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将棋殺人事件
窓ガラスいっぱいに、口紅を使って描かれた落書き。無言の電話。白紙の手紙。冷たい視線。そして彼女は悲鳴を絞り出した。きちんと揃えてあった彼女の靴が五、六足、今はことごとく、裏返しにされて置かれていたのである――そういえば先生、最近六本木界隈で流行っている噂、知ってる? お墓から少し離れた場所に一枚の紙が落ちているのを見つけ、何だろうと思って拾ってみると、それには謎々が書かれてあって――土砂崩れのせいで、地中に埋まっていた屍体が見つかったんだってさ。おや、屍体はふたつだ――いったい何が進行しているのか? 五里霧中の展開に眩暈を覚える異様な力作。少年探偵・牧場智久、第二の事件。 -
苺畑の午前五時
ビートルズを愛した少年の60年代青春小説 〈小学六年の正月に、亮二はお年玉でポータブル電蓄を手に入れた。三千円であった。その電蓄を買って一か月も経たないうちにビートルズが日本でレコード・デビューをしたのである。ビートルズはそれまで亮二が聴いていたポピュラー音楽とは、全く異なったものであった。それからの亮二の小遣いは、その殆どがビートルズに費やされることになったのである。……発売されるビートルズのシングル・レコードは、すべて買った。LPレコードを買うために、昼食のパン代もためるようになった。いまの調子でいけば、二学期に入ってすぐにLPが一枚買えるはずである〉 ――1963年から70年代まで、少年は中学高校と成長していく。淡い恋、性への憧れ、そして音楽。ジョンやポールがとても大切だったのと同じように、愛する恋人を抱きしめて彼は時代を駆け抜ける。 エヴァーグリーンな青春小説の名作が甦る。 -
ウメ子
ン年前の子ども時代を舞台にした、著者初の長編小説。 ウメ子は変わっている。ウメ子はふつうの子とちがう。初めて会った日から、みよはずっとそう思ってきた。ロビンフッドのような服装に、勇敢な行動。みよは、ウメ子の魅力に夢中になった。そんなある日、謎の紙芝居屋さんが現れ、行方不明だったウメ子の父さんの居場所が・・・。人と人が共感で結びついていたあのころ。誰もが貧乏で、さげすみもひがみも感じさせなかったあの時代。人間関係のむずかしい現代から、懐旧の世界に導かれる。人気エッセイストの阿川佐知和子さんが子ども時代の経験に想を得た、初の長編小説。坪田譲治文学賞受賞作品。 -
ランウェイの恋人
友情・恋・女同士のバトル…モデルの世界を舞台にした新しい青春小説の誕生! 亜希は、福岡県の小さな島からモデルを目指し、上京。彼女をスカウトしたモデル事務所の敏腕マネージャー直子、そして彼女の娘でカリスマモデルの唯が住む高級マンションに同居することになる。 天真爛漫な亜希に、次第に心を開く唯……。しかし唯の元彼で、今も気持ちの残る人気カメラマン・カツキが、亜希に近づき、彼女がショーモデルとして頭角をあらわすようになると、次第にライバル視するようになる。 そして、二人の「直接対決」となった東京コレクションで、ある事件が起き、亜希はマンションを出ることに。すれ違いが続く二人だったが、そんな折、唯の母・直子が倒れてしまう--。 華やかだけど、厳しいプロのモデルの世界を舞台に、恋、友情、女同士のバトルを描いた新しいガールズ青春小説の誕生です。 -
十津川警部 南紀・陽光の下の死者
十津川警部、新たな事件のため南紀白浜へ 東京池袋署の刑事・伊熊武敏は、会社社長未亡人殺人事件を担当していたが、独断専行を指摘され、上司から非番を命じられ、南紀白浜へ旅立った。紀勢本線特急「くろしお19号」車内で、ひょんなことから、東京中央エレクトリック企画課長の白川健一郎と知り合い、白良浜で会う約束をしたが、翌日砂浜に行ってみると、白川が死んでいるのを発見する。地元の警察署から要請を受けた伊熊は、捜査に当たることになった。 この事件が、伊熊刑事が関わっていた殺人事件とリンクしていく。美貌の未亡人の名は、立花庸子。亡くなった夫は、東京中央エレクトリックの前身、中央電気の社長だった。莫大な遺産を手にした彼女は、数々の浮き名を流していたが、1ヶ月前に自宅で殺されたのである。彼女の過去をたどると、今や廃墟と化した白浜の豪華ホテルの歴史に行き着いたのだった。 事件は広がりを見せ、白川を知るクラブのママや関係者も白浜に現れて、ついには十津川警部の登場となる。 十津川警部が暴いた真相とは! -
