恒川光太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
何度でも言いますが、好きです恒川さん作品……! 鼬の存在を陰に日向に彷徨わせる、ホラーテイストが強めのファンタジー短編四作。いずれもおどろおどろしい凄惨なシーンが生々しく描かれているのに、吐き気を催させられるようなこともなく読めるのは、物語全体に漂う神秘的な雰囲気の所為でしょうか。
恒川さんの作品は、作品によって全く違う世界を飛び回ることが出来るのが良いですよね。冒頭の自然描写を頭に思い浮かべて、その物語の舞台を想像するところから始めるのが毎度の楽しみです。
「森の神、夢に還る」の二人称語りが印象的で、語り手の優しさが滲むようですごく好きでした。 -
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Posted by ブクログ
2015年5冊目。
2015年読み初めの『スタープレイヤー』に続く恒川光太郎。
今回は(連作?)短編集。
窮奇/鎌鼬、風/竜巻、憑依、神通力、金色の鼬……etc、といったところが、キーワード。
「異神千夜」
鎌倉時代、元寇を舞台に繰り広げられる窮奇/鎌鼬のエピソード。普段、時代、歴史小説の類は読まない自分だが、いきなり引き込まれました。設定のためか、これまでの作風とは一番異なっているように感じた。
「風天孔参り」
風天孔という、竜巻のような現象を追う一団の物語。そして、岩渡は……。『秋の牢獄』や、『竜が最後に帰る場所』の「夜行の冬」に近い感覚。
「森の神、夢に還る」
書簡体で綴られた、憑依譚。 -
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Posted by ブクログ
時代を超え跳梁する獣とそれに惑う人々の姿を描いた作品を4編収録した短編集
昨年読んだ『竜が最後に帰る場所』で恒川さんの作風が少し変わってきたような印象を受けたのですが、解説によるとそれは意図的だそうですね。
異界を作品の舞台としてきて恒川さんですが、今作も舞台は現実の世界。そこに一匹の不思議な鼬がはいることでそうした現実世界が恒川ワールドに変貌します。
一話目の「異神千也」は元寇の時代が舞台。現実、それも過去の時代が舞台というだけで恒川さんの作風が変わったなあ、という印象を受けるのですが、
作品を読み終えた時に残る冷やかさは他の恒川作品と共通するものがあると思いますし、
人や時代 -
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