東山彰良のレビュー一覧

  • 僕が殺した人と僕を殺した人

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    一万円選書で選んでいただいた本作、この機会がなければ読むことがなかったと思うと貴重な機会をいただいたことを感謝せずにはいられません。1985年頃の台湾の雑多な雰囲気がリアルに映し出され、匂いすら感じられるほど。特に蛇の匂い、かつて香港で嗅いだ時のことがまざまざと思い出されました。作品通してとても少年とは思えないほどの言動が繰り広げられ、実に濃密。サックマンが誰なのか分かった時の衝撃は忘れられません。回想がオープニングに戻る構成にも唸らされます。忘れられない作品になりました。

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    2022年09月27日
  • 猫が見ていた

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    「ハッチは念入りに顔を洗ったあと、今度は熱心に右手を舐め始めた。だからきっと、明日は雨のち晴だ」
    うちの猫はひとりはこの部屋の隅で丸まって寝ている。もうひとりは玄関の半開きにした網戸の外で寝転んで周りを見ている。今は。
    一日中猫をさがしているような気がする。よく外に出る猫なので、顔を見ると安心する。もちろんツンデレなのでベタッとくることは滅多にない。
    この本を読んで、まあ実に作家というものはいろんな話を創り上げられる人種だと感心する。
    中でも加納朋子の作品が気に入った。はじめて知った作家だが何か読んでみよう。

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    2022年09月12日
  • 路傍

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    クソおもしろ!リズミカルな文章に引き込まれて一気に読んだ。最高の語り部による下品で最低の物語。この作品はすげえよ。鮮やかだよ。惚れ惚れするよ。大した内容が無いのに文章だけでこんな物語が描けるなんて天才かよ。東山彰良すげえ。

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    2022年08月18日
  • 夜更けのおつまみ

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    少しずつそれぞれの作家さんのお話がいただける、まさに「おつまみ」な本。
    読み進めていると、缶ビールが2本、空の状態で目の前にありました。

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    2022年07月24日
  • 宮辻薬東宮

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    宮部みゆきさんのはゾクゾクしたー。
    辻村深月さんのは既読だったな。
    薬丸岳さんのはページを繰る手が止まらなかった。

    東山彰良さんのは始め入りにくかったけど、話が動き始めてからはグイグイ。

    宮内悠介さんのは、面白かったけど、バトンな感じやホラー感はあんまなかったかな。
    最後、宮部さんのそことつながるのかーと思った。

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    2021年08月17日
  • 流

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    ネタバレ

    力強いと感じた。まるで生き物のようだ。
    毛毛との話は悲しい。おじいさんを殺した犯人には驚愕する。個人的に好きな言葉は『成功なんて人生の一瞬でしかない』心が軽くなった。


    洗練された言葉選び、異国という独自性。間違えなく傑作。

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    2021年04月27日
  • 僕が殺した人と僕を殺した人

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    2015年、アメリカを震撼させた連続殺人鬼〈サックマン〉が逮捕された。彼の弁護を担当することになった国際弁護士の〈わたし〉は、30年前、当時13歳で台湾で少年時代を送っていたとき、後に〈サックマン〉となった少年のことを知っていた。
     1984年から1985年、当時中学生だった台湾の三人の少年の物語が回想される。
     彼らの住んでいたのは台湾の廣州街と言う町で、線路によって〈大陸人側〉と〈台湾人側〉に分断されていた。語り手の元少年は、〈大陸人側〉に住んでおり、線路を越えた向こう側へ行くことは大人から禁じられていた。
     兄の死、親の不仲、義父からの虐待など家庭に問題を抱えている三人の少年は、つる

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    2020年11月23日
  • 僕が殺した人と僕を殺した人

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    80年代の台湾を舞台に描かれる少年達の美しい夏。一つひとつのエピソードを丁寧に、しかし短く繋いでいくのでとても読みやすいです。
    だからこそ騙されるんだけどね。もう、タイトルを読んだ時から。。。

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    2020年07月28日
  • 夜更けのおつまみ

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    このサイトで著者を見ると勘違いする人もいると思うが、これは、おつまみについていろんな作家さんが書いたアンソロジーである。
    どれも私にぴったりで、最後まで楽しく読めたし、つまみの参考にもなった。
    あまり手の込んだものつまみは出てこず、なかにはコンビニつまみランキングなるものもあり、かなり参考になった。また、各作家さんの酒との距離感、そして、つまみのポジションが明確で、スッキリ読める。
    人それぞれ、酒とつまみの位置付けは様々だが、押し付けがましくなく、自分の日常を赤裸々(?)に語っているのが最高。
    さらに、一編ずつが短いのもポイント。
    ネックは、つまみを食べたくなり、酒を飲みたくなることだけです〰

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    2020年07月14日
  • 激動 東京五輪 1964

    購入済み

    蘇る昭和の世界、味わいある七編

    東京オリンピックを背景に、著名なミステリー作家七人によるアンソロジー。あの頃は今よりもみんなが前向きで、街にも活気があふれていたような気がする。初めて読む作家もいて、それぞれの持ち味が楽しめてよかった。個人的には月村さんが面白かったかな。

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    2020年04月26日
  • 激動 東京五輪 1964

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    大沢在昌、藤田宜永、堂場瞬一、井上夢人 今野敏、月村了衛、東山彰良『激動 東京五輪 1964』講談社文庫。

    昭和39年。東京オリンピック開催に沸く東京を舞台にした7人の作家によるミステリー・アンソロジー。古き善き時代の香りの中に描かれる様々な形のミステリーとピカレスクはいずれも秀逸。

