小説 - メディアワークス文庫作品一覧

  • 三輪ケイトの秘密の暗号表
    3.0
    三輪ケイト。誰もが振りむくほどの奇蹟的な美しさをもちながら、人見知りでまともに人の顔も見られない女の子。そんな彼女は「暗号」を目の前にした時にだけ、その瞳に類まれな知性の輝きを宿らせる――暗号中毒者だった。名映画監督が残した書籍暗号、ストーカーの残した謎めいたメモ、記憶喪失の少女が描く謎の図案、そしてケイトの人生に影を落とす暗号……。「暗号には、それを作った人の強い思いが込められている」ケイトの前に現れる様々な暗号と、その裏に隠された人生の物語とは――これは、暗号に託された人の思いを解読する物語。
  • ゴーストフィルム ~古森先輩の、心霊動画でも撮りに行きませんか?~
    3.0
    妹の部屋に居候中の伊佐屋古森。ニートで怠け癖のある彼は、心霊スポットで動画を撮影し、サイトにUPしての小遣い稼ぎを思いつく。古森の背を押したのは、後輩の大学生羽利田和希。生真面目な彼は、高校時代世話になった古森を放っておけなかったのだ。そんなこんなで男二人、心霊スポットを訪れる。霊を信じていない二人だが、撮影した動画に映っていたのは……。「古森先輩、これマジでヤバくないですか」「大丈夫だろ。俺ニートだし。失うモノないし」「ってそうじゃなくて、本物の幽霊ですよ!」古森先輩と羽利田後輩による、ゆるコワ動画撮影日誌。
  • 下宿屋シェフのふるさとごはん
    3.5
    小洒落たフレンチレストランで働く若手シェフ・龍之介は、祖母が営んでいた大阪の下宿屋「ひばり荘」で大家をすることになる。なぜ俺が……と愚痴を言いながらも、本場フランスで磨いた自慢の腕を存分にふるって下宿の大学生相手に豪華な食事を提供するが、「よくわからん」「食べた気がしない」と散々な評価を下される。プライドを傷つけられた龍之介は、なんとか彼らに「うまい!」と言わせようと、ひとり頭を悩ませるのだが――。家庭でも簡単に作れる美味なる「ふるさとごはん」(レシピ付)を堪能してください!
  • 神さまは五線譜の隙間に
    4.1
    念願かなって町の小さな調律事務所に就職が決まった幹太は、業界内で「エスピー調律師」と揶揄される時子の助手として働くことに。シンプルな黒スーツに鋭い目つき、無愛想な態度――時子の醸し出すエスピーのような雰囲気に最初は尻込んでいた幹太だが、彼女の天才的な手腕と真摯な仕事ぶりに尊敬の念を抱き始める。依頼人たちが望むさまざまな「音」を作り上げるために奮闘し、ときにピアノと音に隠された謎を解き明かしてゆく時子たち。そして調律が終わり、ピアノに神さまがおりた瞬間、それぞれの依頼人の心に小さな奇跡が訪れる――。
  • 神様もう一度だけ愛してると言わせて
    3.7
    幸せな交際を経て結婚した宗一と瞳。だが入籍当日、宗一は事故により急逝し、瞳を見守るだけの幽霊のような存在となってしまう。瞳が再び幸せ掴むことをひたすら願う宗一だが、瞳は亡き宗一を変わらずに想い続ける。「生前にプレゼントしたものにだけ触れることができる」という事実に気づいた宗一は、それを使って自分の願いを伝えるべく苦心する。交錯する二人の想いの行方は果たして――?
  • 恋する殺人オーディション
    3.3
    大型アイドルユニットのメンバーを集めるためのオーディションに向かった七沢明日菜。しかし彼女が目覚めると、そこは天井や壁を大量のモニターが埋め尽くす密室だった。そして、彼女と同じように状況が分からない少女たちが……。不安におびえる明日菜たち。すると突如、モニターのスイッチが入り、プロデューサーと名乗る男が告げる。「ではオーディションを始めます。選考はネットによる人気投票。合格は5人。そして落選者には死んでいただきます」。はたして謎のプロデューサーの目的とは!? そして明日菜たちの運命は!? 狂気の特番がいま幕を上げる。
  • メンズフロアの王様
    3.0
    何社も落ちてようやく決まった小梅の就職先は、高級デパートの男性向けアパレル店。 店長の翔は容姿端麗にして接客態度も超一流、「メンズフロアの王様」と呼ばれる人物だった。しかし翔の本性は、性格最悪、超ドS。ちょいダサな小梅を、自分の店で働かせたくないらしい。 負けず嫌いな小梅は翔に自分を認めさせるべく、販売員の勉強を始めるが──。 クールな副店長松本、天真爛漫アルバイトの守など、個性豊かな店員たちに見守られ、小梅の社会人生活が始まる。 煌びやかなメンズフロアに放り込まれた地味系女子の奮闘を描く、お仕事ラブコメ!
  • 人生はアイスクリーム
    4.0
    妻と娘を喪ったことで、いつも自殺のことばかり考えている宗太。なにを食べても吐いてしまうため、コーヒーとポカリしか口にしない生活を送っていて、餓死まであとわずか……といったある日、アメリカに住んでいる姉と、その娘が突然、自宅を訪れる。 彼女たちの心配をよそに、精神的に立ち直る気配をまったく見せない宗太だったが、無邪気にはしゃぐ五歳の姪ジルの驚くべき秘密を知ることで、生活が一変する――。 人生は、やがて儚く消えてしまうもの。しかし、そこには、かけがえのない希望が満ちあふれている。
  • 不動産男子のワケあり物件
    3.8
    「不動産屋を見たら、まずは詐欺師だと疑え」 俺はそう断言できる。ウチの社長は平気で客を事故物件とか悪条件の部屋にぶち込もうとする。でも、本当に幸せになれる物件を宛てがうことが俺たちの仕事じゃないのか? お客さんが本当に満足できる物件がほかにもあったかもしれないのに、不動産屋の都合で部屋を押しつけるなんて……。 そんな想いを抱えるものの、自分も身元を偽って面接を受けた研修中の身。就職活動がうまく行かなかったとはいえ、本当にこんな不動産屋に就職して良いのだろうか? 物件探しにも役立つ、不動産業界の裏を描いた青春物語。
  • やくしょのふたり
    3.2
    矢田聡司、社会人3年目。勤めていた会社から急な出向を命じられた不幸な彼は、初日の通勤中、痴漢に間違われたところを美女に助けられる。 彼女の名は鏑木彩佳。感謝する矢田が身の上を明かした瞬間、彼女は不機嫌も露わに去ってしまう。その理由がわからず困惑する矢田だが、出向先の同僚として不機嫌な美女と運命の再会を果たすことに。 そんな矢田の新しい仕事とは、『消費者省』という商品の安全性を守るために作られた『国の役所』で働くこと。ハードな職場で訳ありクール美女と凸凹コンビを組むことになった彼は、次第に彼女が抱える秘密を知っていくが……。
  • 真白、はじめてのお伊勢参り
    3.0
    おいら、柴犬の真白。 お春ちゃんが重い病にかかってしまった。お医者様に診てもらっても原因がわからないらしい。そんなとき「伊勢という場所に有名な大神宮があって、そこには八百万の神様の中でも一番大きな力をもつ神様がいる。その神様にお願いすると、なんでも叶えてもらえる」って聞いたんだ。 おいら、伊勢に行くよ! そして、お大好きな春ちゃんを元気にしてもらうんだ!! でもさ、伊勢ってどこ? 江戸から伊勢まで約470km。長い長い、そして波瀾万丈の旅が始まる。真白は無事、伊勢に着けるのだろうか?
  • 復讐ゲーム ―リアル人間将棋―
    3.0
    将棋部に所属する南と後藤は、お互いの彼女を連れてダブルデートを重ねるなど、充実した高校生活を謳歌していた。しかし、文化祭の準備で学校に泊まりこりみとなった夜、恐るべき復讐劇に巻き込まれる。  リアル人間将棋――それが復讐のために用意された舞台だった。 取られた駒は死ぬ、という仕掛けのもと、南と後藤は駒となった恋人を守るため、死力を尽くして対局に臨む。 一手一手が生死を分ける、待ったなしの人間将棋の結末は? 戦慄のリアルゲーム×サスペンス・ストーリー!
