東山彰良のレビュー一覧
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ネタバレ終盤になって主人公が中国に渡り、そこで人の歴史が繋がっていく感動があった。
大切な人の命を奪われた恨みを忘れられるだろうか。戦争そのものではなく人に恨みが向かってしまうところがつらくて悲しい点だ。人の力で作った因縁をまた人の力で断ち切らなければ、それこそ根絶やしになるまで復讐はいつまでも終わらない。相手が先にやったとお互いに敵意を向け続けてしまうシーンが特に悲しかったが、これが争いの現実なのだろうと思う。
マオマオと、あれっきり最後になるのがリアルだなと思った。
過去に何があり、そしてこの先に何があろうとも、現在のこの瞬間は幸せなまま記憶に残るのだと思うと泣きそうだった。その瞬間があるから生き -
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とても面白かった。本当かは判らないが、台湾の歴史、生々しいの感情を味あうことかできた気がします。
今でこそ親日国といわれてますが、元々は抗日の国民党が大陸から脱出して建てた国なんですよね。敵の敵は味方的な感じなんでしょうね。
主人公の青春小説なんですが、よくここまで中華的に書けるなと思ったら作者が台湾の方なんですね。中国独特の香りプンプンする感じがまさに中華小説を読んでる気になりました。
また、台湾の歴史についても学べたような気がします。
日本から見る台湾と台湾から見る日本は全く違うんだろうなと思います。
主人公の青春ならではの恋や破茶滅茶な生活などニヤリとさせられ面白かったです。
あと、オ -
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台北の紋身街を舞台にした、9歳の「ぼく」目線の世界の物語
かつては刺青のお店が立ち並んでいた紋身街も、今や3店のみ
そんな街の入り口で食堂を営む家庭の「ぼく」景健武(ジンジェンウ)
皆からは「小武(シャオウ)」と呼ばれている
猥雑で少しアンダーグラウンドな一面を持つというと、日本でいうなら新宿歌舞伎町のような感じなのだろうか?
または、読んでいて石田衣良のIWGPシリーズに通じる雰囲気を感じたので、渋谷の裏路地かもしれない
主な登場人物
タピオカミルクティー屋の阿華(アファ)
確固たる信念を持った彫師のニン姐さん
依頼に応じてどんな刺青でも彫るケニー
ピッグボーイとシーシーの兄弟彫師
探 -
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ネタバレ第二次世界大戦後の台湾を描いた小説。
主人公の祖父は戦地で大虐殺を行い、その記録がかかれた石碑を見る主人公から物語は始まる。
そこから急に、主人公が高校生時代までさかのぼり、祖父が惨殺される。祖父を殺害した犯人は見つからず、その犯人を捜していくのが大筋の物語です。しかし、私は、気が付くのが遅かったため、前半はつまらなく感じました。
前半は、主人公が、ヤクザな友達と付き合い堕落していく生活。替え玉受験が見つかり、進学校を退学になり、バカな高校に編入し、喧嘩の日々、大学受験にも失敗し…こういう人苦手…。
途中から、幽霊の話が出てきたり、幼馴染との恋があったり、ヤクザとの対立で怖い思いをして、兵役 -
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青春小説なんて滅多に読まないけど、ふと手にした東山彰良の新刊が好みだったので2作目。
やっぱり良かった。激動の時代。なのにどこかあっけらかんとしている。ノスタルジーを感じる。
筋はどうしてこんな細かい面白不思議エピソードを思いつくんだろう?とびっくりなのだが、何より文章が好きなのです。文字を追っているだけで、読書行為そのものが気持ちいい。台湾の空気や喧騒、茹だるような暑さ、行ったことがないのに情景が浮かび、血肉が通った小説ってこういうことを言うのかと思う。立ち昇る生々しい手触りと虚構が入り混じって、ちょうど良い塩梅。
人物もみな魅力的だった。石碑に自転車コキコキこいでやってくるじいちゃんと -
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「人・で・なし」
宮部みゆき上手いよねえ。
極めて普通の(もしかしたら宮部自身が遭遇したかもしれない)居酒屋の、よくある話から、「人でなし」のワードを引き出して、ひとつの現代の「怪談噺」が始まる。まあ、やり過ぎ(ありきたり)のオチだったけど。リレー・アンソロジーどうなるんだろ?
「ママ・はは」
宮部からバトンを受け取ったのは、辻村深月。話の導入方法と「表題」「写真」というキーワードを引き継いだようです。果たして何処を引き継いで何処を引き継がないのか。ちょっと推理したくなりました。
「わたし・わたし」
辻村からバトンを受け取ったのは、薬丸岳。初めて読む作家。確か実際にあった犯罪に取材した小説 -
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めちゃくちゃ面白い短編集。こんなふざけた小説なかなか無いよ。東山彰良が本気でふざけるとこうなるのか。人物の名前も有象くんとか無象くんとかビッチちゃんとかマジでふざけてるんだけど、なんというか名前は記号でしか無いんだな。こんなにふざけてても感情移入はできるし、名前が有象でも読者にとって特別な登場人物にはなる。名は体を表すようでいてそうではないし、ここがすごく実験的で良かった。「流」であんなに覚えにくい名前使いまくらなくても良かったのでは?と思った。めちゃくちゃ面白かったんだけどサクサク読み進められなかったのは1話1話のエネルギーが強すぎたからの気もする。
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なんだろう、リズミカルな文章で弾むように読めるはずなんだけど、なんか読み進めるのにめちゃくちゃ時間がかかった。東山彰良はなんというかムラというか波がある感じがするな。いや、当たり外れと言ってしまうか。いつも結構好みなところを攻めてくるんだけど、波長が微妙に合いそうで合わないとむしろ読みづらいというか、波長がバッチリ合えばバキッとハマってめっちゃ面白いってなるんだけどね。この話はなんとなく高校生たちがやたらマセててその描写に白けてたのかなあ?文章は天才的だと思うよ。ストーリーがあんまりおもしろくなかったのかな?キャラに感情移入が全くできなったのもあるかな。
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ネタバレ台湾の歴史と民俗、まとわりつく湿度と臭気、大人に翻弄される少年たちの複雑な感情がリアルに感じられた。最初スタンドバイミー?ブラザーフッド?BL?と思ったがどれとも違う。アメリカで起きた猟奇犯罪、その犯人と弁護士。少年たちの関係が徐々に明かされる。
P8「おれたちはガキで、世界はガキの思い通りになんかならねえんだ」
P268 連続殺人鬼の殺人衝動なんて、あとから専門家たちがとってつけたものだ。こういうことに正解なんてない。正解の代わりに誰かの想いがあるだけなんだ。」「人間はいつだってその誰かの想いによってつくられる。」
P284 正義が蒸発し、勇気が砕け散ってゆく。悲しみだけがピリピリと肌