すべての高評価レビュー
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Posted by ブクログ
失敗作のない奥田英朗の、現時点での最高傑作と断定して差し支えないのではないか、と思わせられる本だ。
昭和という時代を、昭和元年生まれの4人の主人公の群像で描き切る。
4人が4人とも個性と情熱にあふれ、理智も併せ持ち、何より私よりも公の方が大きい生き方を貫く。作者の言葉で言えば「国士」なのだ。
レイモン・アロンが石原慎太郎に語ったと言われる「今の若者は気の毒だ。青春を青春にする3つのものが欠けている。戦争と貧困と命を懸けられる思想と」という言葉を思い出した。
4人の主人公には、揃って「命懸け」の原体験があり、それゆえに大切なもののためには身体を張ることにためらいがない。この実に魅力的な人物たちを -
Posted by ブクログ
幕臣の中で悪名高く語られる小栗上野介。
勝海舟と比較され、良い印象を持たれていない。その小栗を真正面から描いた一冊としては、最高の作品だと思う。
三河以来のご譜代の旗本ゆえに、愚直なまでに徳川を見捨てることが出来ない生き方も(一種の)武士だな~と。形は違えども消滅する幕府の中で奔走し、何かを残そうとする姿は、勝海舟と通ずるものがある。
作品の性質上、しょうがないんだろうけど、勝と慶喜の描かれ方がかなり悪人で、何もできなそうに読めてしまった。
「百年後に生きる人々のネジ」を目指した小栗の行動は、今まさにそうなってるのではないか。最後の最後まで、お金をどう使うか。それを真に現した生き方だった -
Posted by ブクログ
大規模工事について、ふと興味を持ち手に取る。
200ページ程の内容で、割とすぐに読み終わる。
戦前の黒部第三発電所工事にまつわる灼熱の掘削作業についての物語。
100度を上回る熱を発する岩壁の中、黙々と掘削が進められ、坑夫が犠牲になっていく。
物語は彼らを指導する技師の目線で描かれていた。
作業日誌のように、作業の進捗と起きた出来事を中心に語られていく。
人の手が加わることを拒むような黒部峡谷の自然が、数多の試練を課してくる。
起きている出来事が現代の基準とは大きく異なる。
社会にとっての人命の軽さ、家族にとっては現代と同じく重い家族の命、太平洋戦争直前の緊迫感、行政組織の歪さ。それが説得 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2026年に初めて読みました。AIやVRはもはや身近で、逆にどこでも煙草を吸う人間は珍しい現代においては、研究所も四季博士のような人間もこの世のどこかに存在するのではないかと思えます。
トリック自体は人間にしか不可能なもので、閉ざされた部屋にいたもう1人の存在に驚きましたが、それ以上に「誰かに好意を持って妊娠出産する」という博士の行動があまりにも人間らしいことに、この小説の面白さがあると感じました。
ウエディングドレスを着て死のうとしたところも、親に認められずこのまま世間にも知られずに終わる所長との関係を最後に示唆したかったのではと思いますし、最後に犀川先生に会いに来たことと会話の内容からも結
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