恒川光太郎のレビュー一覧

  • 南の子供が夜いくところ

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    恒川光太郎氏の得意とするパターンで構成された短編集。ユナさんという呪術師を中心にしたストーリー。最後の「夜の果樹園」は夢に出てきそうな不思議な話。

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    2026年03月11日
  • スタープレイヤー

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    ひとつの願い事にぎゅうぎゅうに詰め込んでてそれはアリなのー?って。裏技すぎるというか、禁じ手というか。
    生きてたらまずいタイプの人が野放しなのが、明るい未来の影となりそうで気になる終わりだった。

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    2026年02月22日
  • 滅びの園

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    ネタバレ

    あらすじを目にしてから読んだら、想像と違う始まり方で意表を突かれた。
    異界と地球、それぞれに生きる登場人物の視点の切り替わりが、ファンタジーとSFを行ったり来たりしているみたいで独特な雰囲気。

    プーニーが現れてから人々の営みが死と隣り合わせになり、様々なことが制限される状況は、3.11後やコロナ禍を思い起こさせる。
    プーニーの生体や異界の仕組みなどについては科学的な解説があまりなく、ふんわりしている。しかし、社会がどう変わったかという描写は細やかでリアリティがあるので、世界観に説得力が生まれているように感じた。

    鈴上さんに対する印象が、物語が進む中でどんどん変わっていくのは、バイアスに関する思考実験みたいに思えた。それくらい、複雑な立場のキャラクターだった。
    彼だけが結果的に何かを成し遂げることなく終わったのは、自分が本来生きるべき世界と向き合って足掻くだけの未練がなかっただけ、というのが哀しい。









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    2026年02月22日
  • 滅びの園

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    ネタバレ

    タイトルと装丁が魅力的で気になっていた作品。

    プーニーという地球外生命体?が突如現れる。平凡な主人公がプーニーに取り込まれ、理想郷のような夢の世界で核となり幸せに生きて行く。
    地球では、プーニーにより多くの犠牲が出ており、プーニーとの適合者が地球を守ろうと奮戦。

    主人公と地球人、お互いに今生きている場所を守りたい。それぞれの大切な場所、でも、どちらか一方を守るともう一方の世界は滅びてしまう。
    現実か幻かではなく、自分が大切に思う生活を守り抜きたい人々の群像劇でした。

    突飛な設定であるも、とてもわかりやすい文章のため、すぐにこの世界に入り込むことができた。
    恒川先生の物語は、どこか恐ろしくて優しい、日常の延長線上にあるような、紙一重な非日常。
    自分だったら、主人公と同じ選択をしてしまう気がする。
    地球では、人間同士のいざこざで被害拡大
    地球にとっての異物は、人間なのだなと改めて感じる。きっと、どんな人が取り込まれても、この結果になるのではないか。
    みんな同じ様に、何かしらのストレスを持ち、お金と言う概念に縛られて生きている。でも、プーニーの中の世界は、お金に価値はなく、欲しいものはなんでもある、そして優しくて穏やかな人と自然に囲まれて生きていられる。毎日の変わらないささやかな幸せ。
    1番欲しいものを手に入れるには、他の多くの人の犠牲に目を瞑らないといけないけれど、それに抗うことができるのだろうか。
    残酷なのに目の離せない世界のお話で、夢中で読んでしまいました。

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    2026年02月19日
  • 秋の牢獄

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    「秋の牢獄」が1番好み。

    北風伯爵、初めは恐怖の対象だったのに、永く同じ日に囚われているうちに救いのような存在に変わっていく。終盤は諦めと希望が混ざっていて、次の日に行けたのかどうなのか想像させる。
    途中グループ行動したりするが、最後は結局人間1人なんだよなあと、行動心理も見えたりして面白かった。

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    2026年02月18日
  • 無貌の神

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    「廃墟団地の風人」この先、サブロウが少しでも良い人生を歩めますように。
    「カイムルとラートリー」カイムルとラートリーの主従ではない友情に心が温まった。

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    2026年02月12日
  • 秋の牢獄

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    ネタバレ

    生活の中の牢獄といってもいいような空間で、リアルな風景の中にホラーというか不思議な感覚を溶け込ませた、深みには欠けるがアイデアの優れた一冊だった。
    手にとって見ると、「牢獄」と言う題名が少し気になったが、読んでいると、捕らえられて出られない世界のことだった。

