小説作品一覧

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  • 津軽通信(新潮文庫)
    3.5
    1巻572円 (税込)
    疎開先の津軽の生家で書き綴られた、新しい自由な時代を迎えた心の躍動が脈うつ珠玉編『津軽通信』。原稿用紙十枚前後の枠のなかで、創作技巧の限りをつくそうと試みた中期の作品群『短篇集』。戦時下の諷刺小説『黄村先生言行録』シリーズ。各時期の連作作品を中心に据えて、それに戦後期の『未帰還の友に』『チャンス』『女神』『犯人』『酒の追憶』を加えて編集した、異色の一冊。(解説・奥野健男)
  • 晩年(新潮文庫)
    4.0
    1巻572円 (税込)
    妻の裏切りを知らされ、共産主義運動から脱落し、心中から生き残った著者が、自殺を前提に遺書のつもりで書き綴った処女作品集。“撰ばれてあることの 慌惚と不安 と二つわれにあり”というヴェルレーヌのエピグラフで始まる『葉』以下、自己の幼・少年時代を感受性豊かに描いた処女作『思い出』、心中事件前後の内面を前衛的手法で告白した『道化の華』など15編より成る。(解説・奥野健男)
  • トリツカレ男(新潮文庫)
    4.0
    ジュゼッペのあだ名は「トリツカレ男」。何かに夢中になると、寝ても覚めてもそればかり。オペラ、三段跳び、サングラス集め、潮干狩り、刺繍、ハツカネズミetc. そんな彼が、寒い国からやってきた風船売りに恋をした。無口な少女の名は「ペチカ」。悲しみに凍りついた彼女の心を、ジュゼッペは、もてる技のすべてを使ってあたためようとするのだが……。まぶしくピュアなラブストーリー。
  • 皆のあらばしり(新潮文庫)
    3.6
    幻の書の新発見か、それとも偽書か。高校生のぼくは、うさんくさい男と〈謎の書〉の存在を追う。その名は、『皆のあらばしり』。探求は真と嘘の入れ子を孕み、歴史をさかのぼり、コンゲームの様相を呈しつつ、ついに世界の深奥にある〈ほんまもん〉に辿りつくが……。大逆転の結末に甘美な香気さえ漂う表題作のほか、「ニセ偽書事始」「『皆のあらばしり』の成立について」を収録した傑作。
  • 荒地の家族(新潮文庫)
    3.6
    40歳の植木職人・坂井祐治は、十数年前の災厄によって仕事道具を全てさらわれ、その2年後、妻を病気で喪う。自分を追い込み肉体を痛めつけながら仕事に没頭する日々。息子との関係はぎこちない。あの日海が膨張し、防潮堤ができた。元の生活は決して戻らない。なぜあの人は死に、自分は生き残ったのか。答えのない問いを抱え、男は彷徨い続ける。止むことのない渇きと痛みを描く芥川賞受賞作。(解説・小川洋子)
  • 俳諧大要
    -
    正岡子規(一八六七-一九〇二)による最良の俳句入門書.初学の人へ向けて要諦を簡潔に説く本書には,革新を志し,文学としての俳句を打ち立てんとする子規の気概があふれている.「俳句をものせんと思はば思ふままをものすべし.巧を求むる莫れ,拙を蔽ふ莫れ,他人に恥かしがる莫れ.」『歌よみに与ふる書』と並ぶ代表著作.

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  • 路地裏の吸血鬼(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    5.0
    こんな世の中、間違ってる! 恋も仕事もままならず、貧乏生活を送る峰岸は、夜の路地裏をあてもなくさまよっていた。そんな彼の前に突然現れたのは立派なドア。中に入ると、豪華なステーキとワイン、そして妖しげな美女が彼を待っていて・・・・・・。クロロックが謎の“吸血事件”の真犯人を追う表題作に加え、「吸血鬼の人生相談所」「吸血鬼の出張手当」の2編を収録。人気シリーズ新装版、第32弾!
  • 浮雲心霊奇譚 赤眼の理
    3.7
    1~8巻572~847円 (税込)
    時は江戸末期。絵師を目指す青年・八十八は、夜道で幽霊に出くわして以来、奇妙な行動を取るようになった姉を救うため、憑きもの落としの名人に会いに行く。肌が異様に白く、両眼を覆うように赤い布を巻いた男。名を、浮雲という。布の下に隠した赤い両眼で死者の魂が見えるという破天荒な浮雲と行動を共にするうち、八十八の前には新たな世界が見えてきた――。幕末ミステリー、堂々開幕!
  • 吸血鬼は炎を超えて(吸血鬼はお年ごろシリーズ)
    3.5
    とある企業の新社屋完成披露パーティーに招かれた吸血鬼クロロックと娘のエリカ。だが、華やかなパーティー会場で、人並み外れた嗅覚を持つクロロックは微かに漂う血の匂いをキャッチして!? 28階では人気アイドルグループに熱狂中! 5階では火の海状態で白い煙が充満中!! 急いで脱出せねば全員焼け死ぬ!? 表題作の他にタレント市長の裏の顔を暴く『吸血鬼は裏切らない』、山道に迷ってしまった女子大生が謎の事件に巻き込まれていく『すべての道は吸血鬼へ続く』の2編を収録した大人気ミステリーシリーズ!
  • 滅私(新潮文庫)
    3.8
    愛着が湧く前に捨てる。それが鉄則だ――。ライター業のかたわら、ミニマリストな生活を発信する男、冴津。貰った物は家に帰ると捨て、家具や服は極力減らし、無駄を削ぎ落すことを追求する日々。そんな「身軽生活」を体現する彼の前に現れた“かつての自分”を知る男。その出会いは記憶の暗部を呼び起こし、信じていた世界を徐々に崩壊させていく。芥川賞作家が放つ、不穏でスリリングな超問題作。
  • 雨あがり お江戸縁切り帖
    4.2
    1~5巻572~693円 (税込)
    明暦の大火が江戸を焼いて、一年が経った。人々の生活は未だ落ち着かないままだ。糸はひとり長屋で暮らしていたが、縁切りの手紙を代書する依頼を勢いに負けて引き受けてしまう。浮気亭主との別れ、悪友との絶縁、愛し憧れた役者との別離、親子の決別……「縁切り屋」として立ち会った様々な別れがもたらすのは不思議と涙だけではなかった。あたたかな別れを描いた時代連作短編シリーズ第一弾!
