恒川光太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ沖縄舞台の短編7編。沖縄だけど明るいリゾート地じゃなく、現実と虚構と歴史と狂気が混ざったパワースポットっぽい感じ。
・よかった編
「私はフーイー」
「100万回生きたねこ」みたいだなぁと思いながら読む。何のためにと問われても答えられない転生。ねこは愛を得て終わりにできたけど、フーイーは島に人が生き続ける限り流転を繰り返すのかなーそれもまた大変だと。でもその背に翼が生えても、自由じゃなく故郷を求めて一直線なのが眩しくて切ない。
「幻灯電車」
「生きているから生きている。その時が来るまで生きている。」何のために、と考えていた昔の方がまだ希望があったんだと思わせる諦念が痛い。奪われ歯向かい、得ては失い、疲れ果てた彼女が最後に乗った電車の行き先が安寧の地であればいいなあと思う。
・良くなかった編
特にない。でも前に見たことある断片が多いかなあという気はした。共通項が多いことが一概に悪い訳じゃないけど、新しい世界が見たいというのも読者のわがまま。
<総評>
文章にほの暗さと掴みどころのない色気が滲むのは詩才だなあと思う。あと「クームン」とかもそうだけど、恋が生まれて関係ができる所がものすごいさらっと書かれていて、ギュウギュウ悩んでドタバタするラブコメ(最近読んだ別作)とかとえらい違いじゃ、と思うと同時にうまくいく時はそういうもんだよな、というのも思った。あとはこの個性を生かしたまま違うタイプの新鮮さを、と思うんだけど、どうなんだろう同じものしか書けない(書かない)作家さんなのだろうかうむうむ。 -
Posted by ブクログ
各ストーリーの登場人物同誌の関係性が薄めの連作短編集。
単行本発売時の「好書好日」のインタビューでも語られているが、これまでの恒川作品の最大の特徴といえば、幻想、ホラーファンタジー。デビュー作「夜市」から続く安定のスタイルを今作品は敢えて角度を変えて現実を描いている。(エッセンスとして多少 非現実的な要素は含まれている。)
どこにでもいるような普通に生きている人間が、ある日突然何かのキッカケで生活が反転するかもしれない可能性。各主人公が背負う重たく影を持つ現実と、再生へ向かう心理描写がどこかキッパリと清々しく、その対比が絶妙なバランスで読みやすかった。
とはいえ、個人的にはやっぱり従来の恒川節の世界観が好きなのだなぁ。
恒川作品でいうと、「夜市」に収録されている「風の古道」がいまだに1位の座に君臨し続けている。 -
Posted by ブクログ
ファンタジーだけど自分が知らないだけで実際にはあることなのかもしれない。そんな短編集。とてもきれいな文章で読みやすく、きつい内容のものもあるのに穏やかで水彩画のようだと思いました。
風を放つ
比較的日常に近いところでのファンタジー。マミさんがなんだか本当に存在しているのかわからないふんわりした妖精のような感じなのと読後感もなんだかふんわり。
迷走のオルネラ
DVが物語の中心なのでやや手に汗握る展開からスコーンと静かな蒼い月に意識を持っていかれる。最後は春の暖かな空気にまた持っていかれるがラストは考えさせられる。
夜行の冬
絵画的でもありホラー的でもあり。冬の美しさとグロテスクな闇とパラレルワールドと。短編なのが惜しい、もっと読みたいと思いました。
鸚鵡幻想曲
この本は読み進めていくにつれて、より現実離れしてくる仕掛けなのでしょうか。本当ならえぐいわーという感想をもってもおかしくないのにすんなり受け入れている自分がいるのは、私が鳥好きだからかこの作品の力なのか。
ゴロンド
ダーウィンがきたの小説版を読んでいるよう。すっかりゴロンドの生活にひきこまれました。そしてこの本のタイトルに結びつくのですね。動物を飼っていると彼らの人生や運命に対する悟りに感服することがあるのですがそれらが細やかに描かれていて訳もなく感動しました。ラストは、そっかそうだよね!とストンと腑に落ちた気持ち。
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Posted by ブクログ
南の島に伝わる伝承のような短編。
全ての短編において現実世界の中に怪異がふと顔を覗かせている。
全て全く違う話ではあるもののキーワードでは繋がりを感じる。泉や、胡弓、山羊など。そして共通項として死が深くストーリーに絡まっている。
生という日常の対立効果として死という未知なる異界・存在が際立つことで、この不思議な話に引き込まれていく。
この小説の色は黒に近いグレーかな。
そもそもホラー文庫から出発されてはいるけれど、恒川作品の中では明るい話が少なくて、個人的には星3つ。
・弥勒節
ある楽器で弥勒節を引いたらヨマブリが吸い取られる。
ヨマブリは瘴気みたいなもの?