  • 犯罪者書館アレクサンドリア ~殺人鬼はパピルスの森にいる~
    3.4
    父親が多額の借金を残して死んだ。神田六彦はその肩代わりとして殺されかけるが、突如として現れた夏目と名乗る女によって、彼女の経営する店で働くことを条件に命を救われる。 しかし、そうして足を踏み入れたアレクサンドリアは、殺し屋を始めとする非社会的な人間だけが利用する言わば犯罪者書館。常識も法律も通用しないその店では、シャーロック・ホームズを名乗る殺人鬼によって次々と常連達が消され始めていた。 本好きの悪い奴しかいない。そんな店で神田が出会うのは、名探偵を愛する犯罪者達と、それに纏わる薄暗い物語。
  • いたいのいたいの、とんでゆけ
    4.5
    「私、死んじゃいました。どうしてくれるんですか?」 何もかもに見捨てられて一人きりになった二十二歳の秋、僕は殺人犯になってしまった――はずだった。 僕に殺された少女は、死の瞬間を“先送り”することによって十日間の猶予を得た。彼女はその貴重な十日間を、自分の人生を台無しにした連中への復讐に捧げる決意をする。 「当然あなたにも手伝ってもらいますよ、人殺しさん」 復讐を重ねていく中で、僕たちは知らず知らずのうちに、二人の出会いの裏に隠された真実に近付いていく。それは哀しくも温かい日々の記憶。そしてあの日の「さよなら」。
  • 女神搭載スマートフォンであなたの生活が劇的に変わる!
    -
    人生の崖っぷちに立つ落第生・海江田悠里のスマホに、運命の女神が宿った。彼女の名はフォルトゥーナ。悠久の時をわたり、カエサルや信長、ナポレオンらを導いたという。彼女は、「あやつらに比べると、うぬはショボイのう」と呆れながらも、「これも天帝たるユピテルの意思だ。やむをえまい」と、悠里に神託を告げるのだった。 そんな彼女にムカっとしながらも、フォルトゥーナの言葉に従い、人生の逆転に挑むことになった悠里。はたして彼が見つけるものとは……。 偉人たちの格言とともに綴られる、ファンタジックノベル。これは、笑って読めてタメになる、幸福へのテキスト。
  • 残念ねーちゃんの捜索願い
    4.0
    美人だけど趣味も性格もどうにもオッサン臭い女、利津。彼氏に振られた夜に赤提灯で一人酒。冷酒になめろう、愚痴をわめきながら酔いつぶれ、弟に介抱されて家に帰る。 「……これが実の姉かと思うとかなりフクザツだな」  そうして二日酔いで目覚めた朝、姉の中には本当に「オッサン」が棲んでいた!  姉の身体に触れれば、確かに野太い男性の声がテレパシーのように聞こえてくる。幻覚? 二重人格? それとも悪霊が取り憑いた? その声の正体を調査していく中で、とある殺人事件との関連が見えてくるのだが……。非日常的コメディサスペンス!
  • 汐汲坂のカフェ・ルナール
    3.0
    横浜元町の汐汲坂(しおくみざか)と呼ばれる坂の途中に店を構える喫茶店「カフェ・ルナール」。店名は「狐物語」の主人公・ルナール狐を由来としており、アンティーク調の家具とレトロな雰囲気溢れる店内で美人店長こだわりの美味しい紅茶が飲めると評判のこの店には、一つの不思議な噂があった。 それは、訪れる客の悩みを聞き、謎を解く趣味を持った美人店長が人間ではなく「狐」だという噂──。 菱川春明(ひしかわはるあき)もそんな不思議な店を訪れることになった悩み多き大学生である。伯父の薦めにより春明も自身の悩みを聞いてもらおうとこの店を訪れるのだが……。
  • 依頼は殺しのあとに
    4.0
    勤務中に血を吐いて倒れるまでブラック企業で働いていた青年・南は、退職後、「楽をして生きる」をモットーにして、裏社会の団体から小金をせびって暮らしていた。 ある日、霊感商法の団体から金をせしめてホクホクしていたところを、シマを荒らされ怒っている暴力団に囲まれる。震えながら謝る南だったが、「安心しろ。殺したりはしない。死なない程度に痛いだけだ」と言われ、絶望する。 だが、その窮地を一人の男に救われる。冴えない風貌の彼は、南を勧誘するのだった。 「兄ちゃん、掃除って興味ある? にこにゃんハウスクリーニングで働く気はないか?」
  • 不完全ナックル
    4.0
    空手系暴力女子だった過去を遠い彼方に葬り去り、夢にまで見た文化系女子ポジションを獲得すべく日々奮闘中の女子高生・雅野京歌。 しかしそれなのに、京歌は何の因果か素人ばかりの空手部の創部に付き合わされてしまうことになって……。やる気はあるけど軟弱な部長にカラオケ要員系元気ガール、心優しきヤンキー娘に果ては名参謀としてならした病弱軍人娘まで!? 個性豊かすぎる仲間たちに囲まれた京歌は、あくまでも文化系女子への道を歩み続けるのか、それとも――。ゆるっと本気な青春+部活ストーリー!
  • シャルのご主人さま
    3.0
    わたくしはシャルロッテ。イングリッシュ・コッカーという中型犬で、麻雛市に暮らす来栖川家で飼われています。 わたくしは、来栖川家のみなさまが大好き。中でも、長女の瑠璃子様が一番好きです。栗色の髪の毛も、無邪気な笑顔も、瑠璃子様を構成する全てが愛おしくてなりません。 けれど、瑠璃子様はとってもアホです。もうビックリするくらいアホです。しかしそれでも、わたくしは瑠璃子様が大好きなのです。 そんな愛すべき飼い主・瑠璃子様の物語、聞いていただけますでしょうか――。 犬の視点で描かれる愉快でハートフルなストーリー!
  • 沢木道楽堂怪奇録 はじまりのひとり
    3.7
    ひとりは霊を見る男。名は沢木隼人、なんでも屋 『沢木道楽堂』 を営むダメ人間。もうひとりは霊に好かれる少女。名を矢都雪穂、明るさが取り柄のお節介な女子高生。ふたりの前には、今日も今日とて奇妙でおかしな出来事が……。 公衆電話からの囁き。声を聞いた少女は怪奇と出会う〈囁き〉。腹を引き裂き自殺した妊婦。彼女の身になにが起きたのか? 〈はじまりのひとり〉。脳を持たない霊はいかにして思考するのか。そもそも霊とはなんなのか? 〈霊に魂の不在を説く〉。ベルクの名曲を巡る、ふたりの奏者の物語〈ある天使たちの思い出に〉。以上四編収録。
  • 紳堂助教授の帝都怪異考
    3.5
    時は大正。伝統とモダンが共存する帝都東京。レンガ造りが並ぶ銀座、風情のある花街の神楽坂に、見世物で流行る浅草。 その街を闊歩する青年が一人。若くして帝国大の助教授の肩書を持つ美青年は、博学多才にして超自然的なことにも通じているとか。警察の手に余る事件が彼のもとに持ち込まれることもあるという。 そして、彼の傍らにいるのは助手の美少年。その賢さとまっすぐな心を青年はこよなく愛し、常にそばにおいている。 これは帝都の巷で起こる不可思議な事件を、助手の少年が記録したものである。
  • 探偵・日暮旅人の笑い物
    3.9
    視覚以外の感覚を持たない青年・日暮旅人は、それらと引き替えに、目に見えないモノ──音、臭い、味、感触、温度、重さ、痛みを“視る”ことができる。しかしその能力を酷使すると、旅人の視力は低下していくという。 旅人が気になる保育士の陽子は、旅人からの誘いで彼と共にクリスマスを過ごすことになる。ついに自分の気持ちを伝える決意をする陽子だったが、その時すでに、旅人の目には異変が起きていた──。 クリスマスを軸に探偵事務所メンバーの絆が描かれる『家の灯り』、旅人たちに忍び寄る闇の存在が明らかになる『魔の手』など、全5編を収録。
  • サクラの音がきこえる あるピアニストが遺した、パルティータ第二番ニ短調シャコンヌ
    3.9
    偉大なピアニストだった亡き父を未だに憎む智也に遺されたのは、440HzのAというたったひとつの音を聴きとる絶対音感だった。今は音楽から離れ細々と便利屋を営んでいる彼の元へ、ある日突然野良犬のごとく転がり込んできた英治は、ワケアリの過去を持つ一文無し。そんな彼らの所に、音楽学校首席の女子高生・奏恵からとんでもない依頼が舞い込んだ。 「私を、音楽で感動させてください」 優れた絶対音感を持つ彼女から高飛車に告げられた不可思議な依頼に巻き込まれ、音楽に翻弄される彼らが奏でるそれぞれの“音”物語。
  • 金星で待っている
    4.0
    その日、人類は初めて金星人と遭遇した――。 僕は劇団の稽古場で、入団希望の女の子を面接していた。自らを 「金星人」 だと名乗る彼女は、印象的な瞳を輝かせながら自信たっぷりに言う。「どこからどう見てもそうです」。 弱りながらも、僕は彼女の入団を受け入れた。目の前で演じた即興芝居が抜群にうまかったから。けれど彼女の加入で、僕らの劇団、いや僕らの人生は大きく変わるのだった……。 小さな劇団を舞台に、夢を追いかける個性的な若者たちを鮮烈に描く、甘酸っぱさ満載の青春群像劇。
  • かもめ高校バドミントン部の混乱
    3.8
    初速400キロとも言われるスピードで飛び交う、真っ白なシャトル。目にも止まらぬ小さなそれを打ち合う華麗かつ苛烈なスポーツ――それがバドミントン。 自らの力を信じて、入学した高校でも意気揚々とバドミントン部に入った南太一は、先輩たちとの実力の差に愕然とし、落胆する……。それでもバドミントンを続けていこう。そう決意した太一は、ライバルや先輩たちに、正面からぶつかっていく――。 第17回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉を受賞し、『おちゃらけ王』 でデビューした気鋭・朽葉屋周太郎が贈る、青春ストーリー!
