恒川光太郎のレビュー一覧
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ネタバレ全てに共通してるのは解釈の自由を残す終わり方
全部ある程度思考の余地があって面白かったけど、1番迷宮のオルネラが好きだった
生い立ちからはありえないほどに主人公が合理的に公平に物事を観察及び断罪してた
ただそれは感情が乏しいから機械的にできたことではなくて、内なる暴力性に、義父と重なってしまうこと、元カノに釘を刺されたこと、義父の本妻の娘の漫画に感化されたこと、などなどと人との繋がりと記憶を元に抗った末の合理的判断だった
なによりも自分の経験と重なるからか、義父が母を殺したあと、主人公が屋根の上でのシーンが印象に残っている
まだ暑い炎天下、義父の叫び声と競うような蝉の声に凪いでいる風
日常と非日常の狭間というこの本のテーマがこのワンシーンにも潜んでいた
この短編だけは何度か読み返すと思う
他にも風を放つは人間のプライドを傷つけられた際の悪意と不安からくる妄想じみたものをハラハラしながら味わえた
夜行の冬はパラレルワールドという想像の余地がある理想を描きつつも、また極限状態における人間の本性と、行進から逸れると闇に呑まれるという不安、そして最後呑まれたが主人公が裏切り石をなげつけた女との再会を仄めかす描写が余韻を残してくれた
王蟲幻想曲は予想外な展開の連続と、拡散させることの出来る青年の欲望が好きだった
たしかに人外を元に戻すだけだし、それが感覚的に両者の望むところとあらば青年は悪くない
そしてその欲望に突き動かされていつか身を滅ぼしそうな危うさが妖艶さを産んでいて、廃墟をネズミに解体したシーンは魅入ってしまった
ゴロンドは昔の教科書の小説読んでる気持ちになったな
自然に進化するのではなく、自ら別の環境に身を置き学ぶことによって進化する種類の竜が"竜の帰るところ"を世代を超えて探しに行く物語
最初は縄張りや生まれた途端の捕食など自然界の掟に翻弄されていたが、それらを諦めず好奇心と気力に突き動かされて進化していった主人公。
ある日同族のメスに出会い、その次には同族に住処を奪われる。別の住処を探してしばらくすると、また同族のメスと再会し、メスについていくと母親の管理する竜が集団生活をしている場所があった。
そこでの兄弟との生活や、母の暖かい庇護、そして言葉。最終的に毛無し猿を忌避しながら"龍の帰る場所"を探すことになって、絶滅したことを匂わしておわり。
単純明快な自然界の掟系すきなんだよな -
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ネタバレ【収録作品】「吉原幻鏡」 高田崇史
「暖炉神の恩寵」 高田大介
「ともしびの花」 歌野晶午
「家族を守るためだった」 宮西真冬
「黄金の森の神様」 風森章羽
「悪魔」 丸木文華
「燃えろ恋ごころ」 米澤穂信
「蠟燭と竜」 須藤古都離
「プロクリャーチエ村の業火」 篠原美季
「怪物どもの棲家」 島田荘司
「回答」 神林長平
「書物の罪」 潮谷験
「マザー・ジン」 古泉迦十
「レヴナント」 多崎礼
「失われた史料、的外れな再建」 市塔承
「やなやつを燃やす遊び」 黒澤いづみ
「消えない炎」 我孫子武丸
「ファンの鑑」 秋吉理香子
「比翼」 河村拓哉
「人形供養」 矢樹純
「忌物を燃やす」 三津田信三
「不完全怨燃」 五十嵐律人
「全滅館の殺人」 似鳥鶏
「焚書により資料なし」 恒川光太郎
「ayashii romaji okashii futari」 皆川博子
「それはそれはよく燃えた」という1行から始まる、25の物語を収録する。 -
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自分はどちらだろうか考えながら読みました。
未曾有の危機に陥った世界の中で、救う力を持った人たち、その危機を無意識に起こしてしまった人。
世界中が滅ぶと聞いても、自分にとっての世界が別にあるのなら、どうなってもいいと思うのかもしれない。そう思わせたのは周りであり、彼自身なのかもしれない。
人を救うために行動に移せる人たちも、人と同じ姿をした何かを殺すのは普通の神経では出来ないはずで。
正しさって何だろうと最後に思わされます。みんなにとって幸せの定義も悪の定義も違う限り、ぶつかるのは必然で、わかりやすい大義名分をつけて、どっちを優先するか、ということになるのでしょうか。
やり切れないラストですが、登場人物たちそれぞれの思いと行動に、一緒になって考えさせられました。 -
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恒川光太郎は失敗の作家である。
↑暴言! 大暴言!