  • 百合中毒
    3.2
    イタリア人の若い女と恋仲になり、家族を捨てて出ていった父親が、妻と娘夫婦が経営する八ヶ岳の麓の園芸店へ25年ぶりに戻ってきた。イタリア人の彼女は一人で帰国してしまったという。が、娘たちは大人になり、妻にはすでに恋人がいた。次女の遥は「許さないから。絶対に。出てってよ。早く出てって!」と叫び、長女の真希は「大恋愛して出ていったのなら、二度と戻ってこないのが筋ではないのか」と苛立つ。妻・歌子の恋人は夜ごと彼女からの電話を待つ。そして歌子は思い出す。夫との出会いの場所に咲き乱れていた花のことを…。家族とは。夫婦とは。七人の男女の目線から愛を問い直す意欲作。
  • ごんぎつね でんでんむしのかなしみ―新美南吉傑作選―(新潮文庫)
    4.6
    わずか29歳で夭逝した新美南吉は、美智子上皇后の胸に刻まれた「でんでんむしのかなしみ」や「手袋を買いに」など、多くの心優しい童話と詩を残した。不遇な幼年時代だったが18歳で「ごんぎつね」を発表。その後結核に苦しみながらも、創作の情熱は最期まで衰えなかった。生きることの淋しさを抱えつつ、それでも歩もうとする勇気を、繊細な感性で描いた傑作童話11編と数編の詩を収録した。
  • 弁当屋さんのおもてなし ほかほかごはんと北海鮭かま
    4.0
    1~12巻572~704円 (税込)
    「あなたの食べたいもの、なんでもお作りします」恋人に二股をかけられ、傷心状態のまま北海道・札幌市へ転勤したOLの千春。仕事帰りに彼女はふと、路地裏にひっそり佇む『くま弁』へ立ち寄る。そこで内なる願いを叶える「魔法のお弁当」の作り手・ユウと出会った千春は、凍った心が解けていくのを感じて――? おせっかい焼きの店員さんが、本当に食べたいものを教えてくれる。おなかも心もいっぱいな、北のお弁当ものがたり!
  • ハケン飯友 僕と猫のおうちごはん
    4.1
    なんて年明けだ。仕事始めの朝、出社したら会社が潰れていた。そんな「僕」こと坂井寛生が神社でお賽銭を奮発して頼んだ願いごとのひとつめは「そこそこの新しい仕事が見つかりますように」、そしてもうひとつは「一緒に飯が食える、気楽な仲間が見つかりますように」。願い事を神社で拝んだその晩、夕ごはんの準備をする寛生の前に、人間の言葉を喋る猫が現われて…。
  • コンジュジ
    3.3
    1993年9月2日未明、11歳のせれなは恋に落ちた。テレビ番組で偶然見かけた伝説のロックスター・リアンに。母に捨てられ、父から性虐待を受けるせれなにとって、その愛しい人は唯一の生きる理由となった。彼女は苦しみのたび、リアンとの妄想世界にトランスする。甘美な夢と凄惨な現実。その境界線は次第に曖昧になっていき――。過酷な現実を生きる一人の少女による自らの救済の物語。圧巻のデビュー作にして、第44回すばる文学賞受賞作。川上未映子氏絶賛!!
  • みちびきの変奏曲
    4.0
    「つかぬことをうかがいますが、こういう手の動きはなんなのかわかりますか?」――通り魔に襲われて亡くなった女性・清藤真空。その最期を看取った人材派遣会社の社員・棚橋は、死の間際の彼女のメッセージの意味を知るため、真空にゆかりのある人々を訪ねてゆく。建築士、音大生、児童養護施設の園長……。真空が遺したのは「きらきら星」だった。そのメロディに導かれるように、それぞれの人生模様が交錯し、真空のこれまでの人生と想いも次第に見えてきて……。人の優しさに触れる癒しと再生のミステリー。
  • 安土往還記(新潮文庫)
    4.2
    1巻572円 (税込)
    争乱渦巻く戦国時代、宣教師を送りとどけるために渡来した外国の船員を語り手とし、争乱のさ中にあっても、純粋にこの世の道理を求め、自己に課した掟に一貫して忠実であろうとする“尾張の大殿(シニョーレ)”織田信長の心と行動を描く。ゆたかな想像力と抑制のきいたストイックな文体で信長一代の栄華を鮮やかに定着させ、生の高貴さを追究した長編。文部省芸術選奨新人賞を受けた力作。(解説・饗庭孝男)
  • 雪と心臓
    3.0
    クリスマスの夜。猛スピードで暴走する車を二台のパトカーが猛追していた。時は二時間ほど前に遡る。その男は、偶然、火事の現場に遭遇する。家の外で助けを求める母親。二階の窓からは泣き叫ぶ娘の姿が。すると男は燃え盛る家の中へと飛び込んだ。それから五分足らず。男は胸に十歳の少女をしっかりと抱きかかえて出てきた。だが、その男は少女を母親に手渡さず、車に乗せてそのまま逃走した。なぜ男は英雄から一転、誘拐犯になったのか。そこにはある男女の双子を巡る二十余年の物語があった。事件の真相に秘められた温もりと寂しさに、あなたはきっと焦がれ、涙する。心に触れる傑作青春ミステリ。
  • デッドライン(新潮文庫)
    3.7
    2001年の春、僕は大学院に進んだ。専門はフランス現代思想。友人の映画制作を手伝い、親友と深夜にドライブし、行きずりの相手とセックスをする日々を送りながら、修士論文の執筆が始まる。テーマはドゥルーズ――世界は差異からできていると唱えた哲学者だ。だが、途中までしか書けないまま修論の締め切り(デッドライン)が迫ってきて……。気鋭の哲学者が描く青春小説。芥川賞候補、野間文芸新人賞受賞作。(解説・町屋良平)
  • 生のみ生のままで 上
    3.8
    1~2巻572円 (税込)
    「私たちは、友達じゃない」25歳、夏。恋人と出かけたリゾートで、逢衣は彼の幼なじみと、その彼女・彩夏に出逢う。芸能活動をしているという彩夏は、美しい顔に不遜な態度で、不躾な視線を寄越すばかりだったが、四人で行動するうちに打ち解けてゆく。東京へ帰った後、逢衣は彩夏と急速に親しくなった。やがて恋人との間に結婚の話が出始めるが、ある日とつぜん彩夏から唇を奪われ、「最初からずっと好きだった」と告白される。彼女の肌が、吐息が、唇が、舌が、強烈な引力をもって私を誘う――。綿矢りさ堂々の新境地! 第26回島清恋愛文学賞を受賞した鮮烈なる愛の物語。
  • 秘密の花園(新潮文庫)
    3.5
    私は、なにをしているんだろう。どうしたら「私」でいられるんだろう? カトリック系女子高校に通う、三人の少女、那由多、淑子、翠。性格の異なる三人の「私」は、家族、学校、男たちの中にあって、それぞれが遠いはるかを、しずかに深くみつめている。「秘めごと」をかかえる彼女たちの微笑の裏側の自由。甘やかな痛みの底に眠る潔くも強靭な魂。自分を生き抜いていくために「私」が求めていたことは――。記念碑的青春小説。(解説・穂村弘)
  • 苦役列車(新潮文庫)
    4.0
    劣等感とやり場のない怒りを溜め、埠頭の冷凍倉庫で日雇い仕事を続ける北町貫多、19歳。将来への希望もなく、厄介な自意識を抱えて生きる日々を、苦役の従事と見立てた貫多の明日は――。現代文学に私小説が逆襲を遂げた、第144回芥川賞受賞作。後年私小説家となった貫多の、無名作家たる諦観と八方破れの覚悟を描いた「落ちぶれて袖に涙のふりかかる」を併録。(解説・石原慎太郎)
  • 稲荷書店きつね堂
    完結
    3.8
    全6巻572~616円 (税込)
    神田明神のお膝元である神田の一角に『稲荷書店きつね堂』という小さな書店があった。お店の敷地内には小さな鳥居と、お稲荷さんの祠が祀られており、そのそばでは、対の白狐像がお店の様子を見守っている。店主のお爺さんは白狐像を「ヨモギ」「カシワ」と名付けて可愛がっていた。ある日、お爺さんがヨモギの目の前で倒れてしまう。助けを呼びたいヨモギだが、白狐像である自分では動くことも出来ず、困っていたところに──。待望の新シリーズ開店です。
  • きりこについて
    4.2
    きりこは両親の愛情を浴びて育ったため、自分がぶすだなどと思ってもみなかった。小学校の体育館の裏できりこがみつけた小さな黒猫「ラムセス2世」はたいへん賢くて、しだいに人の言葉を覚えていった。ある事件がきっかけで引きこもるようになったきりこは、ラムセス2世に励まされ、外に出る決心をする。夢の中で泣き叫んでいた女の子を助けるために……。
  • 壊れた少女を拾ったので
    3.9
    ほおら、みぃつけた――。死体の山の中、わたくしはひとりの美しい少女と出会いました。もっともっと美しくするため、わたくしはノコギリをふるう。カルトホラーの奇才がおくる、恐懼の短編集!
