東山彰良のレビュー一覧

  • 女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。

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    ネタバレ

    6篇の連作短編集。アンソロジーで読んで気になっていたもの。福岡と思われる男子大学生・有象くん無象くんのお話。イケメンくんとか本命ちゃんとかビッチちゃんとかそのまま名前になってて分かりやすいし、こんなにも恋愛が重要になるのかと思わされる。まぁ今どきの若者は違うかもしれないけど、学生時代ってこんなだったなーと懐かしい感じもする。とにかく笑えて面白い。まさに青春コメディー。

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    2023年09月05日
  • 流

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    ネタバレ

    終盤になって主人公が中国に渡り、そこで人の歴史が繋がっていく感動があった。
    大切な人の命を奪われた恨みを忘れられるだろうか。戦争そのものではなく人に恨みが向かってしまうところがつらくて悲しい点だ。人の力で作った因縁をまた人の力で断ち切らなければ、それこそ根絶やしになるまで復讐はいつまでも終わらない。相手が先にやったとお互いに敵意を向け続けてしまうシーンが特に悲しかったが、これが争いの現実なのだろうと思う。
    マオマオと、あれっきり最後になるのがリアルだなと思った。
    過去に何があり、そしてこの先に何があろうとも、現在のこの瞬間は幸せなまま記憶に残るのだと思うと泣きそうだった。その瞬間があるから生き

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    2023年08月27日
  • 流

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    ミステリー、青春もの、バイオレンス、時折クスッと。
    いろんなものが混ざったカオスな作品。
    登場人物名が中国語で、なかなか頭に入ってこない…「主な登場人物」を何度見たことか。
    それもあって最初は少々とっつきにくかったのだが、途中からグイグイ引き込まれた。
    なんだか不思議な魅力をもった一冊。

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    2023年08月24日
  • 流

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    とても面白かった。本当かは判らないが、台湾の歴史、生々しいの感情を味あうことかできた気がします。
    今でこそ親日国といわれてますが、元々は抗日の国民党が大陸から脱出して建てた国なんですよね。敵の敵は味方的な感じなんでしょうね。
    主人公の青春小説なんですが、よくここまで中華的に書けるなと思ったら作者が台湾の方なんですね。中国独特の香りプンプンする感じがまさに中華小説を読んでる気になりました。
    また、台湾の歴史についても学べたような気がします。
    日本から見る台湾と台湾から見る日本は全く違うんだろうなと思います。
    主人公の青春ならではの恋や破茶滅茶な生活などニヤリとさせられ面白かったです。

    あと、オ

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    2023年08月16日
  • 小さな場所

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    台北の紋身街を舞台にした、9歳の「ぼく」目線の世界の物語

    かつては刺青のお店が立ち並んでいた紋身街も、今や3店のみ
    そんな街の入り口で食堂を営む家庭の「ぼく」景健武(ジンジェンウ)
    皆からは「小武(シャオウ)」と呼ばれている

    猥雑で少しアンダーグラウンドな一面を持つというと、日本でいうなら新宿歌舞伎町のような感じなのだろうか?
    または、読んでいて石田衣良のIWGPシリーズに通じる雰囲気を感じたので、渋谷の裏路地かもしれない

    主な登場人物
    タピオカミルクティー屋の阿華(アファ)
    確固たる信念を持った彫師のニン姐さん
    依頼に応じてどんな刺青でも彫るケニー
    ピッグボーイとシーシーの兄弟彫師

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    2023年07月07日
  • 流

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    主人公が祖父との想い出に触れ、涙する場面が印象的だった。
    幼い頃に祖父が買ってくれた豆花の売り歩きの声を耳にし、祖父の死後はじめて涙を流す秋生。居ても立っても居られず豆花を買いに走り、そこで豆花屋から在りし日の祖父の話を聞く。
    幼い頃は気が回らなかった祖父の内心や孫への愛に、大人になってもう伝えることができなくなってから気づく。
    そんな場面をさらりとしたせつなさをもって描写しているこの場面がとても素敵だと思う。