  • 六百六十円の事情
    4.1
    世の中には、いろんな人たちがいる。男と女。彼氏と彼女。親と子供。先生と生徒。そして爺ちゃんや婆ちゃんとか。その中には、「ダメ人間」と「しっかり人間」なんてのも。あるところに、年齢も性別も性格もバラバラな「ダメ」と「しっかり」な男女がいた。それぞれ“事情”を持つ彼らが描く恋愛&人生模様は、ありふれているけど、でも当人たちにとっては大切な出来事ばかりだ。そんな彼らがある日、ひとつの“糸”で結ばれる。とある掲示板に書き込まれた「カツ丼作れますか?」という一言をきっかけに。入間人間が贈る、日常系青春群像ストーリー。
  • 探偵・日暮旅人の失くし物
    3.7
    日暮旅人(ひぐらしたびと)には不思議な力がある。音、匂い、味、感触、温度、重さ、痛み――。これら目に見えないモノを“視る”ことができるのだ。その力を使い、旅人は 『探し物探偵事務所』 を営んでいる。 保育士の山川陽子は、そんな特異体質を持つ旅人のことが気になっていた。もちろん、旅人と共に暮らす、人形のように美しい彼の娘・百代灯衣(ももしろてい)のことも。陽子は二人の生活をサポートしようと、探偵事務所に通う日々を過ごしていた。そんなある日、旅人のもとにある料理の“隠し味”を探してほしいという依頼が舞い込み―― ? 『愛』 を探す探偵・日暮旅人の物語、シリーズ第2巻登場。
  • おかえりの神様
    3.9
    就職を機にひとりぼっちで上京した神谷千尋だが、その心は今にも折れそうだった。些細な不幸が積もり積もって、色々なことが空回り。誰かに相談したくても、今は深夜。周りを見回しても知り合いどころか人っこひとりもいない。……でも狸ならいた。寂しさのあまり連れ帰ってしまったその狸、なんと人の言葉を喋りだし、おまけに自分は神様だと言い出して……?? 『お嬢、いかがした? 何事かとそれがしに聞いて欲しそうな顔でござるな』 こうして一日の出来事を神様に聞かせる日課が誕生した。“なんでも話せる相手がいる”、その温かさをあなたにお届けいたします。
  • 絶対城先輩の妖怪学講座
    3.7
    妖怪に関する膨大な資料を蒐集する、長身色白、端正な顔立ちだがやせぎすの青年、絶対城阿頼耶。白のワイシャツに黒のネクタイ、黒の羽織をマントのように被る彼の元には、怪奇現象に悩む人々からの相談が後を絶たない。 季節は春、新入生で賑わうキャンパス。絶対城が根城にしている東勢大学文学部四号館四階、四十四番資料室を訪れる新入生の姿があった。彼女の名前は湯ノ山礼音。原因不明の怪奇現象に悩まされており、資料室の扉を叩いたのだ――。 四十四番資料室の妖怪博士・絶対城が紐解く伝奇ミステリ登場!
  • 成巌寺せんねん食堂 おいしい料理と食えないお坊さん
    3.8
    長年勤めた小さな会社を退職した千束。部屋の掃除をすませ、鼻歌を歌いながら料理でも作ろうと考えていたとき、スマホが鳴った。  実家の父から、祖父が倒れたと聞き、慌てて北陸の実家に戻る。そこは名刹・成巌寺の仲見世で、三百年以上続く精進料理屋「せんねん食堂」。  寺と食堂を巡る騒動に巻き込まれた千束は、イケメン僧侶となった幼馴染み、清道&隆道兄弟と再会する――。  人気シリーズ『ちどり亭にようこそ』の十三湊による愉快痛快な新作、登場!
  • 放課後、君は優しい嘘をつく。
    -
    3年前の飛行機事故により両親を亡くし、また自身の足も不自由になったことで、すっかり心を閉ざしてしまった美しい少年・古賀春一。  全てを拒絶しながら引きこもる彼のもとに、突如現れたのはクラス委員を名乗る、同級生の彩楓だった。  その日から週に2日、古賀家に訪れるようになった彩楓は春一に拒まれながらも、懸命に歩み寄っていき――。  運命が巡り合わせた2人の男女。その真実が解き明かされたとき、涙がとまらない。愛と感動の物語。
  • 七月のテロメアが尽きるまで
    4.3
    人付き合いを避け生きてきた高校生の内村秀は、ある日クラスメイトの飯山直佳が落としたUSBメモリを拾う。その中身、「遺書」を見てしまったことから、奇妙な交流は始まった。やがて秀は直佳が進行性の記憶障害を患い、自殺を願っていることを知り……。 「君が死ぬときは、僕も死ぬ。それが嫌なら君は生き続けろ」 「……内村くん、すごく馬鹿なこと言ってる自覚は?」 約束に隠された本当の想いを知った時、きっと最初からページをめくりたくなる。切なく美しい物語。
  • いつかきみに七月の雪を見せてあげる
    -
    いつかきみに、七月の雪を見せてあげる。あの日、彼女は青く光る海を見ながら、僕にそう約束してくれた――。あの人を、死なせたくなかった。だからわたしは『願い』をかけることにした。たとえそのために、何を代償にしようとも。『願い』を遺した彼女とそれを探す僕。死別した彼女の想い出を辿り、三年ぶりに鎌倉に帰郷した僕は、七月の雪に託された、彼女の『願い』の奇跡と巡り遭うことになる――。
  • 花霞紅莉の怪異調書シリーズ 僕の瞳に映る僕
    3.0
    世にニ十冊しか存在しない奇書『眼球蠱聞(がんきゅうこぶん)』。その物語をなぞるかのように、博多区連続通り魔事件が発生する。捜査官の花霞紅莉(はながすみ あかり)は、見た目は小柄な新人刑事ながら、他人の仕草から嘘を見抜く能力があった。コンビを組む、切れ者ながら昼行灯の捌津茅晋助(はつがや しんすけ)と容疑者である高校生の自宅を訪れると、事件の鍵を握ると思われる『眼球蠱聞』と大量の人形を発見する。事件の真相に迫る二人は、日本庭園「仙願亭(せんがんてい)」に潜む、人形に纏わる怪異に蝕まれて行き……。
  • ひとり旅の神様
    3.6
    神崎結子・OL。ひとり暮らし、彼氏なし。とにかくとことんついてない。上司からは小言の連続、後輩はいまいち頼りない。そんな日常からの逃避行でたどり着いたのは、都心からは遠くて近い、鎌倉駅。そこで結子は、言葉を話す不思議な猫・ニャン太と出会う。自分を“旅を司る神”と名乗るその猫から頼まれたのは、日本の各地に住まう猫神様に文を届けること。どこか懐かしい土地へのひとり旅は、新たな発見の連続で――。日本の景色と食を巡る、心に優しいひとり旅の物語。
  • 奈良町ひとり陰陽師
    3.6
    古都・奈良にあって、歴史的な趣きを残した町家が立ち並ぶ「奈良町」。奈良町の一角にある「くすば菓子店」の息子・楠葉シノブは、奈良ではもう最後となる、由緒正しい陰陽師だった。シノブが取り仕切るのは、奈良で起こる不思議の一切。祭りの夜を待つ青衣の女人、ご機嫌ななめな女神様、走る大黒様まであらわれる奈良町で、猫又の墨香や幼馴染のゆかりに見守られながら、シノブは今日も不思議を解きほぐす――歴史薫る古都から贈る、優しいあやかしファンタジー。
  • 時をめぐる少女
    3.5
    並木道の奥にある小さな広場では、未来や過去の自分に逢えるらしい――。その日、九歳の葉子の前に現れたのは、恋人と婚約したばかりだという将来の自分自身で……。母親との衝突、繰り返す転校、上手くいかない就活、そして不安が押し寄せる結婚。いつも悩んで涙をこぼしてばかり。だけど、そうしてめぐっていく時間の先に、「私」は幸せを手に入れたのだろうか? それぞれの時代、五月の憂鬱な一日。過去と未来が入り交じるこの特別な場所で、私はいつかの私と向かい合う。
  • 兼業作家、八乙女累は充実している
    3.5
    突然の婚約破棄に昇進取り消し。完璧な人生を送っていたはずの大手通信会社営業職、八乙女累は人生のどん底に沈んでいた。そんな彼女にまさかの小説新人賞受賞の吉報が! 夢の作家生活がスタート!? と思いきや、待ち受けていたのはイケメン鬼編集の手厳しいダメ出しに山積みの本業タスク、そして容赦なく迫り来る締切だった! 覆面ベストセラー作家、索太郎の助言ももらいながら、どうにかOLと作家業の両立を目指す累だったが!? 兼業作家の泣き笑いを描く業界お仕事小説!