  • 改良
    3.8
    1巻572円 (税込)
    女になりたいのではない、「私」でありたい――ゆるやかな絶望を生きる男が人生で唯一望んだのは、美しくなることだった。平成生まれ初の芥川賞作家、鮮烈のデビュー作。第56回文藝賞受賞作。
  • 討ち入りたくない内蔵助
    5.0
    松の廊下での刃傷事件の情報がもたらされると、籠城だ仇討ちだといきり立つ藩士たち。内蔵助は彼らをのらりくらりとかわしながら、「藩士どもを殺してたまるか!」とお家再興に向け画策する。しかし、精一杯やっているのに四面楚歌。やってられるか、こんなこと! 筆頭家老の責任なんて投げ出せたら楽になれるのに……。既存のイメージを覆す、人間・内蔵助を等身大で描く新たな忠臣蔵。
  • 1972年からの来訪
    -
    1992年、晩夏。山荘の管理を任されている永森の呼びかけで、戸崎ら大学サークルOBは集まった。懐かしい面々と過ごす束の間の避暑のはずだったが…。山荘に漂う不気味な気配、次々と姿を消す仲間たち、疑心暗鬼、やがてあの頃の記憶が鮮明に甦る──。時は、日本中を震撼させた連合赤軍による一連の事件から20年後。あの時代を知る者たちの人生の“総括”を描くサスペンス小説。
  • おやすみ、こわい夢を見ないように(新潮文庫)
    3.4
    「あたしこれから殺人計画をたてる」。我慢をかさね、やっと受かった高校で待っていたのは、元カレ剛太の「抹殺」宣言と執拗な嫌がらせ。すべての友に去られた沙織は、不登校の弟をコーチに復讐の肉体改造を決意するが……。理不尽に壊された心のゆくえを鮮烈に描く表題作をはじめ、ひそかに芽ばえ、打ち消すほどに深く根を張る薄暗い感情のなかに、私たちの「いま」を刻む7つの風景。
  • 鏡のなかのアジア
    -
    【第69回芸術選奨 文部科学大臣新人賞(文学部門)受賞作】チベット、台湾、クアラルンプール、京都……。言葉の魔力がいざなう、アジアへの旅路。はるかな歴史を持つ僧院で少年僧が経典の歴史に触れる「……そしてまた文字を記していると」、雨降る村でかつて起こった不思議な出来事を描く「Jiufenの村は九つぶん」、時空を超え、熱帯雨林にそびえる巨樹であった過去を持つ男の物語「天蓋歩行」など、アジアの土地をモチーフに、翻訳家でもある気鋭の著者が描く、全五編の幻想短編集。
  • 不連続殺人事件
    3.9
    戦後間もないある夏、詩人・歌川一馬の招待で、山奥の豪邸に集まった様々な男女。作家、詩人、画家、劇作家、女優など、いずれ劣らぬ変人・奇人ぞろい。邸内に異常な愛と憎しみが交錯するうちに、世にも恐るべき8つの殺人が生まれた。不連続殺人の裏に秘められた悪魔の糸は何か――鬼才安吾が読者に挑んだ不滅のトリック! 多くのミステリ作家が絶賛する、日本推理小説史に輝く傑作。第2回探偵作家クラブ賞受賞作。 (C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved.
  • 原爆詩集
    4.8
    広島,長崎に投下された原子爆弾によって命を奪われた人や,全世界の原子爆弾を憎悪する人々に捧げられた詩集.「ちちをかえせ ははをかえせ」で始まる「序」は,反核運動の旗幟としてひるがえる.自らの被爆体験をもとに,戦争や原爆に対する激しい抗議と平和への強い決意を訴える言葉の記念碑.(解説=大江健三郎,アーサー・ビナード)

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  • BAR追分
    3.7
    1~3巻572円 (税込)
    新宿三丁目の交差点近く――かつて新宿追分と呼ばれた街の「ねこみち横丁」の奥に、その店はある。そこは、道が左右に分かれる、まさに追分だ。BAR追分。昼は「バール追分」でコーヒーやカレーなどの定食を、夜は「バー追分」で本格的なカクテル、ハンバーグサンドなど魅力的なおつまみを供する。人生の分岐点で、人々が立ち止まる場所。昼は笑顔がかわいらしい女店主が、夜は白髪のバーテンダーがもてなす新店、二つの名前と顔でいよいよオープン!
  • マリアージュ・マリアージュ(新潮文庫)
    3.7
    キスをして抱きしめられ、初めて普通の状態になれたあの頃。今の私は年下の彼に、昔の自分を重ねてしまう(「試着室」)。私の性を抑圧し続けてきた、私に対して1ミリも動かなくなった彼の性器に、今、私は復讐をした(「ポラロイド」)。他の男と寝て、気づく。私はただ唯一夫と愛し合いたかった(「献身」)。幸福も不幸も与え、男と女を変え得る愛と結婚の、後先を巡る六つの短篇。
  • イーハトーボ農学校の春
    4.0
    訪れた春の暖かい日差しのなかで、歓びあふれ、農作業を謳歌する学生たちを描く表題作をはじめ、賢治の農学校教師時代の生活や、農学生時代の思い出から生まれた作品を集めた短篇集。 (C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved.
