恒川光太郎のレビュー一覧
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ネタバレ結論:古代マヤ文明を舞台にしながら、人間の本質を描いた重厚な物語でした。
『ジャガーワールド』を読んで、古代マヤ文明についてもっと知りたくなりました。
生贄や食人といった文化が存在し、科学的なアプローチが乏しい時代背景の中で、人々が何を信じ、どう判断していたのかが描かれています。
特に印象に残ったのは、人間の動きが現代とほとんど変わらないと感じた点です。
裸の王様のような人物に対し、他地方への侵略がほとんどうまくいっていないにもかかわらず、遠征は成功だったかのように報告する場面はとても象徴的でした。
時代や文明が違っても、人間の本質は大きく変わらないのだと思わされます。
物語の後半は、三 -
Posted by ブクログ
ネタバレあらすじを目にしてから読んだら、想像と違う始まり方で意表を突かれた。
異界と地球、それぞれに生きる登場人物の視点の切り替わりが、ファンタジーとSFを行ったり来たりしているみたいで独特な雰囲気。
プーニーが現れてから人々の営みが死と隣り合わせになり、様々なことが制限される状況は、3.11後やコロナ禍を思い起こさせる。
プーニーの生体や異界の仕組みなどについては科学的な解説があまりなく、ふんわりしている。しかし、社会がどう変わったかという描写は細やかでリアリティがあるので、世界観に説得力が生まれているように感じた。
鈴上さんに対する印象が、物語が進む中でどんどん変わっていくのは、バイアスに関す -
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ネタバレタイトルと装丁が魅力的で気になっていた作品。
プーニーという地球外生命体?が突如現れる。平凡な主人公がプーニーに取り込まれ、理想郷のような夢の世界で核となり幸せに生きて行く。
地球では、プーニーにより多くの犠牲が出ており、プーニーとの適合者が地球を守ろうと奮戦。
主人公と地球人、お互いに今生きている場所を守りたい。それぞれの大切な場所、でも、どちらか一方を守るともう一方の世界は滅びてしまう。
現実か幻かではなく、自分が大切に思う生活を守り抜きたい人々の群像劇でした。
突飛な設定であるも、とてもわかりやすい文章のため、すぐにこの世界に入り込むことができた。
恒川先生の物語は、どこか恐ろしく -
Posted by ブクログ
『「想像して欲しい。生贄のない世界を」
「私たちで世界を変えよう。私たちはそのためにここにいるのだ」』
反生贄思想の謎の少年レリィの言葉
サリュザ島のスレイ
神官フォスト・ザマ
戦士シベリア とドルコ
放浪の青年ディノ
それぞれの信念のもと、この世界を生きている
誰が正しい、間違ってる そんな単純なものではない
〈人はなぜ戦うのか〉
『人は集まるとやがて自然にそうなる』
『この世界は、ジャガーの世界』
『ここで生きるには、大切なものを守るには、人生の権利を獲得するには、己がジャガーになるか、さもなくばー』
すごく太い本で、迷いましたが読んでよかったです -
Posted by ブクログ
ネタバレ生活の中の牢獄といってもいいような空間で、リアルな風景の中にホラーというか不思議な感覚を溶け込ませた、深みには欠けるがアイデアの優れた一冊だった。
手にとって見ると、「牢獄」と言う題名が少し気になったが、読んでいると、捕らえられて出られない世界のことだった。
☆ 秋の牢獄
雨の音を聞きながら、朝起きて普通の生活を送る、友人の釣りの話を聞き、帰って音楽を聴きながら豚肉とキャベツの醤油炒めを食べて。
次の日に目を覚ますと変な既視感に襲われた。また雨が降っていて、友達は昨日と同じ釣りの話をする。日付けを聞くと昨日だと思ったのが今日だった。1日がダブっているのだ。
もう一度繰り返すならもう少し違った -
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Posted by ブクログ
最も愛する現代作家の一人恒川光太郎氏の新作。お得意の幻想譚ではなく、これはマヤ文明の中の一王国の滅亡の様を描く一大叙事詩であり、戦士たち、預言者たち、為政者たちの群像劇。大作歴史小説の味わい。これ、マヤやアステカの知識があればもっと楽しめたのであろうな。もちろん知識が無くてもこの豊饒な物語は十分楽しめる。恒川氏の凄いとところは、一人の人物人生の歩みを描いている部分。読む側としては具体的で生き生きしたイメージを喚起されつつ読み進め、その長い年月をともに歩んだつもりになって頁を戻ると、それがほんの二、三頁だったりするところ。よくぞこんな短い紙幅で豊かな時の流れを描くものだ。同じ物語をたとえば北方謙