正直な娘
青春小説+恋愛小説の傑作、待望の電子化! 「世界は変えられないと知ったから、わたしは自分のほうを変えることにした」――タレント志望の栞、ロックファンでイギリス留学を夢見るサチ、仕切り屋で優等生の裕子、ヤンキーではからずも妊娠してしまう矢野、そして精神を病んで転校する萌絵。5人の女ともだちと恋人の岸田くんとの交流。「わたし」の15歳から16歳までの青春を、みずみずしい文体で描いた傑作。絶賛を博した長篇小説を電子化。 <思春期の少女の世界を描いたこの作品の、一人称の語り口は綿菓子のようだ。それはティーンエイジの美しさとともに、危うさを想起させる>(井上荒野さん) <人生のこの時期だけの、誠実さや狡猾さ、臆病さや陽気さ。冒頭を読んだだけで私は嬉しくなってしまった。ああ、健気で厄介な女の子たち!>(江國香織さん) -
十津川警部 十津川村 天誅殺人事件
十津川警部、ついに十津川村に立つ。 財団法人〈日本の自然と伝統を守る会〉理事長が十津川と名乗る男に殺された。現場に残された血書“義によって天誅を下すものなり”。自らの名を騙られた十津川警部は驚き戸惑いながらも捜査に乗り出す。その命名の由来となった奈良県十津川村、世界遺産に登録され脚光をあびる日本一広い村に足を踏み入れた十津川の前に次々と起きる殺人事件。その背景に、維新以来、歴史の闇に翻弄され続けた十津川村の存在が浮かび上がってくる。 全国津々浦々を駆け巡り事件を解決してきた名警部十津川シリーズにあって初の十津川村捜査行に拍車がかかる。 -
僕等がいた
映画「僕等がいた」ノベライズ本!映画の魅力を余すところなく描いた切ないラブストーリー! 『このずっと続く空の下、あなたは今どこにいますか? 今日は誰と会い、どんな話をして、どこへ行きましたか? 最後に私を思い出したのはいつですか? 今、誰を愛していますか?』 少女漫画界の頂点を極める「僕等がいた」が待望の映画化。北海道・釧路を舞台に、高校時代、互いに惹かれ合い、愛を確認しあった高橋七海と矢野元晴。しかし、運命に翻弄され、引き裂かれ、それでも永遠の恋を信じ、ひたむきに生きてきた6年に渡る二人の人生をドラマチックに描きます。 本書は、映画の脚本を原案にしたノベライズ本。「僕等がいた」ファンはもちろん、コミックスを読んでいない初めて「僕等がいた」に触れる方にも、その魅力を余すところなくお伝えします。初恋の喜び、避けられない運命に引き裂かれる切なさ、そして感動のラスト。恋の現役の方から、忘れられない恋を胸に秘めている方まで、男性にも女性にもぜひぜひお手にとっていただきたい1冊です。 -
月9 呪われた女たち
野心、嫉妬、復讐…女達の壮絶な心理バトル! 一度は脚本家として成功を手中にし、自信過剰でどこまでも自己愛の強い弓絵。弓絵の陰に隠れながらも、成功を目前にし胸の中で強烈な野心を燃やす晴子。二人は「親友」ではあるが、人気ドラマ枠の脚本家というポジションをめぐり激しく火花を散らしていた。 そんな二人が、ある事件に巻き込まれた。きっかけは、弓絵が海外土産として晴子に渡した呪いの人形。その日から、二人の運命が変わっていく……。 本書は、テレビ業界を舞台に女同士の壮絶なバトルを描いたサイコサスペンス。弓絵と晴子、二人に取り入る若い脚本家志望の女、さらに弓絵が激しいライバル意識を燃やす「業界の女王」が絡み合い、激しい闘いが繰り広げられる。野心、嫉妬、自己愛、復讐心、闘争心……その生々しい描写には、女性なら誰もがドキッとさせられるはず。 -
