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2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、身体が永遠に老化しなくなる手術を受けるときに提案されたことだった
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Posted by ブクログ
とあるマンガで、登場人物がこの小説を絶賛しているシーンがあり、購入。独特の読みづらさを1~2ページ感じたが、あっという間に物語にぐいぐい引き込まれた。 主人公は、家庭内においても自分の出産と共に母が亡くなったことから、兄姉から母が亡くなった原因として嫌われ、父からは母の代わりとして精神的・肉体...続きを読む的搾取を受けている、「わたし」(名前は空白によって非常に可視的に伏せられている。)。胃下垂で食べるものをほとんど吐いてしまうなど健康にも恵まれず、人生の多くを家の中で過ごす。また、希死念慮があるが死ぬことはできず、25歳の時に、身体を改造する「融合手術」を受け、老化しない体となる。その後もほとんどを家の中で過ごしたため、彼女が客観的に描かれる描写はほとんどない。物語の終盤、人工知能との融合手術を受けた非常にロジカルな存在と描かれる第三者によって、はじめて彼女の置かれてきた情報が文章として説明されるという構造。このため、主人公の置かれた状況は彼女の主観という強烈なフィルターを通じて見続けることになり、彼女の客観的評価は終盤まで待たなければならない。 このためか、主人公目線で彼女の人生のほとんどを読んできて、終盤で「実の父親から受けた肉体的、精神的虐待によって引き起こされた心的外傷」「お姉さんを自殺に追いやってしまった」「甥である方と関係を持ってしまったこと」といった客観的な言葉で語られると、確かにそうだよなとも思いつつ、そうした言葉に物語を当てはめることに不思議な戸惑いを覚えてしまった。 この違和感の正体が知りたくて、私はこの小説をすぐにもう一度読み直し、その違和感は、こうした事象がすべて家庭の中で起きた出来事であることに起因するのかな、と思った。 「幸福な家庭は、全て互いに似通ったものであり、不幸な家庭はどこもその不幸の趣が異なっているものである。」という、トルストイ『アンナ・カレーニナ』の冒頭の有名な一文がある。主人公の家庭も、その異なる趣の不幸の一つなのだろう。他方で、よその家庭の不幸の中身というのは実際に見ることはなかなかなく、自分が不幸な家庭にいたとして、それは他の家庭と比較することが容易でなく、時として不幸を不幸と認識できないものだ。私も、育った家庭が不幸というわけではなかったにせよ、大学時代にメンタルを崩したときに受けたカウンセリングで、家庭について話したときに、「あぁ、これは普通ではなかったんだな」と目の覚めるような思いをしたことがあった。 主人公も、希死念慮を抱いており、自分が幸せではないという自覚はあったのだろうが、諦めのような気持ちで、淡々と不幸を受け入れ、生きる希望のようなものを求めず、手術により人間であることをやめ、その不幸(と客観的に判断される)を悪意なく他人に伝播させてゆく。 そこには、家庭内の不幸という客観性を持つことが難しいものに対し、毅然と立ち向かう術がなかったことが想像できる。程度の差はあっても、家庭という引力に逆らうのは誰にとっても難しいのではないだろうか。 だからこそ、家族史を書いたがために自分の人生を急に分析・評価され、主人公は戸惑い、その衝撃が読者たる私に伝播したのだろう。 それだけに、そうしたトラウマをすべて捨てて、人生をやり直すチャンスが降ってきたにも関わらず、自分のすべての経験を受け止めた上で、その上に人生を積み上げることを決めた主人公が非常に強く胸を打った。「でもまずは、わたしはわたしと、ちゃんとともだちになるところから。」(p.122)という主人公の台詞には、自分のことが好きになれず、大切にすることもできなかった、彼女が不幸になり不幸を生み出した原因の一つとの決別を感じることができる。そうした大きな一歩を踏み出そうとすることにものすごい勇気がいるんだよな、何もかも諦めてしまった方が楽だよな、リセットできるならしたいよな、そんな中で、暗闇の中で心を打ったもの(この小説であれば合成音声であり人間対将棋の対戦だ。)が少しずつ自分を支えてくれるんだよなと、共感が止まらなかった。 私は趣味で山に登るが、山で泊まる際に見る水蒸気を含んだ夕陽の橙色は柔らかく、日の出前から登った際に見る清冽な空気を貫く朝陽の橙色は非常に輪郭が明確で、どちらも形容し難い、この世の物とは思えないような美しさがある。しかしながら、この物語の最後に見た、主人公の眼に映った「あさなのかゆうがたなのかわからなくなるような、とてもきれいなけしき」(p.122)は、現実世界には存在し得ない、どちらの美しさも併せ持った、この物語を通じてこそ見ることのできる景色だった。 月並みな言葉ではあるが、この小説を読むことができたことを心から幸せに思う。
