東山彰良のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この作品は何が良いかっていうと、サスケの一人称小説なんです。
主人公「オレ」なんです。読み始めてすぐこれがツボにはまった。
漫画本編において、サスケがトビからイタチの真実を聞いてから、波打つ岩の上で涙を流し木ノ葉殲滅を宣言するまでの間の物語。
特にそこの間が空白だとは思っていなかったから、そこにエピソードを入れ込むのかとちょっと驚きではありました。
トビから手渡されたイタチの遺品は薬の注文票だった。イタチの病気のことが何かわかるかもしれないと、その注文票を頼りにサスケは中立里・狼哭の里へと向かう。
狼哭の里に住むレイシ・キナ兄弟に自分やイタチを重ね合わせるサスケに切なさを感じました。
朝 -
Posted by ブクログ
ネタバレストーリーは、兄の遺品である目薬を手がかりに薬屋のある里を訊ねたサスケが、里から迫害される薬師の兄弟を救うというシンプルな構成です。
この小説のもうひとりの主人公はイタチ兄です。
登場しないもうひとりの主人公。
とにかく思ったのは、サスケはやっぱりトビの言うことを鵜呑みにして利用されてる自覚はあったんだな。
それでも怒りの持って行き場がなくて、それこそダンゾウの言うとおり手当たりしだいに八つ当たりしてるだけってのも自覚してる。
自分が欲しかったのはこんな終わり方じゃない、この兄弟のような生き方を求めていたのにとはっきり自覚する辺りも悲しかった。
ド根性忍伝の時もだったけど、悲しいくらいに平和と -
Posted by ブクログ
サイコー!!
確実にこの本は、あたしの人生のスゴ本だ。
あまりこういったことは好きではないが、あまりに感動したのでいくつか、
この作家の素晴らしき世界を引用しよう。
なぜかというとこの作家のすごさは、その圧倒的な表現力にあるからだ。
ストーリーを説明するのはすごく難しい。
あるいはすごくカンタンだ。
4人のろくでなしどもがつるんで馬鹿やって、しくってボコられて、
死にかけて逃げてでもまたつるむ。
チャラくてもてて、でも人を愛したり誰かを信じることができずに、
つながりを断ち切りたくて腐る、ろくでなしの智也。
「世界はいつだって俺とそれ以外だ。みじめな負け犬どもを見るにつけても、狂 -
Posted by ブクログ
大好きな、東山ワールド!
なんなんだろう?
上品でもない、けどすごくやりすぎな下品感もない。
解説で「落ちこぼれのはずの主人公が文学的素養がありすぎる、
作家が作品の表に現れすぎたのでは」などと書いてあったが、
あたしには気にならなかった。
工業高校卒業のマコトが、IWGPでクラシックのうんちくを語ったりするのに慣れているせいか?
自堕落な毎日の中で焦るでもなく、お互いを頼らずにでも、
なんとなく相手を思いやってみたり気にしてみたりする、
絶妙な距離感とクールな文体が最高。
この人の文章にはふっとい骨と、しなやかな伸びがある。
読みながらぐぐっと踏ん張れる、強さが心地よい。 -
Posted by ブクログ
花は桜木、男はジョニー、声高らかに歌うはカンツォーネ!
目次にあった「ジョニー・イン・ザ・ブルー・スカイ」に惹かれて購入。じゃっかん「空」買い
マフィアのドンに飼われていた兎のジョニーは、今
シクラメン通りで兎の探偵業を営んでいる。
かつて難事件を解決した実績を持つジョニーのもとに
ある日、
行方不明の兎を探して欲しいという依頼が持ち込まれた。
兎の失踪などよくあること、と安く請け負ったジョニーだったが
事件はどんどん深みを増し——
ドンから、男の何たるかを教え込まれたハードボイルド・ジョニーの
真の男の物語。
読み始めは、ハードボイルドってこういうことなのかとも思うけど
なんか下品 -
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Posted by ブクログ
佟雨龍が地獄に行って、人の世に逃げ込んだ三毒を連れ戻すために鬼になって舞い戻ってきます。地獄でケルベロスになった親友・皮蛋と別れたのは残念ですが、人世では小皮蛋が佟雨龍の妹分として活躍します。
エンタメ作品としてはちょっと冗長というかよく言えば盛りだくさんでしたが、何とか読み終えました。小皮蛋の妹子が佟雨龍に「どこにも行かんで」とすがりつくシーンがいじらしく印象的でした。というか佟雨龍は一人で抱え込み過ぎなのが焦ったい。
あきらめるのも大事、あきらめないのも大事。佟雨龍や李平はその間で気持ちが揺れていました。どうしようもないことは潔く諦めるたほうがいいに決まっていますが、諦めきれずにもがく -