長嶋有のレビュー一覧
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「サイドカーに犬」と「猛スピードで母は」の2話編成。
サイドカーに犬:小学校四年生の女の子と母親が家出中に急に転がり込んできた父親の愛人との友情物語。設定とは裏腹に二人の関係がとても爽快に描かれていて、物語に吸い込まれるような感じ。周りを巻き込んでく強さを持っていてどこか憧れる愛人の人物像が印象的。映画では竹内結子が演じてるそうですね。
猛スピードで母は:シングルマザーの母親と小学5年生の息子との、依存から自立への過程をを描いた物語。この作品も母親の人物像が印象的。一見強引で自分中心に物事を進めるものの行動の裏にどこか表には出ない愛情が潜んでることが感じられます。だからこそ息子が異様になつ -
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ネタバレ目次
・サイドカーに犬
・猛スピードで母は
「サイドカーに犬」「猛スピードで母は」のどちらも、子どもの日常が子どもの目線で書かれているのだが、そのどちらもが親との精神的距離がある。
親を嫌いなわけではない。
親も、子どもを嫌いなわけではない。
ただ、子どもの他にいろいろとあるのだ。好きなこと、やらなきゃならないこと。
子どもはそれを知っているから、いつか、親に捨てられるかもしれないことを心のどこかで知っている。
それは特に寂しいことではない、とも思っている。
結局捨てられることはないのだけれど。
どちらの作品も主人公の心は終始フラットで、時々不安に駆られることはあっても、大笑いしたり激怒し -
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『三の隣は五号室』長嶋 有
こういう小説もアリなのか。純文学って本当に面白い。
ある人の何気ない暮らしが全く知らない別の人の暮らしに少しのドラマを与える。これを読んでいると、自分のマンションの『前の人』はここでどんなことを考えたんだろうとか、どこにベットを置いてどんなテレビを見てたんだろうとか分かるはずもないことを色々と想像してしまった。
解説で村田さやかさんが書いてたけど、自分もいつかはこの部屋において誰かの『前の人』になるだろうし、自分はその誰かのことなんてどうでもいいんだろうな。
何にもしていない時間でも人は思った以上に「生きて」いて、自分とは別の誰かに何かしらの影響を与えている。す -
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第一藤岡荘の5号室を舞台に、同室に居住した合計13代の住人が織りなす物語。方法論としては「問いのない答え」と同様、多くの人々・出来事が連想ゲームのようにつながっていくというところなのだろうが、「問いのない答え」よりもさらに研ぎ澄まされているように感じる。何しろ、場所は同じ五号室でも、時間を前後していったり来たりしながらなんの違和感もなく、しかしなんでもないのにちょっとひっかかる言葉が、結構ページ数を離れてもしっかりと想起されるようにできている、というのは物凄いことではないだろうか。そこで描かれていることは他愛のないことかもしれないが、しかし時を超え人々が共有するものがある、ということが、何か意
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少し前の新聞に中村文則の「掏摸」が紹介されていた。中村さんは今や海外でも名を知られた作家だが、そのきっかけになったのが大江健三郎賞を受賞した本作が、賞の特典として翻訳されたからだ、という内容だった。
大江健三郎賞は聞いたことがあったが、選考委員は大江健三郎さんひとりで、賞金の代わりに海外に翻訳されて紹介される、賞は八年続いて既に終了しているということも知らなかった。
で、その賞の始めから終わりまでの受賞作の紹介とそれぞれの著者との対談を収録されているのが本作。
なかなか手ごわい本だったがおもしろかった。
受賞作のどれも読んだことが無いが、長島有の本は読んでみたいと思った。対談も一番楽しかった。 -
ネタバレ 購入済み
夜な夜な読みました。
優しくて切ない物語。文章の表現がその時の状況をよく想像させるので、夜中の静かな時間に読むのにぴったりな雰囲気の本でした。
子供は親を選べない、どんな親だろうとその人の子供に生まれたからには、一緒にいるしか生活できない子供たち。
親も子供は選べないはずだけど、この親たちは本に登場する子供たちが自分の子でいてくれて良かったなと思います。
女性にとって子供を宿し産み育てるということは、一生の人生がかかったことなのだと感じます。
男性にとって一生愛せないかもしれない女性が自分の子供を宿し産むということが、自身の一生において、どれほどのことなのか。
今愛していると感じている -
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ネタバレ離婚協議中の私が、離婚エッセイを読んでみました。
枡野さんは昔から好きだし。
離婚はつくづく十人十色。
結婚よりずっとバリエーションが豊富だよね。「豊富」と言うと、自分でもなんだか悲しく響くけど、でも実際子ども有無からバリエーションは無数にあって、私と誰かの離婚が同じなんてあり得ないんだろうなー。
お子さんと会えなくなった枡野さんは本当にかわいそうで、読んでいる私もその場にうずくまりそうになったくらいだったけど、こうして公の場に晒される元奥様やお子さん達にもやはり同情してしまう。
そして、解説の映画評論家の町山さんが厳しい。鋭い。
町山さんもおもしろい方だな。町山さんの著作もちゃんと読み