やるせない昼下がりのご褒美
あの人と過ごす「おやつ」の時間が、今日を乗り切る力をくれる。 妻子ある相手と夜をともにした伊豆の山奥のホテルで。忘れられない同級生と屋上前の踊り場で。さまざまな果樹が茂る瀬戸内海の島の庭で。もうすぐ卒業するメンバーと取り組む最後の仕事で。幼い息子との思い出のドーナツショップで。憧れの女性たちと出かけたいちご尽くしのピクニックで。心とおなかの空腹をあたたかく満たしてくれる珠玉の6篇! -
夕闇通り商店街
神社の境内の先に、突然見えてくるのは「夕闇商店街」。 そこは幽世と現世の境目にある、あやかしたちが営む商店街。現世との境界があいまいになったときに、心が不安定な人間が導かれたように訪れるのだという。 眉目秀麗な店主がいとなむ『コハク妖菓子店』には、いっぷう変わった名前のお菓子が並び、迷い込んだ人間たちはついお菓子を手にしてしまうのだが―― -
鋼の声が僕を呼ぶ
「誰だって痛みを抱えて生きている。」 孤独な男子高校生のコテツは、島根の刀鍛冶に引き取られて暮らすことに―。 人生に立ちすくんだ少年が一歩を踏み出す、再生の物語。 青春小説の旗手が贈る、感動の傑作! 天涯孤独となった彼は、島根に住む遠縁の剱田かがりという老婦に引き取られることに。 かがりは、現代日本において唯一と言われる女性の刀鍛冶で、寡黙だが瞳に燃え盛る炎を持つ刀匠だった。 自暴自棄になり言われるまま島根にやってきたコテツだが、転校初日、己の火傷を見るクラスメイトの視線に耐えられず、学校へいけなくなる。 部屋にひきこもるコテツに、かがりは「学校へはいかなくてもいいが、そのかわり仕事を手伝え」と言う。 かがりの弟子であるコウやカンナに教わりながら手伝いをするうちに、徐々に作刀に興味を持ち始めるコテツ。 現代日本において、刀をつくる意味とはなにか? かがりや兄弟子たちと関わり、悩みながらも、鉄を打ち、その熱に溶かされ、コテツは自らの心の形も変えていく――。 -
つぎはぐ、さんかく
【選考員満場一致!第11回ポプラ社小説新人賞を受賞作、待望の文庫化!】 惣菜と珈琲のお店「△(さんかく)」を営むヒロは、晴太、蒼と三人兄弟だけで暮らしている。ヒロが美味しい惣菜を作り、晴太がコーヒーを淹れ、蒼は元気に中学校へ出かける。 しかしある日、蒼は卒業したら家を出たいと言い始める。ヒロは、激しく反発してしまうのだが、三人はそれぞれに複雑な事情を抱えていた― -
神戸北野メディコ・ペンナ 万年筆のお悩み承ります
「あなたの人生が変わります 万年筆よろず相談」。そんな看板を掲げるお店「メディコ・ペンナ」は万年筆の調整を手掛けている。ミニチュアの洋館に似た佇まいをしており、店主は年齢不詳でもしゃもしゃした白髪の男性。物語から飛び出したような浮世離れしたお店には、万年筆の購入や修理のためにいろんなお客がやってくる。それだけではなく、願いや悩みを抱いている人たちも、人生を変えるためにお店を訪れるというが――。 -
花守家に、ただいま。
交通事故で夫・花守透を亡くした桜子は、嫁いできた愛知県渥美半島にある夫の実家で、料理上手の義母との暮らしを続けている。花守家の庭には“透の木”――ハナミズキが植わり、毎年七夕には短冊を吊るして願いをかけるのが恒例だ。古民家での二人暮らしは穏やかで温かいが、いつまでこの暮らしが続くのだろうとふと不安が過ることもある。そんな折、夫の前妻との子を名乗る少女が訪れ、事件が起きて……? 著者最新の家族小説。 -
死にたがりの君に贈る物語
全国に熱狂的なファンを持つ、謎に包まれた小説家・ミマサカリオリの訃報が、人気シリーズの完結目前に発表された。同時に作品は批判に晒され、さらに作家に心酔していた高校生・純恋が後追い自殺を図る。未遂に終わったが「完結編が読めないなら生きる意味がない」と語る純恋。やがて山中の廃校に純恋を含む作品のファン、七人の男女が集まった。小説をなぞる生活をし、結末を探ろうとしたのだが、ありえない事件が起きて――。 -