  • 放課後ひとり同盟
    3.4
    「なにか護身術習えば?」痴漢に遭った女子高生の林は、友人にそう提案されるがまま、パルコの屋上にいる「蹴り男」に会いに行く。その男は、降ってくる不幸を阻止するために、空に向かって蹴りを続けていると言うが……(「空に飛び蹴り」)。離婚寸前の両親、体と心の性別の不一致、永遠に叶わぬ恋。一人きりで悩んで今にも心が爆発しそうな時、この本はきっとあなたの味方になる! 青春連作短編集。
  • うちの執事に願ったならば
    完結
    4.2
    全10巻572~704円 (税込)
    執事・衣更月と衝突しながらも、当主として奮闘する烏丸花穎。夏休み唯一の友人との予定に心躍る花穎だが、道中でトラブルに巻き込まれてしまう。一方、主人に同行を許されない執事の夏休みの過ごし方とは……!?
  • コロボックル物語1 だれも知らない小さな国
    4.3
    1~6巻572~726円 (税込)
    私たちが、すっと読み継いでいきたい物語。250万人が愛した、日本の小人(コロボックル)の物語、復刊! ――びっくりするほど綺麗なつばきが咲き、美しい泉が湧き出る「ぼくの小山」。ここは、コロボックルと呼ばれる小人の伝説がある山だった。ある日、小川を流れる靴の中で、小指ほどしかない小さな人たちが、ぼくに向かって手を振った。うわあ、この山を守らなきゃ! 日本初・本格的ファンタジーの傑作。<全6巻> ◎「久しぶりで本書を読んで感じたのは、これはなんと、純度の高いラヴストーリーそのものではないか、という驚きだった。」<梨木香歩「解説」より> ◎「初版が出て五十一年、いつのまにか本は半世紀を越えて生き、作者の私は八十歳を過ぎてしまった。いくつになろうと、私が作者であるのはまちがいないのだが、このごろはなんとなく自分も、読者の1人になっているような気がする。そして読者としての私も、この再文庫化を大いに喜んでいる。」<佐藤さとる> ◎「これが、僕がコロボックルを描く最後になるかもしれない。」<村上勉>
  • 幻世の祈り―家族狩り 第一部―(新潮文庫)
    完結
    3.8
    全5巻572~781円 (税込)
    高校教師・巣藤浚介は、恋人と家庭をつくることに強い抵抗を感じていた。馬見原光毅刑事は、ある母子との旅の終わりに、心の疼きを抱いた。児童心理に携わる氷崎游子は、虐待される女児に胸を痛めていた。女子高生による傷害事件が運命の出会いを生み、悲劇の奥底につづく長き階段が姿を現す。山本賞受賞作の構想をもとに、歳月をかけて書き下ろされた入魂の巨編が、いま幕を開ける。
  • 地下芸人
    3.0
    中学校からの友人であるオダと広瀬がお笑いコンビ・お騒がせグラビティーを結成して早十年。未だ一向に売れる気配がなく、周囲の芸人も次々と引退していく中、何が面白いのかもわからなくなったオダは、広瀬からコンビ解散を告げられてしまう。解散まであと一か月。オダが最後にすることは……? 元芸人の著者がひたすらに笑いを追求する者たちを描いたデビュー作。ジャンプ小説新人賞受賞。尊敬するお笑い芸人・カズレーザー氏との対談も収録。
  • 十津川警部 西伊豆変死事件
    5.0
    西新宿のホテルで、女性の刺殺体が発見された。免許証から北千住のクラブのママ「中川真由美」と分かる。ところが静岡県警から、中川真由美は5年前に西伊豆の堂ヶ島沖合で溺死しているとの報告が! いったい、どちらが本物なのか? そして、ニセ者の狙いは? 十津川は事件の鍵を握る地、金沢へ――。やがて浮上してきたのは、意外な組織の関与だった。
  • 椰子・椰子(新潮文庫)
    4.1
    ※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。 妊娠中のもぐらと一緒に写真をとったり、町内の縄文人街を散歩したり、子供たちを折りたたんで押入れにしまったり、中くらいの災難に見舞われ一時乳房等の数が二倍になったり。奇想天外でヘンテコで不気味な出来ごとが、次々と繰りだされる日常を、ごく淡々と送る女性の、ユーモラスな春夏秋冬。一足踏みいれたらきっととりこになる、とっぷりと心地よい「椰子・椰子」ワンダーランド。
  • 老人と海(新潮文庫)
    3.9
    八十四日間の不漁に見舞われた老漁師は、自らを慕う少年に見送られ、ひとり小舟で海へ出た。やがてその釣綱に、大物の手応えが。見たこともない巨大カジキとの死闘を繰り広げた老人に、海はさらなる試練を課すのだが――。自然の脅威と峻厳さに翻弄されながらも、決して屈することのない人間の精神を円熟の筆で描き切る。著者にノーベル文学賞をもたらした文学的到達点にして、永遠の傑作。
  • 息子と狩猟に(新潮文庫)
    4.1
    小学生の息子を連れて鹿を追う週末ハンターの倉内と、トラブルで死体を抱えた詐欺集団のリーダー加藤。獲物を狙う狩猟者と死体遺棄を図る犯罪者が山中で出くわしてしまった――。息もつかせぬ展開と圧倒的リアリティに痺れる表題作。世界最難関の雪山で飢えと寒さに蝕まれていく極限の状況下、人の倫理観の矛盾を鋭く問う短編「K2」。サバイバル登山家が実体験を基に描く唯一無二の犯罪小説。(解説・杉江松恋)
  • ルビンの壺が割れた(新潮文庫)
    4.0
    「突然のメッセージで驚かれたことと思います。失礼をお許しください」――送信した相手は、かつての恋人。フェイスブックで偶然発見した女性は、大学の演劇部で出会い、二十八年前、結婚を約束した人だった。やがて二人の間でぎこちないやりとりがはじまるが、それは徐々に変容を見せ始め……。先の読めない展開、待ち受ける驚きのラスト。前代未聞の読書体験で話題を呼んだ、衝撃の問題作!(解説・西山奈々子)
  • 母のあしおと
    4.5
    愛する妻の死後、楽しく暮らすことに後ろめたさを覚える夫。(「はちみつ」)「私はあなたのお母さんじゃない」恋人の言葉が忘れられない次男。(「もち」)義母に嫌われているのではないかと悩む長男の婚約者。(「ははぎつね」)母・道子の人生は"平凡"な、どこにでもあるものだったのだろうか──? 道子の死後から少女だった頃まで、その人生を遡る。七つの視点で綴られた感動の連作集。
  • つきのふね
    4.0
    親友との喧嘩や不良グループとの確執。中学二年のさくらの毎日は憂鬱。ある日人類を救う宇宙船を開発中の不思議な男性、智さんと出会い事件に巻き込まれる。揺れる少女の想いを描く、直球青春ストーリー!
