恒川光太郎のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
各ストーリーの登場人物同誌の関係性が薄めの連作短編集。
単行本発売時の「好書好日」のインタビューでも語られているが、これまでの恒川作品の最大の特徴といえば、幻想、ホラーファンタジー。デビュー作「夜市」から続く安定のスタイルを今作品は敢えて角度を変えて現実を描いている。(エッセンスとして多少 非現実的な要素は含まれている。)
どこにでもいるような普通に生きている人間が、ある日突然何かのキッカケで生活が反転するかもしれない可能性。各主人公が背負う重たく影を持つ現実と、再生へ向かう心理描写がどこかキッパリと清々しく、その対比が絶妙なバランスで読みやすかった。
とはいえ、個人的にはやっぱり従来の -
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Posted by ブクログ
ファンタジーだけど自分が知らないだけで実際にはあることなのかもしれない。そんな短編集。とてもきれいな文章で読みやすく、きつい内容のものもあるのに穏やかで水彩画のようだと思いました。
風を放つ
比較的日常に近いところでのファンタジー。マミさんがなんだか本当に存在しているのかわからないふんわりした妖精のような感じなのと読後感もなんだかふんわり。
迷走のオルネラ
DVが物語の中心なのでやや手に汗握る展開からスコーンと静かな蒼い月に意識を持っていかれる。最後は春の暖かな空気にまた持っていかれるがラストは考えさせられる。
夜行の冬
絵画的でもありホラー的でもあり。冬の美しさとグロテスクな闇とパラレ