あらすじ
かつて一大遊郭が栄えた、閉ざされた島。独自の文化が息づく島で、美貌の姉弟・白亜とスケキヨは互いのみを拠りどころに生きてきた。しかし、年頃になったふたりは離れ離れに売られてしまう。月日が流れ、島随一の遊女となった白亜は、スケキヨの気配を感じながらも再会を果たせずにいた。強く惹きあうがゆえに拒絶を恐れて近づけない姉弟。互いを求めるふたりの運命が島の雷魚伝説と交錯し…。
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10年以上前に読んだことがあり、好きな世界観だったことを覚えていた。再読し、その感想は変わらなかった。読後の余韻がなんとも言えないほど素晴らしい。風景や心情の描写が美しい。
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千早茜さんのデビュー作『魚神』
とても綺麗な御伽噺でした。
遊廓という舞台が個人的に好きなのですが、さらに千早茜さんの美しい文章で読めたので至福の時間でした。
お互いがお互いを恐れているっていうのが悲しい。
相手に失望されたくないとか、そういう想いだからだろうか。
白亜スケキヨも、別れた後お互い苦労してるからこそ、尚更お互いを求めるはずなのに...
悲しいお話しでした。
悲しく、美しいお話でした。
蓮沼個人的に好きですよ...。
蓼原も、いつ裏切るかと思ってたんですが、ずっと白亜とスケキヨを見守ってくれて良かった...涙
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容姿の美しい姉弟がすれ違う物語。
姿は見えないけれどお互いに存在を必要とし、嫌われることを怯えていたのは同じだったのだという姉弟愛に惹き込まれました。
回想によく出てきたあの夜の出来事は、白亜を誰かの手によって汚されたくないというスケキヨの人間味溢れる気持ちからきたことだとわかったところが良かったです。
読み終えてから、もう一度冒頭のほうにある雷魚の伝説のお話を読み返しました……!
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千早茜さん、5冊目でした
没入感あり、美しくて儚い遊郭の世界。
夢を見ない島の人々。
悲哀感、暴力もありながらも、わたしはこの浮遊感に浸りました。
スケキヨ,白亜、好き
深い愛、嫌われるくらいなら、、そうか
好みの一冊でした!
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これが千早茜先生のデビュー作とは驚きです。素晴らしい。
「しろがねの葉」や「透明な夜の香り」の要素がこのデビュー作から詰まってました。
遊女屋、暴力、苦しい生活の中で唯一無二の愛だけを頼りに生きる姉弟(実際は不明)のお話
それほど多くないページ数だが内容が濃く壮大で大満足でした
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魚の目を覗いてはいけないよ。人間とは心の作りが違うのだから。デンキは無い。夢は見られない。あるのはただ、水の臭いと、遊女屋の灯火-。
『ひきなみ』に続いての千早茜san。本作で3作品となったので、ひさしぶりにカテゴリー追加となりました。
「この島の人間は皆、夢を見ない。」から始まる物語。生ぬるい水に囲まれた孤島。一大遊郭。捨て子の姉弟、白亜とスケキヨ。現在の白亜と伝説の遊女白亜との交差。特に、白亜とスケキヨの距離感が絶妙でした。惹かれあってるのに避けあって、一歩も踏み出せない二人。終盤の蓮沼の言葉が的確でした。また、新笠の娘ハナへ「覚悟」を諭すシーンは残酷でしたが、側にいた白亜の微動だにしない姿が印象的でした。
深海の暗闇で待っている白亜が、無事に引き上げられますように。
【第21回小説すばる新人賞、第37回泉鏡花文学賞、おくダマ賞2023】
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閉ざされた島で、夢を見ることなく、己の運命を受け入れ生きる姉弟。生と死の間を漂い、行き着く先は__。湿度を感じる描写が多く、どこか血生臭く怪しげ。でも、不思議と頭の中には美しい情景が浮かぶ。千早さんのデビュー作であり、唯一無二の世界観を堪能しました!