  • アーモンド入りチョコレートのワルツ
    3.9
    1巻572円 (税込)
    十三・十四・十五歳。きらめく季節は静かに訪れ、ふいに終わる。シューマン、バッハ、サティ、三つのピアノ曲のやさしい調べにのせて、多感な少年少女の二度と戻らない「あのころ」を描く珠玉の短編集。
  • 怖い話を集めたら 連鎖怪談
    3.8
    恋愛小説家のいつきは、旧知の元編集者から怪談の収集を依頼される。ノベルアプリ開発のため、彼が紹介する取材相手から怪異体験談を聞き、原稿にまとめるという仕事だ。友人に反対されつつも生活費のために依頼を引き受けたいつきだが、異様な体験の数々を聞き集めるうちに奇妙な夢を見るようになり、身の回りにも変化が……。「呪い」が、システムに則って動き出す。
  • ミーツ・ガール(新潮文庫)
    3.0
    1巻572円 (税込)
    この肉女を、なんとかしてくれ! 大学一年のワタベは、巨体で激臭漂う熊堀サトミと隣の席に。すぐアパートに居座られ、コンビニのホットスナック「マンガ肉」を日夜買いに走らされる。そんな生活が三ヶ月続き、遂に熊堀を追い出したワタベ。だが十年後、彼女がバーの店長をしていると知り……。R-18文学賞大賞受賞作を含む、不器用な男女の激しく切ない恋愛小説集。『マンガ肉と僕』改題。(解説・杉野希妃)
  • 平凡(新潮文庫)
    3.8
    妻に離婚を切り出され取り乱す夫と、その心に甦る幼い日の記憶(「月が笑う」)。人気料理研究家になったかつての親友・春花が、訪れた火災現場跡で主婦の紀美子にした意外な頼みごと(「平凡」)。飼い猫探しに親身に付き添うおばさんが、庭子に語った息子とおにぎりの話(「どこかべつのところで」)。人生のわかれ道をゆき過ぎてなお、選ばなかった「もし」に心揺れる人々を見つめる六つの物語。(解説・佐久間文子)
  • SICK’S 恕乃抄
    4.5
    内閣情報調査室特務事項専従係、通称トクムに所属する御厨静琉はIQ230の天才。 SPEC絡みの事件で公安を追われた高座宏世とコンビを組んだ御厨は、SPECホルダーを巡る闘争に巻き込まれていく。
  • この声が、きみに届くなら
    4.5
    「好き」は「勇気」にかわるはず――! 高1のゆめは、中学のときから片想いしている本城先輩に、バスケ部で再会する。けれど、過去にトラウマがあり声のコンプレックスのせいで先輩とうまく話せずにいた。バスケ部の沙月や新田先輩のおかげでやっと仲良くなれた、その矢先。「また明日」と言ったのに、先輩は学校に来なくなってしまう。最初はとまどうゆめだったが…!? 恋にひたむきな高校生の青春物語!
  • アカペラ(新潮文庫)
    3.8
    身勝手な両親を尻目に、前向きに育った中学三年生のタマコ。だが、大好きな祖父が老人ホームに入れられそうになり、彼女は祖父との“駆け落ち”を決意する。一方、タマコを心配する若い担任教師は、二人に振り回されて――。奇妙で優しい表題作のほか、ダメな男の二十年ぶりの帰郷を描く「ソリチュード」、独身の中年姉弟の絆を見つめた「ネロリ」を収録。温かくて切ない傑作小説集。
  • 華舞鬼町おばけ写真館 祖父のカメラとほかほかおにぎり
    3.9
    黄昏の薄闇に包まれた街に、ぼんやりと提灯の灯が浮かぶ。通りは煉瓦や木造の建物で明治か大正時代のレトロな雰囲気。家々からは異形の影が現れる。ここは華舞鬼町、新宿とはちがうもう一つのカブキチョウだ。大学生の那由多(なゆた)は東京神田の万世橋で、祖父の形見のカメラを盗まれてしまう。しかも、しゃべるカワウソに。二足歩行で建物の隙間に逃げ込んだカワウソを思わず追いかけた那由多、しかしビルの隙間から抜けたそこは、さっきまでいた秋葉原の街並みではなかった……。異形に襲われそうになったところを、粋な羽織を被った青年、狭間堂(はざまどう)に救われる。「ようこそ、おばけの街、『華舞鬼町』へ。華舞鬼町総元締めの狭間堂は、きみを歓迎するよ」彼は異形ではなく、人間だというが一体その正体は?
  • 異世界温泉郷 あやかし湯屋の嫁御寮
    3.6
    いやなことがあっても、お風呂に入ると癒される――。そんな思いで一人、温泉旅行をしていた凛子。ところが目が覚めると不思議な温泉街で狗神と婚礼をあげたことになっていた! 元の世界に戻るためには手切れ金を貯めて離縁しなければならないと言われ、夫である狗神が営む湯屋で下働きをすることに。様々なあやかしが訪れる湯屋・高天原で凛子が出会ったのは…?
  • 警視庁監察室 ネメシスの微笑
    3.0
    1~3巻572~682円 (税込)
    高井戸署の交番勤務の警察官・新海真人は、妹の麻里を「事故」で喪った。麻里の死は、危険ドラッグ使用による中毒死だったが、その事件で誰も裁かれることはなかった。その時から警察官の人生が一変する。
  • 記憶屋
    3.6
    忘れたい記憶を消してくれる都市伝説の怪人、記憶屋。大学生の遼一は単なる噂だと思っていたが、ある日突然大切な人の記憶が消えてしまい、記憶屋の正体を探り始める……。切ない青春ノスタルジックホラー!
  • 五つ星をつけてよ(新潮文庫)
    3.8
    PC上で輝く星(レビュー)だけが、進むべき道を照らしてくれる――。離婚して実家に戻った恵美は、母の介護を頼んでいるホームヘルパー・依田の悪い噂を耳にする。細やかで明るい彼女を信頼していたが、見る目がなかったのだろうか。動揺する恵美に、母が転んで怪我をしたと依田から連絡が入り……。ネットのレビュー、ブログ、SNS。評価し、評価されながら生きる私たちの心を鮮やかに描き出す6編。(解説・彩瀬まる)
  • 再雇用されたら一カ月で地獄へ堕とされました
    3.0
    1巻572円 (税込)
    県立高校の社会科教師として38年間の教職生活を終えた笹川。定年後は常勤講師として再雇用され、4月から再び教壇に立つことになったが、それからわずか一ヵ月後、校長から衝撃の宣告を受ける。さらに、定年後の生活を見据えて、退職金の大半をはたいて実家の大規模リフォームを実施したが、明らかな手抜き工事が見つかってしまう。同時に、妻が勤務する学童クラブには閉鎖の話が持ち上がり…。「バラ色の老後」は、いったいどうなる!?