  • 一年前の君に、一年後の君と。
    4.0
    大切な彼女を事故で亡くし、絶望する臨床心理士の浅賀。ある日、彼のもとに「一年後の君と」という件名で紅葉の写真付きメールが届くが、それは一年前の日付からだった。もしかしたら……と考える浅賀だが、メールの差出人は「ark(アルケー)」と名乗る入院中の女子高生で、過去を変えることは不可能だった。そんな見知らぬ少女と不思議なやりとりをすることになった浅賀だが、彼女の明るさで傷ついた心が少しずつ癒されていく。だが、ある日、真実を知る日がやってきて……。
  • 舞王 -MAIOH-
    3.0
    紅の衣を纏い、少年は未来を拓く。室町初期。将軍臨席のもと、大観衆を集めて行われた華やかな田楽興行で、見物の桟敷が崩れ落ち、数百人が死傷する惨事が起きる。戦災孤児の少年・犬弥はどさくさにまぎれ、死んだ舞い手・花夜叉の遺骸から美しい紅の衣を奪い取るが、そこから思いもかけなかった運命が開けてゆく。後世、天女舞の名手として世阿弥や足利義満に絶賛され、観阿弥とともに初期能楽に一時代を築いた犬王太夫の、傷つき、悩みながらも懸命に自分の生きる道を見い出そうとする波乱の少年時代を描く。
  • 廻る素敵な隣人。
    -
    「ありがとうね、ヒーローくん」 幼い頃に助けた女の子が忘れられずヒーローに憧れる、わかりやすい男・金森将輔。でも、大人になった彼の現実は回転寿司店「まんぷく」で働くダメな副店長だった。横暴な店長にビビり、毎日毎日仕事漬けの社畜サラリーマン。ある日、そんな彼が部下のミスで謝罪に向かった先はアパートのお隣さん!? 「ほんまにありがとうね、金森さん」 素敵な隣人と知り合った将輔は「また誰かのヒーローになれるかもしれない」とダメな自分を変えようとするが……。わかりやすくて不器用な男の純情すぎる逆転劇が始まる。
  • 八月の終わりは、きっと世界の終わりに似ている。
    4.1
    本当に好きだった。こんなにも人を好きになることは、この先一生ないだろうとさえ思った。言葉や仕草の一つ一つ、ちょっとした表情の変化、笑い声、髪から香る石鹸のにおい……思い出すと息が苦しくなる。まるで肺の中に、炭酸でも入っているみたいに。――透子。高校二年の夏。心臓の病が原因でなくなった彼女のことを、未だ引きずっていた成吾。あれから四年。交換日記の空白に綴られていく新しい返事。それは見間違えようもなく、透子の文字だった。
  • タイムカプセル浪漫紀行
    4.0
    「探しに行こうよ、タイムカプセル!」考古学者である父の「遺跡ねつ造」事件で、同じ考古学者となる夢を砕かれた青年・英一。失意の日々を過ごす彼の前に現れたのは、10年前に亡くなった幼馴染の少女・明日香だった。驚く英一をよそに、明日香は10年前と同じ屈託のない笑顔で話しかけてくる。彼女は幽霊なのか。それともよく似た他人なのか。困惑しつつも英一は、明日香と共に「タイムカプセル探し」の旅に出るが――。
  • こちらの荷物、どうしますか? ~アオバト引っ越しセンター~
    3.0
    武田光星が働く、アオバト引っ越しセンターには、緊急・深夜の引っ越しにも対応するサービスがある。今夜もアオバトのもとに仕事が舞い込んだ。若い夫婦、ワケありカップル、やる気のない大学生、険悪な親子――それまでの思い出と共に、住んでいた場所を出て行く依頼者たち。普通は本人たち以外が知ることのない空間で、思い出(荷物)を運び出すのがお仕事。そんな、真夜中の引っ越し屋さんが見つけたのは――。“人”と“モノ”を巡る、ほっこり優しい物語。
  • 京都骨董ふしぎ夜話
    3.6
    京都祇園の路地裏にたたずむ「桃枝骨董店」。三代目店主未之助と弟子兼使用人の天草がいるこの店には、骨董品はもちろん、時には不用品や盗品といったものまで――、毎日不思議な“ご縁”が品物とともに舞い込んでくる。 京都に春が訪れたある日。大学進学のため、全寮制の高校を卒業した孫娘・光が7年ぶりに帰ってくる。と同時に、馴染みの刑事からある品物の問い合わせが入る。聞けば、事件がらみのいわく品で……。 百鬼夜行の気配ただよう町並に、人と物と人情が紡ぎだす、ちょっぴり不思議であったかいライトミステリ。
  • INNOCENT DESPERADO
    3.9
    好きな人が好きな人を、強がりではなく好きになれたら良い――。家族の不和、消失する未来、そして叶わない恋。青春時代に翻弄される四人の少年少女は、かけがえのない存在を守るために、日常からの『家出』を決意するのだが……。舞台化もされた傑作恋愛小説『蒼空時雨』より遡ること10年。高校生だった紀橋朱利は、友人との逃避行の果てに何を見出し、何を失ってしまうのか。トイズファクトリーからデビューしたアーティスト・秋赤音とメディアワークス文庫作家・綾崎隼が紡ぎ出す。ロックで彩られたセンチメンタル・ラヴ・ストーリー。
  • 幸せの青い贈りもの
    3.7
    ──この箱からは、人生を変える何かが出てきます。海沿いの街で将来の進路を悩む真由。海は広がっていてどこにでも繋がっているのに、自分は一生この街から出られないのか……。そんな想いを抱える中、見つけたのは不思議な文字が書かれていた箱。そこから出てきたのは、ガラス作家が作った、海が閉じ込められたペンダントだった。手作りの一点ものには作り手の想いが込められる。学生運動時代に手にした青い薔薇のハンカチーフ、太平洋戦争開戦直前、恋い焦がれた女性への最後の贈りもの……。これは、時代を越えて綴られる、繋がる想いを辿っていく物語。
  • お仕事ガール!
    3.0
    がんばり屋なOL・時子は、いつもどこかツイてない。社会人3年目で会社が倒産。二十三社目の面接も手応えなし。彼氏からは放置され気味で、心の拠りどころもない。そんな人生迷子な時子に、人材急募の情報が舞い込んだ。そこは因縁のある大企業、しかも、なぜか受付嬢をすることになって――!? 緊張の初日早々、受付リーダーがまさかの遅刻。さらに顔色の悪い人事課社員、口の悪い鬼上司も絡んで、予想外のトラブルが続出して……。問題だらけの職場で、前途多難なお仕事がスタート!
  • 踊り場姫コンチェルト
    4.0
    全国大会を目指すべく、県立伊佐美高校吹奏楽部に入部した梶浦康規。真面目で正確な演奏しか取りえがない康規が命じられたのは、天才的な音楽の才能を持ちながら、破滅的な指揮を振りつづける問題児「踊り場姫」藤野楡を、まともな指揮者に生まれ変わらせることだった。周囲に関心がなく自分の思う指揮を振る楡には取りつく島もなく、演奏は空回りを続けるばかり。どうすれば、彼女と周囲の歯車とを噛み合わせることができるのか。コンチェルトを奏でることができるのか……。青春の踊り場にいる彼女と僕の、吹奏楽ストーリー。
  • まいごなぼくらの旅ごはん
    3.5
    体を壊して仕事をリタイアした颯太。とある理由から大学を休学中の、食いしん坊女子ひより。 人生迷子な二人は、亡き颯太の父が遺した小さな食堂『風来軒』で出会う。 町の人たちからとても愛されたこの食堂を存続させるため、二人は新たなメニューを探して旅に出る。 父の最期の料理はどこに? 幻の絶品コロッケの材料は? 東京から岩手の盛岡、そして北海道は美しい羊蹄山の麓、真狩村へ。 二人が歩む“おいしい旅”。元気になれるフード&ロードノベル、登場!
