恒川光太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
【2026年86冊目】
モノノケ退治に巻き込まれた空き巣の女の運命は――「猫どろぼう猫」、ニートの男が旅に出ると――「窮鼠の旅」、恨みはずっと消えることがないようで――「十字路の蛇」、DV男から逃げ出し、全てを手に入れたはずが――「風のない夕暮れ、狐たちと」、心に残虐が住む男――「胡乱の山犬」、言葉のわからない男は祀られて――「日陰の鳥」、音楽と術理が渦巻く箱庭で暮らす子どもたち――「音楽の子どもたち」、少し不思議な7つのお話。
「身の毛もよだつ、究極のホラー」と謳ってありましたが、安心してください、全然怖くありません。こちらもホラー小説というよりもファンタジー小説に寄っているかと思います。恒川光太郎さんの筆力の高さで、どのお話も不思議な世界に誘われる心地がしました。
人知を超えた存在と、人の禍々しさみたいなものが上手く混ざり合っているような感じです。とはいえ、身の毛はよだたないので、やっぱりホラーではないのかな。化物園というタイトルに惹かれ、異形の存在を想像していましたが、人間もまた化物だよなと思ったりしました。
「猫どろぼう猫」、「十字路の蛇」、「胡乱の山犬」、「音楽の子どもたち」が好きでした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ全体的に読み手に委ねる結末が多かった。綺麗さっぱり終わるよりも、余韻が残るように感じられた。
『迷走のオルネラ』
冒頭のくだりから場面が変わって、最後にどうまとまるのかなと思ってたら、話がどんどん展開されてそれでもちゃんと着地しててすごい。
『夜行の冬』
並行世界を渡り歩くという物語。どことなく和風ファンタジー?ホラー?な雰囲気が好みだった。最後は縮毛の娘と一緒になる世界線という解釈でいいのかな
『ゴロンド』
最初はこの生き物は何だろうと思ったけど、竜だったのか!と途中で気づいた。タイトルでもある「竜が最後に帰る場所」っていう言葉も出てきて、腑に落ちた。最後の解釈については、何が正解なんだろう
話を読み進めるとリアルっぽい作品からどんどんファンタジックな作品に変わっていって、恒川ワールドになっていくので毎回引き込まれる。今回はやっぱり『夜行の冬』が好み。
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Posted by ブクログ
久しぶりに(私が思う)恒川さんらしい作品。
かつていた『キ』と呼ばれる人々の痕跡を探す、学者・鶯谷玄也。
新政府軍との闘いで敗れた二本松藩の少年部隊の生き残り・松野滝次郎。
二人の物語が描かれる中で、『キ』の姿に迫っていく。
『キ』とは何なのかという問いかけから始まる物語だが、結局のところ『キ』が何なのか、正確に言い表す言葉は見つからないままだった。
だがそこが良いのだろうと思うし、定義してしまうような存在ではないのだろうとも思う。
最初は裏の仕事を請け負う闇の集団かと思ったが、誰でも入れるわけでもないらしく、『御屋形様』に認められなければならない。
狒々のような人ではない存在の話も出てくるが、その性質は寧ろ人よりも優しい。
鬼婆と呼ばれる盲目の老女は身勝手で盗みもなんとも思わない者だが、滝次郎を助けてくれた。
『キ』の学校まであり、一つの大きなコミュニティなのかとも思えるが、見えない、いないことになっている人々なのかも。
そんな歪な世界で育った者の中には、歪な感情を持つ者もあらわれる。
苦しく、切なく、でも温かみもある物語だった。
人の命が紙一重の運命の中でつながっていることの奇跡のような不思議さも感じ、それがより一層、命のありがたみを感じさせてくれる。
最後は奇妙な縁の物語。
冒頭の二人の物語が『キ』に帰結するのに感心する。
寂しさも感じつつ、今もこの世界のどこかにこうした人々がいるのかも知れないとも感じた。