東山彰良のレビュー一覧
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ネタバレ有象くんと無象くんのかなり冴えない大学生活
コミカルテイストでずっと笑えるし、ときどき人生の肝のようなものがバスっと出てくるので侮れない。有象無象は文学部なのでときどき文学話もあり。(でも合コンでクッツェーの話をするのは…(;'∀'))
女王ちゃんにビッチちゃん、女子がみな逞しい。内容を忘れてまた読んで笑いたいな。
タイトルと可愛い表紙から中学生か高校生の甘酸っぱい話かな?と思っていたら舞台は大学!「大学生にもなって『女の子のことばかり考えていたら、1年が経っていた。』なんて!アホか!」とうっかり声が出ました。読み始めが自宅でよかった。
ミスコンがあったり、出てくる -
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ネタバレ大学生の日常に起こるさまざまな出来事をとても生々しく描いた作品。この作品のおもしろさは、登場人物たちの名前が「その人物が持つ特徴+ちゃん・くん・先輩」であること。主人公たちは有象くん・無象くん。イケメン君や医学部のエース君、女王ちゃん、ダンベル先輩、本命ちゃんや二番手くん、引き立て役ちゃん、俺様くん、都合良男先輩、勘違い先輩、束縛君、ビッチちゃん、抜け目なっちゃん、十年一日くん、十把一絡げくん…。おもしろかった。
p.137 一方、無象くんは質入れしたクロムハーツのことが頭から離れなかった。そして、なぜあんなものがあんなに気になるのかを考えた。欲しくて欲しくて、大骨折って手に入れたわけではな -
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ネタバレうさぎを主人公にしたハードボイルド小説。モフモフ。
ジョニー・ラビットは兎一匹復讐を遂げるぜ…といいつつも、どうやら動物好きっぽい宿敵ラッキーボーイ・ボビーに懐きたい気持ちを抑えられない。ジョニーは兎だけどマフィオーソに飼われてたこともあって人間の言葉がわかるけど、人間は兎語がわからないので会話(?)が噛み合ってないのも良いです。兎語がわかれば、ジョニーはかなり重要なこと言ってるんだけどなぁ。。
「ふざけやがって!」「ぶっ殺してやる!」って言いつつ、脚トントンさせてたりしてるのはグレーのちっちゃい兎…と思ったら力が抜けます。兎の生態がちゃんとしてて、東山さん兎に詳しいな?ブルースを歌う犬とのシ -
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コロナ本がたくさん出てきたが、今まで読んだ中で1番コロナ禍という感じだった。
2度見をした。すごいなぁこのママ。
パパがいるのに彼氏がいるの?え?
で、彼のところに行くために
夕ご飯と明日のお弁当を作って、夕方さっさと出かけていく。
SNS上でケンカする友達のお父さんとお母さん。
イーイーさんの友達のお父さんがコロナで死んでお葬式も普通にできなかった。
日本に来んなよって外国人差別をされる。
ママの彼がコロナ陽性になって、ママは濃厚接触者でPCR検査。
で、とりあえず学校休んでと娘に言うママ。
日曜日はバスケの大会なのに。
よその男と遊んで濃厚接触したママのせいで全部ぶち壊される私の気持ちは? -
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どうやら大学というところは、男子が女子のことに悶々とする場所らしいぞ。
どんなところだろう(私立理系大学卒、34才独身男性談)。
さて、有象無象が女の子に振り回される話といえば、森見登美彦の作が好きだけど、本作は女の子が狙いを持って男を振り回しにかかる。
そんな女の子たちに振り回されてはフラれる有象くんと無象くん。
本命のあの娘を落とすためのデートなのに、引き立て役ちゃんの豹変が。
普段温厚な先生の突然の激怒は、宮沢賢治に面と向かって「ファック・ユー」と言われたようなものである。
女王様のお目にかなうため、ひたすら筋トレにいそしむダンベル先輩。
かつて昭和の最後に学園内に蔓 -
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四篇からなる短編集。ジャケットがとても素敵で買ってしまった。
「猿を焼く」がこの中では圧倒的に好きだった。脱サラして都会から田舎へ移住しオシャレ農業を始めた一家の息子がその地元の不良たちと出会い、いわゆる"アバズレ"に恋をする話なのだけど、この田舎の閉塞感に身に覚えがありすぎて息が苦しくなった。田舎にいながらにしてできる刺激的なことは喧嘩かセックスかしかなくて、独特のヒエラルキーがあって、その中で起こる出来事は全て地元じゅうで筒抜けで、ここで順応するのは本当に大変だ。そうした環境に問われて溺れそうになりながらも何とか保っていた自我が崩壊していくラスト、救いがあるようで -
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ネタバレ文庫で再読しました。
1984年の台湾と、2015年のアメリカ。
アメリカで連続殺人を起こした〈サックマン〉は、台湾の少年たちの誰なのか。そして弁護士も誰か。。
台湾での少年時代が鮮やかに描かれ、そしてどんどん後戻りできなくなる転落で、彼らが決定的に変わってしまったという悲しみがありました。3人(ダーダーも重要だけど、だいたいユンとジェイとアガンだったな…)がとても生き生きと描かれていて切なくなります。
周りの大人たちの影響で否応なしに歪み、そんな状況をなんとか打破しようとして更に悪くなる、という悪循環がつらいです。
アガンもジェイも、ユンの弁護を依頼したり担当したりして、少年時代をきちんと終 -
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宗教が生まれるまでの過程をフィクションで描く小説。フィクションでありながら、キリスト教など
納得できる部分も多くある。
何かを得るには犠牲と代償がいる。口走ればそれが呪いとして取り憑く。ナサニエルが変容していく過程をエピソードを交えて丁寧に描いている。
そして、私が最も魅力を感じたのはレヴンワース夫妻ことダニー・レヴンワース。彼の言葉、行動はナサニエルの行動として誤解され、ナサニエルの神格化へと繋がっていく。頭のネジのハズレたサイコパスだが、彼の存在が物語を面白くしている。
「人間というものは、罪悪感を覚えたときには、すでにその罪悪感を受け入れている。」このフレーズが妙に心に残った。買っては