失礼ながらそう思った。
しかし「失敗作を生み出す」ではなく、「失敗した作家」でもない。
ホラーが好きなのだろう。
SFも好きなのだろう。
しかし、ことごとく「失敗」しているように見受けられる。
作品からは恐怖ではなく、知的興奮でもない何かがじわりと滲み出してしまう。
これは勝手な想像だが、当人もそれに薄々気づいているのではないだろうか。
真っ直ぐ走らせてるつもりが、なぜか気がつくと曲がってしまうような感覚。
そんなふうに読むと今作の初めの三作は苦労の跡が見受けられる。
ぶつっと切れてしまう。
まるで作者が勝手に曲がってしまう自身の癖を抑え込もうとして、曲がる前にぶつ切りしたようにも思える。
そう思うと怖い話なのに、一生懸命怖がらせようとしている子供のようで微笑んでさえしまう。
なんて失礼な感想を持つ読者だろう。
申し訳ない。
しかしこれがいままでわずか六作品だが作者の作品を読んだ嘘偽りのない思いである。
そして、ここからが大事なとこだが、この「失敗」がとても美味しい。
「失敗」という単語が気に入らなければ「持ち味」と言いかえてもいい。
今作「化物園」の帯にはこうある。
【身の毛もよだつ、究極のホラー七選!】
嘘です。
身の毛、よだちません。
もしも純粋なホラーを求めてる人は本書を手に取ってはいけません。
たしかにホラーを書こうとはしているみたいです。
しかし、読み進めていくとどうしても隠しきれない地金のように彼の本性が顔を出します。
そして本来の目的であったホラーをあっさり凌駕してしまいます。
そこが良い!
でもどうだろうなー。
今作は少々「失敗」が足りない。
★3の下。
恒川光太郎作品を未読の方にはまずはデビュー作の「夜市」からをおすすめします。
そして「秋の牢獄」や「草祭」などを経てから今作を手に取ってもらうと私の云わんとしてるところがわかってもらえるかもしれません。
ま、あくまで個人の感想なので全然違う印象を持つひともいるでしょう。
感想に「正解」なんて無粋なものはいらないので問題なしでーす。
今後とも作者には上手に「失敗」をしてもらえるよう切に願い、「失敗」にさらなる磨きをかけてもらいたいと思っとります。
あ、短編集七篇ね。
・猫どろぼう猫
・窮鼠の旅
・十字路の蛇
・風のない夕暮れ、狐たちと
・胡乱の山犬
・日陰の鳥
・音楽の子供たち
解説もなければあとがきもない。
( ゚д゚)ハッ!
コノレビューヲカイセツニツカッテモイイヨー
ヽ(`Д´#)ノ ソンナワケアルカァー!! -
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ネタバレ表題の「白昼夢の森の少女」がよかった。現実では人間が植物に取り込まれたと、大変なことになっているのに、当の本人たちはどこか他人事のようで、自分と距離を置いて話していて、どこかふわふわしている。他の緑人と意識が繋がっており、1/1人はなく1/数千人の意識だからなのかと思うが、不思議な雰囲気。
「焼け野原コンティニュー」も印象に残る。プラズマドラゴンにより焼け野原になった世界で、主人公は記憶を失い甦る。当てもなく歩く中で出会う人、見たものから記憶を少しずつ思い出すが、また命を失い「コンティニュー」となる。なぜ記憶を失い甦るのか、これはいつまで続くのか、読み終わった後に虚しさが残る。 -
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作品紹介・あらすじ
書物、人形、恋ごころ。人の噂も燃え盛る。炎ゆらめく25編!
『黒猫を飼い始めた』『嘘をついたのは、初めてだった』『これが最後の仕事になる』『だから捨ててと言ったのに』『新しい法律ができた』に続く、会員制読書倶楽部:Mephisto Readers Club(MRC)で配信(公開)された大人気ショートショート集第六弾!
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25編からなるショートショート集。
Mephisto Readers Club(MRC)が贈る大好評シリーズ第6弾とのこと。第1~5弾までは未読。とりあえず最新作から読んでみようと思い手に取った。
最初の一文は必ず「それはそれはよく燃えた」で始めなければならない、という括りがある。
25編、つまり25人の筆者の作品が掲載されており、予想通り玉石混交といった感じ。面白そうな作者を発見するためのカタログ的な一冊として読んでみた。全25名中、他の作品も読んでみたいな、と思わせてくれたのは以下の9名。
米澤穂信
須藤古都離
神林長平
潮谷験
多崎礼
市塔承
似鳥鶏
恒川光太郎
皆川博子
このうち神林長平と皆川博子は既に他の作品も読んでおり、好きな作家でもある。
不遜な書き方かもしれないけれど、残りの作家も決してつまらないわけではない。ただ、オチが読めてしまったり、ベタな内容だったりで、それほど心には残らなかった。
最初の1行が決められていること、そしてショートショートという分量の制限があることを考えると、この1冊で作者の力量を判断するのは難しいとも感じた。 -
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☆2.5 女性なろう系、ただしファンタジー
何でも願ひを叶へられる――ただし10個まで。
ファンタジーの皮をかぶってゐるものの、はじめから有利な条件で無双する、異世界チートものと設定が変らないやうにも思へる。
主人公は最初、その願ひを私利私欲のために費やしてしまふが、むしろ読み味はそこではない。読者がストーリー上の架空世界の地図をえがいて楽しむのが本筋だらう。
なんとなれば、作者の恒川光太郎がはじめてファンタジーにあたり、自由に空想したのをそのまま書いたやうな、都合の良さが見え隠れしてゐる。さういぢわるして言ふこともできる。幽とかフルムメアとかね。
ちなみに恒川さんは村上春樹の『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』に影響を受けたと、本の雑誌のインタヴューで答へてゐます。