東山彰良のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
台北の紋身街を舞台にした、9歳の「ぼく」目線の世界の物語
かつては刺青のお店が立ち並んでいた紋身街も、今や3店のみ
そんな街の入り口で食堂を営む家庭の「ぼく」景健武(ジンジェンウ)
皆からは「小武(シャオウ)」と呼ばれている
猥雑で少しアンダーグラウンドな一面を持つというと、日本でいうなら新宿歌舞伎町のような感じなのだろうか?
または、読んでいて石田衣良のIWGPシリーズに通じる雰囲気を感じたので、渋谷の裏路地かもしれない
主な登場人物
タピオカミルクティー屋の阿華(アファ)
確固たる信念を持った彫師のニン姐さん
依頼に応じてどんな刺青でも彫るケニー
ピッグボーイとシーシーの兄弟彫師
探偵の孤独(グウドウ)
・黒い白猫
・神様が行方不明
・骨の詩
・あとは跳ぶだけ
・天使と氷砂糖
・小さな場所
顔に刺青を彫ってほしいとニン姐さんに依頼した女
家出した土地神を探すチンピラ
副業でラッパーをしている小学校教師
小武の紋身街の捉え方、そして将来
小武にとっては、紋身街という街が自分の知る世界にほぼ等しい
そんな小さな世界で、繰り広げられるしょうがない大人たちとの関わり
ニン姐さんが語った、サッカー選手のクリスチアーノ・ロナウドが刺青を入れない理由は献血ができなくなるから
心にタトゥーを入れているというのも納得
ただ、私も定期的に献血しているけど、そんな強い信念があってやっているわけではないなぁ
小学校の先生でラッパーのフオミンダオの言葉
「自由とは孤独のことだよ。自由でいたいなら孤独を恐れちゃだめだ。理解されないことを恐れちゃだめだ」
孤独というのは恐ろしいという思い込み
大人はとかく友達の有無について心を配るけど、でも実際のところ独りでも十分な人はいるわけで
その価値観が全てではないんだよね
作文の宿題で書いたカエルの物語
比喩のようだけど、これはこれで物語として完結している
最後のクジラについては色々な意見がありそうですね
これの答えとしては、「西の魔女が死んだ」の一節がふさわしいかな
「サボテンは水の中に生える必要はないし、蓮の花は空中では咲かない。シロクマがハワイより北極で生きる方を選んだからといって、だれがシロクマを責めますか」
カエルにしてもクジラにしても、それぞれ自分の生きるべき場所があるわけで
どちらが幸せだとかは関係ないと思うんだよね -
Posted by ブクログ
「人・で・なし」
宮部みゆき上手いよねえ。
極めて普通の(もしかしたら宮部自身が遭遇したかもしれない)居酒屋の、よくある話から、「人でなし」のワードを引き出して、ひとつの現代の「怪談噺」が始まる。まあ、やり過ぎ(ありきたり)のオチだったけど。リレー・アンソロジーどうなるんだろ?
「ママ・はは」
宮部からバトンを受け取ったのは、辻村深月。話の導入方法と「表題」「写真」というキーワードを引き継いだようです。果たして何処を引き継いで何処を引き継がないのか。ちょっと推理したくなりました。
「わたし・わたし」
辻村からバトンを受け取ったのは、薬丸岳。初めて読む作家。確か実際にあった犯罪に取材した小説が多かったかな。今回も見たような犯罪。ショートなんで捻りが足りない。コレ、結局写真繋がりのホラーということなの?
「スマホが・ほ・し・い」
薬丸からバトンを受け取ったのは、ホラーなんて書いたことがないという東山彰良。しかも写真が出てこない!なんなんだ?でも、東山さんらしく、なんかの冒険小説の序章に思える。現代台北の話というのも大変魅力的。
「夢・を・殺す」
東山からバトンを受け取ったのは宮内悠介さん。AI繋がり?初めての作家さん。本来SF作家で、ホラーを書くような人でない。だけど、PCに取り憑いたバグが機械の幽霊なんではないか、という展開から、まさかの宮部みゆきさんにバトンを渡したのでした。
因みに、宮部みゆき文庫本は一部例外(絵本とアンソロジー、ボツコニアンシリーズ)を除いて、コンプリートするというマイルールを設定している。だから本書は除外してもいいんだけど、彼女はどうも本作品を自分の短編集に組み込む意思は無さそうだ。よって、いつかは読まなくてはいけないとは思っていた。
果たして、記念写真は撮れたのでしょうか?
