長嶋有のレビュー一覧

  • 俳句は入門できる

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    「ポメラニアンすごい不倫の話きく」なんて砕けた俳句が良かった。
    読んでも全然俳句に入門できない。そもそも入門書ではなくて、長嶋有が俳句や俳句に関わる人やグループについて綴ったエッセイ集の趣。
    連載時のタイトルは「俳句ホニャララ」だったそうなのだけど、まさにホニャララ具合が長嶋有節炸裂でとても面白かった。
    「契機」とは何かを始めるためだけにある言葉ではない、とか言って連載辞めちゃうとこまで面白い。

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    2024年12月13日
  • もう生まれたくない

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    有名人も含めたあらゆる人の死を扱いながらも、どこか淡々としている、のはまさに私たちの毎日そのものなのかもしれない。センセーショナルな報道だって、一時が過ぎれば過去のただの死。でも、身近な人の死は十分に苦しく、でも日々を生きている。なんだか日々の当たり前を、妙に生々しく突きつけられた気がして、とても不思議な魅力を持った本だと感じた。

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    2024年12月08日
  • 僕たちの保存

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    爽やかな読後感だった、の様に表す事が少し憚られるが…、私がその様に(爽やかだったと)感じるのは、自分が概ね主人公と同世代で、就いた職種こそ違えど時代ごとの同じ様なモノ、コト、に興味を持ち、同好の士と集い、語らい、…という経験を経て来ているからであろう…

    私が「憚られる」と書いたのは、主人公とその周りの人物がいずれも「オタク」的な視点、生きがい、興味の対象、を持っている事が生き生きと描かれているからかもしれない。その生き生きとしたさまに多いに頷かされるのだが、果たしてこの楽しさを自分の身の回りの人(非オタクが多い)にすべからく上手く伝えられるか?、と言うと疑問ですらあったからである。

    ただ、

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    2024年11月27日
  • 三の隣は五号室

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    時代の違う同じ部屋で過ごした住人たちの日常を魅力的に描いた作品でした。

    私たちが日常生活で感じているけれど、取り立てて誰に話す機会もないような事柄が詰まっていて、それが作品になっっているのがすごいです。

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    2024年11月16日
  • 僕たちの保存

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    面白かった~。
    語られる”モノ”が世代的にツボなのは間違いないのだが、いちいち、納得感あるセンテンスが沢山ありました。(長嶋さんはボクより8歳下なのですが、まるで同じ世代を生きてきたかのような錯覚。。)

    あいにくMSXパソコンは使ってなかったけど、最初に買ったマックはLC630だったし。。。

    還暦を迎えていろいろなものが家の中やネット上に「保存」されちゃってる。整理、整頓、断捨離せねば。。。もはや終活か。。

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    2024年11月04日
  • ご本、出しときますね?

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    西加奈子さん、朝井リョウさん、加藤千恵さん、羽田圭介さんなど、多数の著名な作家さんとのトークがとにかく面白い。
    みなさん言葉選びが秀逸で何気ない話でも深さが出て思わず笑ってしまう。
    親交の深い若林さんだからこそ聞ける攻めた質問も多数あって興味深かった。
    いろんな作家さんの人間性が垣間見れる。
    マイルールやオススメの一冊などを紹介してくれていて、読みたい本も見つけらた。

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    2024年11月03日
  • 僕たちの保存

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    非日常な出来事がいくつもでてくるのに、なぜか淡々とお話は進む。

    新旧織り交ぜたブルボン小林寄りの話も興味深く、テスラまで網羅しているとは、なかなかに勉強になった(笑)

    著者らしい作品、なんだか心が和み、休まったのでした。

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    2024年10月30日
  • 今も未来も変わらない

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    女性の、しかも中年にさしかかるような女性の主人公ということで、作者としては新機軸なのでは、と思う。自分自身がそういう立場ではないのでわからないといえばわからないのだが、でも嫌味なところがなく描けているように感じた。それも作者独自の固有名詞を多用したり細かい日常の気づきのような部分がぶれないから、そういう部分を持っている人、というキャラクターができあがるのではないか。友人とカラオケにいったりする描写もなんだかいいな、と思わせられた。

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    2024年10月26日
  • ご本、出しときますね?

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    面白い企画。小説家2人とオードリー若林の鼎談。
    お互いへの質問、それぞれのマイルール、おすすめ本という流れで、読みたい本が増えた。
    村田沙耶香さんがすごく個性的で面白い。

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    2024年06月29日
  • トゥデイズ

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    中編「トゥデイズ」と短編「舟」。どちらも良かった。3.5。
    前作「ルーティーンズ」に続き「ズ」がつくのも、何か意図があるのか。


    「トゥデイズ」はマンションで起きた飛び降り事件をきっかけに、何かが起きる、、、ことはなくそれぞれの日常が淡々とユーモラスに進んでいって、でも、小さな一つ一つの出来事は少しづつ生活に影響を与えてるような、いないような、という作者の真骨頂。それにしても今回は何も起きな過ぎな気もするけど。

    「Battery Low」とか「ゴアテックス」とか日常に聞く言葉もちゃんと立ち止まると楽しいということを毎回ながら再認識させられる。

    「ゴアテックスというドスの利いた呼び名のその

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    2024年05月19日
  • 猛スピードで母は