ぐるぐる、和菓子
ランチの煮魚を食べながら、その作り方を科学的に検証してしまうほどの理系大学生・涼太。変わり者の彼が出会ったのは、あまりに美しい和菓子だった。そのおいしさにも魅せられた涼太は、大学院に進まず和菓子職人になることを決意して製菓専門学校へ。個性豊かな仲間とともに和菓子作りにのめり込むが、餡子ひとつとっても一筋縄ではいかず――和菓子の魅力あふれる、温かくて心においしい物語。【解説/坂木司】 -
花咲小路二丁目の寫眞館
たくさんのユニークな人々が暮らし、日々大小さまざまな事件が起きる花咲小路商店街。 新米カメラマンの樹里が働くのは、商店街に昔からある<久坂寫眞館>。 店主の重はカメラの腕がいいはずなのに、写真を撮ろうとしない。それもそのはず、重が撮影をすると、<奇妙なもの>が写真に写り込んでしまうというのだ。 写り込んでいるものが過去のものだとわかったことをきっかけに、昔の花咲小路商店街へタイムスリップしてしまうふたり。 しかも偶然その場に居合わせたセイさんも巻き込んでしまっていた! 3人は、その時代に起きた事件……謎に包まれたままの火事の真相を探ろうとするが、そこには大きな秘密が隠されていて――。 -
死人の口入れ屋
ある事情から仕事を辞めた久瀬宗子は、お世話になった人の紹介で『古物商 阿弥陀堂』に面接を受けに来た。 しかし、阿弥陀堂はただの骨董品屋ではなく、幽霊がとりついた曰くの品である【忌物】を貸し出しているという――。 人には言えないような怨みや憎しみを持つ客たちが、幽霊の力を借りに来る。その先にとんでもない結末が待ち受けているとは何も知らずに……! 『ナキメサマ』『贋物霊媒師』で話題の著者がおくる、どんでん返し×ホラーミステリ―連作短編集! -
天の雫 鳳の木
八穂島は東、天壺国において薬の技術を守る場所、鳳山。そこでは、薬草への鋭い感覚を有する小さく短命な種族「雛子」が、生涯を薬道に捧げて生きていた。 雛子の中でも優れた能力を持つイトナは、薬師を助ける特別な存在である「匙子」……それも、鳳山の主である斎宮にして王族の娘・未央の匙子に任命される。未央の悲願は「一を癒し、一を殺す」と言われる伝説の秘薬「天の雫」を復活させ、その権威をもって、東方の国々の混乱を鎮めること。イトナは未央の考えに賛同し、力を尽くすことを約束した。 隣国の日向国も巻き込んで、熾烈になる戦。それを先導していると思われる日向国王子・安曇や、彼と対立する異母兄弟・六連の存在。イトナは天の雫を巡って、大きな歴史の流れに巻き込まれ、やがて国の深部へと踏み込んでいく。 -
ヨンケイ!!
たった40数秒に秘められた、最高に熱い青春ドラマ! 慢性的な人数不足に悩む離島・大島の渚台高校陸上部に、奇跡的に男子4人のスプリンターが揃った。インターハイ予選を目前に控え、4×100mリレー(四継)に挑むことになるが、メンバーの人間関係はサイアク……。それぞれが悩みを抱えるバラバラのチームで、リレーのバトンは繋がるのか――? 青春小説の旗手がおくる、感動の傑作スポーツ小説! -
女優の娘
アイドルグループ「YО!YО!ファーム」の一期生・斉藤いとに届いた、伝説のポルノ女優だった母親の訃報。母の存在を隠してアイドルになったいとだが、そのニュースで一躍時の人になる。一方、人気ランキングに振り回され、ウケるキャラづくりを求められ、恋愛が罪になる世界に翻弄されるメンバーを見て、いとはある決意をする――。世界の不条理とたたかうすべての人に贈る、傑作青春小説! -
えんぎ屋おりょうの裏稼業
江戸・神田。おりょうは、表向きは全国津々浦々の縁起物を取り扱う「えんぎ屋」を営んでいるが、己の進退に窮した者たちの切実な「祈り」を叶えるために奔走する「代参屋」という裏の稼業を持っている。ある日おりょうの下に「大一番の勝負断じて敗れたくなく候」と書かれた護符が届いた。依頼人は、なんと年若き女性だった……。 -
ファミリーツリー