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    2023年06月20日
  • 流

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    ネタバレ

    第二次世界大戦後の台湾を描いた小説。
    主人公の祖父は戦地で大虐殺を行い、その記録がかかれた石碑を見る主人公から物語は始まる。

    そこから急に、主人公が高校生時代までさかのぼり、祖父が惨殺される。祖父を殺害した犯人は見つからず、その犯人を捜していくのが大筋の物語です。しかし、私は、気が付くのが遅かったため、前半はつまらなく感じました。
    前半は、主人公が、ヤクザな友達と付き合い堕落していく生活。替え玉受験が見つかり、進学校を退学になり、バカな高校に編入し、喧嘩の日々、大学受験にも失敗し…こういう人苦手…。
    途中から、幽霊の話が出てきたり、幼馴染との恋があったり、ヤクザとの対立で怖い思いをして、兵役

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    2023年05月30日
  • 流

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    青春小説なんて滅多に読まないけど、ふと手にした東山彰良の新刊が好みだったので2作目。

    やっぱり良かった。激動の時代。なのにどこかあっけらかんとしている。ノスタルジーを感じる。
    筋はどうしてこんな細かい面白不思議エピソードを思いつくんだろう?とびっくりなのだが、何より文章が好きなのです。文字を追っているだけで、読書行為そのものが気持ちいい。台湾の空気や喧騒、茹だるような暑さ、行ったことがないのに情景が浮かび、血肉が通った小説ってこういうことを言うのかと思う。立ち昇る生々しい手触りと虚構が入り混じって、ちょうど良い塩梅。

    人物もみな魅力的だった。石碑に自転車コキコキこいでやってくるじいちゃんと

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    2023年05月27日
  • 小さな場所

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    少年の毎日と成長に不思議な切なさを覚える連作短編。異国なのにノスタルジーを感じる。
    こういう…新刊コーナーにあって表紙が良さげでなんとな〜く手に取った本が「当たり」だと得した気分になる。嬉しい。

    変わらないでいてほしいけど別の世界も見なくては勿体無い気がして、悩む間にもどうせ全ては変わって、過ぎていく。
    主人公の少年にまったく嫌みがないし彫師やタピオカ兄ちゃん達が魅力的です。少年、どんな大人になったかなあ…。優しい、泣きたくなるような気持ちでこの時代を思い出すと良い。

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    2023年04月06日
  • 小さな場所

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    日本以外の各地がそれぞれ持つ雑然さ、というものを日本語で上手く物語にするには、その地で幼少期を過ごすのが必要条件なのではないかと著者の本を読むとそう思えてくる。

    「流」よりも土着性溢れるこの本は日本語で書かれたのに翻訳本を読むような、快適なほんの少しの違和感を感じさせる。

    文教堂淀屋橋オドナ店にて購入。

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    2023年03月12日
  • 小さな場所

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    現代の台北の少年が主人公の短編。流や僕が、殺した〜の頃に比べると、町の混沌さは薄くなってるけど著者にはこれからも台湾の市井を舞台にした小説を書いて欲しい。

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    2023年01月28日
  • 僕が殺した人と僕を殺した人

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    東アジアのスタンドバイミー。ストーリーは痛々しいけど、人類愛というか優しい眼差しがあって、心穏やかに読み進められました。
    台湾行ったことないけど、情景の描写がとにかく良くて、街の喧騒、匂い、蒸し暑さ、空の高さ、少年たちの走り回る足音などなどが活字から立ち上ってきて最高だった。

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    2022年12月26日
  • ミスター・グッド・ドクターをさがして

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    うーん面白かった。文章が最高にキレてる。主人公を女性にした「路傍」だなこりゃ。主人公もその相棒もめちゃくちゃカッコいい女なんだけど、これは東山彰良が考えるカッコいい女の生態であって、女性が読んだ時にリアルに感じるかは別な気がするしファンタジーなのかも知れない。しかしモノローグの内容が知的過ぎて主人公のキャラクターに合わないのは相変わらずで路傍とおんなじ。

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    2022年12月21日
  • 流

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    台湾についての小説も初だし作家さんも初。
    台湾の時代背景など興味深かったし、日本についての印象なども思っていたのと違ってミステリーでもあり歴史小説のようでもあり楽しめた。
    しかしなかなかサクサク読めず(•ᴗ•; )

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    2022年12月19日
  • 宮辻薬東宮

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    「人・で・なし」
    宮部みゆき上手いよねえ。
    極めて普通の(もしかしたら宮部自身が遭遇したかもしれない)居酒屋の、よくある話から、「人でなし」のワードを引き出して、ひとつの現代の「怪談噺」が始まる。まあ、やり過ぎ(ありきたり)のオチだったけど。リレー・アンソロジーどうなるんだろ?