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    ネタバレ

    ⚫︎感想
    離婚しそうな、またはシングルの親を持つ設定の2篇。どちらもタイトルにインパクトがあり、同じく大人との距離と自立がテーマだと思った。
    「サイドカーに犬」母の家出後、洋子さんという父の愛人と暮らすことになる。母とは全く違うタイプで自由な女性。「猛スピードで母は」は彼氏はできるが長続きせず、そんな母を見ながら育つ少年。
    どちらも、スカッとしたカッコいい女性像でありながら、100%そういうわけでもない一面を見て、少年少女は彼らの生活を通しながら、少しずつ少しずつ精神的に大人になる。母に大きな出来事が起こっても、冷静な自分を発見し、驚くという場面が二作ともあった。そこがまた、現実味がある気がし

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    2024年04月29日
  • トゥデイズ

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    日常という感じが好き。他人の生活も自分の生活もさほど変わらない。なんでもない日の積み重ねなんだろうな。

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    2024年04月25日
  • 夕子ちゃんの近道

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    アンティークというよりも古道具屋然としたフラココ屋。その2階の倉庫に居候する主人公の"僕"は、ほとんど売れない店番をしながら、どのような客が訪れたかをメモしている。のほほんとして商売気のない店長、毎日訪れてはお気に入りの長椅子に座っていく瑞枝さん、裏に住む大家の孫で、いつもノコギリで木を切っている美大生の朝子さん、時々フラココ屋の掃除などを手伝ってくれる、定時制高校生で朝子さんの妹の夕子さんとのちょっとした日常を綴るアンソロジー作品。

    作中の登場人物にも直接指摘される「透明な」主人公は、何の欲もなくとにかく流されていく。元金持ちだという瑞枝さんには風呂の道具を押し付けられ

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    2024年03月25日
  • 泣かない女はいない

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    好きな小説だった!
    文章に余計な装飾がなく、美しくて読みやすい
    表題作の『泣かない女はいない』と『センスなし』の中編2作が入っていて、私は泣かない〜の方が圧倒的に好きでした
    睦美の目からみたときの樋川さんの些細な仕草や行動、言葉が本当に魅力的で私も樋川さんがかなり好きになってしまった
    『泣かない女はいない』という訳し方もまたいいんだ
    何だか分からないけど、目で追ってしまうような、存在を意識してしまうような、恋と自覚する前の睦美の心の動きがとても良い
    最後のシーンでぐっとくる
    女泣くな 女泣くな
    それにしても99年ってこういう年だったのか、生きていたけど記憶にないことが多かった
    『センスなし』の

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    2024年03月20日
  • 猛スピードで母は

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    ネタバレ

    芥川賞受賞の表題作+文學界新人賞受賞のサイドカーに犬 の2作品が収録されている。
    いずれの作品も、主人公の目線で、自由で強くてでもちょっと悲しい女性が丁寧に描かれて、なんとなくブルーな世界に落ちていく感じ。

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    2024年03月10日
  • トゥデイズ

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    久しぶりの長嶋さん、随分楽しめました。
    中編「トゥデイズ」と短編「舟」の2編。
    「トゥデイズ」はちょっと古いけど大きなマンション群に暮らす一家を描いた作品。冒頭が同じ棟で起きた飛び降り自殺という不穏なスタートですが、やんっちゃ盛りの5歳の息子を見守るごく普通の夫婦の日常を描いた作品です。
    長嶋さんらしく、特に何か大きな事件など起こるわけでは無いのですが、読むにつれどんどん引き込まれて行きます。同じように大きなマンション群に住み2歳の息子を育てている娘夫婦のことなど思い出しながら、「そうだよな~」「そうなんだろうな~」と思いつつ読み終えました。
    一方「舟」はコロナ下で歯列矯正に通う女子高校生の恋

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    2024年02月29日
  • トゥデイズ

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    大きな出来事が起きるわけではないけれどなんてことない、でも味わいのある人々の生活を書くのが本当に上手い。
    くだらないことも重要なことも同じ頭で考えていると思うと人間って愛おしいなとしみじみ思い、クスッと笑いながらもなぜか同時に少し泣きそうにもなる。
    そんな物語。

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    2024年02月13日
  • いろんな気持ちが本当の気持ち

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    面白く読みました。何度も声が出そうになるくらい笑いがこぼれて来ました。
    こんなふうに愉快な文章書ける作家さんが大好きです。
    他の作品も気になります。

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    2024年02月08日
  • トゥデイズ

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    おもしろい!似たような状況あるあるってところがいくつもあって、最後まで気になる。
    ねかしつけのくだりなどは、よくこんなに言えて妙な描写ができるなぁと、羨ましくおもった。この言語化力で、日記をつけられたら、読み返しても楽しめる日記が書けるだろうなぁ。日記続いたことないけど。
    読み終えるのがもったいなくて、いつまでも続きを読んでいたいって思いながら、大切に読んでます。

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    2024年01月11日
  • パラレル

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    妻に浮気され離婚したゲームデザイナーの七郎は、9月のはじめに津田の同僚の大輔の結婚式に呼ばれる。結婚式後にキャバクラで津田のお気に入りのサオリと同僚のゲームマニアの娘に気に入られる。ゲーム制作から離れた七郎は、気に入っていた過去の会社と妻への愛着から離れられないが…。

    長嶋有のぼんやりした話で、9月からの日々と津田と妻との思い出とを交錯しつつ語る長編。津田のパラレルで平行に進む女性関係を描きつつ、七郎の妻や津田、サオリとの交わりかけては交わらない人間関係など、ダブル、トリプルミーニングのタイトルに繋がっていく。

    数年前なら「掴みどころがないぼんやりした作品」とレビューしていただろうが、さす

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    2023年11月06日