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表紙の絵、そのままのイメージの本。白亜とスケキヨ姉弟。いつの時代か、どこの国なのか。異国であり身近な国のような。描写が怖いのに美しくて、読後の余韻にぼうっとなる。紆余曲折ありお互いの結びつきに、最後ホッとした。目が離せない惹きつけられる物語だった。
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千早さんが描く男性はなんでこんなに魅力的なんだろう。
名前を呼ぶ、ただそれだけで分かり合えるほどの繋がりがとにかく尊い。
いつの時代の、どの国かもわからない世界だけれど情景を表す描写が繊細で美しくて、引き込まれずにはいられなかった。
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装丁が気になって、手に取った本でした。
場面だけでなく、感情の描写も濃厚な一冊でした。
例えば、ぬるく濁った川面で大型の古代魚が無感情に目の前を横切るような体感した事のない畏怖がありありと想像できる感覚がありました。
感情や情事もぶつかり合いますが、どこか儚げで俯瞰的に主人公の白亜が捉えているのが印象的で、新鮮、痛々しい場面描写でも不思議な感覚で読み進められます。小説体験とでも言いましょうか。
千早先生の他の作品も気になります。
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すべての出来事が白亜の知らないところで起こっているのがなんとなく恐ろしくまた悲しくもある。二人はお互いを心から大切に思っているからこそ嫌われたくないと感じ踏み込めなくなっている。そのもどかしさにこちらがなんだか落ち着かなくなる。最後は白亜が自暴自棄のようになり遊郭に火をつけ、その後スケキヨに買われる。二人が無事あえてよかったと素直に思えない。もし、もっと早い段階で会えていたら、お互いが恐れず歩み寄っていたらとつい考えてしまう。
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こうゆうお話好きだ...となった作品です。
蓮沼のキャラ良すぎるな
スケキヨは欲を言うならもう少し掘り下げて欲しかったなという感じです。そしたらもっともっっと素晴らしい作品になったのに!と個人的に思いました。
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遊郭の島、閉ざされた島で、生きる姉弟、白亜とスケキヨ。互いを存在意義として生きている二人のたどり着く先は?というお話。
世界観、舞台設定、吉原的、時代設定とか、どこでもないけど、どっかにありそうな既視感、好き。
表紙とタイトルに惹かれて、衝動買い。
白亜目線からの語りなので、スケキヨの存在と正体がハッキリしていない。
でもそれが不思議で謎めいていて、ついついページ捲ってしまう。面白い。
結局、彼は雷魚の化身だったりするのか?
タイトルの「魚神」が、効いてくる展開になっていてよき。
二人の互いへの執着、特にスケキヨから白亜への想いが、読者み含めて周囲にはバレバレなのに、白亜にはさっぱり伝わってないのがもどかしいと感じつつ良い。
蓮沼の「子どもなんだな」という表現がピッタリ。納得。
だからこそ美しく映るし、残酷でもある。
そういう関係性を描き出しているのがとても面白い。
綺麗だった。耽美、っていうのかな?こういうの。
ところで、蓮沼、好き。
白亜が彼を選んだのは非常に好感がもてた。
最後まで格好良かったし。
二人の未来に光がないのは明白で、その闇に白亜を巻き込まないように自分だけで死を選ぶ姿に、男の美学を感じたわ。
冷酷な面も含めて、一種カリスマ性がたまらないです。昔の任侠映画とかにいっぱいいたタイプの人。
ホント、嫌いじゃない。
蓼原、生きてて良かった。
いっぱい死亡フラグたっていて、気が気じゃなかったわ。
しかし、これはハッピーエンドじゃないんだろうね、、、スケキヨが白亜を取り戻すまでのお話なんだろうな。
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圧倒されるカバーが印象が強くて手に取りました。序盤はファンタジーを思わせるような展開でしたが…これはミステリーなのでは?容赦ない表現もありますが、読みやすくてどんどん引き込まれてしまいます。欲を言えば、主人公以外のエピソードが物足りなかったです。
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【2023年150冊目】
鮮烈なデビュー作ですねぇ…。ありそうだけれど、実際にはない架空の世界。そこで紡ぎ出される白亜を中心とした物語。
登場時から、おっ、て思ってましたが、やはり蓮沼、好きになるキャラクターでした。こういう役どころはずるい。かっこよすぎる。後半になるにつれ、一言一言がぐさぐさ刺さる。命の炎が激しい。
スケキヨは、あの、とりあえず名前、なんでこれにしちゃったんだろうという思いが。完全にあの一家がチラつきました。ほとんど出てこないのに、印象の強い人物ですが、好きか嫌いかを聞かれるとよくわからない感じでしたね。
しかし、本来であれば白亜の強い感情の向かう先がストレートにスケキヨに行きそうなものなのに、そうじゃなくて蓮沼という登場人物に向かったところが、刺さりました、深く、私に。
首絞めはあれかな…そういう性癖が生まれちゃったのかな、ちょっとそこはよくわからなかったですが。