  • 波打ち際の蛍
    3.9
    DVで心の傷を負い通っていたカウンセリング室で麻由は蛍に出逢い心惹かれていく。彼を恋う気持ちと不安。相反する気持ちを抱えながら、麻由は痛みを越えて足を踏み出す。切実な祈りに満ちた恋愛小説。
  • シルエット
    3.8
    女性の体に嫌悪感を覚える元恋人の冠(かん)くん。冠くんと別れ、半ばやけでつき合った遊び人の藤野。今の恋人、大学生のせっちゃん…人を強く求めることのよろこびと苦しさを、女子高生の内面から鮮やかに描く群像新人賞優秀作の表題作と15歳のデビュー作他1篇を収録する、せつなくていとおしい、等身大の恋愛小説。
  • 一千一秒の日々
    3.8
    仲良しのまま破局してしまった真琴と哲、メタボな針谷にちょっかいを出す美少女の一紗、誰にも言えない思いを抱きしめる瑛子――。不器用な彼らの、愛おしいラブストーリー集。
  • よだかの片想い
    4.2
    顔に目立つ大きなアザがある大学院生のアイコ、二十四歳。恋や遊びからは距離を置いて生きていたが、「顔にアザや怪我を負った人」をテーマにした本の取材を受け、表紙になってから、状況は一変。本が映画化されることになり、監督の飛坂逢太と出会ったアイコは彼に恋をする。だが女性に不自由しないタイプの飛坂の気持ちがわからず、暴走したり、妄想したり…。一途な彼女の初恋の行方は!?
  • セロ弾きのゴーシュ アニメカバー版
    5.0
    ≪TVアニメ「文豪ストレイドッグス」 アニメ描き下ろしコラボカバー版を配信!通常表紙版と内容が同じ商品です。ご注意ください。≫ 楽団のお荷物だったセロ弾きの少年・ゴーシュが、夜ごと訪れる動物たちとのふれあいを通じて、心の陰を癒しセロの名手となっていく表題作。また「やまなし」「シグナルとシグナレス」「氷河鼠の毛皮」「猫の事務所」「雪渡り」「グスコーブドリの伝記」など、賢治が生前に新聞・雑誌に発表した名作・代表作の数々を収める。 <「文豪ストレイドッグス」シリーズとは> 中島 敦、太宰 治、芥川龍之介、与謝野晶子、泉鏡花、F・スコット・フィッツジェラルドなど国内外の文豪のイメージをモデルに擬人化されたキャラクターが、横浜を舞台に「人間失格」「羅生門」などといった各文豪に関連する異能力を用いて戦うバトルアクション。
  • 私の裸(新潮文庫)
    3.5
    1巻572円 (税込)
    女は皆、平和を装っているだけ。ライターの天音は、妻としても職業人としても自己不全感を抱いていた。ある日、友人の紹介で俳優の朔也と出会う。人とは違う肉体を生かして役者になった朔也を取材するうち、彼の周りの女性たちが変貌した瞬間を知る。いい子の呪いに苦しむ鈴美、男性経験のない冬美恵、朔也の妻・理都子、そして天音自身も――。未知の私が現れる5編。『幸福なハダカ』改題。(解説・寺地はるな)
  • 持たざる者
    3.9
    僕はどこだか分からないここにいる―修人。全ての欲望から解放された、いや、見放された―千鶴。人生とは結局、自分自身では左右しようのないもの―エリナ。きっと、私がここから別の道を歩む事はないだろう―朱里。他者と自分、世界と自分。絡まり合う、四者の思い。思いがけない事故や事件。その一瞬で、ねじ曲がる。平穏な日常が、約束された未来が。混沌、葛藤、虚無、絶望。――現代社会の風潮を照射した傑作小説。
  • 社賊
    1.0
    一流商社の部長職を辞め、名門ホテルで第二の人生を送ることになった畑中教司。マラソン中に眼前で社長の犬飼が誘拐された。数日後無事に救出されたものの、犯人からホテルに対して執拗な脅迫が始まる。犬飼から特命を受けた畑中は、誘拐直前に起きたホテル従業員の転落死に着目。ホテルの裏側の極秘事項に肉薄し、真相を掴もうとするのだが……。巨大企業に巣食う悪を描く傑作長編社会派推理。
  • 放課後質屋 僕が一番嫌いなともだち
    3.5
    空腹に耐えかねた貧乏大学生の家木は、大切にしていたブックカバーを質屋に持ち込んだ。現れたのは一癖も二癖もありそうな若き店主・湯布院。この店では査定評価を「品物にまつわる思い出」でするという。はじまりは、高額査定が欲しくて思わずついた嘘……? 家木と湯布院=正反対コンビな二人が、個性的な客人の忘れられない過去を解き明かす、思い出ミステリー! 【目次】一話 嘘の値段/二話 愛情の値段/三話 遺恨の値段/四話 夢の値段
  • 小夏と麦の物語
    3.0
    あるきっかけから殺処分寸前の犬「小夏」を引き取った真央。仕事も恋もうまくいかない毎日に、小夏がリズムを与えてくれる『ニューサマーオレンジ』。野良猫「麦」と暮らす夫婦に訪れた試練。生への希望と儚さを描いた『麦ねこ』。人間に寄り添う「小さな命」との温かくも穏やかな日々を描く中編小説二編を収めた感動の物語。
  • ハーレーじじいの背中
    3.6
    真理奈は進路に悩む高校三年生。母方の祖母である清ばあは惚けが進み、父とその両親は家でゴロゴロ。友人との三角関係にまで巻き込まれた真理奈の前に、母方の祖父である晴じいが愛車ハーレーに乗って豪快に現れた。晴じいに連れ出された真理奈の旅の行方は!? 人情ものの名手が涙と笑いに包んで贈る家族小説の傑作!
  • あひる
    3.9
    我が家にあひるがやってきた。知人から頼まれて飼うことになったあひるの名前は「のりたま」。娘のわたしは、2階の部屋にこもって資格試験の勉強をしている。あひるが来てから、近所の子どもたちが頻繁に遊びにくるようになった。喜んだ両親は子どもたちをのりたまと遊ばせるだけでなく、客間で宿題をさせたり、お菓子をふるまったりするようになる。しかし、のりたまが体調を崩し、動物病院へ運ばれていくと子どもたちはぱったりとこなくなってしまった。2週間後、帰ってきたのりたまは、なぜか以前よりも小さくなっていて……。なにげない日常に潜む違和感と不安をユーモラスに切り取った、著者の第二作品集。
  • 彼女が望むものを与えよ
    3.0
    二人目の子供を欲しがる妻、週に一度の不倫相手、妊婦として再会した初恋の相手、一年前に一度だけ関係を持った年上の女、「調教」を施した若い女――。8人の「彼女」が思わぬところで絡み合う。『私の奴隷になりなさい』で官能小説界に革命を起こしたサタミシュウ、ついに最終章!