  • オーダーは探偵に 謎解きだらけのテーマパーク
    4.0
    「悠貴君、デートしよう!」閉店後の喫茶店エメラルドで、禁断の告白をした美久。対する、ドSな高校生探偵・上倉悠貴の返事は、「あきれて溜息を吐く」――つまり肯定ということで!? 嫌がる悠貴と共に、女子憧れのテーマパーク『ドリームキングダム』にやってきた二人。つい心も身体もウキウキの美久だったが、ここでもやはり、謎解きの薫りが……。パーク内のオバケ騒動、ハロウィンの事件予告、宝石盗難を巡る秘話……そして、美久は謎を解く過程で、悠貴の「秘密」に気づいてしまい……。聖も登場し、波瀾万丈なお出かけミステリー編!
  • 恋するSP 武将系男子の守りかた
    4.0
    要人警護を担う、ド新人SP女子の黒田千奈美。上司の氷川に想いを寄せる彼女は、長身美麗な外見とは裏腹に、中身は恋する乙女だった! そんな千奈美に下った命令とは、現代にタイムスリップしてきた武将たちの警護!? 千奈美が担当することになったのは、軍神と恐れられた、後の上杉謙信こと長尾景虎。時を同じくしてタイムスリップした織田信長、武田晴信と意気投合した景虎は、現代社会に興味を持ち、警護をくぐり抜けて大阪の街へ繰り出すことに! 新人SPの千奈美は、俗世の誘惑から武将たちを守り切れるのか!?
  • アフターライフレストラン ―お客さまは幽霊です―
    -
    ある街の外れ、あまり人が寄りつかない寂れた一角に、そのレストランは建っている。 世界各地のどんな料理もお手ものという天才オーナーシェフ、日辻。お客の料理にも手を出してしまう食いしん坊のウェイトレス、みづき。二人が働くその店は、立地の悪さにもかかわらず、今日も大勢の客で賑わう。美味なる料理に舌鼓を打ちながら、客たちはみな、楽しい顔つきで食事を楽しんでいる。 その店の名は、不老不死を意味する「ELIXIR」――。 これは、腹を空かせた幽霊たちがやってくる、風変わりなレストランの物語。
  • お近くの奇譚 ~カタリベと、現代民話と謎解き茶話会~
    3.5
    「──ねえ、こんな話を知ってる?」 この町では、古風な黒電話がそこかしこに置かれている。そんな黒電話の向こうには、『カタリベ』と呼ばれる黒いフードを被った謎の人物がいた。 噂話の怪異。 それが『本当のこと』になるこの町で、『カタリベ』の黒い糸に導かれた少年と少女は、今日も奇妙な謎解きに挑む。 それは、『噂の語り替え』のために開かれる、すこし不思議なお茶会。 郷土を愛する皆様、この噂話を紐解くときは、お茶請けに甘いものをお忘れなく。
  • ココロ・ドリップ ~自由が丘、カフェ六分儀で会いましょう~
    3.9
    そのカフェには、一風変わった飾り棚がある。 ここに並ぶ“贈り物”は誰のものでもないし、誰のものでもある。なにか気に入った物があれば持ち帰ることができるが、条件がひとつだけ。 “贈り物”を受け取った人間は、それと同じくらい価値のある物を、別の誰かへの“贈り物”として、飾り棚に残さなければならない。 このカフェは待合室なのだ。“贈り物”は人との出会いを待ち、人は“贈り物”との出会いを待つ。そしてときには“贈り物”が人と人とを繋ぐ。 香味豊かな一杯の珈琲のように、あなたに幸せなひとときをお届けする物語。
  • スマッシュエース!
    3.5
    わずかな油断や予想外のアクシデントなど、さまざまな理由で人は挫折を経験する。そんなとき、誰しも「もうおしまいだ」と、心が折れそうになるだろう。けれど、どんなときにも必ず光明はある。希望を捨てなければ――。 この物語の主人公は、いずれは日本を代表するバドミントン選手になると将来を嘱望された少年。しかし彼は、ある事故によって、スポーツ選手として致命的なケガを負ってしまう。誰もが絶望する中、彼自身は諦めなかった。 少年は奇跡を追って、再び走り出す。もう一度、空高く翔ぶために。
  • エキナカには神様がいる
    3.9
    知っているだろうか? 一日に数十万の人が利用している、東京の某ターミナル駅には「神様がいる」という噂がある。その神様はいつも、優しい目で私たちを見守ってくれている。 理不尽な上司の元で激務をこなし、疲労困憊の会社員。金を無心してくる元彼につきまとわれて悩んでいる女性。一人ぼっちでエキナカを寂しげに徘徊する小学生。記憶を失って行き場のない老女……。そんな彼らを、「エキナカの神様」は決して見放さない。
  • 隣人の死体は、何曜日に捨てればいいですか?
    3.3
    凶悪事件が後を絶たない状況を受け、日本政府が新たな法律を施行した。5人組――それは隣近所の5世帯が、犯した罪に連帯して処されるというもの。そんな中、5人組の班長に任命された来栖克明の隣に住む、真鍋老人が殺された。しかも、殺したのは同じ5人組の正体不明の人物。井辻という男らしく……。このままでは、ほかの5人組のメンバー全員が殺人罪に問われてしまう……。  ごく普通の平凡な生活から一変、ここから狂気の日々が始まった。近所を徘徊する不審者、来栖の娘に忍び寄るストーカーの影、謎が事件を呼ぶ、猟奇ミステリー。
  • そして、君のいない九月がくる
    3.9
    その夏、恵太が死んだ。 幼いころからずっと恵太と一緒に育った美穂と、仲良しグループだった大輝、舜、莉乃たちは、ショックから立ち直れないまま呆然とした夏休みを送っていた。 そんなある日、美穂たちの前に現れたのは、死んだ恵太に瓜二つの少年、ケイ。 「君たちに頼みがある。僕が死んだ場所まで来てほしい」 戸惑いながらも、美穂たちは恵太の足跡を辿る旅に出る。 旅の中でそれぞれが吐き出す恵太への秘めた想い。嘘。嫉妬。後悔。恋心。そして旅の終わりに待つ、意外な結末とは――。 隠された想いを巡る、青春ミステリ。
  • 行列のできる不思議な洋食店 ~土曜の夜はバケモノだらけ~
    3.5
    ある土曜の夜のこと。  空腹を満たそうと自宅を出た女子大生の山嶺結は、自宅近くの商店街にひっそりと建つ洋風家庭料理店『すずらん』の前に立っていた。 木製の扉には「会員専用時間帯です」と書かれたサインプレートがかかっている。  うしろからやってきた他の客と話すうち、なし崩し的に彼女は店に足を踏み入れる。  そこで結が目にしたのは、バケモノ――いわゆる怪物、幻獣、妖精などと言われる存在で満席の店内だった……。  あなたも『すずらん』で、愉快なバケモノたちと一緒に、美味しい料理に舌鼓を打ってみるのはどうだろう。
  • おきつねさまのティータイム
    3.7
    心休まる洒落た雰囲気の紅茶専門店マチノワでは、女の姿に化けた狐が紅茶を出してくれるという――。 実は、トウカという名で呼ばれる彼女、紅茶を淹れるのが苦手。客に紅茶をつくるのは、もっぱら尼子拓巳という青年の役割だった。 そんな店を訪れるのは、悩みやトラブルを抱えた客ばかり。お節介焼きのトウカと、そんな彼女に呆れつつもフォローする拓巳。いいコンビに見える二人だが、実は――。 これは、人を騙すことがきわめて下手な狐と、人を騙して生きてきた詐欺師との、嘘と紅茶にまつわる物語である。
  • 逢魔ヶ時あやいと倶楽部 召喚少女の守護人形
    3.2
    雪のように白い肌。黒檀のように黒い髪。血のように赤い唇。その美少女の名は、紫榊銘といった。彼女は、感情が高ぶると、無意識に妖怪を“召喚”してしまう体質であった。制御できない妖怪に狙われる銘。そんな彼女を守るため、『弁慶』と名乗る少年が付き従う。彼の正体は、“社人形”―少年の姿をした対妖怪用呪術戦闘機。銘の日常が、『非日常』に変わる―。これは、不思議な学園異能奇譚。
  • サッポロ無職グラフィティ
    3.0
    真夏の札幌。就活中の万里裕輔は、昔のバイト仲間に誘われて、最近話題の「地下鉄車両に描かれたアート落書き」の清掃バイトに参加することになる。就職面接連敗中の万里と同じく、知り合いたちも相変わらずの無職揃いだった。 そんな万里たちは、清掃責任者からの報酬に目がくらみ、落書き犯を捜すことに。札幌市内を南北、東西に走る二つの地下鉄。それぞれの落書きを調べていくうちに、万里たちは思わぬ真相にたどり着く。 フリーター、就活中の大学生、不良たちから女子高生まで、若者たちが札幌の街を駆け抜ける! 『無職』×『青春』グラフィティ!
