恒川光太郎のレビュー一覧
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幻想と奇想のなかに漂う独特の抒情。
人の生き方や罪、生と死、そして自由を時にブラックに、時に寓話的に映し出す恒川さんの魅力がつまった短編集です。
あとがきによると、様々な媒体で発表したものをとにかく一冊にまとめたものらしく、収録されている作品のバリエーションは、これまで読んだ恒川作品の中でも特に幅広く感じました。
個人的にこれまでの恒川さんらしさを感じたのは表題作の『白昼夢の森の少女』『銀の船』『夕闇地蔵』の三編。
突然現れた蔦によって町一体が絡め取られ、植物と一体化してしまった少女と人々の姿を描いた表題作『白昼夢の森の少女』
永遠に様々な時代を行き来する船に乗り込んだ少女を描く『銀の船 -
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この空気感が好き……どのお話もとても好き……(うっとり)
一貫したテーマもなく、時代もジャンルも長短もまちまちの短編集。どれもそれぞれに味があるのですが、個人的に特に好きだったものをピックアップして簡単に。
・古入道きたりて
ホラーと言えど怪異事態に怖さは感じず、夜の山の美しさに引き込まれる、全体的に切なく優しい一作。「古入道」は、ダイダラボッチみたいな存在なのかなぁ。そして和菓子がテーマのアンソロジーに収録されただけのことはあり、おはぎが無性に食べたくなりました(笑)
・白昼夢の森の少女
表題作。時間経過の長さといい、コミュニティの広がり方と言い、スケールはすさまじいのに、ひっそ -
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スタープレイヤーの続編
前作で言及されていた「ヘブン」の成立のあらましのお話
想い人を亡くしたスタープレイヤーが彼女を復活させる「サージイッキクロニクル」と死者の町で復活した人たちのエピソードが交互に展開される
その2つのエピソードが交わるとき……
サージイッキクロニクルがメインの話
佐伯逸輝が子供の頃の縁を引きずって想いを寄せた華屋律子
華屋律子の訃報を知った佐伯逸輝は籤を引いてスタープレイヤーとして異世界に飛ばされる
事件の記憶をまったく知らない時期の華屋律子を蘇らせた後、世界とのかかわりの中で佐伯逸輝が悟ったもの、作ったものとは……
奴隷制度とか人種差別とか宗教とか、ファンタジ -
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異世界に飛ばされ、「スタープレイヤー」として10の願いを叶えることができるお話
「なろう系」の異世界転生・転移ものをそこそこ読んでいるけど
そんな「俺TUEEEE」なテンプレートとは違った展開などもあって、面白く読めた
ただ、そんな典型を知っているが故に、願いの使い方が雑だなぁと思うところが多数
願いの傾向が、生きるため、個人の欲望、遺恨の精算、他人のため、多数のためと変遷していく過程は納得
最終的な願いにしても、「願いを国のために使うならばきりがない」というのを体現するためによく表していると思う
解説は芝村裕吏さん
既に他のジャンルで有名な人がファンタジーものに手を出すのは難しいと -
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ネタバレこの人にダークな世界を描かせたら、
秀逸だということをすっかり忘れていた。
最初は安心して安穏とした気分で読んでいたのだが、段々と暗雲が立ち込めてきて…そして、どんどん暗さに拍車がかかってゆく。
なんて救いがなく絶望的なのだろう。
この絶望感の破壊力は半端ない。
恐怖感や衝撃を淡々と描くことで、冷徹さが増している。
鈴上は、ただ幸せになりたかっただけだと思うのに。
彼に希望ある気持ちがあると、現実世界が災厄に見舞われるという、最悪な世界観。
気持ちがすっかり憂うつになりました。
胸を太い釘で打ち付けられたかのような、鈍い痛み。
悪夢を見そうで今夜は怖い。
やはり恒川光太郎氏は凄い…! -
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ネタバレ特に前半に並べられた数作から立ち上ってくる、幕末~明治~大正~昭和に掛けて世に満ちていたであろう濃密な気配は実に独特なもので、それこそ「死神と旅する女」に出てくる時影のような男がそこらを跋扈していたのだろうな…と頷かせる。
小野不由美氏の「東亰異聞」の世界にも通じる色合いというか。
一転、ダークなファンタジーといった趣の「カイムルとラートリー」では、動物好きの読者に過度なストレスを掛けない展開と結末に、ほっと安堵した。
それぞれ、絶対的な説得力を持つ理屈がギミックの裏側に構築されているというわけではないけれど、なんとも言語化しにくい幻想的な魅力を醸しており、改めて著者は短編の名手であると再認 -
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面白かった!昔やったRPGを思い出す。自分が行ったところは地図が更新されるなんて、まさにそのものじゃないか。
『スタープレイヤー』よりもずっと楽しかったので、本の分厚さがうれしくて。
フィールドが広くなったのと、2つの世界の物語が交錯することによって、話に深みが出たと思う。
1つ目の世界は前作同様、白くて大きな男のくじ引きにより、スタープレイヤーとしてやってきた男の話。
2つ目の世界は、死んだ人たちが何故か生き返って、でも元の場所ではない違う世界で新たな歴史を作っていく話。
どちらの話も面白いし、もちろんこの2つの世界は物語の後半、意外な繋がりがあることが分かるのだが、それもなかなかいい。
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ネタバレ再読でも面白かったです。
長編では恒川さんのノスタルジックでダークで容赦ない世界にじっくり浸れます。
『穏』も、この世の理とはかなり違う決まりで動いている世界。暮らしているのは人だろうけど、限りなく彼岸に近い世界だと思います。
賢也パートと茜パートの時系列が違う事に気付くとゾッとしました。賢也の、雷の季節に消えた姉が茜だったとは…。
その中でも外れまくっているのが絶対悪・トバムネキだけれど、彼も歪んだ理由はあって。それでも、無間地獄に堕ちるのは壮絶。
早田さんは何者なんだろ。穏の血を引く者ではあるっぽいけど。
賢也が最終的に穏に戻れないのは、やっぱり穏での階級で穂高の家より下だからなのかな。苦 -