    「ママ・はは」
    宮部からバトンを受け取ったのは、辻村深月。話の導入方法と「表題」「写真」というキーワードを引き継いだようです。果たして何処を引き継いで何処を引き継がないのか。ちょっと推理したくなりました。

    「わたし・わたし」
    辻村からバトンを受け取ったのは、薬丸岳。初めて読む作家。確か実際にあった犯罪に取材した小説

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    2022年12月14日
  • 路傍

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    とんでもないスピード感。
    ところどころ人生についての示唆があるけど、それもなんか一瞬目の前を通り過ぎたなって感じるくらいのスピード。

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    2022年11月05日
  • 女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。

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    めちゃくちゃ面白い短編集。こんなふざけた小説なかなか無いよ。東山彰良が本気でふざけるとこうなるのか。人物の名前も有象くんとか無象くんとかビッチちゃんとかマジでふざけてるんだけど、なんというか名前は記号でしか無いんだな。こんなにふざけてても感情移入はできるし、名前が有象でも読者にとって特別な登場人物にはなる。名は体を表すようでいてそうではないし、ここがすごく実験的で良かった。「流」であんなに覚えにくい名前使いまくらなくても良かったのでは?と思った。めちゃくちゃ面白かったんだけどサクサク読み進められなかったのは1話1話のエネルギーが強すぎたからの気もする。

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    2022年10月17日
  • ワイルド・サイドを歩け

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    なんだろう、リズミカルな文章で弾むように読めるはずなんだけど、なんか読み進めるのにめちゃくちゃ時間がかかった。東山彰良はなんというかムラというか波がある感じがするな。いや、当たり外れと言ってしまうか。いつも結構好みなところを攻めてくるんだけど、波長が微妙に合いそうで合わないとむしろ読みづらいというか、波長がバッチリ合えばバキッとハマってめっちゃ面白いってなるんだけどね。この話はなんとなく高校生たちがやたらマセててその描写に白けてたのかなあ?文章は天才的だと思うよ。ストーリーがあんまりおもしろくなかったのかな?キャラに感情移入が全くできなったのもあるかな。

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    2022年10月05日
  • 僕が殺した人と僕を殺した人

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    初めての東山彰良さん、読みごたえがあった。
    翻訳小説を読んでいるようだなと思ったら、東山さんは台湾出身の作家さんなんだね!なるほど、台湾の描写が詳細でまるで体験しているようだった。

    少し昔の台湾が熱気と生暖かい風と、どこか退廃的な南国の匂いとともにやってくる。
    4人の子供たちが大人の事情というのか身勝手さに否応なく巻き込まれ、心身ともに傷つき、危うい方向に進むことでお互いを支え合う姿が痛ましい。
    少年時代特有の生き生きした感じ、そこに暴力と血と汗が絡み合うので一層残酷だった。

    サックマンが誰かというところは想像と違っていて驚いた!

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    2022年10月02日
  • 僕が殺した人と僕を殺した人

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    ネタバレ

    台湾の歴史と民俗、まとわりつく湿度と臭気、大人に翻弄される少年たちの複雑な感情がリアルに感じられた。最初スタンドバイミー?ブラザーフッド?BL?と思ったがどれとも違う。アメリカで起きた猟奇犯罪、その犯人と弁護士。少年たちの関係が徐々に明かされる。

    P8「おれたちはガキで、世界はガキの思い通りになんかならねえんだ」

    P268 連続殺人鬼の殺人衝動なんて、あとから専門家たちがとってつけたものだ。こういうことに正解なんてない。正解の代わりに誰かの想いがあるだけなんだ。」「人間はいつだってその誰かの想いによってつくられる。」

    P284 正義が蒸発し、勇気が砕け散ってゆく。悲しみだけがピリピリと肌

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    2022年08月28日