしれない物語としてすっと入っていくことができました。
世の中が情報的に均一になっている今、情報の揺らぎから現れる”キ”のような不可思議が物語の中だけしか生き残れないのが少し寂しい気がします。(陰謀論なども同種の情報の揺らぎなのかもしれませんが、竹蔵はそちらの方にはあまり関心が向きません。)ほの暗い中で不可思議なことに怖れる感覚も、大切な気 -
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子どもの頃、帰り道で「この角を曲がったら、知らない世界へ行けるんじゃないか」と想像したことはありませんか。
大人になると、そんな空想はいつの間にか忘れてしまいます。でも『夜市』は、その感覚を静かによみがえらせてくれる物語でした。
舞台は、森の奥に現れた不思議な市場「夜市」。そこでは欲しいものは何でも手に入ります。ただし、その代償はあまりにも残酷です。主人公・裕司は幼い頃、ある大切なものと引き換えに才能を手に入れました。そして二十歳になった彼は、その過去を取り戻すため、再び夜市を訪れます。
この作品の魅力は、怖さよりも空気感にあります。異形の者たちが歩き回る市場なのに、なぜか懐かしい。夕暮 -
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この本、夜に一人で読むとちょっと不思議な気分になる。
一応ホラーらしいのだが、読んでみると全然違う。夜の闇に浮かぶ古い提灯のような、静かで美しい幻想の物語だった。
普通のホラーみたいなぞっとする怖さはまるでなく、ただただ情景が心に染みて、ふっと息が止まる瞬間が何度もあった。
「夜市」と「風の古道」の二編は、どちらも言葉の織りなす空気が不思議で、読み進めているうちに現実と夢の境目が溶けていくような気がする。
派手な仕掛けはないのに、なぜか胸の奥に重いものが残る。
生きることの業のようなものを、静かに、でも確かに感じさせられた。うまく説明できないけれど、ただ美しいだけではない、切ない余韻があ