  • 非写真(新潮文庫)
    4.0
    事故死した編集者が直前に撮影した夜の海の写真。そこに写る波間に漂う突起物を拡大すると……表題作はじめ、シャッターを切ると震災犠牲者の霊が写るようになったカメラマンが、死者が入るといわれる温泉で驚愕の出来事に遭遇する「さるの湯」、昔のアルバムのどの写真にも存在する謎の少女の正体を探る「あの子はだあれ」など、みちのくを舞台にカメラに忍び込む戦慄の世界を描く作品集。(解説・東雅夫)
  • あこがれ(新潮文庫)
    4.2
    おかっぱ頭のやんちゃ娘ヘガティーと、絵が得意でやせっぽちの麦くん。クラスの人気者ではないけれど、悩みも寂しさもふたりで分けあうとなぜか笑顔に変わる、彼らは最強の友だちコンビだ。麦くんをくぎ付けにした、大きな目に水色まぶたのサンドイッチ売り場の女の人や、ヘガティーが偶然知ったもうひとりのきょうだい……。互いのあこがれを支えあい、大人への扉をさがす物語の幕が開く。
  • ボクたちはみんな大人になれなかった(新潮文庫)
    3.9
    1巻572円 (税込)
    それは人生でたった一人、ボクが自分より好きになったひとの名前だ。気が付けば親指は友達リクエストを送信していて、90年代の渋谷でふたりぼっち、世界の終わりへのカウントダウンを聴いた日々が甦る。彼女だけがボクのことを認めてくれた。本当に大好きだった。過去と現在をSNSがつなぐ、切なさ新時代の大人泣きラブ・ストーリー。あいみょん、相澤いくえによるエッセイ&漫画を収録。
  • とっておきのおやつ。 5つのおやつアンソロジー
    3.8
    「レンタルフレンド」を依頼した女子大生は、なぜデザートブッフェに行きたいのか、神社のキツネに運命の恋をした少女とたい焼き、年の差姉妹をつなぐ秘密とフレンチトースト、御曹司ふたりが作るプリンアラモード、見知らぬおじさんに「あんみつを一緒に食べてくれないか」と頼まれた俺。――甘くて可愛いだけじゃない、どこかスパイスの効いたおいしい話。全五編! 【目次】レンタルフレンド デザートブッフェ(青木祐子)/たぬきとキツネと恋のたい焼き たい焼き(阿部暁子)/明日のおもひでフレンチトースト フレンチトースト(久賀理世)/悪友(とも)と誓いのアラモード プリンアラモード(小湊悠貴)/おじさんと俺 あんみつ(椹野道流)
  • 聖母
    4.2
    東京都藍出市で、幼稚園児の遺体が発見された。被害者は死後に性的暴行を加えられていた。事件のニュースを見た主婦・保奈美は、大切なひとり娘も狙われるのでは、と恐怖を覚える。警察は懸命に捜査を続けるが、犯人は一向に捕まらない。娘を守るため、母がとった行動とは。結末を知った時、世界は一変する。驚愕の長編サスペンス・ミステリー!
  • 金曜のバカ
    4.0
    天然女子高生と気弱なストーカーが繰り返す、週に一度の奇天烈な逢瀬の行き着く先は――?(「金曜のバカ」)バカバカしいほど純粋なヤツらが繰り広げる妄想と葛藤! ちょっと変でかわいい短編小説集。
  • 質屋の女房(新潮文庫)
    3.7
    哀しい、無器用な劣等生は、社会にうまく適応してゆく人々の、虚偽を見抜く力をもつ……。先天的に、世間に対する劣弱意識に悩まされた著者は、いたずらに自負もせず、卑下もしない、明晰な自己限定力をもって、巧まざるユーモアのにじむ新鮮な文章で、独自の世界をひらいた。表題作ほか、処女作『ガラスの靴』、芥川賞受賞作『陰気な愉しみ』『悪い仲間』など、全10編を収録する。
  • 奇奇奇譚編集部 ホラー作家はおばけが怖い
    3.4
    1~3巻572~792円 (税込)
    新人ホラー作家の熊野惣介は、毒舌担当編集者・善知鳥と小説のネタ探しのため心霊スポットを巡るなかで、奇妙な音を出す霊と遭遇し――。霊の見える作家と見えない編集者が「究極のホラー小説」を目指す!
  • フリー!
    4.0
    緑川千春は食品メーカーの子会社の広告代理店に働く37歳。仕事や恋愛に心をすり減らされる日々に、疲れはもう限界だ。かつての恋人が教えてくれた、千春のとっておきの癒し場所、日本酒バー『drop』。お店で出会った人々との交流の中で、千春は新しい道を探し、進んでいく。『残花繚乱』、小説版『嘘を愛する女』で話題の著者による、自活する女性の苦悩、決断、努力……それに伴う内面の葛藤を丹念に掬いとった長編小説。
  • 神戸電鉄殺人事件(新潮文庫)
    5.0
    神戸異人館のプールで、横浜にいたはずの若手人気女優と京都の会社社長の死体が発見された。彼女の死後、何かを探すために六本木の超高層マンションの彼女の部屋を訪れた、まるで共通点のない五人の男女。そのうちの二人が、カンボジア、東京駅で殺された。そして、有馬温泉駅発の神戸電鉄の車内でも、男女が殺害される! 十津川警部が大胆不敵な連続殺人に挑む、長編トラベルミステリー。
  • 我が家のヒミツ
    4.1
    結婚して数年。自分たちには子どもができないようだと気づいた歯科受付の敦美。ある日、勤務先に憧れの人が来院し…(「虫歯とピアニスト」)。ずっと競い合っていた同期のライバル。53歳で彼との昇進レースに敗れ、人生を見つめ直し…(「正雄の秋」)。16歳の誕生日を機に、アンナは実の父親に会いに行くが…(「アンナの十二月」)。など、全6編を収録。読後に心が晴れわたる家族小説。
  • 津軽
    4.2
    1巻572円 (税込)
    昭和19年、風土記の執筆を依頼された太宰は三週間にわたって津軽半島を一周した。自己を見つめ、宿命の生地への思いを素直に綴り上げた紀行文であり、著者最高傑作とも言われる感動の一冊。 ※本書は、角川文庫旧版(一九九せ年六月二十五日改版初版)を底本とし、筑摩書房『太宰治全集』(一九九せ)ほかを参照して、一部原文表記に改めました。 (C)KAMAWANU CO.,LTD.All Rights Reserved
  • ドクムシ
    3.0
    7人の男女が目覚めたのは、封鎖された廃校だった。そこにあるのは7日間をカウントダウンする電光掲示板と土鍋、そして肉切り包丁。7日間生き残れば全員解放されるのか? それとも最後の一人になるまで終わらないのか……蠱毒とは、器の中に毒虫を入れて食い合いをさせる呪術の儀式のこと。2016年4月に映画化もした。
  • 最後の晩ごはん かけだし俳優とピザトースト
    3.8
    兵庫県芦屋市。夜から朝まで営業の定食屋「ばんめし屋」で働く元俳優の海里は、後輩の役者、李英に頼まれて芝居の読み合わせに付き合うことに。ところが練習場所に「名も無き役者の幽霊」が現れて……!?
