あらすじ
ジョアン・メロヂーヤ。メキシコの農園で人と“牛”の間に誕生した美しき奇跡。自らを慕う人々を率い、彼は蟲に巣食われた者を殺戮しつつ流浪する。そして七年後、ワイオミングの大クレーターに居を構えたジョアンたちに、バード・ケイジを首領とする討伐隊が総攻撃を掛ける。そこへレイン一味も絡み……。ジョアンは家畜か、それとも救世主か。神話の結末はあなた自身が目撃せよ。
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Posted by ブクログ
読みづらいという声も多いらしいが、サービス精神満点の大娯楽作だった。
登場人物の多さに辟易しないためには、バード、レイン兄弟、ジョアン周りの数名だけ把握してすいすい読めばよい。
私はモブであってもネーミングが面白くて、全員メモを取りながらゆっくり読むことを楽しんだ。
Ⅰではレイン兄弟を追うバードを通じて、荒廃した世界観を味わう。
「明日に向って撃て!」でブッチとキャシディが荒野を延々追われる場面があるが、その舞台を世界荒廃後の荒野に置いた。
人肉食がまだまだ廃れていないという背景もぐっとくる。
Ⅱは打って変わって牛腹と蔑まれたマルコが、蟲の流行から逃れつつ調査する中で、いわば救世主と見做されていく過程。
人間ではないので人生観も異なり、よい意味で冷酷。
蟲の流行した村は焼く。それがⅢへ。
Ⅰでは人生観にまつわるカッコイイ台詞が頻発していたが、Ⅱではカッコイイだけでなく宗教の発生といえるような深い思索が。
またアビアーダ村の移動とともにマジックリアリズムのテイストが入ってくる。ここも面白い。
Ⅲはいってみれば戦争。
ロストテクノロジーも活用して攻め込む討伐隊と、ゲリラ的に応戦する村およびインディアン。
みながみな荒くれでどうしようもない男どもだが、こうしか生きられなかった悲哀、といったものが戦場に美しく散る。容赦なく。
ここにおいて発生する抒情こそが、読書を通じて私が欲しているものだ。
Posted by ブクログ
西部劇やらSFやらラテンアメリカ系やらゴチャ混ぜ感がすごい
著者が好きな作品の要素を詰め込んでみました!って感じ
個人的に全部好きなジャンルやったんで平気やけど、苦手な人も多そう
Posted by ブクログ
うわー、評価難しい。この小説には☆×1もしくは5が似合う。その上でどっちかに振れて、平均値☆×3ってことなら分かるが、個人読者として「可もなく不可もなく」って評価は似合わない。
大森望氏の解説にあったとおり、デストピア小説の傑作である。個人的にはキングの「ダークタワー」をしのぐと思う。いや比較するならマキャモンの「マイン」の方か。
終末後のアメリカ大陸でウェスタンと救世主伝説と島原の乱とパンデミックパニックを文庫900Pという器に納めてしまうと、そらとっ散らかるよなーってのが正直な感想。登場人物が多すぎエピソードが多すぎ、話が飛びすぎて、ついていくのに精いっぱい。メモでもとって読めばいいのかもしれないが、それではリズムにのれないし…。
まぁ大体の流れをつかんでおけば、大体の印象で登場人物押さえておけばどないかなるんだけど…。っていうくらいに大味テイスト。ミステリー要素も文学要素も細かい配慮という意味では期待できない。どちらも圧倒的な文圧と荒っぽさで「とにかく読め、この世界の中に身をおいて解釈せえ」ととにかく世界をゴリゴリ押し付けてくる。
繊細なタイプの小説読者には嫌われる小説、反面、圧の強い文章を御せる読者には受ける、と思う。
で、俺だか、繊細というには気配りが足りないし、文章を御せるほどの読書力がない。
だから評価に困るんだよな…。情けないことに☆×4で。トホホ
Posted by ブクログ
いつの間にか話に引き込まれてました。
登場人物たちの描き方が本当にうまい。
いかれているのだけれども憎めない登場人物が沢山登場します。
世界の終わりと再生を描く長編小説なので、
当然のことながら話が大がかり。
舞台が世界でなくて、より閉鎖された町などが舞台だったらもっと面白かった気がします。
魅力的な登場人物も、話が大きすぎると、
それだけ、ぼやけるので。。
Posted by ブクログ
評価がとても難しい作品。
表現が冗長でだれた面もあるが、黙示録的な神話がかった面もある。
この部分になんの意味があるのか不明な点もあり、好き嫌いが分かれるだろうなとは思う。
実際巻末の解説では、人によっては最後まで読み進むことが難しいだろうとも書かれていた。