    2020年の東京オリンピック開催を記念しての刊行かと思うが、新型コロナウイルス感染拡大の非常事態により東京オリンピックは2021年に延期されてしまった。延期ならまだしも、2021年に開催できるかどうかすら怪しい状況である。自分は中止になると見ているが……『アンダーコントロール』『復興五輪』という日本の総理大臣

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    2020年04月20日
  • 罪の終わり(新潮文庫)

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    2173年、6月16日、小惑星がNASAの予測どおり、地球に向かってきた。核ミサイルで粉砕した余波で、世界は飛来した惑星のかけらで燃え、ビルは倒れ、灰が降り積もり、北米を中心に世界は崩壊した。
    残った一部はキャンディー線と呼ばれる塀で囲い込まれ、そこはまだ残っている世界の物資で擁護され生き残っていた。外に住む人たちは残った物資や食料を奪い合い、それも尽きかけていた。

    彼(ナサニエル・ヘイレン)は双子の弟に生まれた。母のピア・ヘイレンは田舎では稀に見る美人で、ニューヨークに出て女優になることを夢見た。だがヒッチハイクの途中で運転手に襲われ妊娠する。
    ナサニエルは自転車の後ろに障害のある兄を乗せ

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    2019年12月26日
  • 宮辻薬東宮

    購入済み

    刀の行方

    五人の作家のリレー小説。
    それぞれの持ち味が存分に出ていて、読み応えがあります。
    こんな風な小説は時にあらぬ方向へと流れたりする事もありますが、最初と最後がきちんとつながります。

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    2019年12月13日
  • 罪の終わり(新潮文庫)

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    ぐっときた要素はみっつ。

    1.ポストアポカリプスの描写。
    小惑星の墜落による局地的な壊滅と、都市部の囲い込み→それ以外の無法地帯化。

    2.伝説的人物の成り立ち。
    はっきりとイエスになぞらえられるが、食人をせねばならない状況を赦してくれる人物を待ちわびていた、人々の思いこそが、黒騎士という伝説を生む。

    3.偉大さとは対照的な、少年っぽさ。
    オートバイを直したら、みんな幸せな場所に行けるんだ。
    もちろんそこには兄も母も連れて行きたい。→彼なりの罪悪感はずっと続いている。
    常に兄を内面に感じているからこそ、飢えている人を目の前にして、食べ物をあげてしまう。
    「まったく俺ときたら、常に誰かの腹具

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    2019年01月22日
  • 猫が見ていた

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    ジャケットの猫の目にやられた猫アンソロジー。
    短編が7作並んでいるけど、気に入ったのは柚月裕子さんの「泣く猫」だな。猫が脇でいい仕事をする。
    あと、「100万回生きたねこ」が感動の書なのか、絶望の書なのかは深いテーマだ。
    最後の猫小説傑作選も、また読まなきゃいけない本を増やしてくれる。

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    2019年01月20日
  • ブラックライダー(上)

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    北方謙三先生も選評で言われていたが、舞台設定が独特で戸惑うところがあるSF冒険小説。アメリカのゾンビドラマのようなグロくて残酷な舞台設定で繰り広げられるドラマ。でも、そんな少し恐い世界に引き込まれてしまいまった。作家のオリジナル性を強く感じられる見たことのない世界の童話。

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    2018年03月17日
  • 路傍

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    東山彰良の路傍を読みました。

    俺28歳、同い年の喜彦とつるんで定職にも就かず泥酔したサラリーマンから財布を抜き取っては酒を飲んでソープランドに行く日々。
    そんな二人のチンピラが遭遇するトラブルが連作短編で語られていきます。

    二人が遭遇するのは法律に触れるようなトラブルばかりですが、二人がきわどいところで難を逃れてなんとか生き延びていく様子が飄々とした語り口で語られるので物語に引き込まれてしまいます。

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    2017年03月25日
  • ブラックライダー(上)

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    ネタバレ

    読みづらいという声も多いらしいが、サービス精神満点の大娯楽作だった。
    登場人物の多さに辟易しないためには、バード、レイン兄弟、ジョアン周りの数名だけ把握してすいすい読めばよい。
    私はモブであってもネーミングが面白くて、全員メモを取りながらゆっくり読むことを楽しんだ。

    Ⅰではレイン兄弟を追うバードを通じて、荒廃した世界観を味わう。
    「明日に向って撃て!」でブッチとキャシディが荒野を延々追われる場面があるが、その舞台を世界荒廃後の荒野に置いた。
    人肉食がまだまだ廃れていないという背景もぐっとくる。

    Ⅱは打って変わって牛腹と蔑まれたマルコが、蟲の流行から逃れつつ調査する中で、いわば救世主と見做さ

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    2017年02月24日
  • ブラックライダー(下)

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    ネタバレ

    読みづらいという声も多いらしいが、サービス精神満点の大娯楽作だった。
    登場人物の多さに辟易しないためには、バード、レイン兄弟、ジョアン周りの数名だけ把握してすいすい読めばよい。
    私はモブであってもネーミングが面白くて、全員メモを取りながらゆっくり読むことを楽しんだ。

    Ⅰではレイン兄弟を追うバードを通じて、荒廃した世界観を味わう。
    「明日に向って撃て!」でブッチとキャシディが荒野を延々追われる場面があるが、その舞台を世界荒廃後の荒野に置いた。
    人肉食がまだまだ廃れていないという背景もぐっとくる。

    Ⅱは打って変わって牛腹と蔑まれたマルコが、蟲の流行から逃れつつ調査する中で、いわば救世主と見做さ

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    2017年02月24日
  • NARUTO―ナルト― カカシ秘伝 氷天の雷

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    原作での戦争終了後、何故カカシが六代目火影になったのか、その任務がここには記されています。
    実はそんなにドラマチックではないけど、誰かを守るということにおいては火影として立派でした。

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    2015年02月12日