真梨幸子のレビュー一覧
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歴史から消えた島の謎を巡る不穏な物語
とにかく謎が多く、不穏かつ不快な空気が立ちこめる物語だ。
第1章では、母親に洗脳に近い形で育てられた皐月(メイ)が、何やら不思議な出来事に巻き込まれる。そこにたびたび現れる「十二月一日連続殺人事件」という過去の事件と祝言島という映画の名前。ただひたすらに不安の種が蒔かれる。
第2章以降は、メイが「十二月一日連続殺人事件」にまつわるドキュメンタリー番組の映像を確認する話になり、祝言島の謎が徐々に明かされていく。
本作は視点人物を変えながら物語が進むことで、登場人物の身勝手な主観による認識の歪みを感じる作りになっている。
例えば、あるタレントは恋人からDVを受けているものの、逆に恋人にしてみれば付きまとわれて困っている、第三者から見れば男はヒモ、など。何が真実で、何が虚構なのか。読み進めると思いがけない方向に話が転がって行く。
話が進むにつれ、登場人物周辺の真実について予想が立ってくる。しかし、最終盤で一気に明かされる真実は全くの予想外だった。それは実に衝撃的で、作中に漂う不快な空気は最後まで消えることがない。読後にはまさに魂を削られるような感覚が残る。 -
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真梨さん感、満載な短編で面白かったです。
相変わらずニュータウンや住宅トラブル系好きだな。でも面白いし、アップデートされてる感じがする。
今回は登場人物メモらなくても、サラッと読める感じの作品。色々な詐欺のオンパレード。
ふふふ…と読んでいたけど、何か日常的に近すぎて、こんな騙され方もあるのかと少し勉強になった。
詐欺に荷担しないよう気を付けないとな。
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1.嘘つきは人間のはじまり【地面師】
2.ロイヤルロマンス【ロマンス詐欺】
3.表裏一体【情報商材詐欺】
4.キアッソスキーム【架空政府資金詐欺】
5.インクリボン【内職商法】
6.百万円の負動産【原野商法】
7.金蚕蠱(きんこさん)【お金配り詐欺】
8.嘘つきは人間の終わり【霊感商標】
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真梨幸子『ウバステ』小学館文庫。
おひとり様の高齢女性の人生の終焉を描いた小説かと思いきや、真梨幸子らしく、しっかりとしたイヤミスであった。
真梨幸子と自分は同年代であるだけに各章のタイトルになっている昭和の歌謡曲は思い出深い。
『木綿のハンカチーフ』は中学校時代の大ヒット曲で受験勉強をしながら聴いていたラジオのトップ40を紹介する番組で何週にも亘ってトップに君臨していた。
『22才の別れ』と『夢一夜』は『木綿のハンカチーフ』よりも古いフォークソング時代の名曲である。『ガンダーラ』はテレビドラマの『西遊記』のテーマソングでテレビのベスト10番組でトップに輝いた。『まちぶせ』も当時のアイドルが歌った歌謡曲ではかなりヒットしている。
『防人の詩』は長い長い曲で、映画のテーマソングとして使われていたように思う。
この歳になると家族や親戚、友人、知人の死に接する機会が非常に増える。自分の場合、一昨年の12月に父親が老衰で亡くし、昨年末には波乗りを教えてくれた会社の先輩が亡くなり、今年に入ると従兄弟が亡くなったのに続き、母方の叔母、父方の叔父と不幸が続いた。そうなるといよいよ自身の終活についても真剣に考えざるを得ない。
本作のベースとなるテーマは終活であり、特におひとり様の場合は、如何にして幸せな最後を迎えるかというのが喫緊の課題であるのだ。真梨幸子は本作をこうした終活だけでなく、イヤミスにまで昇華させている点は非常に見事である。確か真梨幸子もおひとり様であったような記憶がある。
巻末には真梨幸子オリジナルの終活ノートも収録されている。