少年は、父のいとこにあたる少女に恋をした。彼は両親への歯がゆい思いや情けない自分へのいらだちを抱えながら、曾祖母たち近しい大人に見守られ、大切な存在への想いを糧に成長してゆく。著者ならではの五感に響く筆致で、命のつながりの煌めきを描き出す物語。 -
リボン
小さな命が、寄り添ってくれた――少女と祖母は家のそばで小鳥の卵を見つけ、大切に温めて孵す。生まれたのは一羽のオカメインコだった。リボンと名づけ、かわいがって育てるが、ある日逃がしてしまう。リボンは、鳥の保護施設で働く青年、余命を宣告された老画家など、様々な人々と出会う。人々は、このオレンジ色の頬をした小鳥に心を寄せることで、生きる力を取り戻していく。 -
ランチ探偵
お昼休み+時間有給、タイムリミットは2時間――大仏ホーム経理部のOL・阿久津麗子は、同僚の天野ゆいかを誘ってランチ合コンへ。恋人に振られたばかりでいい出会いを求める麗子だが、なぜか男性陣から持ち込まれる話題は、犯人探しや暗号解読ばかり。深夜に動くエレベーター、金曜日に大量の弁当を購入する美女、ストーカー事件の真犯人、失踪した新婦が残したメッセージ、アパートの窓に日替わりで現れる動物、消えた結婚指輪。ミステリマニアのゆいかは、それらの「謎」に興味を示し……。オフィス街の怪事件に安楽椅子探偵のニューヒロイン・天野ゆいかが挑む! -
トギオ
第8回『このミステリーがすごい!』大賞受賞作。選考委員を驚愕させた衝撃の問題作! 「ブレードランナー」の独創的近未来、「AKIRA」の疾走感、「時計じかけのオレンジ」の暴力。21世紀不良少年はもうひとつのTOKIOを漂流する。 捨て子の「白」を拾ったがために、大きく狂いはじめる主人公の人生。家族は村八分に遭い、主人公はクラスメイトから生々しく執拗ないじめを受ける。村を出た主人公は港町に流れ、やがて大都会・東暁(とうぎょう)を目指すことに。生き抜くために悪事に手を染め、殺伐とした東暁で地べたを這いつくばって生きる主人公が唯一気にかけていたのは、村に置いてきた白のことだった――。 -
ホタル探偵の京都はみだし事件簿
売れっ子作家の推理はいつ光る? 先生、謎解きの前に原稿をください!! 東京北区にある王子書房の新米編集者・黒木真央は、京都在住イケメン推理作家・夜光蛍一郎のサポートを命じられた。が、現実は街から電車で2時間以上離れた村に住む偏食かつ偏屈な男の世話係。劇場から消えた美男美女カップルの心中騒動、百人一首の札にこめられた秘密など、事件が起こると「黄金の脳細胞で解決」と出張る夜光だがその推理は……。山あいの村から祇園へ。暴走迷探偵×探偵助手が謎を追うコミカルミステリー!! 凸凹コンビが事件に挑む、全五話+敏腕編集者(?)真央による、「京都はみだし案内」を収録。 -
こんなわたしで、ごめんなさい
女性管理職+学者の妻+娘の母親の三役をこなし、皆が羨む存在だったのに、最近職場で孤独を感じ、暗い毎日を送る、表題作のワーキング・ウーマンほか、婚活を放棄したOL、対人恐怖症の美女、デコデコ・フリフリファッションの少女趣味なオバさんなど、いろんな「わたし」が登場。欠点や弱点、悪い癖を自分から引きはがせずにあがく女たちの悲喜こもごも、人生にジタバタ、ドタバタする「わたし」たちの生態を、ユーモラスに、シニカルに、そしてほろりと描き出す。「平節」炸裂の傑作コメディ7編。――「そんなあなたを許します」と誰かが言ってくれるまで、先は長いぞ、頑張ろう! 解説/中江有里 -
戦飯
うま~い飯が、史実を変える? 期待の隠し玉新人が贈る戦国×飯×エンタメ登場! ――超高身長・2メートル近い恵体を誇る管理栄養士・緒方直哉は悩んでいた。妹の結婚式を彩るウェディングケーキを兄自ら考案することになったのは良いものの、ちっとも納得のいくアイディアが浮かばない――巨体に似合わぬちまちまとした作業にせっせと熱を注いでいるうちに自宅のキッチンで転倒。気が付けばそこは……戦国時代の伊達藩だった!? 宴の最中に突然天井から降ってきた直哉の巨体は伊達政宗公に直撃。当然ながら刺客の類と疑われ、命を取られるギリギリの状態に追い込まれた直哉は、思わずはったりをかましてみる……「俺の料理で、伊達藩を強くしてみます!!」 自身の天下取りを信じてやまない独眼竜・伊達政宗をはじめ、冷静沈着・知将の片倉小十郎、超絶無口ですぐ切りかかる伊達成実、ぶっきらぼうでオカネ大好き・くの一の霞とともに疾風怒涛の飯三昧!! 「俺、結婚式、でれんの……?」 -