    ☆ 秋の牢獄
    雨の音を聞きながら、朝起きて普通の生活を送る、友人の釣りの話を聞き、帰って音楽を聴きながら豚肉とキャベツの醤油炒めを食べて。
    次の日に目を覚ますと変な既視感に襲われた。また雨が降っていて、友達は昨日と同じ釣りの話をする。日付けを聞くと昨日だと思ったのが今日だった。1日がダブっているのだ。
    もう一度繰り返すならもう少し違った過ごし方があったのに。
    ところがそれは一日で終わらず、とうとう同じ日の繰り返しのループの中に入ってしまった。
    寝なければ明日が来るのかと、公園に散歩に出掛けたが、ふと毛布に包まれた感じがして朝起きると布団の中で雨の音もしていた。
    こうして戻れない日が過ぎていった。そしてある日公園のベンチで青年に出会った。同じ日を50回も繰り返していると言った。仲間がいて「リプレイヤー」と呼んでいるという。公園の広場にはそんな仲間が集まっていた。また同じ日が来るなら、何をしてもいいはずだった。みんなでそう思いながら暮らした。
    しかし終わりは来るのだろうか。
    不思議な北風伯爵に出会う時、仲間が消えて行くという。不思議な白い顔のない影を時々見かけるようになって、仲間が少しずつ減っていった。

    ☆ 神家没落
    春の朧な夜に散歩をしていた。ほろ酔い気分で気持ちよく公園の道に入っていった。その奥の少し開けたところに古い藁葺き屋根の家があった。
    翁の面をつけた男が「奥へどうぞ」と言った。誘われて身の上話を聞いた。話し終わると男は面を残して消えてしまった。
    仕方なく縁側に座っていると、一度漆黒の闇に包まれ、再び明るくなると家は白樺林の中に建っていた。
    垣根から外に出られず、庭の果実を食べ特に水は甘露で沸いて出てくる。一定期間が過ぎると家は移動して、待っていた男が食料を運んできてくれた。
    出るには身代わりがいるという。その時を待った。訪れる人がないわけではなかったが垣根より中には入ってこない。見えない結界が見えているように去っていく。
    やっと待っていた身代わりが現れた。その男を家に残して逃げたが、その後事件が起こり始めた。
    決まったルートで移動する家や、身代わりをおくという残酷なしきたりは面白かったが、翁の面という素材は少し唐突で違和感があるようにも思えた。

    ☆ 幻は夜に成長する
    リカは海で誘拐された、連れて行った老婆は人を幻惑する術が使えた、物を一時的に変化させる不思議な力も持っていた。
    リカはそれを受け継ぐ、老女が殺されて、4ヵ月後に迎えに来た両親のもとに帰った。
    身についた不思議な力は残ったまま成長し、恋人もできた。
    しかし恋人に秘密を打ち明けると、彼は離れて行ってしまった。
    彼女は老女と住んでいたころの知り合いに出遭った。そして波に身をゆだね、彼の誘いに乗った。
    それからは部屋から出ないで御簾越しに、相談に来た人の不幸を引き受け、身に飼っている怪物を育てていった。


    一話の非現実な(パラレルな)世界が存在すると言うことのつじつまは合っているが、そのねじれが解消される根拠・過程が希薄で、現実の世界に戻す北風伯爵の力、それは何だろう。
    一日が繰り返され、ループの中で暮らすことになると、遊びでも旅でも一日だけなら何をして過ごしても良くなる、心情は納得できるが、北風伯爵とはどういう位置なのか、なにものなのか。その世界だけに住むループ妖怪かなw
    三話、随分アイデアが割愛されているのではないか。両親についても何か釈然としない。全く生活観のない世界に思えて残念。面白くて少し怖い伝説なのか、お伽噺風で面白いのに。 

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    2026年02月11日
  • 滅びの園

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    ネタバレ

    どう感想を抱いているのか言語化するのが難しい。

    地球を覆うクラゲのような「未知なるもの」
    地球はプーニーという軟体有機物により滅びつつある。

    地球で生き抜こうとする地球側と、
    「未知なるもの」にて自分の理想郷に住む鈴木誠一。
    「未知なるもの」を倒す条件は、鈴木誠一が絶望すること。

    そのために妻子や友人を皆殺しにした地球と、
    明らさまに地球を見下す誠一と
    善悪の区別が曖昧で、自分だったらと考えさせる作品だった。

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    2026年02月02日
  • スタープレイヤー

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    異世界に行って10個の願いを叶えられるというお話。手放しで全て叶えられるわけではなく、いろいろと条件はあるというのが設定としてあり、確かになと思いながら読みました。
    もし私がスタープレイヤーになったら?なんて考えたり。ぜったいぜったいくだらないことしかしないんだろうな(笑)

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    2026年02月01日
  • 白昼夢の森の少女

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    夜市の恒川光太郎さんの作品
    夜市が好きならば間違いなく楽しめる
    独特な恐ろしくも美しい様々な世界観の中で
    少し不思議で少しゾッとするような物語が展開される
    色々な種類の話が長さもバラバラで詰まった短編集なので
    一つ一つ新鮮に楽しめました

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    2026年01月30日
  • 秋の牢獄

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    ネタバレ

    透き通るようなきれいな文学。不思議で幻想的ですが、悪く言うと盛り上がりもオチもありません。
    個人的にはあまり好きなタイプの小説ではないのですが……この作品はなんか好きです。

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    2026年01月26日
  • それはそれはよく燃えた

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    全ての作品が「それはそれはよく燃えた。」という1文から始まる。
    25名の作家からなるアンソロジー。

    その中でも
    市塔 承さん(2025年のメフィスト賞受賞、まだ作品は未発売)を知れただけでも、この本を買う価値があったと思う。

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    2026年01月26日
  • それはそれはよく燃えた

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    「それはそれはよく燃えた」の1文から始まる数多の短編。燃えたのは物質であり概念であり、「燃やす」という人間ならではの行いは唯一つには留まらないのだのと認識させられた。
    黄金の森の神様とレヴナントが印象深かった
    皆川博子の作品は大御所流石の表現力

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    2026年01月23日
  • 竜が最後に帰る場所

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    今回もとても楽しめた!