小説家の駒田世津子は20年前に原作を書き、テレビドラマ化されたが視聴率が振るわず、12回の放送予定が8回で打切りになった『ウバステ』の縁で、元プロデューサーの小野坂哲子、シナリオライターの舘川信代、女優の千田友枝、監督の妻だった谷崎寿々の5人で食事会を続けていた。
世津子の還暦記念パーティーから3年経過した冬に食事会のメンバーの1人、谷崎寿々が千駄木の賃貸アパートで孤独死したという知らせが入る。死後1ヶ月後に発見されたという謎の多い死にメンバーは様々な憶測を巡らす。
年が明け、今度は孤独死した谷崎寿々の別れた元夫で過去に世津子が付き合っていた映画監督の梶谷が不審死を遂げ、食事会のメンバーには谷崎寿々と梶谷から遺書とも読み取れる年賀状が届いていた。
相次いだ2人の死に疑問を覚えた世津子は、舘川信代に誘われて、寿々の住んでいた賃貸アパートに向かうと、そこは、世津子が若かりし頃、当時交際していた梶谷が住んでいた部屋だった。
やがて、世津子は自身の小説の『ウバステ』のモデルとした高級老人ホーム『ユートピア逗子』の秘密と都市伝説に触れることになる。
本体価格850円
★★★★ -
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なぜこんなにも性悪な人が揃うんだ…というくらいみんな表裏があり、私利私欲のために他人を蹴落とす(なんなら殺す)のを厭わない。二作目に引き続きフジコ本人は一切出てこないけど、フジコが悪いやつじゃなく感じるくらいに。
真梨幸子さんの本は他にも読んだけど、やっぱりフジコのシリーズが一番驚きの連続。最後までショックだった。ほかの方も言ってたようにまだ続きそう。。。
宗教はジョーカーのようなもので、どんなことでも「宗教絡みだ」と言えばみんな納得してしまう。というのはとても納得。そのとおりだと思う。それが宗教の恐ろしさだけど、日本はその傾向が強いように思う。分かりやすく宗教でなくても、何かに盲信し、その通りに動いてしまうとどこかで行き過ぎたり踏み外したりするのだろうな…。 -
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「バレなきゃ悪くない」
これが藤子の行動原理であり、愛と美への執着が行動理由だった。バレなきゃいい、の考え方は少なくない人が甘えとしてもってるものだ。それが繰り返され、慣れ、悪化すると、癖化した犯罪になる。日々、小さなことでも「バレなきゃいい」で動いたらだめだなと教訓になった。
藤子は嫌いな母と同じ道を歩むことに気づいていながらもそれを肯定し続けた。知らないうちに母を学んでいて、親子関係はその人を構成する重要な役割であることが分かる。これは現実世界でもその通り。
藤子に殺された無関係な人々は、少なくとも藤子と接してる間は悪い人ではなく、殺されたことに関して無念でしかない。でも藤子が苦しみ続けたのも事実で、こんな殺人鬼が育ってしまったことをどう阻止できたのか。(フィクションだけど現実にもあるから)考えないといけないと思う。 -
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ネタバレ・「青田彩也子は、刑務所内でなにか事故に遭ったらしいわよ。そのせいですべての記憶を失ってしまったんですって。全生活史健忘。いわゆる記憶喪失ってやつ。自分の名前はもちろん、自分が誰なのかすら分からなくなるやつよ。つまり、自分が犯した罪も完全に忘れてしまった。そうなると、なんで自分が刑務所にいるのかが分からない。それで、弁護士が動いてね。異例中の異例だけど、出所が認められたってわけ」
・東京拘置所は、「文京区両親強盗殺人事件」で死刑を言い渡されていた大渕秀行が、房内で首をつって自殺を図り、翌日に死亡したと発表した。拘置所によると、シャツを引き裂き窓の鉄格子に結んで、首をつっているのを職員が見つけた。
犯罪者本人が事件について調べる。
それほどイヤミスではなかったけど最後にもある通り嫉妬や執着など生々しく描かれる複雑な人間心理や、最後の最後まで気が抜けない驚きの展開に、中毒になるんだろうな。