  • ぼくたちのなつやすみ 過去と未来と、約束の秘密基地
    3.6
    久しぶりに帰ってきた故郷。思い出すのは、とある事件をきっかけに離ればなれになってしまった子供時代の仲間たち。タケオ、モミジ、ウミ、カイ、そして猫のニャン太。ふと気づくと、僕はなぜか小学三年生のあの時代にやってきていて――。そして再び大事な仲間たちに出会った僕は、あの事件、神社の近くにあった“秘密基地”が焼失してしまった悲しい想い出を阻止するべく動き出す。でも、僕の記憶していたなつやすみの出来事とは少しずつズレたことが起こり始め、ついに事件が起こった日を迎えることになったんだ――。これは、僕が仲間たちと失われた絆を取り戻す物語。
  • ソラの星
    3.2
    いまどきありえない行き倒れの少女を拾った僕。それがソラという不思議な女の子との出会いだった。 この子、初めて会うタイプだ。やけに偉そうな老成した喋り方をするし、とにかくよく食べる。しかも「恐ろしい組織に私は追われている」とまことしやかに言う始末。かわいいのに、残念な子だった。 奔放なソラの行動はとどまらない。何にでも興味を示す彼女の標的となったのは噂の「死を予知する猫」。彼女はこの不思議な現象を解明できると意気込むけど。そう、これがあの恐ろしくも不思議な事件の始まりだったんだ。
  • 優しいサヨナラの遺しかた とある終幕プランナーの業務記録
    3.4
    童話作家の父を亡くした大学生の智永読が、火葬場で出会った謎の美少女・小日向しるし。彼女は、依頼主の希望どおりに人生の最期を演出する“終幕プランナー”だと名乗るのだった。 葬儀屋とも納棺師とも違い、この世を去った依頼主に代わって彼らが遺したかった物を守り、遺したくなかった物を処分するのが仕事だという彼女。その足跡を追って辿り着いたのは小日向人生相談所という怪しげな事務所で……。 とある能力を買われ、そこで働くことになった読。彼は、老若男女様々な依頼主が望んだ十人十色の“サヨナラ”を目の当たりにするのだが――。
  • 便利屋 池福楼KEEPERS
    3.0
    池袋西口から徒歩5分、怪しげなビルの一角。そこには絶対任務遂行を謳い、ワケありの人々が駆け込む謎の便利屋がある──。 久しぶりに池袋にある実家の名門塾“池福楼”に帰省した大学生の凛子。しかし、なぜかそこは怪しい便利屋“池福楼KEEPERS”へと様変わりしていた。塾を継いだはずの兄は不在。店は従業員だという正体不明なイケメン4人組が経営していた。イケメン4人組から実家を取り戻すため、正体を隠して便利屋で働くことにした凛子だが、次々とオカシな依頼が舞い込んできて──!?
  • ネバー×エンド×ロール ~巡る未来の記憶~
    3.6
    この街は壁に囲まれている。 札幌を襲った天災から十六年、復興という名の再開発事業のせいで、街は高い壁の中にすっぽり収まっていた。 風変わりなその街で育った十五歳の少年・駆は外の世界への憧れを抑えきれずにいた。怖いもの知らずの彼は、街一番の秀才・勇夢と幼なじみの夏月を巻き込み、無謀すぎる脱出作戦を立てるのだが……。 そんな夏の日、放課後の屋上に“過去へ駆ける少女”が落っこちてきて―― !? 悩める彼らの運命が動き始める! 一人の少女が巡る三つの暦。 高い壁に秘められた小さな星のナゾを紐解く、青春ロスタイムストーリー。
  • 推定未来 ―白きサイネリアの福音―
    3.3
    決められた未来はない──だが、予測できる未来はある。どんな瑣末なデータからも予測した犯罪を未然に防ぐという警視庁の眉唾部署・捜査一課犯罪未然防止対策係──通称「ミゼン」に転属となってしまった巡査部長の君島透。 ミゼンのことを胡散臭いと疑う彼だったが、そんな男をスカウトしたのは「人の不幸を呼ぶ女」と噂されながらも、犯罪防止を信じて疑わない若き美人係長・如月美姫だった。困惑しながらも如月の下で事件を追う君島だったが、やがてある真実へと辿り着く……。 果たして、二人が出会ったのは予測可能な未来だったのか、それとも──。
  • わけありの方、歓迎します。 斎藤さん家の五ツ星アパート
    3.8
    「入居者募集中 ご相談は斎藤家(大家)まで ※わけありの方も大歓迎です」という貼り紙のある、少々年季の入った〈斎藤ハイツ〉。一階と二階に二部屋ずつしかないこの小さなアパートには、変わった住人たちがひっそりと暮らしている。 近くにあるマンションを見張っている、犬連れの老人。漫才の練習に明け暮れている怪しげな二人組。押入れの奥に三千万円を隠している若者。一緒に暮らす少年に人の殺し方を教えている殺し屋……。 彼らは教えてくれる。 生きていくのは難しく、苦しいことばかり。けれど、人生は捨てたもんじゃない。
  • 謎、買い取ります。 質屋「六文屋」の訳アリな訪問客
    3.0
    紅茶の香り漂う老舗質店「六文屋」を訪れるのは、なぜだか訳アリなお客さんばかり。 悩める人々を迎え入れる店主・片倉十士は、質入れ品に隠された微かな意図“サイン”を発見するのが趣味なのです。普段は訪問客に紅茶を振る舞う店員の少女に振り回されてばかりなのですが……。 店主の華麗な目利きと少女のテキトー推理で、質入れ品の甘くほろ苦い過去に迫る──。 「結婚するか別れるかの瀬戸際彼氏にもらったポストカード」 「天国の妻が残した黄色い浴衣」 「海外に逃亡してしまった憧れの先輩に渡された一圓銀貨」 ── そこに潜む謎、買い取ります。
  • 海の上の博物館
    3.2
    瀬戸内海に浮かぶ小さな島に建つ、茅埜辺市立博物館。遠くから見る光景は、まるでキラキラと輝く海に浮かんでいるかのよう。美しい自然に囲まれたその博物館では、個性豊かな学芸員たちが日々、懸命(?)に働いている。 いつも釣りばかりしている高垣館長、熊のような体格で無口な青年・秋吉、ニコニコしていて人当たりはいいが、ひ弱さ全開の桐谷……。 そんな人々に囲まれ、臨時職員として働きはじめたばかりの新人女子・若菜は、悪戦苦闘しながら成長していく。 憧れていた「博物館の学芸員」って、けっこう大変な仕事なんだなぁ~~~!