バーナード嬢曰く(施川ユウキ)で図書委員の長谷川さんが激賞していたので購入、そして一気読み。心の傷を消してしまいたいことってあるけれど、本書を読むと消さないこと、消えないことこそ人の生きた証であるような気がした。
人生で、最も苦しく、痛く、そして美しい物語だった。こんな作品を見るために生まれてきたのかもしれない。人間らしさとは何なのか。人間ではないものになって、そして人間になれた「わたし」が目の当たりにした夜明けまえは、「わたし」だけのもので、きっと世界で1番美しい景色だったのだろうな。 わたしをすくえるのは...続きを読む、わたししかいなかったからなのです。わたしはわたしのかんがえでうごき、わたしはわたしがみた、きいた、かんじたことでできていて、わたしをかえられるのも、わたししかいないから。
不思議な世界観。一人称である「私」で話が進んでいき、最後まで名前がでることはない。「適合手術」と言う私の中でのイメージはターミネーターのようになる手術を受けた主人公は体のメンテナンスを忘れなければ死ぬことはない。そんな彼女が見つめてきた、父の死や兄弟の死、恋人の死、そして地球の変化について大きく感情...続きを読むが揺れることなく淡々と書かれている。 最初はつまらない本だと感じたが、気がついたら先が気になり面白いと思うようになっていた。 不思議な世界観を味わいたい方にはおすすめの一冊だ。
これは永遠の命を手に入れた少女の物語。 今のわたしにはやりたい事が沢山あって、 時間が足りないって思っているけど、 永遠の命があれば好きなことを好きなだけできるんだろうな。 でも、それって「人生」と言えるのだろうか。 「人生」とは何か、「生きる」ってどういう事なのか。 無限の命を手に入れて、永遠...続きを読むの時を過ごして「明日」を手に入れた少女の物語。 それじゃあね。
ページ数の短さもあって、夢中になって一気読みした。 主人公にとって辛いことが、なんだかぼやかされて書かれている気がして、本当に手記っぽいなと思った。 家族のこと・されたこと・してしまったこと・どうしようもなかったことに対して、最後に決めた結論が、私は好き。
老いない身体を手に入れた主人公が、自分の家族の歴史を語っていく物語。主人公だけが年を取らずに生き続けるため、家族はやがて亡くなり、彼女は一人で生き続けることになる。 主人公は融合手術を受けているため感情が平坦で、つらい出来事も淡々と語るのが印象的だった。その語り方は、もしAIが身体を持って人間の世界...続きを読むを見つめたら、このように感じるのかもしれないと思わせる。 この作品は家族の歴史だけでなく、人類がこれからどのような未来を迎えるのかというテーマにも広がっていく物語だった。
父の強い勧めで融合手術を受け、不老不死のからだを手に入れてしまった死にたがりの"私"が書く家族史。 父は母によく似た私に執着し、融合手術で生殖能力を失った私は甥っ子を洗脳し、甥っ子は見た目の年齢が逆転した私を求める。 愛情の搾取かぁ…難しかった。
二一二三年十月一にちここは九州地方の山おくもうだれもいないばしょ、いまからわたしがはなすのは、わたしのかぞくのはなしです──。 冒頭はかなりひらがな混じりでの構成に手こずってたけど、特に一章の終わりあたりから『主人公=___ちゃん』のキャラクターの輪郭のようなものが、徐々にくっきりと見えて来...続きを読むたように思えて、その辺りから物語の核心へ凄まじい引力によって引き摺り込まれていくように感じた。 そしてそれらは全体として、徐々に自身の葛藤やアイデンティティ、そして自己愛が整理されていく様も、一章から三章に向かう中での文体に表現されていたんだと思う。 『ここがすべての夜明けまえ』というタイトルは、間違いなくこのタイトルしか有り得ないと、そう思えるくらい、物語の全てを経て『主人公=___ちゃん』の『これまでの人生=夜』からの旅立ちを描いていたんだなと思える結末だったなー。 いやー、面白い作品だった。 ・ ・ ・ ・ ・ いやだったこと、いたかったこと、 しあわせだったこと、あいしたこと、 一生わすれたくないとねがったこと ◇老いない身体を手に入れた彼女の家族史 2123年10月1日、九州の山奥の小さな家に1人住む、おしゃべりが大好きな「わたし」は、これまでの人生と家族について振り返るため、自己流で家族史を書き始める。それは約100年前、身体が永遠に老化しなくなる手術を受けるときに父親から提案されたことだった。 かいていったらなっとくできるかな、わたしは人生をどうしようもなかったって。
25歳で融合人間(サイボーグ)手術を受けた主人公が、100年後にひとりぼっちになり、自分の家族について綴る。平仮名メインの文章は、慣れるまで読みにくいけれど、慣れてしまえば大丈夫。その代わり、家族が一人ずつ死んでいくたびに重たくなってくる。不老不死の不自由さと言うものかもしれない。
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