鮮烈、でした。
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献身愛とは違うがどうしようもなく必要で必要とされるような相手がいて最後は幸せになれてよかった。
身体より心の繋がりでそれを超える繋がりなんて
ある人の方が少ない。二人は不幸せに生きながら別の意味で幸せなのかも。
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遊郭を舞台にしたお話。
他の方も書かれてますが、酷い運命を辿っている割には悲壮感なく美しくまとまってます。主人公の白亜の浮世離れした不思議な雰囲気がそうさせているのかもです。他の方のレビューを見て、まもっと悲惨なラストになるかと思っていたので最後まで読んで少しホッとしました。
スケキヨというとどうしても犬神家を思い出してしまうのはわたしだけでしょうか。。
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全体的に物静かで綺麗なお話でした。千早茜さんの作品はセンスがいいというか、言葉選びとか雰囲気が垢抜けていてかつ色っぽくて好きです。
一気に読ませるような勢いはないのですが、徐々に不思議な世界観に引き込まれていきました。
映像作品になったらぜひ見てみたいです。
蜷川実花さんが監督されたさくらんがイメージに近いかと思ったのですが、そこまで極彩色ではなくて、もっと透明感のあるキラキラしたイメージを受けました。
遊郭が出てきたり、人間のドロドロした部分も描かれているのに現実味がないというか、不思議な世界観の作品です。
主人公の白亜の感情が希薄だからかもしれませんね。
白亜とスケキヨは雷魚と伝説の遊女の生まれ変わりなのかなぁ。
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なるほど。ここまで千早先生の作品を何作か読んできたが、全ての根源がここにある気がする。と思ってよくよく調べたらデビュー作だったようで、『しろがねの葉』『透明な夜の香り』を創作するのにもこの作品ありきだったのかと感じることが出来る内容。
綺麗な文章で汚いものでも美しく伝えるセンスが凄まじい。特に『しろがねの葉』デビューの読者の方には是非とも読んで頂きたい作品でした。
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これはライトノベルになるのかな。
遊郭を主な産業とする不思議な島で生きる白亜とスケキヨ。強く惹かれ、お互いを求めながらも得られない、究極の片想いのヒリヒリ感を存分に味わえる。
千早茜さんは近親相姦ものが好きなのか、ファザコンなのか、「しろがねの葉」もそうだったけど、この手の、簡単に手を出せない(特に年上の)男を書かせるととても上手だ。
スケキヨもいいけど、個人的には蓮沼の危険な香りに魅力を感じる。しかしスケキヨはなんでこの名前なんだろう。もう「犬神家の一族」のBGMが脳裏に流れまくり。
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どこかの地方で本当に語り継がれていてもおかしくない、ヒトの欲望漂う仄暗くも美しい昔話のような物語。
作者が意図しているかはわからないが、白亜の心の揺れに感情移入しながら読むというよりは、読者=雷魚の立ち位置で、起きることをただ流れに任せて眺めているような感覚だった。ところどころ目が滑る場面があったのでこれが長編だったら少し飽きていたかも。
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表紙に一目惚れで購入しました。ホラーとファンタジーに加え異国情緒も漂う、幻想的な噺。世界観は好きだからこそ、多少読みやすさを犠牲にしてでも、もっと何か突出してエグかったり鋭い描写が欲しかった。着地も想像通り。
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白亜とスケキヨ。千と千尋の神隠しを思わせる。真実は何か、何事もなかったように2人は暮らす。血なまぐささ、遊郭のはかなさ、運命、あきらめ、恨み、混ざりすぎて混乱。
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読んでみて、と特別な人にもらった本。
読んでるうちに匂いや、なにかに触ったときの感触が浮かんでくるそんな気がした。あまりにも大切に思うあまり、すれ違ってしまう姉と弟が切なくて愛しかった。最後に掴んだものは、ふたりにとっての幸せなのかな。蓼原がすごく好きだったので最後までしぶとく生き抜いてくれてほっとした。
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うつくしくて、ほの暗くて、せつなかった。
遊郭で栄える閉ざされた島で生まれ育つうつくしい姉弟のお話。
*
「いや、白亜は僕がいなくなったらたくさん泣いて、僕のことなんか忘れてしまうといいよ」
”人は忘れるために泣く”というスケキヨが白亜に語ったこの台詞がなんだかとても刺さった。
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閉塞感と名付けるにはあまりにも残酷なのに、汚さを感じさせず世界が描かれていました。
「時間や生活、悩み、葛藤、矛盾、一切のものからふっと一瞬離れていける。」
「どうして私達は試されなければならないのかしらね。」