ヨマブリに触れたり当たったりしたら最悪死に至る。最終的に弥勒節でヨマブリの存在自体を吸い取ってしまった。最後まではっきりとヨマブリがなにかわからないけど、うやむやなところがこの世に存在する都市伝説みたいで本当にありそうに感じた。
・クームン
クームン→廃屋に住みつき靴紐を愛する清潔感なさそうな男性。鳥には好かれる。言葉は話せず身振りのみ。
一見あきらかやばい存在だけど、実は妖怪?幽霊?願いを叶えてくれたり守ったりしてくれる存在でもある。沖縄のお話。
・ニョラ穴
ニョラという軟体動物の妖怪が洞窟の奥にいる。
ニョラの臭いを自覚したら白昼夢に陥るらしい。
こうやって民話のような伝説は語り継がれていくんだなと感じる作品。
・夜のパーラー
現代のお話。これまでのような都市伝説のような話ではなく、生と死の人間くささが感じられる。
おばあが妖怪のような人間なのか、人間のような妖怪なのかは謎だけど、1番怖いのは人間ですね。
というかここまで全ての話で死が密接に関係している。
・幻灯電車
昭和初期のお話。
幽霊電車が今回の不思議体験ネタ。
乗客はのっぺらぼうで車掌はヤギのような角がある。
今回も生と死が根幹にあった。
死が近くなると幽霊電車が現れるのかな?
・月夜の夢の、帰り道
読み終わってからタイトルを読み直して納得。
小学生の頃、旅行先の祭りで宣告されて運命。それ以降の主人公の未来は結果的に夢だった。夢とは少し違くてその運命を受け入れた通りの現実でもある。その運命を過去の自分達が否定すること、強い意志を持つことで語られる主人公の現実は消滅し、また小学生の視点に戻った。
・私はフーイー
フーイーという女性が50年おきに蘇りを繰り返す話。50年おきだから必ずフーイーを知っている知人がいる。そして、フーイーが接する死の瞬間に立ち会うもう1人の男もまたフーイーと同じく蘇りを繰り返していた。
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Posted by ブクログ
2022年、3冊目は、恒川光太郎の編集モノ。単著未収録の短編、掌編、11編収録(3編は、アンソロジーで既読)。自分はランダムに読みススめました。
今回は、気になったモノを幾つか紹介。
白昼夢の森の少女:表題作。植物に侵食された少女の話。人と植物(樹木)との時間感覚、死生感の違い。
傀儡の路地:ドールジェンヌ、彼女が抱えた人形の言葉には、どんなに理不尽でも、抗うコトが出来ない。個人的感覚だが、ラストに向かい、主人公の切なさが増して行く。
銀の船:あらすじ割愛。コレは既読作で、もぅ5回以上再読してる、何度読んでも色褪せない大好物。恒川光太郎との出会いの一編、その思い入れも含めて。
ダーク・ファンタジー、SF、実話怪談等々、ヴァラエティーに富んでいるが、全体的な統一感はない。
★★★★☆評価と迷ったが、掌編
にあまり入り込めず、「『夜市』の次は
これを読め!」の帯叩きが納得いかず、★、-1。