恒川光太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
初版の単行本は2018年のもの。持ち運びやすい文庫で読んだ。
『金色機械』『スタープレイヤー』シリーズに通じるような、
それぞれのキャラクターの視点を渡り歩きながら進んでいく大きな物語。
結局、究極の悪というものはなく、
その時の状況で選択した結果がそれぞれに積み重なり交錯して世界が動かされていく。
今作も、未知の存在がもたらす異様な世界の設定の中に、
人間のもつ普遍的な要素がいたるところに絡んで、リアリティを生んでいく。
魅力的な登場人物が次々と出てきて、それが遠く繋がりあう。
結果を出したあとに詳細が語られる形も、
より重層的に話が絡み合い、読む側の気持ちを複雑に混ぜていく。
恒川さんの本を読んでいていつも思うのは、設定よりも人間の怖さの方だ。
そして使う言葉のちょうどいい、加減。
だから私は続けて読んでいけるんだよねー。 -
Posted by ブクログ
今まで4作品くらい"猫のアンソロジー"を読んでいるけど一番面白かったかも。
ただ、
ミステリーというよりイヤミスっぽかったり、
ホラー要素もある作品もあるので、表紙のポップさには似つかわしくないかな。
後半の作品が特に楽しかった。
個人的には、『オッドアイ』が好きかな。
『呪い』の嫌な後味の終わり方も好き。
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↓以下、大まかなあらすじ。
●新井素子『黒猫ナイトの冒険』
⇒日常ほんわか系。
まだ子猫で元野良、黒猫(ナイト)目線の話。
カラス(キング)との戦い。
●秋吉理香子『呪い』
⇒日常~イヤミスへ。
猫好きな大学生…ぼく
猫好きなおばさん…荻野さん
役所の動物管理課…瀧本さん
⇒異色の野良猫見守り隊!
責任を持って地域ねこの世話をしていたが、それでもよく思わない人が現れて…。
●芦沢央『春の作り方』
⇒日常ほっこり系。
亡くなった祖母が毎年作っていた桜の塩漬け。
それを毎年楽しみにしている祖父。ぼくが不注意で塩漬けの入った瓶を割ってしまう。友人の少年名探偵にアイデアを貰い、こっそり作り替えようとするが…。
●小松エメル『一心同体』
⇒もろイヤミス。
わたし(茜)と葵はいつも一緒だった。
でも性格は全く違う。茜のが勉強はできるが、どこか抜けた所のある葵はイジメてきた相手とも友人になれた。そんな葵はずっと猫になりたがっていた。人間の葵がある日いなくなり、猫になって帰ってきた。でも本当の理由は…。
●恒川光太郎『猫どろぼう猫』
⇒怪奇ホラー系。
架空の妖怪"ケシヨウ"は、人間社会の中に化けて溶け込み、猫・犬・人間などを食べる。
ある日、空き巣をしていた女が、ケシヨウを長年追う変な老人に出会ってしまい、更に偶然が重なり悲惨な結末へ。
●菅野雪虫『オッドアイ』
⇒日常ほっこり系。
行方不明になった飼い猫のオッドアイと、あだ名で「死神」と言われる友人の冬路。川原で死んでいた猫をつかんだのを見られたのがキッカケで死神という嫌なあだ名をつけられてしまったが、それには優しい訳があって…。
●長岡弘樹『四月のジンクス』
⇒少しイヤミス~ほっこり系。
縁起が悪いことが嫌いな主人公(高齢女)
長年、隣に住む同級生だった加寿子とは競いあってきた。どちらもボロ屋に住む単身高齢者。
ある日、加寿子の飼っていた猫を預かることになったが縁起の悪いと思っている黒猫で…。
●そにしけんじ『猫探偵事務所』マンガ -
Posted by ブクログ
ネタバレゆらりと繋がる短編5作品。少し不思議な要素はあるけれど、どちらかというと現実的な内容だった。話がどこに向かうのかわからない不安があった。
理不尽な目に遭っていたり、逃れようのない不幸に見舞われている人たちを見ているのは苦しかった。災害や事故や家族の問題など、自分ではどうにも回避できないことが世の中にはあるし、それで人生の道すじが決まってしまうこともある。後ろ暗い部分を抱えてひとり彷徨っている様子は、自由でサッパリとしていて究極の孤独だった。
悲観的な雰囲気ではないものの、あまりに不幸なのでもっとほかの人生があったのではないかと考えると気の毒になる。でもこの人々の世界はどこかで繋がっているのだと感じられて、それがささやかな慰めになった。みんなきっとどこかで強く生きている、と思えることは心強い。
もう見つかることのない家族の姿を捜していたアキが人捜しを職にしたことは、もうアキの生き様すべてな気がして胸が締め付けられた。 -
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『夜市』に次いで2作目の恒川光太郎。
この方の本、読み尽くしたい。やはり好きだ。文が。表現が。世界観が。
表題作含めて短編3作なのだけど、どれも好きなので一番が決められない。
何度も同じ日を繰り返す「秋の牢獄」、突然現れる神の家に、たまたま閉じ込められてしまう男の話「神家没落」、幻を見せる力を持った祖母に育てられた女の子の行く末を描いた「幻は夜に成長する」。
どれも不思議なことが起こっているのに、この世のどこかではあるかもしれない気がしてくる。いや少し昔に戻ればあったかも…?なんて。
読みながら不穏な雰囲気を背中に感じているのに、もっと知りたくなってしまうような、少し先から手招きされてるような。
恒川光太郎が生み出す世界に、もっと迷い込みたい。 -
Posted by ブクログ
私が恒川光太郎さんを好きだと言ったら、知り合いが「代表作なんでしょ?一緒に読む!」と買ってきてくれたこの本。私はまだ未読だったため、大急ぎで(2日で)読み切った感想を書きます。
結論から言うととても面白かった。恒川さんの特徴の一つだけど、とても読みやすい。文章が平易でスルスル読める。重厚な印象もとっきにくさもなく、創世のファンタジーを読み切ることができた。
主人公がある種俗物的な点があるのも大きなポイントで、一般人の我々読者は主人公に共感することができる。
復讐のために貴重な願いを使うこともあるが、最終的には人のために願いを使うようになる、成長も読み取れた。
楽しい読書でした。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ【収録作品】無貌の神/青天狗の乱/死神と旅する女/十二月の悪魔/廃墟団地の風人/カイムルとラートリー
「無謀の神」顔のない神がいる村。時折、赤い橋を渡ってよそ者が来る。橋を渡って向こう側へ帰ることができるのは、ある条件を満たさなかった者だけ。ホラー。
「青天狗の乱」流人島を舞台とした時代もの。
「死神と旅する女」死神にさらわれた無垢で空っぽの少女・フジ。約束を果たして戻り、二児の母となった彼女の元に再び死神が現れる。世界線が分かれる話で好み。
「十二月の悪魔」記憶を失いつつある老人のアイデンティティ・クライシス。近未来小説、か。考えると怖い。
「廃墟団地の風人」空からおちたゴーストと転校してきて居場所のない少年。孤独な少年たちの友情譚がいい。
「カイムルとラートリー」人語を解する崑崙虎・カイムルと下半身の不自由な、千里眼もちの姫・ラートリーとの出会い。淡々と語られる冒険譚が豊か。