無理だろうな。みんな忙しいから。 -
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白い短編集。こんなふざけた小説なかなか無いよ。東山彰良が本気でふざけるとこうなるのか。人物の名前も有象くんとか無象くんとかビッチちゃんとかマジでふざけてるんだけど、なんというか名前は記号でしか無いんだな。こんなにふざけてても感情移入はできるし、名前が有象でも読者にとって特別な登場人物にはなる。名は体を表すようでいてそうではないし、ここがすごく実験的で良かった。「流」であんなに覚えにくい名前使いまくらなくても良かったのでは?と思った。めちゃくちゃ面白かったんだけどサクサク読み進められなかったのは1話1話のエネルギーが強すぎたからの気もする。
-
Posted by ブクログ
なんだろう、リズミカルな文章で弾むように読めるはずなんだけど、なんか読み進めるのにめちゃくちゃ時間がかかった。東山彰良はなんというかムラというか波がある感じがするな。いや、当たり外れと言ってしまうか。いつも結構好みなところを攻めてくるんだけど、波長が微妙に合いそうで合わないとむしろ読みづらいというか、波長がバッチリ合えばバキッとハマってめっちゃ面白いってなるんだけどね。この話はなんとなく高校生たちがやたらマセててその描写に白けてたのかなあ?文章は天才的だと思うよ。ストーリーがあんまりおもしろくなかったのかな?キャラに感情移入が全くできなったのもあるかな。
-
Posted by ブクログ
ネタバレ台湾の歴史と民俗、まとわりつく湿度と臭気、大人に翻弄される少年たちの複雑な感情がリアルに感じられた。最初スタンドバイミー?ブラザーフッド?BL?と思ったがどれとも違う。アメリカで起きた猟奇犯罪、その犯人と弁護士。少年たちの関係が徐々に明かされる。
P8「おれたちはガキで、世界はガキの思い通りになんかならねえんだ」
P268 連続殺人鬼の殺人衝動なんて、あとから専門家たちがとってつけたものだ。こういうことに正解なんてない。正解の代わりに誰かの想いがあるだけなんだ。」「人間はいつだってその誰かの想いによってつくられる。」
P284 正義が蒸発し、勇気が砕け散ってゆく。悲しみだけがピリピリと肌を刺してくる。目の前にいるジェイは、もう僕の知っているジェイではなかった。
P289 そしてわたしは変わった。時間をかけ、ゆっくりと。ただの不良少年が我が身可愛さに、法律という名の新しい暴力にすがり付いた。豚のように肥え太っていく不安を始末するには、法律しか手立てがなかった。
P294 「まあ、すんなりいかねえ時ってのはあるもんだ」男が言った。「けど、おれにいわせりゃ、もっとうまくいってねえやつはごまんといるぜ」
「そうだと思う」
「さてと。じゃあおれは仲間んとこに戻るよ」
【中略】こんな夜に限って、世界はどこまでも優しいのだった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ有象くんと無象くんのかなり冴えない大学生活
コミカルテイストでずっと笑えるし、ときどき人生の肝のようなものがバスっと出てくるので侮れない。有象無象は文学部なのでときどき文学話もあり。(でも合コンでクッツェーの話をするのは…(;'∀'))
女王ちゃんにビッチちゃん、女子がみな逞しい。内容を忘れてまた読んで笑いたいな。
タイトルと可愛い表紙から中学生か高校生の甘酸っぱい話かな?と思っていたら舞台は大学!「大学生にもなって『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。』なんて!アホか!」とうっかり声が出ました。読み始めが自宅でよかった。
ミスコンがあったり、出てくる単語(パンティとか)、男子たちの行動が少し昭和~平成初期っぽいかなー。