恒川光太郎のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレこの人にダークな世界を描かせたら、
秀逸だということをすっかり忘れていた。
最初は安心して安穏とした気分で読んでいたのだが、段々と暗雲が立ち込めてきて…そして、どんどん暗さに拍車がかかってゆく。
なんて救いがなく絶望的なのだろう。
この絶望感の破壊力は半端ない。
恐怖感や衝撃を淡々と描くことで、冷徹さが増している。
鈴上は、ただ幸せになりたかっただけだと思うのに。
彼に希望ある気持ちがあると、現実世界が災厄に見舞われるという、最悪な世界観。
気持ちがすっかり憂うつになりました。
胸を太い釘で打ち付けられたかのような、鈍い痛み。
悪夢を見そうで今夜は怖い。
やはり恒川光太郎氏は凄い…! -
Posted by ブクログ
ネタバレ特に前半に並べられた数作から立ち上ってくる、幕末~明治~大正~昭和に掛けて世に満ちていたであろう濃密な気配は実に独特なもので、それこそ「死神と旅する女」に出てくる時影のような男がそこらを跋扈していたのだろうな…と頷かせる。
小野不由美氏の「東亰異聞」の世界にも通じる色合いというか。
一転、ダークなファンタジーといった趣の「カイムルとラートリー」では、動物好きの読者に過度なストレスを掛けない展開と結末に、ほっと安堵した。
それぞれ、絶対的な説得力を持つ理屈がギミックの裏側に構築されているというわけではないけれど、なんとも言語化しにくい幻想的な魅力を醸しており、改めて著者は短編の名手であると再認 -
Posted by ブクログ
面白かった!昔やったRPGを思い出す。自分が行ったところは地図が更新されるなんて、まさにそのものじゃないか。
『スタープレイヤー』よりもずっと楽しかったので、本の分厚さがうれしくて。
フィールドが広くなったのと、2つの世界の物語が交錯することによって、話に深みが出たと思う。
1つ目の世界は前作同様、白くて大きな男のくじ引きにより、スタープレイヤーとしてやってきた男の話。
2つ目の世界は、死んだ人たちが何故か生き返って、でも元の場所ではない違う世界で新たな歴史を作っていく話。
どちらの話も面白いし、もちろんこの2つの世界は物語の後半、意外な繋がりがあることが分かるのだが、それもなかなかいい。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ再読でも面白かったです。
長編では恒川さんのノスタルジックでダークで容赦ない世界にじっくり浸れます。
『穏』も、この世の理とはかなり違う決まりで動いている世界。暮らしているのは人だろうけど、限りなく彼岸に近い世界だと思います。
賢也パートと茜パートの時系列が違う事に気付くとゾッとしました。賢也の、雷の季節に消えた姉が茜だったとは…。
その中でも外れまくっているのが絶対悪・トバムネキだけれど、彼も歪んだ理由はあって。それでも、無間地獄に堕ちるのは壮絶。
早田さんは何者なんだろ。穏の血を引く者ではあるっぽいけど。
賢也が最終的に穏に戻れないのは、やっぱり穏での階級で穂高の家より下だからなのかな。苦 -