  • 妄想ジョナさん。
    3.9
    これは、自らの妄想と現実の区別がつかない大学生 『僕』 の物語だ。大学一年生の春、恋する僕は確かに幸せだった。憧れの人が、自分の妄想の産物だと気付くまでは。大学二年の秋、傷心から立ち直れない僕の前にひとりの女性が現れる。その名はジョナさん。彼女もまた僕の妄想の産物だ。驚いたことに彼女は、僕を妄想から解放すると宣言した。 自らの妄想に導かれ、壮大な脱妄想計画が幕を開ける! 大学キャンパスがロンドンに変じ、ラブホテルが魔王の城と化す、妄想にまみれた東京多摩市で展開する、騒々しくも切なく、悲しくも情けない恋の物語。
  • 思春期テレパス
    3.9
    学校で話題になった一つの噂。「そのサイトに空メール送ると、友達の“本音”を教えてくれるんだって」 秀才の大地、お調子者の学、そしてさばさば女子の翼は、帰宅部3人組。自然と集まってダラダラ時間を過ごす、心地良い距離感の友達だった。 だけど、夏祭りの夜――。 ふざけて登録した例のサイトから、一通のメールが届く。それは、翼の恋の本音――。 その気持ちを知った時から、彼らの距離は変わっていく。大人でも子供でもない時間、思春期というネバーランドは、もう彼らを待ってはくれないのだ。苦くて切なくて、でも温かい、高校生達の青春物語。
  • 青春ダストボックス
    -
    男女共学化されたばかりの伊呂原高校で、即有名人となった容姿端麗、成績優秀、品行方正な少女・幸乃守マリア。完璧すぎて謎だらけの彼女に、「コンドーム所持による停学」という一大スキャンダルが突如巻き起こる――。 そんな彼女と過去に接点を持つ、4人のクズ男子がいた。 曜日ごとに彼女を取り替えるモテ男の蓮。言い訳ばかりのネクラ人生を送る樹。“神様”の異名をとる元超能力者の仁。誰にもバレずに小さな幸せを運ぶ心優しきストーカーの慶。 合併によりマリアと運命的な再会を果たした彼らの視点で紐解かれる、完璧なんかじゃない1人の少女の物語。
  • 私と彼女と家族ごっこ
    3.5
    ボロアパート「八十陰荘」。 そこは悪食大学教授をはじめ、肉体派和美人や元神童・現人間のクズ、やや色ボケの気のある女性にマッドサイエンティストと《普通》の枠に収まらない変人が揃いに揃った魔窟であった。この度そこに、教え子と駆け落ちした小学校教諭の私と、私が愛するその教え子の二人が加わってさらに混迷を極めることになり――だがその時、不思議な事が起こった。ある日を境に、住人たちは私と少女を自らの『肉親』であると認識し始めてしまったのだ。天涯孤独の私と、家族の愛に飢えていた少女は、その温かい《家族ごっこ》の関係に身を委ねかけるが……。
  • クラス会へようこそ あの頃の想い、取りに帰ろう。
    3.6
    高校を卒業して5年ぶりの同窓会は様々な想いを抱えて参加する者ばかり。泉谷美貴もその一人で、性格が真逆な双子の姉・夕貴に扮装し、ある人に想いを告げるためやってきたのだが──。 サプライズの殺人事件や毒入りカクテルを使った復讐、ストーカーによる入れ替わりなど、次から次へと珍騒動が巻き起こり、事態は思いも寄らぬ方向へ。そして、ついに隠していた同窓会の存在が夕貴にバレ、会場で鉢合わせ!?ピンチを迎えた美貴の恋の結末は──? 第18回電撃小説大賞〈メディアワークス文庫賞〉受賞作者が贈る、ハートフル喜劇!
  • 嘘つき探偵・椎名誠十郎
    3.0
    失踪した親友の捜索依頼のため、自由が丘にある「椎名探偵事務所」を訪れた千脇奏。 彼女が出会ったのは、およそ探偵らしくない甘いフェイスの「嘘つき探偵」こと所長の椎名誠十郎――美人に甘いペテン師だが、巧みな話術と嘘を使うことで真実を見抜き、依頼を即解決するという元恋愛詐欺師の凄腕探偵である。 彼の相棒は、堅物の元エリート刑事・明神秋馬。彼らは、世を騒がせた、通称「嘘憑き事件」を捜査しているらしい。 そんな凸凹コンビに目を付けられた奏は、依頼人にもかかわらず捜査を手伝わされるのだが、親友が絡む事件は思わぬ方向に転がり始め……!?
  • 神のゴミ箱
    3.0
    ある日。とあるアパートの住人、神 喜助(じん きすけ)のゴミ箱の中身が、ひとりでに増えた。ここの住人の誰かのゴミが、何故か転送されてきている。糸くず、美しい髪の毛、小説の下書き、そして『恥ずかしいポエム』。 しかし、読んでいるこちらが赤面するそのポエムは、どうやら『遺書』らしい。つまり、ここの住人の誰かが、死のうとしている? 自殺防止に奔走したり、女子中学生の援助交際を諭したり。 神(のゴミ箱)のお告げにより、退屈だった彼の人生は、ささやかに動き始めた。 これは、『どこかとつながっている』ゴミ箱を巡る、すこし不思議な住人たちの物語。
  • 雨ときどき、編集者
    4.0
    出版不況にあえぐ大手出版社『仙葉書房』。そこに勤める中堅文芸編集者・真壁のもとに、一通の手紙が舞い込んだ。それは、新人時代からいがみ合いながら共に成長してきた担当作家・樫木重昂からの『遅れてきた遺言』。「真壁、俺の本を親父に届けてくれ――」。 樫木の父親は生粋のドイツ人。日本文学は読むことができないため、作品を翻訳する必要があった。真壁は『遺言』を胸に、超マイナー言語である日本語で書かれた『名作』を、世界に羽ばたかせる決意をする。出版業界と翻訳業界の狭間で東奔西走する文芸編集者の苦悩、その行く末は……!?
  • 土方美月の館内日誌 ~失せ物捜しは博物館で~
    3.1
    月曜日だけ探偵事務所を開いているという博物館『姫神郷土博物館』。大切なものを失ってしまった人は、不思議とこの博物館に集まるという。 名前負けコンプレックスを持つ従業員・沖田総司もそんな風変わりな博物館の縁に引き寄せられた一人。彼は就職詐欺に遭い、途方に暮れていたところを“名前だけ”で見出され、美人館主に拾われた。 「すべてのものには来歴がある」が口癖の館主・土方美月は、卓越した古物知識と新選組をこよなく愛するちょっと不思議な女性。総司は彼女と奇妙な事件を解くうちに、美月が探偵として失せ物捜しをする理由に気付いていく……。
  • 七十年の約束 ~届く宛てのない手紙~
    3.0
    新米新聞記者・仲尾晴人(なかおはると)が病床の祖父・仲尾碧(なかおみどり)からある一人の女性に渡してほしいと託された一通の手紙――それは、67年前に書かれた、祖母ではない「蓮沼閑子(はすぬましずこ)」という見知らぬ女性宛てのものだった。堅物の祖父曰く、恋人でも、ましてや愛人でもなかったという。この閑子という女性と祖父の関係に興味を抱いた孫の晴人は、新聞記者の伝手をたどって、さっそく閑子の孫の水森咲子(みずもりさきこ)と会うことに。 そして、二人はお互いの話を繋ぎ合わせ、在りし日の祖父たちの想いを探っていく……。 手紙に込められていた一つの約束が、深く切なく心に響く感動の恋愛ストーリー。
  • パントロジスト<上> ―三枝ジョーの不思議事件ファイル―
    4.3
    超常現象・心霊現象、何でもご相談ください――。 扉にそんな貼り紙がされたマンションの一室に住む、パントロジストと名乗る青年・三枝ジョー。不器用だが、優しく物静かな彼のもとには、信じられないような依頼が次々と舞い込んでくる。 宇宙人に誘拐されたと訴える少女。百発百中の予言に動揺する中学生。誰もいないはずの部屋でピアノが演奏されて怖がる夫婦……。 奇怪な現象に隠された秘密とは? パントロジストは冷静に分析し、誰も気づかない真実を追究していく――。 人間の心の 「不可思議さ」 を描く、ミステリアスな物語。
  • 心理コンサルタント才希と悪の恋愛心理術
    -
    大学で心理学を学ぶ春川梓は、とある心理カウンセラーと出会う。工藤才希──人並み外れた美貌に、食えない性格。ひと癖もふた癖もある青年だが、その心理学の知識には目をみはるものがあった。 この不思議な青年に惹きつけられた梓は、なんとなく助手の座に収まることに。 才希は気まぐれのように人を救う。その方法とは心理学を応用した驚くようなものばかり。 だが、願いは叶えられても、必ずしも望んだ結末とは限らない。才希が謳う「悪の恋愛心理術」とは? 心の迷宮を覗きたければ、彼を訪ねてみるといい。
  • めげないくんとスパイシー女上司 -女神たちのいる職場-
    3.0
    スーパーディレクターになりたいんです!! ――大きな夢を抱いて 「ザ・ショッピングTV」 に入社したド新人、二十二歳。やる気だけは人一倍だけど、暴走しがちで上司たちは大迷惑。そんな彼が配属されたのは――“ザ・ショッピングTV”の魔界と呼ばれるコスメ部門だった!! 化粧品のことなど何もわからないまま、キツい女上司やオカマ(?)のエステティシャンたちの間で右往左往。だけどめげない、諦めない。がんばる彼のもとにやって来たのは、小さな恋、そして大きな事件だった。新人のあなた、かつて新人だったあなた、そして仕事をがんばるあなたに贈る応援歌。
  • 舞妓さんと怪盗大旦那
    3.6
    福井の田舎から祇園へ出てきた一花。どこかどんくさい少女で、やっと仕込みから舞妓になれたばかり。 お座敷は失敗の連続。落ち込む一花が夜道で出くわしたのが、なんと怪盗だった。怪盗夜行──最近、京を騒がす義賊である。人の好い一花は、追われている夜行を逃がす手助けをするのだった。 その日から、一花の運勢は上向いていく。なぜか、一花をひいきにする青年が現れたのだ。石川総司は若くして祇園の大旦那と呼ばれる青年実業家。だが、禍福はあざなえる縄のごとし。時を同じくして、一花は驚くような事件にまきこまれていくのだった。
  • 心理コンサルタント才希と心の迷宮
    3.3
    心理学を学ぶため、大学に進学した春川梓。勉学の一助になると母の勧めで会った青年は、看板とはかけ離れたもぐりのカウンセラーだった。 その美貌と軽薄な言動に詐欺師に近い匂いを感じ、最初は嫌悪する梓。だが、この青年はただものではなかった。心理学に精通し、それに基づいた彼の分析は非常に鋭い。さらに、ふてぶてしいぐらいに常道を覆す治療を見て、梓は心奪われることに。かくして、微妙に助手の位置に収まった梓は人の心の迷宮を目の当たりにしていくのだが──。
  • 彼女と僕の伝奇的学問
    3.4
    明応大学・民間伝承研究会のメンバーは、ある日 『実地調査(フィールドワーク)』 のため、山奥にある葦加賀村を訪れた。高校からの知り合いである新垣七海の誘いで会員になった民俗学初心者の大学1年・能美啓介はその矢先、白いワンピースを着た謎の人影を目撃する。彼女に大学の同級生 「弓立桜花」 の面影を見た啓介は、訝しみながらも村で行われる祭事のリサーチを進めていく。 だが村の人々と交流を深めるうち、彼らは村人たちに不審な点があることに気づく。深夜の謎のかがり火、メンバー以外のよそ者に対する過剰な反応……。 果たして《祭事》に秘められた真相とは。そして啓介が見た人物との関係は――!?