  • おおかみこどもの雨と雪
    4.1
    1巻572円 (税込)
    「好きになった人が、おおかみおとこだった。」大学生の花(はな)は、彼と出会ってすぐに恋に落ちた。いつも襟の伸びた同じTシャツを着ていた彼は無口だけどとても優しい人だった。彼がおおかみおとこだと知ったときも、驚きも自然に受け入れることが出来たのが自分でも不思議だった。彼はおおかみと人との間に生まれ、その血を受け継ぐ最後の存在だった。やがて、花は妊娠する。そして彼との悲しい別れ――。一人になった花はおおかみの血を継ぐ二人の子供、雪と雨を独りで育てることに……。
  • 文学の淵を渡る(新潮文庫)
    3.7
    聖なるものと優れた小説がともにもつ、明快にして難解な言葉の有り様を語り、鴎外から中上健次まで百年間の名作小説を、実作者の眼で再検証する。また、外国詩を読み、翻訳する喜びを確認し合う傍らで、自らの表現を更新するたび「+(プラス)1」を切望する、創作時の想いを明かす。日本文学の最前線を半世紀を超えて走り続けた小説家が、それぞれの晩年性(レイトネス)から文学の過去と未来を遠望する対談集。
  • 焼肉ドラゴン
    4.0
    1巻572円 (税込)
    万国博覧会が催された1970(昭和45)年。高度経済成長に浮かれる時代の片隅。 関西の地方都市の一角で、ちいさな焼肉店「焼肉ドラゴン」を営む亭主・龍吉と妻・英順は、静花、梨花、美花の三姉妹と一人息子・時生の6人暮らし。 失くした故郷、戦争で奪われた左腕。つらい過去は決して消えないけれど、“たとえ昨日がどんなでも、明日はきっとえぇ日になる”それが龍吉のいつもの口癖だった。 そして店の中は、静花の幼馴染・哲男など騒がしい常連客たちでいつも賑わい、ささいなことで、泣いたり笑ったり--。 そんな何が起きても強い絆で結ばれた「焼肉ドラゴン」にも、次第に時代の波が押し寄せてくるのだった--。伝説の舞台を演出家自ら映画化&小説化!
  • くちびる遊び(新潮文庫)
    3.6
    「女の匂いをさせては、獣が来ます」山奥の宿坊。妖艶な僧が、手で舌で、私の体を清めていく――(「女禁高野」) 妻よ、俺の顔に跨(またが)ってくれ。潤みに塗(まみ)れたその尻で、潰してくれ(「悦楽椅子」) 先生は、私の髪で先をくすぐられるのが、たまらなく好きでしょう?(「みだら髪」) 狂おしいほどに疼(うず)き、したたり、吐息が漏れる。団鬼六賞作家が男と女の心の秘部を押しひらく、欲情短編集。
  • 今夜、2つのテレフォンの前。
    4.0
    幼馴染みの想史に片思いの女子高生・志奈子。別の高校に通うようになってから、想史は口をきいてくれなくなってしまい、不安を募らせている。そして志奈子は、毎晩想史とは違う大人の男――顔も知らない高校教師――と電話をしていた。一方、志奈子と電話をしている高校教師の直江は、初恋の女性の結婚が決まったと聞き、焦っていて? 時空を超えた「片想い」物語!
  • 電車道(新潮文庫)
    4.0
    ある男は家族を捨て洞窟に棲み着き、やがて小さな塾を始める。またある男は選挙に落選し、雑木林を飛ぶムササビの幻影と恋の傷を抱えたまま、電鉄会社を興す。ふたつの破格の人生が交錯する高台の町を、大震災、敗戦、高度成長と、電車は何代もの人生を乗せて絶え間なく通い、町と世界を変容させる。東京近郊の私鉄沿線の百年の変転に、この国と私たちの人生の姿が立ち現れる魅惑の物語。
  • 我が心の底の光
    3.7
    母は死に、父は人殺し、そんな峰岸晄は暗い少年時代を送っていた。孤独の闇の中で、晄が向かう先は――。八〇年代のこの国に生を享けながら、豊かさとは無縁に飢えて育ち、感情を殺して生きる晄の、心の底に差す光は何なのか? 全編を覆う「無温の世界」。身を震わせるラストの衝撃! 胸を撃ち抜く傑作長編!
  • 売り出された花嫁
    -
    愛人契約の現場を目撃した水畑。女に話を持ちかけていたのはかつての家庭教師だった――一方、愛人契約を結んだ双葉あゆみは奇妙な愛人生活に困惑。女子大生の亜由美は友人たちを救うため、大奮闘!
  • ジーキル博士とハイド氏
    3.8
    医師ジーキルは自ら発明した秘薬によって凶悪な人物ハイドに変身するが、くり返し変身を試みるうちにやがて恐るべき破局が……。人間の二重性を描いたこの作には天性の物語作家スティーヴンスン(一八五〇―九四)の手腕が見事に発揮されており、今も変わることなく世界中で愛読されている。映画化されることに実に七十回という。

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  • メルカトル
    3.2
    生後まもなく、流木に乗って漂っていたところを拾われて以来、十七年間、親兄弟も親戚も友人もなく、 何ごとにおいても自らの感情を封じこめ、慎ましい生活を送ってきたリュス。十七歳で救済院を出て、 ネオ・バロック様式のミロナ地図収集館の受付で働きはじめた。化石のような地図に囲まれて、 静かでつつましい日々を送っていたはずなのに、ある日リュスのもとに、地図製作技師メルカトルなる人物から、 謎の地図が届き、次々と彼のまわりで不可思議な事件が起き始める―― 往年の大女優エルヴィラ・モンド、少女たちのファッション・リーダーであるモデルのルゥルゥ、私立学校の意地悪なボンボン、 黒猫のガスパール…個性豊かな面々が、リュスの変わりばえのしない毎日にさざなみを起こし・・・・・・ かじかんだ心がじんわりほどける、とびきりロマンチックなボーイ・ミーツ・ガール!
  • 父と子の旅路
    4.1
    青年弁護士・祐介のもとに難題がまわってきた。その難題とは、自分の両親を惨殺した死刑囚の再審を担当して欲しいという酷い依頼だった。悩み苦しんだ末、祐介はひとつの結論をだした・・・。法廷ミステリーの第一人者が新境地を拓いた意欲作の文庫化!! ※TVドラマ『家族の旅路 家族を殺された男と殺した男』(フジテレビ系全国ネット「オトナの土ドラ」枠/東海テレビ開局60周年記念作品/2018年2月~/全8話予定)の原作本です。本作を原作としたドラマは、滝沢秀明・遠藤憲一・谷村美月など豪華キャストの熱演が話題の心揺さぶられる作品。原作と共に必見です!
  • 老老戦記(新潮文庫)
    4.0
    グループホームの老人たちがクイズ大会に参加した。珍解答を期待する主催者を手玉に取る面々。覚醒した彼らは海外旅行に出かけ、合コンに妖しく浮き立つ。一方、世間では団塊アゲイン党なる政党が勃興した。同世代の反体制派が闘争を開始、社会に衝撃が走る。これは悪夢か、現実か。日本を守らんと義勇軍を結成したのは……。超高齢社会日本を諷刺するハードコア老人小説。『朦朧戦記』改題。

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