終わりの世界で、素晴らしき日々をすごしたコウとチィの物語、完結。
物語を読む上で、最後の一文が非常に重要なことは言うまでもありません。
それまでどんなに盛り上げていて素敵な結末を迎えたとしても、最後の一文が蛇足となり途端に冷めてしまう作品もある。
逆に、それまでは可も無く不可も無くな内容であって
...続きを読むも、最後の一文だけは非常に印象に残るという作品もある。
そうした中、この「世界の終わり、素晴らしき日々より」はどうだったか。
個人的には、これ以上ない、これしかない、ベストな最後の一文でした。
気づこうとすれば気づけたはずなんだよね、この一文がくるって。
伏線はずーっとあったし、タイトルやストーリー、それまでの流れを考えればほんとこの一文しかない。
実際注意深く読んでいた人はこの展開は読めたでしょう。
それでも読むことに集中してしまいそこまで頭が回らなかった私にとっては、不意打ちのように現れたこの一文。
やられたね。
この一文を読めただけでも、この作品を読んできてよかったとさえいえる。
もちろん、完結巻となるこの3巻にはそこに至るまでも見所たくさん。
あの人が消えたときは衝撃だったし、残された人を思うといたたまれなくなった。
「今夜は月が綺麗ですね」にはとても心が温まったし、二人には幸せになってほしい。
初めての口付けも、その時の気持ちを考えたらもうすごくやるせない。
エピローグも、そこの伏線を回収するのかと思わず笑ってしまった。
色々と謎は残っているけど、そこまで語るのは無粋というもの。
作者としては過不足無く書きたいことをかけたのでしょう。
世界の終わり、素晴らしき日々より。
素敵な作品でした。