  • 華麗なる絵魂術師の面倒事
    3.0
    各地を訪れながら襖絵や屏風絵を描き、生計を立てる画学生の舟木和豊。彼は、不思議な力を持っている。 描いた絵に魂を“与え”、また生きているものの魂を絵に“封じ込める”こともできる「絵魂術」。この怪しの術を幼少時代に会得した和豊だが、能力はひっそりと隠しながら暮らしてきた。 旅のお供は、不思議な“喋る”学生帽、無邪気な愛弟子・サナ。そんな三人(?)が赴いた先で何故か次から次へと事件が舞い込んでくる。その陰に見え隠れするのは、かつての恩師の姿で――!? 優しく、心温まる人情物語の幕開け。
  • 不良少年と彼女の関係
    3.5
    有名チームのヘッド拳児。バイクを駆る、鋭いまなざしに憧れる後輩は数知れず。数々の伝説を作ったらしいが、今はただの人。というか、それ以下のプータローだった。 そんな彼が、ひょんなことからセレブの代名詞紅堂家で働くことに。しかも超がつくお嬢様の専属執事だという。 紅堂家令嬢の朱乃は気品あふれる美少女だが、やや人見知りで内弁慶。だがデリカシーという言葉とは無縁の拳児はお構いなし。 かくして違った意味で火花を散らす主従が誕生! これで事件が起こらぬ訳がなく!? コミカルなハートウォーミングストーリー。
  • 超能力者のいた夏
    3.6
    都内の高校で問題を起こし長野の私立学園に転入した高校生、高那聡。成り行きで入った山奥の寮『清流寮』で彼を待っていたのは、番長と恐れられる小柄な美少女津浦翼と、不思議な能力を持つ8人の寮生たちだった。 だがその能力とは、リモコン人間やら中途半端な幽体離脱やら、どれも役に立たないものばかり。彼ら彼女らの能力に翻弄されながらも高那は寮での新生活をはじめるが、不吉な予言は彼が重傷を負うと告げ……。 <寄る辺なき弱者が集う、イカれたこの世の果て>清流寮で繰り広げられる、笑いと涙の青春ストーリー。
  • 特急便ガール!
    4.0
    上司をぶん殴って一流商社を辞めた元OL、吉原陶子。同僚のツテであるバイク便運営会社に身を置くことになるが……職場の人々はとんでもなく個性的なメンツばかりだった! 常に寝ぐせがついたままの社長・如月。強面で口の悪い“人間カーナビ”・菅野。少女趣味な女性ライダー・さおりん。そして、宣伝部長・大谷さん(オカメインコ)――。若干引きつつも長距離の荷物を手持ちで運ぶ 「ハンドキャリー便」 担当として仕事を始めた陶子だったが、あるときそんな彼らの個性をも凌駕する 「ある能力」 を身につけてしまい―― !? 荷物をめぐって東奔西走! 異色のヒューマンドラマ。
  • 婚活シュート!
    3.8
    なでしこリーグで『川越の虎』と呼ばれ、サポーターに愛され続けてきた琴井ナツ。しかし、引退した彼女を待っていたのは一人ぼっちの長い夜だった……。 「私、婚活する!」 親友の香織に薦められ、ナツは決意する。だが、婚活の道は予想以上に険しかった。恋愛経験ゼロのナツは、運命の人を見つけられるのか!? 幸せってなに? 結婚ってなに? 泣いて笑って傷ついて、それでもナツは前を向く! がんばれナツ、諦めなければ試合は終わらないっ! スポ根風味の恋愛応援ストーリー。さぁ涙を拭え、婚活は戦いだ!
  • 三ツ星商事グルメ課のうまい話
    3.6
    ある総合商社のお荷物部署、グループリソースメンテナンス課。毎夜、経費で飲み食いをくり返すというウワサから、人は彼らを「グルメ課」と揶揄するのだった。 しかしその実態は、悩める社員を言葉巧みに食事に招き、個性的なメニューでおもてなし。おいしい料理で心を癒やしながら、仕事に閃きを提供するという特殊な課だった! いつもにぎやかなグルメ課メンバーが丁寧な仕事でトラブルを【料理】する、新感覚グルメ小説に続編登場。 鯛茶漬け、水牛モッツァレラのラザニア、肉寿司……etc。実在の飲食店と本物の料理が、秋の夜長をやさしく彩る。
  • わたしを追いかけて
    3.0
    尊厳死。 それは、自らの意思によって延命措置を受けずに、人間としての尊厳を保ちながら最期を迎えること。 実際に現代日本でも法制化の動きがあるが、孕む問題の大きさゆえに、法案の是非をめぐり、さまざまな議論が戦わされている。 そんな「尊厳死」を題材にした本作では、近しい者の死に直面する人々──OL、少年、医師、カウンセラーたち──の思い悩みながら生きる姿が、ときに切なく、ときに凄惨に描かれていく。
  • 美堂橋さんの優雅な日々。 ~変人たちの愛と答え~
    5.0
    とある街の摩訶不思議な骨董店。変わり者の店主・美堂橋は突如居候としてやってきた女子高生・百合と騒がしくも平和に過ごしていた。しかし、美堂橋が刑事をやめる原因ともなった事件が時を経て再発しはじめる。さらに、突如問屋が姿を消してしまい――。
  • 三ツ星商事グルメ課のおいしい仕事
    3.6
    とある総合商社のお荷物部署・グループリソースメンテナンス課。毎夜、会社の経費でムダな食事を繰り返しているというウワサから、人はそこを「グルメ課」と呼ぶのだった。 入社1年目の新米経理部員・山崎ひなの。彼女はグルメ課の浪費実態を調査すべく、1ヶ月限定で異動を命じられるが、案の定そこは社会人らしからぬ人々の巣窟だった……。 一刻も早く課をつぶそうと、彼らの食事会に潜入するひなのだったが、そこには意外なミッションが隠されていて――。 個性豊かな実在の飲食店&メニューが悩める社員を救う。読めば読むほどに味の出る、熱くて美味しいお仕事ストーリー!
  • 鴨川貴族邸宅の茶飯事 恋する乙女、先斗町通二条上ル
    3.4
    京の風情あふれる鴨川ぞいをそぞろ歩き。するとその貴族邸宅が見えてくるでしょう。あなたは優雅な仕草の四人の執事たちに迎え入れられるはずです。 優しさにじむ笑みの遠矢、鋭利で奔放な晴、穏やかで優美な瑪瑙、静謐にして清冽な真。彼らはあなたとともに笑い、そしてともに悲しんでくれます。ですが、彼らにはお気を付けください。抑圧されたあなたを解き放ち、京の町へと誘うからです。まるで恋人のように。 え? 何に気を付けるのかですって? それは彼らが隠している大きな秘密に、です。
  • 悩み相談、ときどき、謎解き? ~占い師ミス・アンジェリカのいる街角~
    3.5
    昼間はOLにして鍵穴からの観察者、ミス・ブースカ。夜は街角の婚活占い師として人気の、ミス・アンジェリカ。女達の悩みのエネルギーを換金するために始めたインチキ占いだったが、いまやこの街角には、様々な悩みを抱える人々が集ってくる。恋愛相談をはじめ、結婚運や仕事運、さらには不倫関係まで悩みは尽きることがない。だがまれに一風変わった悩みを持ち込まれることがある。隣でキャンドルを売る誠司のおせっかいもあり、度々それぞれの事情に巻き込まれてしまい──。

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