    お気に入りは「夜行の冬」と「鸚鵡幻想曲」ですね。
    2作品とも著者の得意とする"仄かな恐怖"がこれまでの短編の中でも強めの作品だと思います。

    逆にタイトルの出典にもなっている「ゴロンド」は割とあっさり終わったなという印象でした。

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    2026年01月14日
  • 七つのカップ 現代ホラー小説傑作集

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    ネタバレ

    今回読んだ短編集で初めて読んだのは「子どもを沈める」、「死神と旅する女」、「お祖父ちゃんの絵」、「七つのカップ」だった。どれもそれぞれ違う種類の怪談でバリエーション豊か。楽しめました。個人的に好きなのはシュマシラ、死神と旅する女、七つのカップです。最後の七つのカップはどこかほっこりして、でもどこか不思議に感じる話でした。良かったです。

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    2026年01月07日
  • 南の子供が夜いくところ

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    今作は初の海外の離島が舞台。
    その魅惑の島へ時代や時空を超えてやってくる人々の物語がこれまでの作品同様、うっすらと繋がっていく心地良さがあった。

    南の島へ行きたくなったなぁ…

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    2026年01月03日
  • 秋の牢獄

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    面白かった。「神家没落」が人気だが、「幻は夜に成長する」が私は一番好き。冒頭比喩のようであったものが、何一つ比喩でないと気付かされた時の戦慄、結末の圧倒的カタルシス!やっちまえ!!!という気分になる。

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    2025年12月19日
  • ジャガー・ワールド

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    ネタバレ

    マヤ文明、生贄、国の滅亡と重いテーマではあるけれど、登場人物みんな魅力的で、それぞれの関係性や繋がりも深掘りされていてのめり込んでしまいました。
    だからこそ旧知の仲だったり、かつては同志だった人たちがそれぞれの考える正義や信じる道を選んだ結果争うことになってしまうのがとてもやるせなかった。
    和解してほしい人たち、この人は生き延びてほしいと思った人がどんどん命を落としていく…
    生い立ち、立場、選択、何かがどこかで違っていたら全く違う人生を歩んでいたかもしれない。
    ファンタジーだからといって死んだと思っていた人が終盤になって実は生きていました!と登場するなんてご都合展開もなく、命を落とした人はそれで終わり。
    淡々とあっさりと人が死ぬ描写が、かえって戦争での死が特別ではないことを物語っているようでした。
    主要人物はもちろん、一般市民や一兵士など、1人1人に人生があるんだよなあと思いを馳せる、壮大な作品でした。

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    2026年07月31日
  • スタープレイヤー

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    ネタバレ

    大好きな恒川光太郎の長編。読んでみたかったけど前まで長編が苦手だったからずっと読めずにいたのを、とうとう読んだ!最後の願い何にするのかなって思ってたら、「願いをとっておくこと」だったのが、すごく良い!!しかもそれって自分で叶えられることだから、スターを消費しない願いの叶え方でもある。夕月は、今後の人生で実際にスターを消費せずに終わっても別に構わないとも最後には思っていて、それがなんというか、あんた強くなったね…!って言いたくなった。笑 願う→叶えるの段階から、また一段階自由になった感じの解放感があって、願い続けながら生きることの素晴らしさもあるなって思えた。しかもちょうど夕月と同じ年齢のこのタイミングで読めたこともなんか嬉しいな。(そして国の名前が「麗和」だったのはびびる…令和になる前に出た作品だったはず…)ヘブンメイカーも引き続き読もうと思う!

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    2025年11月17日
  • 滅びの園

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    『秋の牢獄』以来、恒川作品五作目。なんとなーく惹かれて購入。基本ファンタジーは読まないのだが、恒川さんの世界観は特別。ただのファンタジーではなく[+α]の世界観が多いからかも…。この作品(+SFっぽいかな?)はタイトルからは恐ろしい感じを受けたが、実際読んでみると——その"異界"は理想郷だと感じた。嫌な人間はいないし、不幸なことも起きない。それが……。
    なんとも言えぬ読後感。彼は最後、どうなってしまったのか?とても良い作品でした。星四つ半。

    P.S.某ゲームのキャラクター、プリニーを思い浮かべたのはわたしだけじゃないはず…笑。

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    2025年11月16日