偽装法廷
大分と宮崎の間にある日豊市。この市ではリゾート開発を進める建設会社が、反対派NGOの切り崩しをもくろもうとしていた。その矢先、当の建設会社社長・安田が工事現場で殺害された。安田は一人で事務所にいるところを、窓を叩く奇妙な音で外に誘い出され、そこに、頭上からコンクリート片が落下。何者かが仕組んだ、策を弄した方法で殺害されたのだ。数日後、房野千枝という美貌の中年女性が地元署へ出頭してきた。千枝は、安田から過去の愛人関係復活をもちかけられたことが原因で殺害に至ったと自供。ありふれた痴情のもつれによる事件と思われた。朝日岳之助弁護士のもとへ、千枝の娘である麻紀子と、その恋人の深貝が訪れた。麻紀子と深貝は、大学で自然保護活動を行っており、安田ら建設推進勢力へ対決姿勢を示していた。朝日は老齢ながら硬骨感でならした弁護士で、冤罪を晴らすことを信念としている。麻紀子らは朝日を見込んで、千枝の弁護を頼みに来たのだ。千枝は、麻紀子が真犯人らしいと思い込み、身代わり自首をしたようだ。その後千枝は公判を通じて、自然を破壊する安田と背後の政治勢力をあばこうとする目的もあると朝日に語った。麻紀子が犯人でないと朝日から聞かされた千枝は、公判で一転して無罪を主張し、同時に安田の旧悪をあばこうともくろむ。朝日は千枝の主張に沿った無罪弁護を行い、あくまで千枝犯人を立証しようとする検察側との攻防が続いたが、形勢は不利であった。そして第二回目の公判中、麻紀子は突然傍聴席から、自分が真犯人であると爆弾発言を行った。麻紀子は自らが犯人である証拠を次々と法廷に提出。千枝の無罪は確定した。さらに今度は麻紀子を被告とする、安田殺害事件の公判が行われた。だがその罪状認否の際、麻紀子の口からはまたもや法廷を激震させる言葉が――。混乱する法廷、弁護側の朝日も検察側も判事も驚愕を隠せない。美形母娘の狙いは何か。そして殺害犯人はどこに。法律の裏の裏をかこうとする手段は許されるのか。法廷ミステリーの力作。『無罪の方程式』改題。 -
煽動者
そのテロ組織の名は「V(ブイ)」。目的は、流血によらず現政府への不信感を国民に抱かせ、その転覆をめざすこと。メンバーは平日、一般人を装い、週末だけミッションを実行。各人はコードネームを用い、お互いに本名も素性も知らない。僕――片桐も組織の一員で、平日は30代前半の会社員、週末はコードネーム「春日」として活動している。この週末、兵器製造のため軽井沢の施設に招集されたのは僕を含め八人。見た目は60代から20代まで、やはり週末テロリストの男女が召集された。施設は表向き企業の研修所となっており、外部からの侵入は不可能。出入りの際は、八人のメンバーの掌紋認証が記録される仕組みになっている。今回のミッションは、<子供>という切り口から、政府を揺さぶり、言わずもがな流血や殺戮をしない<兵器>を製造することだった。僕たちメンバーによる侃侃諤諤の作戦会議が終了し、兵器製造に取りかかっている最中、メンバーの一人が扼殺される事件が発生した。施設は部外者の侵入は不可能、テロリストが警察を呼ぶわけにはいかない。犯人はメンバー七人のうちの誰かだが、お互いに素性を知らないメンバー間でなぜ殺人が起こるのか、誰も動機を説明できない。肝心の探偵役は不在、つまり全員で推理をするしかない。そして組織の<兵器>製造命令は絶対。週明けには一般人に戻らなければならない刻限下、閉鎖状況で犯人推理の頭脳戦が始まった――。
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