真梨幸子のレビュー一覧
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真梨幸子『三匹の子豚』講談社文庫。
どこからどう読んでも真梨幸子らしいイヤミス。次々と登場人物の悪行が暴かれながら、登場人物がイヤな形で複雑に絡み合い、不幸が連鎖していく様が描かれる。
読んでいて気分が悪くなるような文字通りのイヤミスだった。
鳴かず飛ばずの苦難を味わい、ようやく朝ドラの『三匹の子豚』が大ヒットしたシナリオライターの斉川亜樹は多忙ながら穏やかな生活を送っていた。
そんな中、亜樹の元に武蔵野市役所から一通の封書が届き、会ったこともない叔母の赤松三代子なる人物が生活保護を申請しているが、扶養が可能かと問合せがある。
その後、亜樹の家に『NPO法人 ありがとうの里』の菊村藍 -
Posted by ブクログ
面白かった………………!
すごい。すごい。すごい。と一気に読み切った。
作者はかなり性格が悪いんだと思う。嫉妬、恨み、憎悪、憤怒、、、描かれる人間のネガティブな心情の部分がこの作品の魅力だと思う。天才だと思う。
ミステリーの話の展開、すっかり騙されてしまった。最後に全てが分かったときの高揚感、手で口を覆い隠したくなるようなゾクゾク感、読んでいて本当に楽しかった。
以下、自分語りを含む感想。
どうやら私はこの本を平成27年に購入しているようで、読まずに所謂〝積読〟していた。久しぶりに実家に帰ってきて何となく手に取ってみたのだが、こんな素晴らしい作品を約7年も読まずに放置していたのかと思うと情け -
Posted by ブクログ
真梨幸子『坂の上の赤い屋根』徳間文庫。
長編イヤミス小説。
見事に騙された。冒頭からイヤなテイストが随所に散りばめられ、張り巡らされた伏線と捻りが連続する真梨幸子らしい作品である。
18年前に起きた残虐な殺人事件の真相と犯人たちのその後。事件を掘り起こそうとする女性たちの腹黒い企み。そして、もう1つ……言えない。
18年前に起きた『文京区両親強盗殺人事件』。被害者の娘の青田彩也子と恋人の大渕秀行とが、人格者と評判も高かった開業医夫婦の身体中を切り刻み、コンクリート詰めにして埋めるという残虐な事件。
18年後に、ある女性新人作家の手によりこの事件をモチーフにした小説が轟書房の週刊誌で連 -
購入済み
途切れることなく陰鬱な世界
人情として、不幸な人がただ不幸なままでいるよりも、一度幸せになってから再び不幸になる方が読んでいてつらいだろう。
その点で言うと、この作品の主人公フジコはずっと不幸なままなので、読者としてフジコの不幸に関して段々と慣れていく。いくら読み進めても、もう落ちるところまで落ちてしまうしかないと、諦めの気持ち以外は出てこなくなってしまう。生育環境に同情はするものの本人の歪んだ性格も相まって、「いつかは幸せになってほしい」と思うことも出来ない。
それでも「あとがき」には衝撃を受けてしまう。フジコはもうどん底で、これ以上不幸にはなり様がないと思っていても、これこそが本当の不幸なのだと